ページID:39660更新日:2023年1月20日

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知事臨時記者会見(平成23年11月11日金曜日) 

本館2階特別会議室

15時30分から

発表事項

配付資料「財団法人山梨県林業公社改革プラン」(PDF:640KB)

配付資料「財団法人山梨県林業公社改革プラン(参考資料1)」(PDF:1,839KB)

配付資料「財団法人山梨県林業公社改革プラン(参考資料2)」(PDF:4,026KB)

配付資料「財団法人山梨県林業公社改革プランの概要」(PDF:2,659KB)

配付資料「財団法人山梨県林業公社改革プランの概要(参考資料)」(PDF:4,264KB)

 林業公社改革について 

知事

林業公社というものは、戦後の経済発展の中で木材の需要が大幅に増加するということが見込まれるという中で、スギ、ヒノキといった人工林を造っていかなければならない。これが国の拡大造林政策というわけでありますけれども、この拡大造林政策に沿って進めてきたものであります。そして、民有林については、なかなか個人が人工林を整備するといったことをしないという中で、民有林について個人では森林を管理することが困難なので、民有林の所有者に代わって公的に森林の整備をしようということを目的として、全国で多数設立されたものであります。

本県におきましては、昭和40年に県が全額出捐した公益法人として林業公社が設立されました。それ以来、民有林の土地所有者約5千人との間で分収林契約を結んだわけであります。分収林契約というものは、皆様もご案内のように、伐採までの間の保育とか間伐とかを公社が費用を負担して、公社自身が(人工林を)整備する。そして木が大きくなってそれを伐採したときに、木材を売った収入が生まれるわけでありますけれども、その収益を土地所有者と分け合うという仕組みの契約でありまして、これによって約8千ヘクタールの森林の整備を行ってきたわけであります。

しかしながら、この公社は、森林整備をする事業に充てた財源が主として借入金であったわけです。一方で、木材価格が長期にわたり非常に低落してきた。ピークに比べると、大体5分の1から10分の1くらいの落ち込みになってしまった。そういうことから、分収林からの伐採収益では、これまで森林整備に要した巨額の借入金を返済することは困難な状況となっているということであります。

現在の木材価格を前提に長期収支試算を行ってみると、全ての契約が終了する平成67年度には約208億円の債務超過が見込まれるなど、極めて厳しい経営状況にあり、抜本的な見直しが必要となっているということが、問題の所在であります。

県としては、先程、全員協議会の土木森林環境委員会の委員長報告にもありましたけれども、県議会において幅広い見地からのご意見、ご提言をいただくということと同時に、県出資法人経営検討委員会で専門家の意見も伺いながら、林業公社の改革について様々な観点から検討を進めてきたところであります。

一方で、公益法人改革に伴う新しい公益法人への移行期限が25年11月に迫っているわけでありまして、林業公社も存続するとすれば、これに変えていかなければならないわけです。そういう中で、既に現行制度では破綻しているとも言える林業公社の改革は、待ったなし、これ以上引き延ばすことができない課題でありまして、今般、林業公社の改革プランを取りまとめたということでありまして、議会のご理解をいただいた上で、明年の早くからその取り組みを開始したいと思っているところであります。

今後の森林整備の方向性についてでありますけれども、林業公社が管理している分収林は、引き続き適切な保育作業が必要な比較的若い森林も多い一方で、公社設立当初に契約を行った森林は既に伐期を迎えつつあるという状況であります。分収林の契約期間が終了して伐採するわけでありますけれども、伐採するとその跡地は、土地所有者自らが適切な森林整備を行ってもらわなければならないわけであります。しかし、現状においては、木材価格が非常に低迷しておりますから、土地所有者による森林の再整備は期待できない、困難であるという状況でございまして、結局、裸山のまま放置されてしまうという可能性が高いわけであります。そうなると、森林の持つ水源かん養とか県土保全といった公益的機能の発揮に支障が生じることが懸念されるということであります。

このため、今後の分収林の管理につきましては、現在のやり方は土地所有者との間で概ね50年間の契約を結んで、50年経ったら全部切って、それを売る。そして売ったお金を分け合うというやり方でありますけれども、そのやり方を改めまして、50年にプラス20年ないし40年、契約期間を延長して、70年から90年と延長いたしまして、繰り返しの抜き伐りということによって、天然力を活用した広葉樹林、あるいは針広混交樹林という形にスムースに転換を図っていこうというものでございます。そういうように分収林契約の変更をお願いしようということであります。

それから債務の抑制、先ほど208億円が見込まれると言いましたけれども、この債務の抑制についてでありますけれども、これまで林業公社としては、低利資金に借り換えるなどの努力をいたしまして、債務の圧縮に努めてきたわけでありますが、借入金残高は平成22年度末現在で約270億円となっておりまして、公社自らの取り組みでは将来負担の削減は困難な状況となっております。

したがって、土地所有者には、今後の借入金の処理に多額の県民負担を伴うということをよく説明し、また、他県でも分収割合の見直しを土地所有者にお願いしているということなどをよく説明してご理解いただいて、現行の分収造林契約では公社60パーセント、土地所有者40パーセントとなっているわけでありますが、これを公社80パーセント、土地所有者20パーセントに見直しするということをお願いしていきたいと考えております。

そして、具体的な改革プランについてでありますけれども、こうした森林整備の方向性や債務の抑制の考え方に基づきまして、公社の存続・廃止の両面から、将来的な収支の見通しなどについて比較検討を行ったところであります。

その結果、公社を存続していくとした場合には、長期にわたって県から多額の貸付や補助を行っていく必要が生じて参りまして、財政規律上、非常に問題であるということがございます。同時にすでに分収林の仕組みというものが、伐採収入では借入金の償還ができない状況になっておりますから、破綻していることも踏まえまして、この際、公社を廃止することが適当だという結論に達したということであります。

公社を廃止した後、今まで公社が管理してきた分収林をどう管理していくのかということでありますが、引き続き、育成途上の森林に対する保育作業や、公益的機能の発揮にも配慮した森林管理を行っていく必要がありますので、公社を廃止した後の分収林については、県に移管して、県が県有林と一体的に、山梨県の場合には15万ヘクタールの県有林を持って森林管理のノウハウをしっかりと持っており、また、組織もあるわけでありますから県有林と一体的に管理していくことが適当だと考えております。

また、公社の廃止に当たりましては、廃止に対する同意に加えて、分収林の伐採収益の分収割合や伐採時期の見直しについて、契約変更を土地所有者にお願いしていくことが必要であると考えております。

そこで、明年の早くから、地域ごとに公社改革を推進するための協議会を設立するとともに、新年度には、県庁内の体制も整備して、土地所有者約5千人との協議を進めて参りたいと考えておりますが、これには非常に時間がかかりますので、この契約変更等の作業に要する時間を5年程度と考え、公社の廃止は平成29年3月を目標とした改革プランとしようとしているところであります。

これらの取り組みによりまして、土地所有者のご理解を得た後において、最終的な債務処理に必要な額の確定を行って、県議会には債権放棄のご議決をお願いすることになります。現時点での試算では、林業公社の廃止に伴う債権放棄額は183億円と見込まれ、将来の伐採収入を勘案すると、実質的な県民負担は167億円となる見込みであります。

林業公社の問題は、国が進めた拡大造林政策が破綻した構造的な問題が背景にありますので、これまでも国に対して、全国知事会等を通じて支援策の充実を求めてきたわけでありますけれども、国の抜本的な対策は今日まで講じられていないわけであります。公社を取り巻く環境は厳しさを増しているところであります。林業公社がこのまま分収林事業を続けていくことは、債務が更に増加することとなり、ここで債務を整理することが、将来負担の抑制につながると判断いたしまして、公社の改革を先延ばしせず、廃止することとしたところであります。

なお、林業公社の問題は国の政策に沿って進めてきた結果であることも踏まえまして、今後とも、公社改革に対する支援策について国に要望していきたいと考えております。

以上でありますけれども、今後、改革プランの実施に必要な取組について、分収林の土地所有者をはじめ、県民の皆様や林業関係団体にも十分にご理解いただけるよう、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。

なお、先ほど議会の全員協議会においても様々な意見が出され、またこれから11月議会においても委員会等でいろいろな審議がなされますが、そういった議会の意見、今日出された意見も含めまして、我々としてはさらにこの考え方を精査していきたいと考えております。

以上であります。

<質疑応答>

記者

廃止という結論にいたったということですけれども、今まで問題が先送りされていた現状があって、今年に入ってどうしてこのタイミングで廃止の結論にいたったのか、知事の所見をお伺いしたい。

知事

単に先送りしたわけではなくて、ずいぶん早くからこの問題の深刻さを認識されてきて、過去3回にわたって改善策が取られてきたわけであります。お手元の資料でその辺りはお分かりいただけると思うわけであります。とりわけ改善の内容は、農林漁業金融公庫の当時の金利が非常に高かったですから、それを借り換えて、金利負担を引き下げることをはじめとする改革を行って、実際の負担額も50数億円の大幅な削減は図ってきたという改革努力はしてきたわけであります。

私が知事に就任してからも、この問題については大きな問題であることは認識しておりました。ただ、これは私だけではない全国知事会でも、非常に大きな議論になって、私自身も全国知事会で発言したわけですけれども、やはり国の拡大造林政策があって、端的に言うと国の勧めでこのようなことを行ったわけです。ですから、全国の森林県と言われる30幾つかの県が皆同じことを行ったわけです。したがって、これについては拡大造林政策が背景にあるわけだから、国からのしかるべき支援があって当然ではないかという考え方があって、全国知事会としては、今もそのような申し入れを続けておりますけれども、強く国に対して国の改善策を申し入れてきたわけであります。

その結果として、平成20年に総務省、林野庁などが中心となって林業公社の経営改善に関する検討会ができて、林業公社に対する支援策の検討が行われたことがありました。それからさらに平成21年度に公社の改革案をつくっていくためには会計基準が決まっていなければできないわけですけから、公社の会計基準を統一するために会計基準検討委員会を国がつくりました。

そのようなことがありましたから、国の方向を待ったうえで検討しようということで、国の結論を待ってきたわけであります。国の方向も出たとのことでありますので、県としては検討に着手したということであります。同時に申し上げましたように、平成25年11月の公社改革に伴う新しい公益財団法人への移行の時期も迫っていることもありますので、この時期に抜本的な改革方策を検討したということでございます。

記者

分収割合の見直しについてお聞きしますが、これを8対2に引き上げると、5,000人もいますから、果たして5年間でできるのか、交渉は難航が予想されます。ただ一方で、先ほど県議会から1年ないし2年の短期間で行ったらどうかという声もありましたけれども、果たしてこの交渉はうまく行くか、難航が予想されるとも思いますが、知事の考えはいかがでしょうか。

知事

おっしゃるように土地所有者にしてみれば自分の利益が端的に言えば半分になるということですから、簡単には同意しないだろうと思います。県という公的機関が、1回約束したことですから、それは守ってもらわないと困ると当然主張してくるだろうと思います。しかしそうは言っても県民の負担が非常に増える話であることですし、他の県でも同じようなことを行っていることとか、その他背景事情を懇切丁寧に説明して、ご理解いただきご協力いただくしかないと思っております。このことは誠心誠意、土地所有者の理解をいただくことに尽きると思っております。

記者

分収林の今後の活用ですけれども、今のところの見込みだと人工林として再整備していくのは20パーセント、残りは広葉樹として活用とのことで、いわゆるこれまで森林を育てて売る方針から、今後は育てて県土を守ると、このように活用を転換していくとの意図があるのでしょうか。

知事

おっしゃるように、いわゆる拡大造林政策の場合には、どんなに状況が悪いところでもスギ、ヒノキのような人工林をどんどんと植林し、造成していくという考え方でした。しかし、それは破綻したわけで、木材に対する需用も、当然これからそれほど増えるわけではない中で、やはり条件の悪いところ、民有林の所有者自体が木材経営に熱心ではない場合には、木材供給のための針葉樹林を人工林として整備し続けるよりは、時間をかけて自然林と言いましょうか、広葉樹林あるいは針広混合樹林の形に戻していく。そのような自然林に戻していくことは、自然林としては公益的機能が発揮できるわけですから、条件の悪いところなどについては、木材供給の観点よりもむしろ森林の公益的な機能を重視した森林整備をしていくことになると思っております。

記者

昭和40年にスタートした事業とはいえ、今回の抜本的な改革をもってしても最終的には167億円の赤字になると。最終的にこのような形になってしまうことへの県民への説明はどうされますか。

知事

今、皆様にご説明したような説明は、いろいろな機会を通じて県民の皆様にも説明をしてご理解いただくように努力していきたいと思っております。なかなかこれは非常に難しい問題ではありますけども、結果として、昭和40年に林業公社をつくって、この分収林事業というものを始めた。しかし、その後、木材価格が想像を超える大幅な下落になったというようなこと等があって、結果的に大きな損失を生むことになってしまったということに対しては、県民の皆さんにお詫びを申し上げなければいけないと思います。十分にご説明しながらお詫びをしていかなければならないと思います。

記者

国への支援策の要望ということについてなのですが、これは公社の債務の軽減などについてということになりますか。

知事

国への要望はどういうことをやるのか、すでに毎年の全国知事会の国への要望にはこれは入っているのです。端的に言うと直接補助みたいなことをやってくれという考え方は当然あるし、あるいは、従来も少しずつやってきたことでありますけれども、例えば、政策金融公庫の金利、現在はずいぶん低くなっていますけれど、これをもっと下げてもらいたいということもありますし、ほかにもいろいろあると思います。いずれにしても分収林事業の経営が少しでも改善するような支援措置というものを国にお願いしていかなければならないと思います。

記者

この件に関しては議会の方でも委員会でこれまで議論されて意見も出されて、今回それも踏まえた中でこういう方針を出されたのだと思うのですけれども、それで今日の午後、全員協議会の場で県議会の方にご説明されましたけれども、知事のご所見とすれば、県議会の方は、今日の説明に対して納得されたとか、理解してもらえたとか、その辺の感触はいかがですか。

知事

今日ご説明した大筋の方向性についてはご理解いただいたと思っております。今日、具体的なご意見をいくつかいただきましたし、また11月議会においてさらにいろんなご意見等もいただくと思いますので、そういうものをよく検討し、必要な修正があれば修正を加えて、県として林業公社改革プランを年内に作成したいと思っております。

記者

先ほど、全員協議会の場でも質問があったかと思うのですけれども、明後日、皇太子殿下がいらっしゃると思うのですけれども、そのタイミングをずらすべきだといったご意見が先ほどあったかと思うのですけれども、その辺に対する知事のご所見はどうでしょうか。

知事

今日、そういうご指摘がありましたけれども、私はそのことは全く思いつきもしなくて、皇太子殿下がお出でになるのは恩賜林御下賜100周年記念事業ということでお出でいただくわけでありまして、そのこととこれは全く恩賜林の問題ではありませんので、広い意味での森林経営といえば森林経営ですけれども、別の問題でありますので、なんか時期的にうまくないのではないかというような、そんな感じというものを私は持っていないのですが。何か失礼になるというようなことがあるのでしょうか。それはないのではないかと私は思っております。

 

(以上)

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