トップ > 県政情報・統計 > 知事 > 開の国やまなし こんにちは。知事の長崎です。 > 知事記者会見 > 知事記者会見(令和2年11月19日木曜日)
ページID:97372更新日:2020年11月20日
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防災新館401,402会議室 15時00分から
発表事項 発表事項以外の質問事項 |
知事
11月定例県議会につきましては、11月30日に招集することと致しまして、本日招集告示を行ったところであります。提出案件は、条例案10件、予算案4件、その他の議決案件13件などを予定しております。
まず、条例案につきまして御説明申し上げます。
県民に交流及び連携を図るための機会と場を提供することにより、地域課題の解決や地域経済の活性化に向けた取り組みを促すことで、地域の活性化を図ることを目的としている「山梨県立やまなし地域づくり交流センター設置及び管理条例制定の件」、それから、人事委員会の勧告を踏まえまして、一般職職員の期末手当の引き下げを行う「山梨県職員給与条例及び山梨県一般職の任期付研究員及び任期付職員の採用等に関する条例中 改正の件」などを提出することと致しました。
次に、令和2年度11月補正予算につきまして御説明申し上げます。
一般会計補正予算の規模は60億6407万1000円です。これを既定予算と合わせますと、6413億7522万2000円となります。今回の補正予算ですが、新型コロナウイルス感染症対策に要するもの、それから新たな補正要因で緊急を要するもの、さらには人事委員会勧告に基づく職員給与費の減額補正などを計上することとしております。
主な内容につきまして御説明申し上げます。まず「新型コロナウイルス感染症対策」ですが、対策の一つ目の柱であります、感染拡大防止と医療提供体制の整備に関しましては、今月1日からかかりつけ医を中心とした新たな相談診療検査体制を整備したところであります。今後、検査件数が大幅に増加することを見据えまして所要の経費を増額いたします。
次に、二つ目の柱「県民生活に与える影響の最小化と新しい生活様式への対応」につきましては、感染防止対策のための機器購入、あるいは設備改修の支援事業につきまして申請の増加が見込まれますので、所要の経費を計上致します。今回新たにワイナリーあるいは酒蔵などを付け加えることとしております。
次に、生活福祉資金特例貸付に関しましては、貸付期間が12月末まで延長されましたので、追加の貸し付け原資を助成致します。引き続き、十分な貸し付けができるように、対応して参りたいと思います。
さらに、コロナウイルス感染症の直接または間接的な影響によりまして、自殺の増加が懸念される中、来年2月にホラー映画が青木ヶ原樹海をイメージして公開されます。この機会を適切にとらえまして、東映とタイアップすることにより、全国に向けて、青木ヶ原樹海のイメージアップを図って参りたいと考えています。
三つ目の柱、「県内経済の安定化、反転攻勢に向けた緊急対策」ですが、新たな観光あるいは健康づくりなどの需要に対応するために、富士北麓地域の森林空間を活用して、自転車パークを整備するモデル事業を支援することにより、地域の活性化を図って参りたいと思います。
次に、登記費用などの会社設立費用に対する助成制度を新たに創設致しまして、本県で起業する場合のコストをゼロにすることにより、他県に先んじて、ウィズ・コロナ時代の起業ニーズを引き寄せたいと考えます。
さらに、来年11月の信玄公生誕500年に向けた機運醸成を図るため、狼煙をイメージした花火リレー、あるいは特別番組の放映を行うプロジェクトに対して支援して参ります。
次に、その他の主要事業につきまして御説明申し上げます。
1点目は、医療的ケアを必要とする障害をお持ちの方々に、医療型短期入所サービスを提供できる事業所が中北圏域に偏在しておりますので、残る空白圏域において、短期入所事業の新規開設に取り組む医療機関等を支援し、地域偏在の解消を図って参ります。
2点目に、先般発表申し上げましたが、私ども総力を挙げて誘致致しました、燃料電池の評価解析機関である、技術研究組合FC-Cubicの受け入れ先として活用するとともに、P2Gシステムなどの次世代エネルギーシステムの研究開発、技術集積、人材育成などを行う拠点として、米倉山に「山梨県次世代エネルギーシステム研究開発ビレッジ(仮称)」を整備して参ります。
以上が主な提出案件です。
知事
県民共有の財産である県有財産から得られた収益や、企業局の電気事業会計からの繰入金などを基に、新たに「やまなし教育環境・介護基盤整備基金(仮称)」を設置し、小学校での25人少人数学級の実現と、介護待機者ゼロなどの実現に活用する構想につきまして御説明申し上げます。
まず、改めて県有財産の管理の適正化の必要性について申し上げます。今般、住民訴訟のプロセスにおきまして、県有財産の一つである県有地の貸付料の算定につきまして、重大な誤りがあり、地方自治法237条2項に定める適正な対価を大きく下回っていることが判明致しました。この誤りが判明した以上、速やかに訂正することは、行政としての当然の務めであると考えております。地方自治法におきましては、条例または議会の議決による場合でなければ、適正な対価なくして貸し付けてはならないと定められており、強行法規と解釈されています。この趣旨は、低廉な価格で貸し付けた場合は、当該団体が多額の損失を被るだけではなく、特定の者の利益のために運営が歪められることとなり、結果的に住民の負担を増加させ、地方自治を阻害することとなるからであります。
今回の住民訴訟への対応につきましては、貸付手続きの適正性、あるいは県に損害賠償を行うよう求められた対象者の責任の所在等を検証し、その結果、損害賠償や不当利得返還の請求を行うこととなる場合には、対象者に請求し、新たな賃料を現契約に反映させることとなります。また、この機会に、不動産だけではなく、知的財産や保有事業体など、すべての県有財産を最大限に生かして、その収益力を高められるよう見直すことと致します。これは先般発表申し上げたとおりです。
そして、この見直しによって得られた価値向上に伴う収益の全額を「やまなし教育環境・介護基盤整備基金(仮称)」に積み立て、25人少人数学級といった教育施策や、介護待機者ゼロといった施策の充実を図って参りたいと考えております。
まず、少人数教育の推進に関してですが、少人数教育の推進につきましては、私の最も重要な公約の一つでございます。未来の山梨を支える原動力である子供たちが、その可能性を最大限発揮できる教育環境の整備こそ、地方再生の原点であると考えているからであります。
教員が一人一人の子供たちにじっくりと向き合い、個々の児童生徒に応じたきめ細かな教育が行えるように、1クラス25人を基本とする少人数教育を計画的、段階的に導入するべく、現在その取り組みを鋭意進めているところであります。そのためには、教員のさらなる増員が不可欠となります。少子化の中での概算ではありますが、25人学級を導入すると、概ね1学年当たり教員約30人の人件費、最大約3億円が追加的に必要となります。
令和3年度から、全国初の25人学級を、小学校1年生に導入し、他県に例を見ない少人数教育を推進することが、いよいよ現実的な第一歩としてスタート致しますが、今後の拡大につきましては、教員の確保あるいは教育上の効果など、教育現場に与える影響や国の動向を勘案しつつ、この基金を活用して財政上の見通しを立てていきたいと考えております。
加えて、もう一つの目的となる介護待機者ゼロ社会の実現であります。本県の高齢化率は、全国水準よりも高く、今後もひとり暮らしの高齢者あるいは高齢者夫婦世帯の増加が見込まれる中で、在宅サービスの活用だけでは支えきれない世帯も増えてくると思います。また、御家族を介護するために、自らが離職せざるをえない事態、すなわち、介護離職という状況を生んではならないと私は考えております。特に兄弟が最近少なくなっており、あるいは御夫妻ともに働かれているという状況の中で、実際この場面に直面する場合はどちらかが仕事を離れなければならない、あるいは1人の場合であれば、それが貧困という問題に直面する事態は、この山梨県で生んではならないと私は考えております。
令和2年4月1日現在で、本県の特別養護老人ホームの入所申込者数は、4820人いますが、このうち約4割に当たる1800人の方が、入所の必要性が高く、この方々を受け入れるための施設を早急に確保する必要があると考えています。そこで、市町村の進める地域密着サービスの整備を基本としながらも、ショートステイの特別養護老人ホームへの転換を促すなど、施設整備を今以上に進め、介護待機者ゼロの社会を実現して参りたいと考えています。これらの整備に当たりましては、建設費に対する約13億円の補助金支出をはじめ、介護保険給付費など、将来にわたって年間約6億円の県費の負担が生じることとなるため、同様にこの基金を有効活用して、施設整備を促進し、必要な方が速やかに入所できるようにしていきたいと考えております。なお、当然のことですが、この構想を進めるに当たりましては、介護保険の事業主体である各市町村の御理解が必要であるため、今後、市町村に対しまして丁寧な説明を行い、その賛同、同意のもとに物事を進めて参りたいと考えています。
このような2つの目的の実行に当たりまして、新たな基金の設置についてですが、現下の地方財政の状況見ますと、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、来年度は本県を含め、かつて経験したことない地方財政の悪化が予想されるところであります。
一方、中長期的に見れば、本県の人口は過去20年間減少が続くとともに、出生数が戦後最小を記録するなど、人口減少あるいは少子高齢化が急速に進んでおり、行政サービスの財源を担う生産年齢人口の大幅な減少が進んでおります。また、進学あるいは就職を機に、大学・企業等が多く立地する東京などの大都市圏への転出超過が続いており、少子化をさらに加速させるという状況であります。
山梨県は、世界有数の経済都市である東京に隣接しながらも、首都圏内でも極めて自主財源に乏しい状況にありますが、自主財源の乏しさを理由に、現状に甘んじていることは決して許されることではありません。子供たちは、当然、未来の山梨県を支える人材であり、また、これまで山梨を支えてこられました高齢者の皆様、あるいはハンディキャップを有する皆様の生活を守ることは、県民生活の基礎条件であり、またこの基礎条件をしっかりとすることこそが、いわゆる働く世代の安心にも繋がります。お子さんあるいは御両親を、公によってしっかりとケアができる環境が整うことこそが、働く世代の皆さんにとって安心して働いていただく条件を提供することになると確信する次第であります。私どもと致しましては、その財源の確保に対しまして、全力を尽くしていきたいと考えております。
記者
県有財産の価値の見直しで新たに生まれた収益を基金にするとおっしゃっていましたが、県有財産を活用して得られたお金の全部ではなく、増えた分という解釈でよろしいでしょうか。
知事
増えた分です。
記者
少人数教育に年間3億円、介護待機者ゼロに年間6億円の負担が必要とありますが、基金にそのくらいのお金を積めるという想定なのでしょうか。
知事
それはこれから様々検証して考えていく話でありますけれども、少人数学級に関しましては、現在、企業局からの一般会計繰入金を活用致しまして、来年度1年生分は賄う予定になっております。その次の年の財源に関しましても、企業局からの繰入金を中心に議論をしてくことになろうかと思います。そこから先の学年をどうするかということに関しましては、県が有している財産の収益力を高めることによる増収によって確保していきたいと考えております。介護につきましても同様であります。
記者
企業局からの繰入金なども当てにしているということで、その基金で全部賄うというよりは、基金を費用の一部にするということでしょうか。
知事
どこまでやるかによりますけども、かかる費用は膨大でありますので、少しでもできる範囲を広げるために、この基金の財源となりうる県有資産の高度活用を高めていきたいと思います。
記者
基金設置には条例化が必要ですが、条例案はいつ頃を予定していますか。
知事
なるべく早く準備をして2月議会には提出できればと考えています。財源の見通しが立てば、例えば25人の少人数学級に関して、小学校1年生から6年生、あるいは中学校まで可能になると思います。計画的、段階的に導入するという趣旨は、先生の数をしっかりと確保しなければならないということが一つの大きな柱です。もう一つの柱はまさにこの財源になっています。この財源の確保は、現在国においても様々議論がされておりますが、この国の議論がいかなるものになろうと、最大限の努力をしていかなければなりません。これは未来を支える子供たちのためでもあり、イコール山梨の未来のためでもありますので、そこに向けて、県が持っている様々な資産、財産、これは不動産に限りませんけれども、それは最大限活用して収益をあげていきたいと考えています。
記者
少人数教育に関して、国の方でも議論しているというお話をされていましたが、来年度の政府の予算編成に関して、概算要求で文科省が少人数教育実現に必要な経費を要求しているかと思います。ただ一方で、財務省はなかなか難色を示している状況かと認識しています。25人学級を段階的に計画的に広げていきたいと知事はおっしゃっていますが、国の動きをどのようにご覧になっているか聞かせていただけますか。
知事
まず、萩生田文部科学大臣のリーダーシップの下に、少人数学級を打ち出されたことに対しまして、全面的に賛同致しますし、その動きを地方の立場からも応援していきたいと思います。
今、財務省との間で様々議論がなされています。財政当局のいつもの手だとは思いますが、少人数学級の効果はどうなんだろうかというようなことを言っているように側聞をしておりますが、効果があるのは当たり前であって、財務省の議論も、為にする議論ばかりしていると、財政当局の信頼は失われてしまうと思います。私は財政当局にいましたが、ここは日本の教育をどうするという文科省の議論に、やはり真正面から向き合う必要があるのではないかと思います。あまり詭弁を弄してこの問題に対して向き合うというのは、私は財政当局の本来あるべき姿からはいかがなものかと思います。やはり天下国家、日本の将来を考えて、しっかりとした議論をしていただきたいと思います。いずれしても、文科大臣はじめ、文科省の皆さんの努力を、最大限高く評価しますし、それに対する支援を惜しむとことはありません。
記者
基金設置に関してですが、基金という形で積み立てることの一番の狙いは、着実に事業を進めることにあるのでしょうか。
知事
はい。おっしゃるとおりです。財政需要は様々ありますが、この二つはある意味中長期的な投資になるわけでありまして、その投資の財源をしっかりと確保する、目に見える形でしっかりと確保していくことが最大の目的の一つであります。
記者
「収益」という言葉について、会計用語として厳密に言うと、「収入」ということになると思いますが、「収益」という言葉を使うのは、やはりお金を生み出すという思いがあるのでしょうか。
知事
言葉の選択として決して正確ではなかったのかもしれませんが、おっしゃるとおり、新たなお金を生み出していく、新たな価値を生み出していくことを念頭に置いております。
例えば、先般発表しました委員会の下でいろいろ議論をしますが、議論の結果、必要であれば県もさらなる投資をすることで、より多くの収益を上げていくことも当然視野に入っています。単に値段を上げるという安易なやり方だけではなく、多くの皆さんと真摯に議論をして、資産自体の収益力を高め、その結果、適正とされる部分を県民の皆さんのために還元していただいて、この基金の中に積み上げていきたいと考えています。
記者
今回も、60億円の補正予算のうちの大半はコロナ対応に当てられていますが、どのような点に意を配して編成されたのか、そのねらいをお伺いできますか。
知事
第三波という状況がやってくる中で、まずは人の命を守るということが大変重要なことであります。今回、まずはかかりつけ医に相談、診療、検査をしてもらうシステムに移行致しましたが、インフルエンザも合わせて類似の症例の相談が増加するであろうという中で、体制を整備したわけであります。
まずは、命を守るために必要な予算が最優先で、他の何をおいてもまずこれをしっかりやるということが重要だと思います。合わせまして、かからないことが一番いいわけでありますので、感染予防、あるいは感染拡大防止に向けたグリーン・ゾーンに関する費用については、従来どおり必要な資金を用意致しまして、とにかく山梨県から不安を少しでも少なくするようにという点に意を用いまして今回の補正予算を編成した次第です。
記者
今日、菅首相がGoToイートに関して、できる限り4人以下での利用を対象にして欲しいと各県の知事に要請したという話があったと思うのですが、山梨県では、どのように対応されるお考えでしょうか。
知事
現時点では、総理から直接の御指示はいただいておりませんが、農水省の担当から4人以下にするつもりはあるかという照会のメールはいただいたようであります。
まず結論から申し上げますと、山梨県ではこの4人以下という数値基準を採用致しません。採用する必要がないと考えております。
GoToイートはそもそもグリーン・ゾーン認証施設でしか使えません。このグリーン・ゾーン認証施設におきましては、真正面には向き合わない形で座っていただいて、なおかつ人と人の間は1メートル離してください、もしくはアクリル板のパーテーションできちんと仕切ってくださいとしています。こうすることで感染防止対策ができるという、専門家のご意見を踏まえた上で決めているわけであります。これをしっかり守っていれば、感染拡大防止については十分だろうと思います。他の都道府県の状況は分かりませんが、山梨県ぐらいしっかりやっているところであれば、皆さん同じ考えになるだろうと思います。
そもそも4人以下という数値基準に意味があるのでしょうか。大きな部屋もあれば小さな部屋でやる場合もありますし、そこを区別しないまま単純に何人以下というのはどうだろうかと、少し中央も混乱しているのではないかと思います。中央が混乱すると我々現場も混乱致しますので、もう少し頭を整理した上で、我々に対してリクエストしていただきたいと思います。
記者
知事はこれまでの会見で、東京などへの往来の自粛は呼びかけないと話されていますが、今全国で2000人という感染者の数字を受けて、対応は変わるのでしょうか。また、GoToイートに関して、人数の制限はしないということですが、飲食店に対する営業時間の短縮ですとか、マスクをつけての会食の呼びかけといった、全国的に言われている取り組みに対してどのようにお考えでしょうか。
知事
まず移動に関しましては、移動の自由は憲法に保障された国民の権利でありますので、制約に近いことをお願いすることは、必要最小限であるべきだろうと思っております。
東京に限らず首都圏から、あるいは他の都道府県から山梨県に来られる方が、立ち寄られるであろう宿泊施設、もしくは飲食店に関しまして、グリーン・ゾーン認証を精力的に、県民、事業者の皆様と一致団結して取り組んでいるわけですが、この取り組みをもってすれば、今山梨県に来ないでくださいということは全く必要がなかろうと思っております。ここから広く感染が拡大することは、現状もないですし、これからもないだろうと思います。
全国で2000人の感染者が発生する状況の中で、各都道府県が営業時間の短縮などを呼びかけている点に関しましては、山梨県は、しっかり感染防止対策を、事業者と公が一致団結する中で取り組みを進めておりますので、山梨県におきましては、営業時間の短縮のような施策は全く不要だと思っています。
ただし、施設を利用されるお客様、そして施設を運営される事業者もそうですが、感染防止のためのルールの遵守、これはやっていただかないと大前提が崩れてしまいます。ですので、県民の皆様に対しまして、基本的な感染防止対策に加え、お店が定める感染防止ルールを、今一度、この局面におきましては、しっかり厳守していただきたいと思います。また、お店におかれましても、お客様を守るため、お店自身を守るためにも、勇気を持ってお客様に対して、感染防止ルールの遵守をしっかりとお願いしていただきたいと思います。
記者
補正予算に富士山救護所の感染症対策事業費が含まれていますが、静岡県では、五合目の検温などを協議会を設けて今検討しているところだそうですが、山梨県において、開山に向けて取り組まれていることはありますか。
次長
今回の予算につきましては、換気の設備や防護服といった資機材について計上しておりまして、具体的な取り組みにつきましては、また来夏の再開に向けて関係部局で対応していくと承知しております。
知事
来年の開山に向けて、何をどうすればいいのか、どうするべきか、五合目までをどうするか、あるいは五合目から上をどうするかということについて、関係者が議論を交わしているところであります。これは県が決めてやってくださいというよりも、地元の皆様の取り組みこそが重要になって参りますので、地元の皆さんにも考えていただいて、当然我々もそれに対して真剣に、強い当事者意識を持って向き合って参りますので、これからしっかりと議論をして、来年の開山シーズンを迎えるようにしていきたいと思います。
記者
コロナの感染拡大に関して、先週今週と知事が臨時会見を開いて注意を呼びかけている中、昨日時点で今月の感染者が76人となりました。10日以上残して、これまで最多だった76人に並んだのですが、改めて現在の県内の感染状況をどのようにとらえられていますか。
知事
最大級の警戒をすべき状況であろうと思っております。この局面において、全ての県民の皆様にお願いしたいのは、できる限りのリスクを回避していただきたいということです。
その回避策の1丁目1番地は、基本的な感染防止対策です。手洗い、マスク、それから3密を避けること、これをぜひ行っていただきたいと思います。
また、日常生活の中で、人と集う機会もあろうかと思いますが、その際は、ぜひ感染防止対策がしっかりできている施設を御利用いただくとともに、その施設が求める感染防止ルールをしっかりと守っていただきたいと思います。
不便な状況が続くわけですが、今は最大級の警戒をしなければならない場面ですので、ぜひこの不便さは辛抱していただいて、県全体で力を合わせて抑え込んでいければと考えております。
記者
先週、病床計画について、フェーズ2を発動し、1、2週間を目途に130床にまで引き上げるということでしたが、現状どのような状況か教えていただきたいです。
課長
現在の病床の確保状況についてでございますが、本日時点で90床まで確保してございまして、明日には110床まで確保する見込みでございます。12日に各病院に協力要請をかけておりますので、2週間経過をしました来週の26日までに、130床が確保できる見込みとなっております。
記者
基金の関連で伺います。県有資産の見直しということで、誤評価の賃料を含め、民間企業には、負担が増えるのではないかという懸念を示す声があるかと思いますが、そういう不安について、どのような対応を考えていますか。
知事
今おっしゃったのは不動産の件だと思いますが、不動産に関しまして、借り手もかなりバラエティーに富んでおります。営業資産として賃借されている方もいれば、生活資産として借りているような場合もあります。
今後、しっかり議論していきたいと思っておりますが、誰が賃借人だろうと、適正な価格でやらなければ法律違反になってしまうものですから、ここはしっかりと、適正な価格での賃借にしていきたいと思います。
その上で、例えば、昔あった大災害で住む場所がなくなってしまって、県有地に移住していただいているような方々もいらっしゃいまして、これは正に生活をするためのもので、こういうケースに関しましては、社会政策上の意義から、相当程度しっかりした減額が必要だと思います。
減額するような場合には、議会にしっかりお諮りし、同意をいただいて減額をするというやり方をとるべきだろうと思っています。
記者
補正予算案について、自殺の関連で青木ヶ原樹海のイメージアップがあると思います。斬新な切り口だと思うのですが、もう少し具体的に、ホラー映画とどのようにタイアップしてイメージアップに繋げるのかお聞きします。
また、自殺の関連では、発見地ベースでの増加が山梨県は多いということがあると思います。そのことについて、知事の危機意識、認識を伺いたいです。
知事
青木ヶ原が、昔から名所と言われてしまっているのは残念極まりない事態です。この事態をある程度根本から変えていかなければ、いつまでたっても変わらない、対症療法だと限界があるという感じを持っております。そういうイメージを持っている中で、今般、何らかの映画が、青木ヶ原樹海のイメージを、更に我々が困ったと思っている方向に引っ張っていくようなことがあれば、そういう事態に対し、なにがしか対応を考えないといけないと思います。
ただ他方で、表現の自由もありますし、また、駄目だ駄目だと言ったら逆に炎上して、関心を集めてしまうというようなこともあるわけです。そういった中で知恵を絞ったところ、青木ヶ原は、よく考えてみれば素晴らしい生命の源じゃないかと。例えば、ホラー映画は人間の恐怖心を惹起する映画だと思いますが、人間が恐怖を感じるのは、やはり自分の生命が脅かされた時であって、その命に対する強い思いというものがあるからだと私は理解します。だとすれば、命に対するその強い思いをもっとストレートに表現するような形で、例えば映画を流す前の広告で、青木ヶ原がまさに生命の源だというようなイメージを出させていただいたり、あるいはポスターでも、映画とは別にパラレルの世界でそういうものを作る工夫をしてみたり、あるいはその映画の完成お披露目会や試写会のようなところで、シンポジウムやトークセッションをさせていただくような形で、共に命に対する強い思いを確認することが、より効果的なのではないかなと考えています。
東映さんとのタイアップのほかに、例えばフォトコンテストなどをやりながら、青木ヶ原が生きる命の源泉だというイメージづくりを、別途進めていきたいと思っています。
記者
コロナの関連で、県外から山梨県に来る方は、グリーン・ゾーン認証を取っているところを利用すれば感染拡大の恐れはないので、来ていただいても大丈夫だということだと思います。逆に、現在東京で500人以上の感染者が確認されたということもあり、群馬県知事や長野県知事は、県民に対して感染拡大している地域には行かないよう呼びかけていたりしますが、知事として、感染拡大している地域への移動について県民に呼びかけることがあれば教えてください。
知事
山梨県は、感染拡大している地域に囲まれていますので、行かないでくださいという話を、本当に状況が厳しくなったらまた考えますが、今の時点で考えた場合に、実際、外に働きに行かれている方も多くいらっしゃるわけですし、様々生計に関わっており、もう一方では、その生計が危機に脅かされているという状況だろうと私は思っています。
従って、これまで1年近い知見の蓄積の中で、仮に東京に行ったとしても、しっかりと手を洗うなどの、いわゆる基本的な感染防止対策を行うとともに、リスクのあるような場所を避けていただければ回避することができます。ぜひ県外に出られる方には、今の状況を維持するためにも、感染防止対策に気をつけていただければと思います。現時点では、それで防げるはずだと私は思っています。
記者
県有資産の価値の見直しについてお伺いします。本日、県議会で会派代表者会議が開かれて、次の議会で特別委員会を設置することを、正式に決めました。
議会では、今回の知事の方針転換を、訴訟を通じて表明されたということに対して、問題を感じている議員さんが少なくないと取材を通して感じています。今後、議会に対して知事はどのように対応していくのか、議会に対する説明責任をどのように考えているのかお聞かせください。
知事
議会が委員会を設置される場合には、しっかりと説明をさせていただく機会でありますので、しっかりかつ丁寧な説明を心がけて、御理解をいただきたいと思います。
それから、訴訟方針の変更については、私自身にとっては全然変更ではなく、住民訴訟というものは、そもそも住民の皆さんが、県の行財政運営に関して、その適正を期すために、住民の代表として、いわゆる公益を代表するものとして提起されるというのが最高裁判例でも示された住民訴訟の意義ですので、私はその意義をしっかりと真正面から向き合って尊重すべきだろうと最初から考えております。
しかしながら、私はもともとそういう思想、発想でありますが、それ以前のこの住民訴訟に対する向き合い方はちょっと違ったかもしれません。これは多少批判になってしまうかもしれませんが、訴訟への勝ち負けを優先されて、そこから先の本質論について、何ら思いを致していなかったと私は感じております。
そうではなくて、訴訟において勝ち負けは表面的な問題であって、問題意識というものに対して、真正面から向き合って応えることこそが、私は県民の皆様に対する県知事としての誠意であると信じるわけであります。
そういう思いを持っておりましたが、この新型コロナウイルスの騒動が、これは現在進行形ですが、やってきて、なおさらこの問題が端に寄せられたというのは失礼ですけど、やはり私にとりましてはこのコロナウイルス対策が命に関わる話ですので、何より最優先ということでそこにエネルギーを注いでいました。能力不足だと言われれば、その御批判は慎んで受けますが、そういう中で裁判に向き合う余裕がどうしてもなかったので、このタイミングになってしまいました。結果として、こういうタイミングになったということで、私自身は就任当初からそういう考えで、あえていつ変わったのかと言えば知事が交代したときだと言えるのではないかと思います。
記者
日本医師会の会長が、GoToトラベルが感染拡大のきっかけになったと指摘していますが、その点に関する受け止めは。
知事
他の地域はいざ知らず、山梨県では、宿泊施設、飲食店に関して、グリーン・ゾーン認証でしっかりと感染防止対策を講じてお迎えする用意が出来ておりますので、山梨県にとりましては、日本医師会の会長がおっしゃっていることは当てはまらないと思います。地域によってそれぞれ違いますので、十把一絡げで語られるのは、山梨県にとりましてはちょっと困ります。
記者
富士山の入山料について伺います。先日の記者会見では、法定外目的税として徴収することは選択肢の一つだとおっしゃっていましたが、世界遺産協議会に県が参加している以上、知事としてゴーサインを出されていると思います。昨日、静岡県の川勝知事が、不公平感をなくすには法定外目的税が唯一の方法だと発言されています。今一度、知事の御見解をお聞かせください。
知事
協議会は合議体ですので、場外で色々言うのは差し控えたいと思いますが、私の意見は川勝知事と一緒です。
入山料はいただく必要があると思っています。環境保護あるいは登山者の安全確保に経費がかかっています。現状は、協力金で足りない部分は県民の皆様の税金を投入してやっておりますが、やはり、受益者負担という考え方は大変重要であろうと思います。
そうした中で、現在の協力金は、出す方と出さない方がいます。不公平ではないかという議論は、至極ごもっともだろうと思います。ですので、全ての受益者の皆様にしっかりと負担していただくことが大切です。ただし、それには法的な根拠をしっかり持たせる必要がありますので、法的な根拠のあり方として、税は有力な考え方になるのではないかと思います。
いずれにせよ、協議会の中でしっかりと議論して、会としての結論を出していくことを見守っていきたいと思います。
以上