トップ > 県政情報・統計 > 知事 > 開の国やまなし こんにちは。知事の長崎です。 > 知事記者会見 > 知事記者会見(平成23年7月13日水曜日)
ページID:38234更新日:2023年1月20日
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本館2階特別会議室 11時30分から 発表事項 発表事項以外の質疑応答 |
知事
福島第一原子力発電所の事故は、発生から4ヶ月経過したが、いまだ収束の見通しは立っておらず、先行きが非常に心配されるとともに、放出された放射性物質は、近隣県をはじめその周辺の都県にまで及び、様々な影響が出ている。
本県においても、お茶の出荷制限を受けた神奈川県の隣接県として、国から農産物の放射性物質検査の実施要請を受け、まず、最盛期を迎えるモモについて検査を実施し、不検出とされたところである。
今後、これを手始めに、計画的に検査を実施していくことにしている。
また、空間放射線量率については、衛生環境研究所においてモニタリングポストの測定、さらに県下10地点における測定を行い、それによりまして異常のないことが確認されているが、県民の身近な環境における放射線への関心は高まっており、一昨日には県議会においても、子どもたちが活動する場所の放射線量を測定することなどを求める決議がなされたところである。
そこで、県民に放射性物質に対する不安感をさらに払拭していただくため、この度、県内の学校や公園など100箇所を対象として、地上1メートルと地上5センチメートルの高さにおける空間放射線量率を測定・公表することとしたところであります。
もう一つの資料に具体的な方法が書いてございますが、ちょうど真ん中辺りの調査地点、県内の100箇所の地点でありまして、小学校、中学校、保育所、幼稚園、公園など子どもたちが活動する場所を調査の対象といたします。各市町村で少なくとも2地点、甲府市とか人口が多いところは、もっと増えるわけでありますけれども、調査地点は市町村の要望に沿って協議して選んでいくことになります。
調査期間は、7月下旬から1ヵ月ぐらいの間で行うということであります。
調査の方法は、放射線測定機でありますが、シンチレーション式サーベイメータによりまして、地表面から1メートルと5センチメートルの高さの空間放射線量率を測定し、調査結果についてはホームページ等で随時公表して参ります。
以上であります。
記者
この測定の結果如何で様々な捉え方があるかと思いますが、効果と期待と言いますと語弊があるかもしれませんが、ご所見をお願いします。
知事
期待ということはありませんけれども、他県の状況・結果とか見ておりまして、それから本県でも衛生環境研究所のモニタリングポストでは、常時、空間放射線量率検査を行っているところであります。そして先日6月22日から24日にかけて県下10箇所について、大気汚染測定局が県下に10箇所あるのですが、そこで空間放射線量率の検査も行っておりまして、異常値は全く検出されておりません。そのような状況からして、今回100箇所行うわけでありますけれども、おそらく異常値は出てこないであろうと思っております。そうした検査を行って、公表することによって、県民の皆さんにさらに安心していただくことを、私どもとしては目指しているということであります。
記者
小学校、中学校、保育所、幼稚園、公園などでありますが、おそらく全部合わせても100箇所以上になるかと思いますが、その中から市町村で選んでもらうことになるのでしょうか。7月下旬から調査期間1ヵ月内とのことなので、100箇所順番に1ヵ月の間で行っていく形になるとのことでよろしいのでしょうか。
知事
そのとおりです。最低2個所、したがって比較的小さい町村については2個所になります。甲府市辺りになりますと9個所になります。人口によって、同時に可住地面積に完全に均等にはなりませんが、だいたい調査地点が平均して、ばらつくように調査地点を選ぶようにしたいと、その辺は市町村とよく協議したいと思っております。調査としては、約1ヶ月かかります。サーベイメータが2台しかありませんで、県のものが1台、山梨大学から急きょ1台借りてきまして、今当初予算で購入しているのですが間に合わなくて、秋には4台入ってきますけれども、まだ2台しかないものですから、しかも例えば雨が降った日はもちろん駄目ですし、そういった気象条件に左右されることもありますし、市町村の職員に立ち会ってもらいながら調査していきますから、市町村の都合もありましょうから、そのようなことを考えますと、1日10箇所ぐらいはできるのでしょうが、7月の下旬から始めて8月の半ばくらいまではかかってしまうだろうと思います。
記者
その結果、この間の(県議会の)決議でも、県から安全性が確認できれば安全宣言を出すということもあったわけですけれども、その辺に対しては、どのタイミングで出すのか、出すのか出さないのかも含めてですけれども、ご見解を教えていただきたい。
知事
今回、100箇所について空間放射線量率の検査を行うこと、それからご案内のように既に農産物については検査計画を策定して主要な農産物について検査を行うことであります。その検査結果については、結果が出次第、常時公表して参りまして、問題が無い、異常ではないものについては、安全であると県民の皆さんにお知らせすることでありますから、そのことの積み重ねが安全宣言だと捉えることができると思います。それとは別途に何かある段階で、「本県は安全であります」と安全宣言を行うかどうか、その辺については、まだ今の段階では決めておりません。今後検討したいと思います。
特に海外の関係とかその他から安全宣言を行った方が良いと判断があれば、そのことも考えなければいけないと思っております。
記者
リニア中央新幹線について、先日、甲府圏域建設促進協議会長の宮島(甲府)市長が費用負担と駅の設置場所に関して、(甲府)圏域と県だけで決めるのではなくて、県の全ての市町村に声をかけて県の振興発展の見地から、駅の設置場所、費用負担について全県の組織で検討したいという趣旨の意向表明があったのですが、これについて知事の見解をお伺いしたい。
知事
場所につきましては、当面決めなければいけないのは、JR東海から提案されているのは直径5キロメートルの円で示された場所です。これは甲府盆地南部でありますが、これで良いのかどうかという返事をJR東海に返さなければいけないのです。
したがって、直径5キロメートルの円で示された場所について、山梨県として良いのかどうかという判断をしなければならない。コンセンサスを取らなければならない。これは甲府圏域はもちろん富士東部地域、あるいは峡東地域、峡南地域も各協議会がありますから、それぞれ今議論してもらっている。同時に経済界の皆さんにも議論してもらっている。そのようないろいろな意見を集約して、そこで良いのではないかということになれば、それで第1の直径5キロメートルの円については、県としては結構です、コンセンサスを得ましたということにしなければいけない。これはまず第1段階。それからこれは私の希望ですけれども、直径5キロメートルの円はかなり広いですから、できれば年内にもう少し詳細な場所を決められるものならば決めたいと申し上げてきたわけであります。それについては、この甲府圏域が仮に良いということになった段階で、甲府圏域の甲府市とか甲斐市、中央市、昭和町の皆さんにどうですかと、地元の皆さんの意見を聞くと、甲府圏域建設促進協議会で議論してもらうと、同時に県としても他の地域の意向もあるでしょうから、そのような意向も踏まえて県としての考え方も言うということで、できれば年内ぐらいにもう少し絞った場所を決めていきたいと思っているということで、そのような2段階でこれから進めていくことです。
それから費用負担の問題については、ご承知のように駅の費用負担をどうするか、これは沿線の都県とJR東海との間で意見が一致していないわけです。これはこれから議論していく、これは山梨県だけでなく沿線都県一緒になってJR東海と協議していかなければならない。場合によっては国も関与してもらわなければいけないかもしれない。そのようなことを考えると、駅の費用負担の問題は、今年中に決めることではなくて、もう少し時間がかかる、場合によっては数年かかる、それでも着工するまでに決めれば良いことですから、時間的な余裕もあるということです。だから今直ちに費用負担の問題について、市町村の負担をどうするかとか、そのような議論をするのは少し早すぎるのではないかと、私は思っております。
いずれにしても県下の市町村とよく協議しながら、そのような問題は進めていかなければならないことです。甲府市長の趣旨もそのような趣旨だと思いますので、県下の全市町村の意見、例えば甲府圏域の中でどこにするのかも含めて、これは県下の全市町村の意向も聞きながらコンセンサスを得ていかなければいけないことだと思います。協議会的なものをつくるかどうかは、これは今後どうするか、今の段階で県として決めているわけではありません。今後、関係者の間でよく相談していきたいと思っております。
記者
リニアの関係で、全県4圏域の中でまず直径5キロメートルの円について合意する必要があるとのことですけれども、それは月内にも例えば決めたいとか、そういうスケジュール感があるのでしょうか。あと合意する際に会合みたいに集まって決めるのか、それとも県が意向を各圏域に聞いて、それで決ったという形にするのか、その辺のことを聞きたいと思います。
知事
具体的なスケジュールは早めにと思っておりますが、まだいつ頃までにと決めているわけではありません。それから県全体の期成同盟会を開いてそこで決めるということにするのか、それとも各市町村、経済団体も大方その5キロメートルの円で良いのではないかということであれば、県としてその意向を踏まえて、コンセンサスが得られたということで決めたということにすることもあると思います。まだ具体的なやり方については決めておりません。(リニア推進課長に向かって)そのスケジュールとかありますか。
リニア推進課長
今、おっしゃったとおり特にこの日までにということは、まだ決めておりません。
知事
いつ頃ということはありますか。
リニア推進課長
それもまだ決めていませんが、なるべく早いうちに決めたいと思っています。
知事
決めるのは、期成同盟会的なものを開いたりするのですか。
リニア推進課長
それも完全には決っておりませんけれども、今、意見を募集しておりまして、昨日締切りだったのですけれども、そのような状況を見ながら、なるべく早く、総会という形になるかは分かりませんけれども決めたいと思っています。
知事
そういうことです。要は各協議会とか、あるいは経済団体とかそういうところに直径5キロメートルの案についてどうですかという意見を今求めている段階ということです。そういうものが出てきた段階でどのようなやり方で決めていくのか、その段階で判断したいと思います。
記者
直径5キロメートルの円の中の詳細な場所について、甲府市長は全市町村で協議したいという考えですけれども、県としての基本的なスタンスは、甲府圏域協議会で協議してもらって、そこで決めてもらうという、そちらの方が基本的なスタンスということでしょうか。
知事
基本的というと少し語弊もあるのですけれども、県下全市町村、あるいは経済団体が直径5キロメートル円はそこで良いとまず1回コンセンサスが得られたとすると、できればその中でさらにもう少し絞り込んでということに我々としては希望を持っているわけですが、それは第1次的に甲府圏域の皆さんが地元ですからどう考えるかということはあるわけです。それは地元の皆さんの意見は尊重しなければならないし、甲府圏域の関係市町においては十分議論していただきたいと思うわけです。ただ同時に甲府圏域の中だけで決めてしまっても良いものかどうかというと、甲府市長が言っているとおり全県下の県民が使うものですから、甲府圏域以外の市町村の意見もまた参酌しながら決めていかなければならないことです。甲府圏域の地元としての意見ということは尊重しなければならないし、同時に県下の全市町村の意見も聞きながら、そういうものを含みながら総合的に判断して決めていくということになると思っております。
記者
手続きとしては、甲府圏域である程度の案を決めてもらって、それを全県下に諮るというような手続きということを考えていらっしゃるのでしょうか。
知事
そういうことになるかどうか。もちろん甲府圏域で議論してもらいたいということは我々としてもお願いしているわけであります。しかし、甲府市長としては繰り返しになりますが、自分たちだけで良い悪いについて決めるわけにはいかない。全圏域で県民が使うものだから、全圏域の意見も判断しながら決めていかなければならないというのは当然の話ですから、それをまず甲府圏域で案を決めて、それを諮るという手順にするのか、県は甲府圏域以外の市町村や経済界の意見というものもだいたい分かりますから、そういうものも総合的に勘案しながら県と甲府圏域の市町で協議して決めていくということだと思います。順番としてまず案を決めて、それから全県下に諮ってという手順になるというよりも、むしろ総合的に県と甲府圏域の市町が一緒に協議して決めていくことになるのではないでしょうか。
記者
県議会が、がん対策推進条例の制定に向けて議会発議ということで今検討を進めているところですが、確か知事も今年の1月の知事選でマニュフェストの中でがん対策推進条例を制定するという公約がありましたが、県議会が検討を始めることについての知事のお考えと、県の知事部局として県議会の制定に向けた動きにどう協力して取り組んでいくのか、その2点についてお聞かせください。
知事
私もがん対策推進条例というものをつくりたいし、また必要であるという判断でいるわけでありますから、場合によっては執行部でつくろうと思っていたわけですけれども、県議会でがん対策については特に重要であると判断された。ご承知のように山梨県の場合には、特に肝臓がんの死亡率が高いということがあります。同時にあるが故にまたがん対策も非常に一生懸命進めているということもありまして、議会としてがん対策というものについて議会提案の条例として進めていきたいというご判断ですから、これは私どもとしては素晴らしいことだと思っておりまして、議会がそういう議論を進めることについて執行部としても最大限の協力をしていきたいと思っております。
記者
明野の処分場の件で、先日、遮水シートに損傷があったのではないかという結果が実験の報告で出ていたのですが、とりあえず原因究明が一歩前に進んだということなのですが、今後それを受けてどのように処分場の再開に結びつけていくお考えか、お聞かせください。
知事
ご指摘のように、原因究明の調査をしてきたわけでありますけれども、結局、遮水シートの漏水を検知するシステムが昨年の10月に作動したわけです。かなりの電流が流れたわけです。漏水が疑われるその場所のシートを切り取って、切り取る前に1回、負圧試験という調査をしており、その時には出てこなかったのですが、再度、切り取って、圧力を少し強くして負圧試験を行ったところ、小さいけれども穴が空いているということが分かったということです。もう一つは、流れた電流の大きさからして、遮水シートを挟んで銅線が交差しているわけですけれども、そこの上に強い圧力がかかったということによって、ほとんど電線と電線が接触するくらいの状態になったのではないかということが、遮水シートを現地と同じ状態にして、実際に圧力をかけた試験で、ある圧力を遮水シートにかけていくと確かに電流が流れるということが分かったということなのです。そういうことについては、もう少し施工業者とも議論・協議をして、整理して、7月中に安全管理委員会を開いて、そこで説明させていただくということにしております。これからは同時に再発防止策、こういうことがたびたび起こっては困るわけですから、どういう再発防止策があるのか、これは施工業者の方にも一定の考え方があるかもしれません。そういうところと協議しながら、再発防止策というものを検討していくということにしているということであります。
記者
その再発防止策というものを安全管理委員会にかけるということですか。
知事
再発防止策ができれば、それももちろん安全管理委員会にかけていくということになります。それはまだ7月の安全管理委員会では、そういう検討をするということを了解をもらうということであって、その時点で具体的な再発防止策までは出せないだろうと思います。(環境整備課長に向かって)それでいいですか。
環境整備課長
7月中の安全管理委員会はあくまで原因究明を安全管理委員会の皆さんにご了解をいただいたあと、その原因究明に基づいて再発防止策を講じていくということですから、先ほどの知事の話のとおり、再発防止策は今月末に開催予定ではなく、それ以降の安全管理委員会でお諮りするということを考えております。
記者
遮水シートが現状破損したということが実験で確認されたわけでありますけれども、破損してしまってもこれはしょうがないという部分があるものなのか、それともそれは基本的には破損してはまずいものだと私も承知しているので、今回の状況はどのように知事ご本人として捉えていらっしゃるのか。ある程度の原因として、重みとかいろいろな要因があるようですが、いずれにしても何らかの要因で破損してしまったと。そもそも破損しても仕方がないものなのか、それとも厳密に言えば、基本的には破損してはだめなものなのかというところを、改めてお伺いしたいのですが。
知事
それはやはり破損しては困るものです。よほど何か特別なことをやればともかくとして、通常の管理をしていれば破損しないというものでありますから、それが破損したということになると、それは非常に困るということです。
記者
社会保障と税の一体改革案がまとまったことについて伺いたいのですが、文言が「2015年度までに10パーセント」というのが、「2010年代半ばまでに10パーセント」と後退した、表現が曖昧化したことと、それから、「景気が好転すれば」というような文言が入ったと思うのですが、そうすると好転すれば増収になるということで、また尻込みするかもしれませんし、悪くなれば消費が冷え込むということで見送る可能性もあるのですが、全体的に後退したということについてと、知事は前々から、国と地方は一蓮托生だとおっしゃってはいるのですけれども、地方の財政は厳しい中で、ある程度地方が主導で消費税増税を唱えていく方法はないのか、2点について伺いたいと思います。
知事
確かに民主党からの要請で、一体改革本部の表現が多少後退したということがあるわけでありますけれども、しかし、2015年というのが2010年代半ばというのは、与謝野大臣も言っていましたけれども、半ばというのは2014年から2016年ということだと。場合によっては少し早くなる可能性もあるのだと。確かに半ばということはそんなことです。だから多少曖昧になったという点はうまくはないのですが、しかし、そんなに大きく後退したという感じは持ちません。それから、経済状況を判断しながらやるということも、これはある意味当然なことで、そのことはそれで良いのではないかと思っておりますから、全体としてそう大きく後退したという印象は持っていないわけであります。それから、これで2010年代半ばに消費税10パーセントにするということでありますけれども、かねてから言っておりますように、我が国の場合には、先進国の中では消費税5パーセントというような国はないのであって、OECD諸国では消費税は平均20パーセントになっているということです。そういう先進国の中では、格段に低い消費税であると。そして、財政はと言えば、先進国の中では格段に悪い国である。それから高齢化は先進国の中では格段に高い国であり、これからの財政需要というものは非常に大きくなるということでありますから、やはり消費税を上げていくという方向はやむを得ないことだと思っております。したがって、これで自民党と民主党の考え方が少なくとも10パーセントということについては一致したわけですから、是非、与野党でよく協議して、国民の理解を得ながら進めていってもらいたいと思っております。その際に、地方について配慮するということにはなっていますけれども、具体的にどうするかということはこれからの議論であります。国は毎年1兆円づつ社会保障費が増えていくわけでありますけれども、地方も7,000億円づつ増えていくわけでありまして、やはりこれは地方のそういった社会保障負担の増加ということは、当然配慮していただかなければならないと思っておりますから、そのことはやはり強く国に申し入れていかなければならないと思います。
記者
昨日、全国知事会議で原子力発電について、壮大な社会実験であるとか、卒原発というような議論が百出したようですが、知事ご自身、今後日本のエネルギー政策、そしてその中で原子力発電の位置づけについて、将来的にどのようにあるべきだとお考えでしょうか。
知事
原子力発電への過度の依存を低下させていかなければならないということ。そのために、再生可能エネルギーをはじめとする他のエネルギーを、特に再生可能エネルギーを拡大していかなければならないということ。これは誰しもが言うことでありますけれども、私もそのとおりだと思っております。ただ、原子力(発電)を将来的にゼロにしていくということにするのはどうかと思います。日本が、仮にゼロにしたと。それはドイツやイタリアはやっていますけれども、ご承知のようにフランスから電力を買っているわけでありまして、日本はそういう手だてがあるわけではない。それから日本がゼロにしたからといって、世界の原子力もそういう方向になっていくかといえば、そうではない。むしろ増えていくわけです。中国はこれから30基、造ると言っているし、韓国も原発を造ると言っている。そういう中で、日本が原子力をゼロにしていくと、やはり原子力安全技術というものは、日本は無くなっていくわけでありますけれども、日本は技術でもっている国でありますから、これからも技術で世界に貢献していく国でありますから、これから世界の原子力発電が増えていくということを考えると、原子力に関する技術、とりわけ安全に関する技術は、今回の事故を踏まえても、高い技術力を持ち続けることが世界の安全に貢献することだと思いますから、やはり原発は減らしていった方がいいし、そうすべきだと思うけれども、それをゼロにしてしまうということは、これは正しいことではないのではないかと思っております。
(以上)