ページID:84961更新日:2018年4月13日

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知事臨時記者会見(平成30年3月28日水曜日)

特別会議室

10時00分から

 

発表事項

配布資料

性暴力被害者支援における連携・協力に関する協定締結式について 

知事

やまなし性暴力被害者サポートセンターの開設に伴い、性暴力被害者支援における連携・協力に関する協定を、県も含めた8つの関係機関で締結できることを大変嬉しく思います。山梨産科婦人科学会の会長はじめ、関係機関の皆さま方には、この度のサポートセンターの開設並びに協力の締結に向けて、ご尽力いただいたことに重ねてお礼申し上げます。

性犯罪・性暴力は、いずれも重大な人権侵害であるとともに、女性活躍の前提となる安全で安心な暮らしの基盤を揺るがす大問題であると認識しています。この4月に開設する、やまなし性暴力被害者サポートセンター、通称「かいさぽももこ」は、性暴力等の被害に遭われた方々の気持ちにより添い、ひとりひとりの状況やニーズ等を丁寧に把握した上で、総合的な支援を行うための総合的な窓口であります。性暴力等の被害に対しては、産婦人科医療、相談機関、捜査関連の支援、法的支援など、様々な支援が必要であります。そのためには、関係機関との連携が不可欠でありますことから、この度、本日ご出席の各関係機関のご協力をいただき、協定締結の運びとなりました。改めて感謝いたします。

本日の協定に基づいて、産婦人科医療やカウンセリング、法律相談や警察への付き添い等、被害者のための総合的なサポート体制を整え、性暴力等の被害に遭われた方が安心して相談できるよう、心のこもった支援を行って参りますので、県民の皆様方のご支援とご協力をいただきたいと思います。そして、この協定を契機として、サポートセンターを中心に、それぞれの機関がともに寄り添い、ひとりひとりに適切な支援を行うことにより、被害に遭われた方ができるだけ早期に、大切な心と体の回復を図ることが出来ますよう願い、お礼の挨拶といたします。

山梨産科婦人科学会会長

山梨産科婦人科学会会長の平田です。やまなし性暴力被害者サポートセンターの開設のために、県が中心となって「性犯罪・性暴力被害者のための支援連携会議」という会議が昨年6月から開かれました。その会議でたまたま座長を引き受けさせていただき、その関係で、本日連携協定を結ぶ関係機関を代表して、私の方から挨拶をさせていただきます。本日、関係機関の皆さまとともに、性暴力被害者支援における連携・協力に関する協定が締結できたことを非常に嬉しく思います。

さて、性犯罪・性暴力の被害の特性としては、被害者が潜在化しやすいこと、精神的ショックによる精神的な被害も大きいこと、そして、医療、心理、司法、福祉など総合的な支援が必要となることなどがあげられます。被害者は事件に遭ったことによる身体の外傷だけでなく、心のストレス障害で身体の不調を訴える方が多く、また被害者に対する周囲の対応によって深刻な二次被害、いわゆるセカンドレイプとも言われるものを受ける場合があることから、私たちは適切な診療や対応によって、被害者の尊厳を守って、そしてその心情に配慮して、被害者が心と体に受けた被害の軽減が図られるように連携して協力して支援して参ります。

本日締結した協定に基づいて、私ども連携機関一同は、被害者のニーズに合った途切れることのない総合的な支援の中で、それぞれが専門的な役割を果たすことによって、被害者の心身や健康の回復、そして生活の回復が早期に図られるように努めて参ります。

記者

今まで県内で性暴力の被害に遭われた場合は、例えば警察とかDV相談窓口へ行っていたと思いますが、性暴力に関する総合的な窓口が初めて山梨県にできたということで、その点を踏まえて、平田先生からもお話がありましたとおり、潜在化を防ぐということについての期待もあると思いますが、その点についてお伺いします。

知事

今、お話のありましたとおり、性犯罪・性暴力の被害は、潜在化しやすいと言われております。平成28年の山梨県における強姦及び強制わいせつの認知件数というのは、発表によると強姦が0件、強制わいせつが20件であります。平成24年から28年の5年間では計159件で、年間の平均は32件という統計になっております。ただし、今、お話いただいたように、法務総合研究所の犯罪被害者実態調査によりますと、性的被害を捜査機関に届けた比率は18.5パーセントとなっています。この数字から逆算すると、仮に被害者が100パーセント捜査機関に届け出たとすると、年間の実態の件数は172件で、170件を超えています。そういう意味では、潜在化しているものをまず顕在化していく(ということが大事です)。

ただし、平田先生もおっしゃったように、心も体もぼろぼろで、どこに相談しようにも(どこに相談して良いか分からない)となっている方も多いと思われます。そういう意味で、今回、県を含めた8機関が合同で、常に対応するという窓口を開設します。名称は、ぜひ、これは報道の皆さんからお伝えいただきたいのですが、「かいさぽももこ」としました。山梨らしい「かい」という部分と、語感の柔らかさ、やさしく包み込む、心を癒すようなイメージということで、女性職員が考えました。あわせて相談電話番号も、理解をされやすいということで、055は共通ですが「5562」で「こころに」という形にしました。

できるだけ、まず皆さんに知っていただきたいと思います。あらゆる関係者が協力してやっているという形で(見えるのが)、抑止力につながっていくと考えております。誰かが見ている、誰かが協力してそれを抑制しようとしているという意識が、本日の会見、そして4月からセンターがスタートできるような状況になったとき、その抑止の効果と、さらには被害の潜在化を防止することになると考えております。出来るだけ、捜査当局も含めて、二度と再発が起こらないような社会全体のあり方にしていかねばならないという思いを込めまして、昨年6月から検討委員会を開いて、平田先生を中心に、本日ご列席の関係機関の皆さまと県とで相談をしながら方向性をまとめ、本日、(被害者支援センターやまなしの)理事長さんもいらっしゃっておりますが、その窓口をお借りし、住所は事案の性質上、非公開といたしますが、まず電話でご相談いただきたいと思います。平日の10時から16時という時間帯での電話相談、面接相談でありますが、メール等での相談は24時間受付可という形で対応をして、できるだけ被害に遭われた方に、常に寄り添いたいという形で関係者の皆様方にはご協力をいただいております。

窓口業務は4月2日からでありますが、本日は、センターのスタートのベースとなる協定が締結できましたことに、改めて心からお礼と感謝を申し上げます。

 

記者

皆さまお揃いですので、それぞれの方から所感をお伺いしたいと思います。

公益社団法人被害者支援センターやまなし理事長

やまなし性暴力被害者サポートセンターということで、県も早めに取り組んで、後藤知事を先頭に、きめ細かな形で進めて参りました。全国で設置するということで、県から依頼を受けましたが、快く承諾し取り組むことになりました。4月から発足いたしますが、現在の複雑な社会状況、また目に見えない性犯罪の隠れた面、そうしたところから色々な形の(事案)が出てくると思いますが、それなりの対応をしていくつもりであります。この取り組みは、外部からの支援も大変重要でありますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。

公益社団法人山梨県看護協会会長

看護協会の古屋です。看護協会は看護の専門職の集まりであり、被害に遭われた方の心身ともに、より早く回復できるように寄り添い、支援して参りたいと思っております。

山梨県産婦人科医会会長

産婦人科医会の会長の森澤です。医会というのは開業医、勤務医の先生方も含めた団体で、疾患・疾病、またこういう内容(の被害者の診察)も含めて、第一線で対処している団体であります。もちろん今までもそういう(診察の)経験はあるが、正直申し上げると色々なところで連携不足というか、現場で色々と感じてきたことがあります。そういうことも含めて、今後お役に立てれば良いと思います。

山梨産科婦人科学会

山梨産科婦人科学会で責任者をしています。また、山梨大学の産婦人科で責任者をしています。大学病院で勤務していると、これまでも性犯罪・性暴力被害者の方…さきほど警察に被害を届けたのは18パーセント程度だとおっしゃっていましたが、うちの大学病院は女性医師が多いので、被害者の方の診察を多くしてきました。ただ、やはり医者という立場からすると、被害に遭われた方の身体の被害を治すということを最優先してきたので、今回こうしたサポートセンターを立ち上げるということで、色々勉強させていただいたことには、身体だけでなく気持ちの面でも、ものすごく傷ついている方が多く、しかもそれがとても長く続くということであります。残念ながら、僕らはこれまで被害者にそうした支援は、あまりしてこれず、身体ばかり診てきました。しかし、今回こうしたセンターが出来て、心理士の方、弁護士の方、あるいはもちろん看護師の方々等と一緒になって、総合的な力で身体だけでなく心のケアも出来るようにしていくという体制が出来たと思いますので、この4がつからは、より一層、体制を固めて、改めて対応していきたいと思います。

山梨県臨床心理士会会長

山梨県臨床心理士会の会長の清水です。臨床心理士は心の専門家として、面接相談により性暴力被害に遭われた人々に寄り添い、その方の傷ついた心を、まずサポートします。不安、悩み、悲しみ等のネガティブな感情を受け入れながら、徐々に普通の生活に戻れるようにサポートするような形で、今後とも関わっていきたいと思います。心の専門家だけではこうした問題は解決できないので、産婦人科や弁護士、警察等、関係団体の方々と連携しながら、また二次被害を防止するよう、微力ではありますが協力していきたいと思います。

山梨県弁護士会会長

山梨県弁護士会会長の堀内です。弁護士会では従前、犯罪被害者支援センターというDV、ストーカー被害を含む性犯罪を一つの犯罪領域として支援窓口を作っていましたが、今般、このやまなし性暴力被害者サポートセンターの開設にあたっては、立ち上げの段階から協力、意見等申し上げてきました。法的な手続きということで、刑事手続きとしては告訴や裁判の被害者参加の利用、民事手続きであれば損害賠償請求という面が主になるかと思いますが、先程からのお話にあるとおり、とにかく支援させていただく方(被害者)が、「性犯罪被害者である」という点で、相当、精神的にも被害を負っているという側面を、私ども弁護士も十分理解した上で、相談体制、支援体制をとっていかねばなりません。単に法的な処理だけをすればいいという話ではありません。

既に県の方には、今回、弁護士会で協力弁護士を募って名簿を提出させていただいていますが、いずれも犯罪被害者支援の経験のある弁護士、あるいは、しかるべき研修を受けた弁護士を推薦させていただきました。そうした形で、今回、臨床心理士の先生や医療関係者の皆さま等と連携を取らせていただくということは、そうした面においても非常に意味のある取り組みだと思います。皆さまのご理解をお願いしたいと思います。

山梨県警察本部長

県警察の青山です。性暴力でありますとか、性犯罪の被害を受けられた方が、捜査をしてほしいと言うことで被害申告に来られる方もおられます。(一方で)そういった勇気といいますか、自分の心の中での整理がつかないということで、警察に来られない方も大勢おられますし、潜在化していることが大変多い類型の事案であります。我々警察といたしましては、当然、被害の申告をなされた方に対しては、できる限り必要な捜査をして事案を解決するということをやっているところでありますが、そうでない方でも、いずれそういった決断が必要になるとか、最終的には事件にしてほしくはないけれども、相談に来られる方など、被害者の方と早い段階で接する機会の多い我々としても、そういった方の精神的あるいは医療的支援、また我々とは別の形での法的支援というようなことが必要になる場合があります。被害に遭われ、どこにお願いすればいいのかといった時に、被害者の方のニーズに寄り添ったものを、ある意味ワンストップの「かいさぽももこ」を拠点として、コーディネーターの人達が被害者の望むところへとつないで、一刻も早く被害者のいろいろな苦しみを取り除く、そうした活動がこれから始まるということを、大変喜ばしく、また期待をしております。県警察としても、この「かいさぽももこ、やまなし性暴力被害者サポートセンター」と、また協定を結ばせていただいた8当事者と、これからも連携を続けまして、少しでも被害者の方のサポートができればと考えております。

記者

今まで県内で性暴力の被害に遭われた場合は、例えば警察とかDV相談窓口へ行っていたと思うが、性暴力に関する総合的な窓口が初めて山梨県にできたということで、その点を踏まえて、平田先生からもお話があったとおり、潜在化を防ぐということについての期待もあると思うが、その点について話を伺いた今回は「サポートセンターの開設」というのがまずあって、そのための連携協定を結んだということなのか、あるいは連携協定を結んでおいて、第一段の事業がこのセンターの開設であり、その後、第2、第3の関連の事業を広げていくというのか、どちらのお考えなのでしょうか。

知事

先程、平田先生からもお話いただいたように、昨年かなり強い問題意識を持って、まず関係者の間で、事業内容も含めて色々な検討をし、まず共通の土台を作ってみようという形で半年あまりかけて内容の整理をしてきました。その際に課題となったことは、平田先生もお医者様でありますが、身体をまず治すということで、色々な犯罪被害があったときに、悪い言葉で言えば、色々な所で同じことを、例えば捜査機関や弁護士の方に同じことを何度も言わねばならないという負担が非常に強いということでありました。

もう一つは、拠点を何処に置くかということ、今は、竹井理事長様のところの公益社団法人被害者支援センターやまなしに置きながら、専任のコーディネーターを置いて関係機関が連携することが、より被害に遭った方に寄り添って、なおかつ専門性があり、そして抑止力になるであろうという形で内容をつめてきました。場所を決めて、今日協定を結び、4月の本格的なスタートとなります。開設したばかりではありますが、これから県がやらねばいけないことは、コーディネーターや相談員、支援員が、連携機関と協力して一体的に被害者の方に寄り添うという仕組みで対応を進めることになりますので、その研修、支援の質を高めていくということがあります。

また、冒頭お配りしたように、電話番号も入れて、ピンクの「かいさぽももこ」の相談カードやパンフレットを作成した。やはり県民の皆さんに知ってもらうこと、広報啓発、周知をするということが、県がメインになってやらねばならないことであります。また、関係機関との連携や調整、また、運営をどうするかということについても、実際、事業費、財源というものがかかるので、そういうものも県の責任でやって参ります。それぞれの専門性をより活かした形での、昨年の6月からの検討委員会の内容をベースにして、場所、内容、連携の必要性、センターという窓口の一本化というながれで今日の締結式となりました。

記者

ワンストップ支援センターの考え方について、国の方では病院拠点が望ましいという考え方を打ち出していますが、山梨県は病院拠点型ではないが、実際、治療にあたる産婦人科医の方々の体制について、先程、弁護士会は研修を受けた弁護士が対応するということだったが、治療に当たる先生方(医師)の対応についてはどうなのかお伺いします。

山梨産科婦人科学会会長

僕らの方(産科婦人科学会)は研究を中心にやっています。森澤会長の(産婦人科)医会は、診療のことを中心にやられています。構成メンバーはほぼ同じで、目的が少し違うだけですが、医会から我々に、被害者に対する対応について、かなり詳しく指導されてきています。そうしたものは、末端の会員に至るまで指導されていますので、それを基礎に対応していこうと大概の産婦人科医は考えています。

それから病院拠点型でないという点については、県内ではなかなか拠点になれる病院が少ないので、これまでと同様、犯罪被害者の方が警察に届けた後には、特に女性医師のいる病院を中心に、クリニックを含め医療機関を選定していただきましたが、それと同じような方法論で医療機関を設定していただく方が、むしろ我々の方は対応がしやすいだろうと(考えます)。1箇所の病院で(対応)するとなると、例えば大病院だと手術もあったり、常に人がはり付いているわけにもいきませんので、そうした意味でどこの病院でも対応出来るようにする方が良いのではないかということであります。国が提示したモデルの中の一つにも、この方法はあると思います。

 

以上

 

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