ページID:84820更新日:2018年3月28日

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知事臨時記者会見(平成30年3月13日火曜日)

特別会議室

10時00分から

 

発表事項

山梨県災害派遣精神医療チーム(DPAT)の派遣に関する協定締結式について 

知事

ただ今、山梨大学、山梨県精神科病院協会、県立北病院と山梨県との間で、山梨県災害派遣精神医療チーム(DPAT)派遣に関する協定を締結することができました。この間、関係各位の皆様のご尽力に心から御礼申し上げます。

大規模災害が発生した際、どのような対応ができるか、各機関において、また、県全体に求められているところであります。今までも、山梨県は、民間団体や企業との間で、災害に関する協定を多く締結して参りました。今回は、大規模災害発生時に、精神科医療をどのように提供するのかというところに絞って、継続した心のケアを維持・保持させていく課題に応えるために締結したものであります。

今日お見えになっている久保田先生が中心となっていただき、熊本地震発災後、精神医療等に関する検討会議を開催し、昨年12月に、山梨県災害時心のケアマニュアルを策定しました。本マニュアルには、3つの特徴があります。

1つ目は、災害発生時から中長期まで、統一したかつ継続したDPATの活動を可能としたことです。

2つ目は、災害発生時に機動的な活動が可能となるように、医師が、帯同しないDPATの編成を可能としたことです。

3つ目は、DPATの編成は、これまでは、医療機関を単位とすることを原則としつつも、本県の精神医療資源を勘案し、複数の精神科病院や県も含めた合同チームの編成を可能としたことです。この3つが新たな考え方です。

全国に誇れる、先進的で実効性の高い災害医療体制が構築できるものと心強く思っています。今後は、昨年策定した心のケアマニュアルをどのように活用していくかが、課題となります。充実した支援が可能となるためには、平時から訓練や研修を実施するなかで、DPATの編成や登録などの準備を進めていくことに尽きると思います。

今回の協定締結により、大規模災害が発生した場合、適時、適切な精神医療の提供、精神保健活動を行うための体制が確保されたことは、非常に心強く、本県の防災体制の充実に大きく寄与するものと考えています。本日、ご臨席いただいている山梨大学の島田学長、精神科病院協会の久保田会長、北病院の藤井院長を始め、本日の協定にご尽力いただいた関係各位に、改めまして心からお礼を申し上げるとともに、先生方におかれましては、本県の防災体制の充実・強化に、引き続き、ご理解とご支援を賜ることをお願いし、感謝のあいさつに代えさせていただきます。本日は、ありがとうございます。

山梨大学学長

ご紹介いただきました、山梨大学の島田でございます。この度は、後藤知事のリーダーシップのもと、DPATの協定を締結できたことは、大変すばらしいことだと思います。

災害医療は、なかなか大変な面もあります。普段診療している者は、その診療をある程度犠牲にして、災害時において出動することになります。チーム編成を適切に行わないと、自分のところが被災している場合は出動できませんが、災害で被災者を助けたいと思うことは、我々医師の原点であります。災害医療においては、最初に出動するのはDMATです。これは、DisasterMedicalAssistanceTeamと言いまして、災害が起きたときは、即出動することになっています。その活動が、終了しますと、災害支援チームが結成されます。

私が、病院長時代、東日本大震災の際、計22班、124名を派遣させていただきました。県からの支援をいただき、継続して活動することができました。我々は、南三陸町に3月18日から5月14日まで継続的に派遣させていただきました。北病院さんを始め、5月頃、精神科のチームが派遣されていると記憶しています。

医療となると、命を助ける、怪我人・病人を助けることになりますが、少し見落とされていたのは、精神科のチーム。このチームが有用ではないでしょうか。被災地の方々は、精神的に傷を負っている方が非常に多い。山梨県からも複数のチームが派遣され、私としても大変心強かった。熊本地震では、九州方面以外の大学病院で支援したのは、山梨大学だけです。これは、東日本大震災の時の経験が役に立ちました。DMATについては、県では前々から設置していましたが、山梨大学においても少し遅れて何チームか設置しました。少し欠けていたのが、DPATです。DPATのPは、Psychiatricであり、精神科のアシスタントのチーム。これが、私としても少し抜けていたと思っていたところに、後藤知事のリーダーシップで各病院単位ではなく、県全体として災害支援を行うことは、非常に大きいことだと思っています。

山梨大学としても県と一緒になって、このチームを支えていきたいと考えていますので、これからもよろしくお願いします。簡単ではございますが、あいさつとさせていただきます。本日は、ありがとうございました。

山梨県精神科病院協会会長

紹介いただきました、精神科病院協会の久保田でございます。今回、後藤知事との間で、DPATの派遣に関する協定を締結できたことを、非常に嬉しく思います。知事の判断に敬意を表します。私ども精神科病院協会は、山梨県内にあります精神科病床を有する11病院の中の9病院から成り立ちます。精神科救急も北病院と分担して取り組んでいます。

被災地支援におきましても、7年前の東日本大震災や熊本地震において、当会員病院から3つの病院が支援に参加しています。東日本大震災の場合は、半年間にわたり、県の協力をいただき支援を行うことができました。また、熊本地震では、当初から対応しています。これまでの経験の中で、被災地支援を行う中で、当初は、どこからの依頼で動くのか、どこの指揮の元に従うのか、若しくは、いったい何を支援するのかとういことを悩むことがあり、支援の難しさを感じていました。

今回、後藤知事から説明がありましたマニュアルが策定され、県と県内の主だった病院と契約を結べたことで、被災地への支援や、万が一本県が支援を受けなければならない時、一貫した対応を受けることができるようになったのではないかと喜んでいます。今後、本日お集まりの皆様と協力させていただき、また更に、県内で精神科医療に関わり、支援を志す方でも、参加されていない方もおりますので、声をおかけして、大きく体制を築いていければと思っております。どうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました。

山梨県立北病院院長

県立北病院院長の藤井でございます。私どもは、県立中央病院と一緒に、独立行政法人となっており、精神科の基幹的な病院として診療しています。

災害における支援につきましては、最初は、新潟の震災だったと思います。次に東日本大震災です。当時は、福島県の原発事故がある中で、そこを通り抜け、どうやって現地に行くのか、病院で検討しました。私どもは、5月頃、気仙沼を中心に活動しており、大変勉強になりました。発災直後から久保田先生がお話なされたように長期間にわたる支援が必要だということがよく分かりました。熊本地震の際も、支援に行きました。

DPATに関する協力体制が整備されたことは、大変有り難いことだと思います。これは、他県での災害における派遣だけではなく、山梨県内に災害が発生した時に県内で十分に連携して立ち向かう中で、精神科の医療や支援をどのようにしていくのか大きなシフトになるのではないかと思っています。

この協定を基盤と致しまして、本日お見えになっている方々と十分連携しまして、訓練を行い役割を果たし頑張っていきたいと考えています。本日は、非常に重要な協定を結ぶことができ、大変嬉しく思います。ありがとうございました。

記者

後藤知事に2点お伺いします。災害時における精神医療の必要性をどのように考えていますでしょうか。

手元にいただいた資料ですと、災害時に関する協定が、これで9例目となりますが、9例目が整備されたことについて、どうお考えか。若しくは、今後、新たに精神医療以外にも強化していきたい分野があればお聞かせください。

知事

先程もお話させていただいたように、発災時の直後から中長期までの長い間にかけての精神医療の提供が我が県での大きな課題になっていましたが、私ども含めて4者で協定ができ、山梨県における大規模災害時の精神医療の確保ができたことは、改めて嬉しく思います。島田学長からお話があったように、大規模災害が起きた時は、怪我を治す、病気を治す、いわゆる急性期がメインだという意識がありました。大規模災害に関し、熊本地震から2年余り、東日本大震災から7年経過していますが、未だに避難生活を送る方も大勢おります。山梨県では医療資源が限られていますので、中長期にわたる精神医療については、県内で連携し、ネットワークにすることで、県民の皆様方に安全・安心を提供することができます。

また、医師がいないDPATの派遣や更には医療機関が連携しながら対応できるようにするなど、先程、お話しました3つの視点が、今回の協定で確立されたこと、また、久保田先生からもお話しがありましたように、県からそれぞれの機関に派遣を要請するなど指揮命令系統が明確になったことも、今回の協定の大きな意義だと思っています。

大規模災害がなければそれに越したことはありませんが、行政にとって、必要な部分は、優先順位を変えても、対応しなければいけない責任がありますので、それを今回の協定で、これまで少し遅れてきた部分をリカバリーし、全国でも先駆けた3つの新たな視点を持ちながら対応できることは、県民の皆様方にとって、安全・安心、防災力の確保につながり、大きくプラスになったと確信しております。

2年前の熊本地震の際は、4チームでしたが、今後は、8チーム、倍増の登録を目指しながら、研修や訓練を通じて、質の向上を図り、それぞれの組織間の連携を強化し、県民の皆様方の安全・安心につなげていきたいと考えています。

記者

知事にお伺いします。災害時の発災の時に、具体的な指揮命令系統が明確になったというお話でしたが、例えば、県内のここで災害が起きましたという場合、県庁の指示で今回の協定した全ての協定機関、あるいはいくつか厳選して得意分野の協定機関を選ぶような形で運用していくのか具体的なところを教えてください。

知事

まずは、どこに派遣することよりも、熊本地震の時の2倍の8チームの登録を目指します。近いところの優先順位が高くなるかもしれませんが、島田学長がお話しなさったように、今抱えている患者さんをどうするかを考える必要があり、また、久保田先生がお話しなさったように、自分の病院が被災しているのか、していないのかを考える大きな要素になると思います。どこに、誰を派遣するのか決めておくのではなく、病院としての機能を存続できるのか、既存の患者さんがどういう状況にいるのかを確認し、これらをどのように補完するかが課題となります。また、熊本地震の例をみても、時間が経過すれば、県外からもDPATを受けて入れて、コーディネートし、それぞれの医療機関にDPATを配置することになります。例えば、日下部記念病院が、どこに行くのか決めているのではなく、その状況に応じて判断しお願いすることになると思います。

記者

確認ですが、今既にある4チームを8チームに倍増することでしょうか。

知事

熊本地震の際は、急遽編成したチームであり、研修等が十分でなかったところでもあり、また、現地での受け入れ体制も不十分であったことを熊本地震直後の課題の検証でお示ししたと思います。4チームの内訳は、病院が3チーム、県庁がチームとなっておりました。DPATは活動期間が長期間になりますので、1チームの活動が1週間、8チームで被災病院の復旧が見込まれる間の8週間の対応を可能にするということで考えています。日下部記念病院の単独チームや、病院間が連携したチームなど、まずは8チームを早期に編成ができるようするため、準備を進めます。

記者

8チームに関して、今回の協定をもとに、将来的には、8りもっと多くしたいお気持ちはありますか。また、最大でどのくらいの期間の派遣を想定していますか。ここでは、中長期、6ヵ月とありますが、例えば、状況に応じて1年近くになったりするのでしょうか。

障害福祉課長

まず、8チームをどの程度増やしていくのかということですが、今、各医療機関と人選等を進めている中で、より多くのチームに参加していただけるように、調整させていただいております。より多くのチームということで、まずは、8チームを目指したいと考えています。また、概ね6ヵ月というのは、中長期にわたる災害支援という中で、その程度あれば、現地の医療機関が復旧してくるというところを見据えて上での考え方であります。ひとつのチームは、概ね1週間を単位に活動して参りますので、8チームあれば、8週間、2ヵ月の対応が可能となります。当面は、そこを目指すこととしたところです。

記者

交代しながらということで良いか。

障害福祉課長

そのとおりでございます。熊本地震の時には、入りと出の日を含めて、1週間ごとに次のチームにバトンタッチする形で現地に入っていただきました。

記者

8チームが、そのまま直接現地に入って、そこで長期に活動するイメージではないで考えてよいか。

障害福祉課長

県内で災害が発生した場合でも、県外で発災した場合でも、それぞれ他県のチームと協働して地域を分けて担当する形になると思います。県内で発災した場合は、別になりますが、他県に派遣する場合は、1チームずつになろうかと思います。

知事

今年の1月末時点で、全国で396チームがおり、大きな地震の際は、熊本のように県外からもいろんなチームがその場に来ることになると思いますが、誰が受け手になり、コーディネートしてどこに行っていただくのか、調整を含めて考えています。今回の協定は、DMATからはじまって、亜急性期から慢性期を含めての精神医療の提供に関するものとなっています。

記者

DPATを派遣させる側の確認をさせてください。イメージとしては、避難所に行きカウンセリングを行うと考えてよろしいでしょうか。

山梨県精神科病院協会会長

これが多岐にわたっており、その被災状況によります。避難所に行きカウンセリング等を行います。現地の精神科病院が被災した場合は、その機能を補うことも必要となります。また、支援している行政の方々が、疲弊してしまい、具合が悪くなった時に、そこの支援を行うこともあります。このように多岐にわたった対応が必要になります。そこの調整をDPATというシステムの中で、調整本部がその役割を担っていくことになります。

 

以上

 

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