ページID:97325更新日:2020年11月16日

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知事記者会見(令和2年11月13日金曜日)

防災新館401,402会議室

15時00分から

 

発表事項

発表事項以外の質問事項

  • なし
臨時会見1113

 新型コロナウイルス感染症軽症者等に係る新たな宿泊療養施設の稼働について

知事

現在の新型コロナウイルス感染症の新規感染者が連続して発生している状況と、インフルエンザが流行する冬季を迎えることを踏まえまして、十分な部屋数の確保が可能となる新たな宿泊療養施設を、早期に稼動させる必要があります。

こうした中、甲府市の東横イン甲府駅南口Ⅰに、県内2番目となる宿泊療養施設を稼働し、今月18日から受け入れを開始することと致しました。本施設におきましては、当面、111室で運用を行いますが、療養される方のQOL、即ち生活の質の向上を図り、施設内で安心して快適に過ごしていただけるよう、全国初の取り組みを実施して参ります。

具体的には、まず、療養される方には、1名当たり2つの部屋を御利用いただくこととし、このうち1部屋はベッドを撤去し、テレワークや映画鑑賞、軽運動などができる環境を提供致します。また、食事につきましても、多様なメニューから好きなものを選んでいただくとともに、飲料、新聞雑誌、軽食などの御要望にもスタッフが対応するなど、施設内で療養される方が、御自宅同様、あるいはそれ以上の居心地を目指し、ストレスなくゆったりと療養できるよう、きめ細かな支援を行って参ります。

県ではこうした取り組みによりまして、施設の運用管理に万全を期すとともに、県民の皆様の御協力をいただきながら、新型コロナウイルスに感染された皆様への適切な医療体制の確保や、県内の感染拡大防止に全力を尽くして参りますので、改めて御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

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 やまなし官民協働プラットフォーム制度の創設について

知事

民間の技術やアイデアを、様々な課題への取り組みに積極的に取り入れることを目的に、やまなし官民協働プラットフォームを創設することと致しました。

コロナ禍におきますニューノーマル社会への転換や、Society5.0が目指す社会の実現に向けまして、民間におきましては様々な技術、アイデアが次々と生まれており、そうした新たな発想をぜひ活用させていただこうというものであります。

仕組みの説明でありますが、このプラットフォームでは、まず、民間からの御提案を真正面から受けとめるために、ワンストップ提案窓口を知事政策局内に設けており、こちらの窓口に県と協働で実施する事業を御提案いただきたいと思います。合わせて、各部局の次長級以上の職員と、学識経験者を構成員とした審査会を設置致しまして、いただいた御提案の有効性などを、部局横断的に審査致します。審査検討ののち、連携協定の締結、あるいは事業への補助、出資など、様々な県との協働の取り組みにつなげていくものであります。

民間企業の皆様とパートナーシップを組みながら、先進的なアイデアを生かした提案の事業化により、山梨の将来の発展に寄与することになると期待をしております。

さらに今回、事業化までを見据えて積極的に検討していく制度を整備したことにより、新たなアイデア、技術、知見を持った企業が本県に集まり、事業を立ち上げていただくことを期待している次第です。

 

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 やまなし創業チャレンジ応援補助金の創設について

知事

これはやまなし自然首都圏構想が目指す二拠点居住を促進するために、全国的に例のない助成制度を新設し、本県で新たに挑戦する創業者を強力に支援致します。

具体的な内容と致しましては、市町村実施の創業希望者向けセミナー等の受講者を対象と致しまして、会社設立に係る手続き面での経費を助成し、実質無償化致します。これは、御負担なしに会社の設立ができるようにすることであります。

昨年度から実施の起業支援事業におきましては、助成決定22件中、東京圏などからの移住起業が9件もあり、創業支援に地方移住効果があるのは明らかであります。東京圏に近接する地理的条件の良さに加え、創業支援の充実を図ることで、二拠点居住が加速されると期待しております。

機を逃さず速やかに対応するため、助成制度新設に係る所要の経費を11月補正予算に計上致します。

同趣旨の制度が先進地である福岡市にございますが、福岡市以上の手厚い助成となっており、実質山梨県であればゼロコストで会社を設立することができます。これにより、スタートアップ企業の皆さんのお越しを誘導したいと思います。

 

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 令和2年度県政功績者表彰について

知事

県政の各分野における功績が顕著である個人及び団体を、毎年県政功績者として表彰しておりますが、この度、令和2年度の受賞者を決定したところでございます。

受賞者は47の個人及び団体で、内訳につきましては、特別功績者1名。特別感謝状1団体、個人の県政功績者45名、うち7名は女性の方となっております。受賞者のお名前、主要経歴等につきましては、既にお配りしております県政功績者一覧表のとおりでございます。表彰式は11月20日の金曜日に実施することと致します。

 

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 「県有資産の高度運用と価値向上および収益強化に関する検討会」(リソース・リビジョン会議)設置について

知事

山梨県が所有致します県有地、県有施設、さらには、長年にわたる行政運営により蓄積されてきた知識、あるいは技術というものは、すべて県民の皆様の血税により取得、維持、そして管理されてきたものであります。いわば、81万県民全体の共有財産とも言えるものであります。

この県民共有の財産から生み出される利益は、他でもない県民自身に還元されなければならず、県は、県民の皆様からお預かりした県有財産を、県民生活の向上のために、最大限に活用する責務がございます。

本県におきましては、先に発表致しましたとおり、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞によりまして、今年度は大幅な県税税収の減少により、近年発行を抑制して参りました、減収補填債の発行が不可避の状態にまで追い込められております。また、来年度はさらに税収の落ち込みが見込まれるなど、大変危機的とも言える財政状況が想定されるところであります。

このような状況下にありまして、あらゆる県有資産のさらなる価値向上を図り、収益力を強化することは、当面の減収分を補うにとどまらず、将来の財政基盤の確保を図ることとなり、県民生活の安定という、県民の皆様に対する本県の責務であると考えております。特に子供たちの教育と、お年寄りや障害者の介護は、いずれもが、山梨の未来を支える若者を育て、応援し、そしてこれまでの山梨を支えてこられた高齢者や、ハンディキャップを有する皆様の日々の生活を守る、山梨県における県民生活の最も根本の基礎を担う、いわば山梨の「基礎条件」であると考えております。そしてこれはいかなる状況にあっても、その財源の確保には、全力を尽くしていかなければなりません。

このため、ポストコロナやリニア開業による好機到来のタイミングを見据えまして、県有資産の評価を見直し、価値向上のための具体案を検討するための、県有資産の高度運用と資産価値の向上及び収益強化に関する検討会を設置することと致します。

この検討を通じまして、県有資産の価値向上に伴う収益増加が確保された場合には、その全額を25人少人数学級や、介護待機者ゼロなどを目的とする新たな基金に積み立て、これら施策に対しまして、優先的に充当して参ります。

検討会は、県内外の有識者で構成し、年明けの令和3年1月に発足させたいと考えております。リモート会議などを積極的に活用致しまして、スピード感を持って、短期間に密度の濃い検討を行っていただき、来年度の早い時期に具体案を取りまとめていただきたく存じます。

次に、新たな検討会を設置し、県有資産の価値向上に着手致します背景につきまして御説明申し上げます。

私が県知事に就任致しましたのは、2019年の2月でございました。就任から1年を迎えました今年の2月は、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るい、就任2年目の本年は、全ての県庁職員とともに、医療体制を根本から再構築するために、全力で走り続けてきたところであります。命と経済の両立のために、決して潤沢とは言いがたい本県の財政力のもと、現在、そして将来において、県民の皆様に追加的な税負担を求めることなく、妥協することのない事業展開に腐心する毎日でもありました。山梨に関わるすべての命と経済を救い、さらに、その先の成長と跳躍を図ること、この1点に心を砕きながらも、しかし同時に、新型コロナウイルス感染症を理由として、決して後退することなく、いかなる状況にあっても、山梨県を半歩でも一歩でも、先へと前進させるあらゆる方法と手段を、知恵を尽くして考え抜かなければなりません。

来年以降の地方財政というものはかつて経験したことないほどに悪化することが予想されます。これは決して山梨県だけの状況ではなく、日本全国の自治体が直面しうる危機的状況の中での先手対応とは一体何か、新型コロナウイルス感染症の長期化が必至となりつつある中で考え続けてきたわけでございます。

世界有数の経済都市である東京に隣接しながらも、首都圏内でも極めて自主財源に乏しい本県にありましては、県が持つあらゆる資産・資源を聖域やタブーを設けることなく最大限に活かして、県民の皆様の生活向上に役立てていかなければなりません。これから新たに投資が必要となるものばかりではなく、県内におきまして、日本や世界に誇り得るもの、すでにあるものをしっかりと磨き上げる、付加価値をつけていくという視点が何よりも大切になるのではないでしょうか。まさしくそれこそが、私が知事に就任する前の選挙公約の段階から、繰り返し申し上げてきたことであります。そうした私の公約と山梨前進の基本的な考え方を訴えた上で、私は、知事に就任させていただいたものと承知をしております。

この度設置致します、県有資産の高度運用と価値向上及び収益強化に関する検討会、リソース・リビジョン会議におきましては、以上申し上げたような観点から、県民の共有財産から、いかにして県民全体の利益をさらに生み出すかに向けまして、県内外の有識者らの最新の知見と、豊富な経験から御議論をいただくものであります。同時に、山梨県のこうした取り組みが、未曾有の財政の危機的状況に見舞われる全国の自治体にも広がり、財政基盤の改善や強化に繋がっていくことがあれば望ましくも思います。

なお、県有資産の高度運用等との関連で、平成29年10月に提訴されました住民訴訟につきまして申し上げます。

本県と致しましては、住民訴訟の対象となっている富士急行との契約だけではなくて、県有地の貸し付けにつきまして、その契約金額と賃料の適正性について見直しを行い、今後、適切な評価による賃料収入を確保したいと考えております。

行政と企業との当初目的が一致した場合であっても、開発着手からおよそ1世紀に渡る中での時代状況や周辺環境の変化を踏まえまして、際限なく見直しの効かない契約内容や契約趣旨が、存続し続けることが適切かどうかは考える必要があると考えています。

県が、県有資産を活用するに当たりまして、時代に適った都度都度の見直しや、契約が可能となるあり方を含めまして、過去は過去として評価すると同時に、将来に向かっての行政判断において、手かせ足かせとなることない、県民経済の跳躍局面で阻害要因が発生することのないあり方を模索することが、県民共有の資産に対する行政の責務であると私は考えております。

なお、以上が、本件訴訟に対しましての向き合い方、基本的なスタンスでありますが、本件訴訟に係る県の方針につきましては、先ほど議会に対しまして、次のとおり御説明を申し上げた次第であります。

平成29年10月に提起された住民訴訟に関し、裁判の過程で、これまで県有林の貸付料算定において、現況地目の宅地で評価すべきところを、開発前の山林で評価するという重大な誤りがあり、地方自治法に定める適正な対価を大きく下回っていることが明らかになりました。

適正な対価であること、すなわち、違法でないことの正当性を主張し続けることができず、選択肢とすれば、このまま訴訟を進行させて敗訴を甘受するか、原告との和解を求めるかのいずれかであります。訴訟代理人の弁護士からは、現行賃料が適正な対価と考えられない以上は、訴訟を継続した場合、敗訴し、判決に基づき歴代知事や貸借人への損害賠償等を求められる恐れがあるとのことであり、県として受け入れられる妥当な結論に着地できるよう、速やかに当該住民訴訟の原告と和解する方向で今後交渉することと致します。原告が和解を受諾するかは不明でありますが、県としてはできるだけ早期に和解条件を提示し、速やかな解決を図ることと致します。原告と概ねの合意が得られたところで、速やかに和解の議案を提出する予定でありますので、あらかじめ御承知おきいただくとともに、その際にはご審議をお願い致します。

また、今回の訴訟を踏まえ、弁護士等を構成員とする「住民訴訟対象県有地貸付業務検証委員会」(仮称)を立ち上げ、今回の県有林貸付手続の適正性や、県に損害賠償請求を行うよう求められた対象者の責任の有無や請求額、さらには、県有資産所在市町村交付金の適正な額について、詳細に検討していただくことが必要と考えております。さらに検証の結果、損害賠償や不当利得返還の請求を行うこととなった場合には、速やかに対象者に請求するとともに、適正な対価となる新たな賃料を現契約に反映させ、それらにより得られた財源は、少人数教育や介護待機者ゼロなどを目的とする新たな基金に積み立て、県民の皆様に還元して参りたいと考えております。今回の住民訴訟を契機として、県民共通の財産である県有地のさらなる適正化を図って参りますので、御理解と御協力をお願いいたします。

以上の旨を、先ほどの県議会での説明会で申し上げた次第であります。

 

 質疑応答

記者

富士急行の土地をめぐる裁判において、県が主張を転換した理由について、改めてお伺いします。

知事

今回の訴訟は、平成29年、私の知事就任前に提起されたものでありますが、私と致しましては、住民訴訟の本来の意義に真摯に向き合っていくべきだと考えております。住民訴訟は地方自治の本旨に基づく住民参政の一環として、地方財務行政の適正な運営を確保することを目的としたものであり、訴訟の原告は住民全体の利益のために、いわば公益の代表者として、地方財務行政の適正化を主張するもの、これが最高裁判例が示す住民訴訟の意義であります。私と致しましても、公益の代表者として住民の方が問題を提起されたことに対して、公正中立である裁判官の前で、それぞれの主張を真摯に向き合わせることこそが、県は県民の皆様、県全体の利益を図ることが使命でありますので、あり得るべき立場であろうと信ずる次第であります。

その中で、私どもの当初の立場と原告側の立場に基づく法律の議論を、裁判の場で戦わせてきたところであります。その結果、私どもの主張は法律上成り立たないということが、裁判における議論のプロセスで判明したということでありまして、それに伴い、私どもの従来の主張を撤回し、適切な方法で県有地の価格を算定する必要があるという結論に達した次第であります。

議論の焦点は、適正な価格を算出するに当たりまして、当該土地の開発前の状態である原野として評価し、そのもとで地価をシミュレーションするのか、あるいは現在の状態をもとに評価しなければならないのか、ここがポイントであったわけですが、法律上の議論の結果、現在の土地で評価をしなければならないという結論に達したわけであります。

現況をもとに、不動産鑑定評価という客観的な評価を不動産鑑定士に依頼して、適切な価格を算出しました。その価格が現在の額と相当かい離しており、すなわち適正な価格ではないという結論になります。適正な価格で貸さなければならないというのは、地方自治法237条2項に基づき、自治体に義務づけられていることであります。これに違反するということは、広く確立された解釈によれば、無効ということになりますので、それに対してどう考えていくのかということを議論しているのが現状であります。

これは、私どもが主張を転換したということではなく、議論の末、発見された正しい法律的な考え方ですので、これに基づき行動をとるということに他なりません。

記者

裁判の後の取材で、県が提出した不動産鑑定書を作成した方が、原告が裁判を提起する際に助言をいただいた方であると認めています。原告と関わりのある方が鑑定書を作ったという指摘に対して、県としてどう捉えているのかということと、関わりがあるということをどの段階で把握されたのかお伺いします。

知事

この鑑定士は、原告の訴訟提起の際に立ち会いをされていたというのは確かです。ただ、原告との関係では不動産鑑定は行っておらず、一般的なアドバイスをされたと承知しております。不動産鑑定士としてしっかりとした業務を行うのは、我々が鑑定を発注して、それに伴って職業的良心に基づいて行動しているということで、私は何ら問題はないと思っています。いつその事実が分かったかということは、今定かに思い出すことはできません。

記者

土地の評価に関して、開発する前のものから開発した後のものに評価の方法を変えたわけですが、県のホームページにガイドラインが載っているのですが、ガイドラインの改定をせずに考えを変えたことについて、どうお考えですか。

知事

ガイドラインの存在は承知しておりませんが、そのガイドラインは至急修正されるべきものであろうと思います。今回の議論は、私どもの政策判断で行ったものではなく、公正公平な裁判を通じた議論の中で、論理必然的に導き出されたものであり、こちらが正しい結論になろうかと思います。

記者

県の従来の価格算定の方法は誤りであるという判断をする際に、庁内では、どのような議論を、いつしたのでしょうか。

県有地の価格算定は、県庁内の担当部署がやってきていることです。裁判があろうとなかろうと、県庁の仕事としてやってきています。

ですから、県庁としてはこれまではそのやり方が正しいと考えていたわけですし、裁判を提起される前の住民監査請求では、監査委員は、現在の県のやり方には問題がないという棄却の判断をされていました。

つまり、判断を180度転換するに当たり、庁内では、これまでの経緯について当然検証が必要だと思いますが、そのような検証や様々な判断を、庁内ではどのようなタイミングで、どのようにされたのでしょうか。

知事

裁判における議論の結果として、私どもの考えが間違っていた、法律上成り立たないということが判明致しました。

県庁内におきましては、これまで開発前の素地価格を前提に、そこからシミュレーションするのが正しい価格だという議論を展開していたわけですが、それが誤りであったということがその時点で判明致しました。

なぜこの誤った考え方のもとに、長い期間継続してこの県有地の貸し出しが行われていたのか、今後の検証委員会において、しっかりと解明をしていただきたいと考えております。

記者

その時点とは、いつの時点でしょうか。

知事

この夏の口頭弁論の時には、そういう結果は見えていました。

記者

7月31日付けで、県の代理人弁護士が交代されました。県の代理人弁護士が交代したタイミングで、県は主張を転換されていると承知しております。

代理人弁護士が交代した理由や、後任の弁護士をどのように選んだのかについてご説明いただきたいです。

知事

代理人弁護士は最も適切な方になっていただいていると思います。適切な方に、代理人をやっていただいたというのが理由であります。

記者

他にも県庁が関わる法律のアドバイスや、訴訟が提起された時の対応などで、県には顧問弁護士がいると思いますが、選任の規定のようなものはあるのでしょうか。

課長

通常の弁護士につきましては、顧問弁護士をお二人お願いしておりまして、通常の裁判上の相談や法律解釈、そのようなことをしていただいていますが、この件に関しては、専任の弁護士さんをお願いしているということになります。

記者

それはどのような規定に基づいて選任されましたか。

知事

事の次第によるものであって、極めて重要な影響を及ぼす訴訟ですので、これは従来とは異なり、専任の弁護士の先生にお願いすることが適切だろうという判断に基づくものであります。

記者

不動産鑑定を新たに行うに当たり、その鑑定士も県が選んで依頼されているということですが、鑑定士を選ぶにあたり、どのような手続き、あるいは何か規定に基づいて選んでいるのでしょうか。鑑定士を選任するに当たり、県庁内には、根拠とする規定や手続きを進めるにあたり守るべきガイドラインないし規則はあるのでしょうか。

知事

それも、最も適切な鑑定士を選ぶということで選任をさせていただいております。

記者

知事は、衆議院議員時代から、富士急行の県有地に対しては賃料が安すぎるという主張をしてきたと思います。今回、訴訟をする中で、新たな価格、適正な価格に行き着いたということですが、県議等の取材では政治的な対立があるのではないかと憶測も出ていますが、その点についてどう考えていますか。

知事

県民共有の財産たる県有地につきましては、適正な価格で貸し出されなければならないということになっております。これは、法律上も義務づけられているところです。

記者

政治的な対立は特にないということでよろしいですか。

知事

政治的な対立は、この問題には全く関係ないと思います。

記者

県有地の検証委員会とリソース・リビジョン会議との関連性は、どういうところにありますか。

知事

リソース・リビジョン会議は、今この厳しい財政状況の中で、県有財産をはじめとする、県が持つ全てのリソースを最大限効率的に運用し、収益を上げていく。こうすることで、これからやってくるであろう危機的な財政という大波を乗り越え、我々がどうしてもやらなければいけない25人の少人数学級の充実、そして、これも何としてもやりたい介護待機実質ゼロの財源を確保することが重要であります。

従って、県有地の高度活用、収益力の向上という観点から、全ての県有資産、あるいは県の持っている財産を洗い出していきたい。そして、関係者とともに、どうするのが最も効率的になるのか、答えを出していきたいと思っています。

今回の県有地は、一つのパーツというか、そこに至る前段階のものであって、県有地が不適正な安い価格で貸されている状況を直さなければいけないのは、法律上義務づけられている話です。その上で、高度に活用し、いかに税金を上げない中で、県民の皆様のために、この25人学級あるいは介護待機ゼロを実現するための財源を捻出するか、そのための工夫ということであります。ですから、私どもの最も重視するのはまさにこの高度活用の部分であります。

記者

今から県有地や県有財産を見直していくとおっしゃっていますが、民間企業で賃料が上がると、経済的な負担になってくると思います。その点に関して、例えば助成をするなどの考えがありますか。

知事

適正な価格で貸さなければならないというのは、当たり前の話であって、適正な価格で貸した上で事業が厳しくなる場合に、激変緩和をどうするかというのは、別途考えるべき話だろうと思います。まずは正しい賃料、使用料をいただいた上で、その後、どうやって苦しい企業に対して手を差し伸べるかというのは、この県有地の賃借人に限らず、全ての県内の会社に対して我々は十分気を使うべきことでありますので、しっかりとやっていきたいと思います。

また、県有地の高度化活用において、我々が目指すのは、借りている方にさらなる大きな収益を上げていただきたい。それに対して、我々はどうやるのかということの合わせ技で、必ずしも全てが悪化するわけではなく、私たちは、この高度活用というものを、全ての知恵を集めて、全ての関係者と協力をして実現をしていきたいと考えておりますので、プラスマイナスどちらかに偏るというものではなかろうかと思います。

記者

先ほど、訴訟に関して、和解を原告側に申し入れるお考えをお話しされました。訴訟戦略に関わる部分かとは思いますが、具体的にどのような和解案を考えていらっしゃるのでしょうか。

知事

おっしゃるように、訴訟戦略に関わる話ですし、そもそも原告がいらっしゃる話ですので、そこは差し控えたいと思っております。ただ、私としては、特に今回のこの意思決定プロセスの中で、個人の巨額の賠償責任が追及されており、ここは今後、検証委員会で故意過失をしっかりと検証していただくことになりますが、この点はどうなのだろうかと思います。一つの論点として、集中的に議論した上で、原告と話をしていきたいと考えます。

記者

今回の不動産鑑定で、富士急行の土地については20億が適正な価格という鑑定が出たわけですが、今後、改定に当たっては、その額を求めていくことを基本に考えていらっしゃるということでよろしいでしょうか。

知事

はい。これも検証委員会におきまして再度不動産鑑定を出して、慎重に数字を出して参りたいと思いますが、その結果、適切な額が出れば、この適切な額をお願いしなければならないわけであります。

記者

聖域やタブーを設けることなくということで、他の企業などが借りている県有地についても、全てその評価額が適正かどうかチェックするということでいいですか。

知事

はい。再度確認をさせていただきます。県が有する財産は、適正な対価で貸さなければならないというのが法律上我々に課された義務でありますので、そこはしっかりと確認していきたいと思います。

記者

これは県有の土地だけでなく施設も含めてですか。

知事

できればそのようにしたいと思っています。

記者

主張を撤回、変更される際に、補助参加人として富士急行さんが訴訟に参加されていると思うのですが、事前に説明や相談があったのでしょうか。

知事

今回の私どもの主張は、訴訟における法的議論の結果、論理的に導き出されたものであって、補助参加人はそのプロセスは十分御存じですので、裁判以外でそういうお話をするということは、弁護士はしているかもしれませんが、私は行っておりません。

記者

富士急行としては、今回の結んでいる契約がないがしろにされた場合は、知事への提訴提起もやむを得ないとコメントを出されたりしていますが、これについてはどのように受け止めていますか。

知事

ちょっとおっしゃっている趣旨がよく分からないところがございます。私どもは、恣意的に変えているわけではなく、住民訴訟という場での議論を通じて、法律上の議論として論理必然的に出ている話であって、今後賃借人に対してどういうお願いをしていくかというのは、まさにその論理必然的に出てきた結論に基づくものであります。この正しいことを行おうとすることに対して、訴訟を提起されるのは御随意ですが、ちょっと私は理解に苦しむところであります。

記者

富士急行が訴訟提起もという話ですが、今回、多くの賃借人の企業さんですとか個人に対して、賃料の見直しということになってくると、こういった動きは他の企業や個人でも起こり得ることと思いますが、その辺の波及というか影響についてはどのように考えていますか。

知事

まず、適正な対価を取るというのは、法律上我々に課された義務であります。そして、県有財産は県民共有の財産でありますので、まさに私どもがお仕えするのは、全ての県民の皆様の利益を図ることであります。従って、土地の対価に関しましても、この適正な対価はお願いせざるを得ませんが、その適正な対価を把握した上で、社会的に必要性があれば、その減額というものを、しっかり法律上のルールに基づきまして、議会にお諮りした上で決めていきたいと考えております。これまでの長い歴史の中で、例えば、局地的な大きな土砂崩れがあって、その代替地として県有地をお貸ししているようなところもございます。こういうものは、まさに個々人の生活に直結する、あるいは社会政策上の必要性がございますので、こういうものに対しては、しっかりと議会の御了解をいただいた上で、然るべき適切な金額を設定するということがあろうかと思います。その他、それぞれの事情がある場合は、しっかりと精査をして、もちろんその当事者の方とも議論をして、必要であれば議会にお諮りをした上で、適正な価格を下回る額にするということも十分あり得ることだろうと思います。

記者

知事は、今後検証委員会を設置して、どうしてこのような形でこれまで契約が結ばれていたのか検証するとおっしゃいましたが、基本的には、知事がこうすると決めてから検証していくという話になっていて、県民の皆さんは、こういう契約が変わるということで正直びっくりされていると思います。私としては、訴訟の中で法律的に決まったとは言え、どうしてこれまでの考え方がいけなくて、今回このような考え方になったのかという理由を、今この場で、ある程度説明する必要があるのではないかと思いますが。

知事

今まで縷々御説明申し上げてきたのはまさにその点なのですけれども、繰り返しになりますが、まず県有資産は県民共有の財産です。この県民共有の財産は、県民のために、これは法律もそうですが、しっかりと適切な額でお貸ししなければならないということは、当たり前のことだろうと思います。今回の裁判のプロセスの中で、これまで私どもが貸し付けてきた方式は、適切な額ではなかったということが判明した。ですので、県民共有の財産であるという大元に立ち返って、県民の皆様のために適切な額に戻すということに他なりません。これは結果論かもしれませんが、異例な状態をむしろ正常な状態に戻すためのもの、当たり前の姿に戻すためのプロセスであります。

記者

それは裁判の中で、知事が訴訟の内容を見て、知事自身が決めた、考えたことですか。これまでは全く逆の主張をしてきているわけですので、いきなり上申書かなにかで、鑑定書を出します、主張を一変しますと書面上は出しているわけじゃないですか。

知事

これも先ほど申し上げましたとおり、この住民訴訟というものに対しては、そもそも個人の裁判とは異なり、原告の方は公益を代表する方だと位置づけられています。そして、目指すところは、山梨県であれば山梨県の財務行政の適正性の確保、これにつきましては当然、県知事たる私こそがその最高責任を担っているものだと重く考えています。従って、いかなることが適正な財務行政なのか、すなわち県有地に関して言えば、いかなるものが適正な価格なのかというのは、真摯に向き合う必要があろうかと思います。これは私の最初からの考え方です。裁判ではもちろん勝ち負けというものがあります。ただ、ここで、いたずらに訴訟技術を駆使して勝つことだけが正しい姿だとは思えません。しっかりとここで議論をして、何が適正な額かということを真摯に、予断無く、県民の皆さんのことだけを考えて議論をして導き出すことこそが、正しい姿であると、私はこう確信する次第であります。従って、その正しい価格を、法律上の議論をもとに導き出した結果が、今回の結論になるわけでありますので、ここは私が恣意的に変えたとか、そういうものとは全く違う、まさに裁判上のプロセスで、お互い公開の場で議論を重ね合って、その結果導き出された結論をもとに、県としての態度を決めるということを行っているに過ぎないわけでありますので、今お話しになったようなニュアンスとはちょっと違うのではないかなと私は思います。

記者

今の質問は、なぜ裁判が先で、行政機関としての説明が後になったのか、まずは行政機関としての説明責任を先に果たして、そして、その立場を前提に裁判を進めるべきではないという質問ではないかと思います。

要するに、土地の価格を設定して賃貸借契約を結ぶという行政機関としての仕事があります。それに関する進め方の考えを転換したのであれば、説明責任があると思います。その説明責任を何らかの形で果たされる前に、裁判でいきなりその態度の変更を表明するからみんながびっくりするのではないでしょうか。

知事

それはどうでしょうか。

まさに裁判において、それぞれの主張をこれまでずっとぶつけて参りました。当初の出発点は、開発前の素地価格が正しいということをぶつけてきて、これを主張してきたわけであります。ところが、この裁判の議論の中で、私どもの考え方は成り立たないことが判明した。それに基づいて行政の態度を改めるということが悪いことだと私は思いません。行政は100%正しいものではなく、時に間違えることもあります。ただし、間違えた場合は、速やかに訂正することが重要であろうかと思います。

今、この大方針につきまして、裁判を踏まえて変えなければならないという事態に私どもは追い詰められております。その中で、まだ和解をする前の段階ではありますが、こうして皆さんにお話を差し上げているわけでありますし、また、これからも賃借人をはじめ関係する方々に対しまして、私どもの考え方は、こういう状況になっていますということは説明をする必要があろうかと思います。

そしてさらに、本件訴訟に関係のない県有地の賃借人の皆様に対しましては、改めて裁判の帰趨が見えたところで、さらに検証委員会あるいは高度活用検討会の議論を経た上で、しっかりと御説明をして御理解をいただきたいと思います。その御理解のいただき方が、必要に応じて議会にお諮りをした上で、ディスカウントするということも十分あり得るわけであり、それはまさにこれから始まる話であって、先に我々の態度を決めてそのあと裁判に臨むというのは、どういうふうにやればいいのか私はよくわかりません。

記者

これだけ県政の関心事になっていますので、裁判でそのような主張をする、そのように態度を変更したということの説明を、行政機関として県有地を貸し出すときの価格の考え方、方針を変更したということを、11月10日の口頭弁論の前に、例えば記者会見で発表されるといったことはできなかったのでしょうか。

知事

口頭弁論の前は、まさに訴訟手続きが進行中でありますので、それは、私は決して正しい姿だとは思いません。

記者

知事は、裁判で原告と議論する中で導き出された結論だとお話されていますが、一方で、県が提出している裁判資料を読むと、これまでの主張の転換の理由は、県の中でのミスコミュニケーションなり行き違いがあったと述べられていると思いますが、その点に関してどのようにお考えでしょうか。

知事

私が知事に就任してから1年半強になるわけでありますが、そもそも、私はこの住民訴訟はしっかりと真摯に向き合うべきものであって、単なる勝ち負けにこだわって、適正な結論を出すということに優先させることは、県民の皆様に対する裏切りだと、私はこのように考えて参りました。従って、その考え方に対しまして、これまで部内、かつての顧問弁護士さんも含めて、十分徹底されていなかった点もあるかもしれません。そういう意味で、今お話になりましたようなことになったのだと思います。

記者

県民に適切な額で貸すというのが理由だとお話をなさっていますが、転換をするための理由として考えていいものでしょうか。

知事

全然おっしゃっている意味が分かりませんが、適正な値段で貸すというのは当たり前の話であって、これは転換云々ではなくて、そもそも県有地は、適正な値段で貸さなければ地方自治法237条2項違反になり、その賃貸借は無効になるわけでありますので、適正な値段以外では県は貸せないわけであります。その適正な値段とは何ぞやということを考えるに当たって、議論を積み重ねる中で、やはりそこの議論は真摯に向き合おうと、何が適正で何が適正でないかというのは、しっかりと純粋に法律上の議論を積み重ねていこうではないかということであると思います。

記者

その適切な額についての認識が、7月の末に就任された新しい弁護士の方と、以前の2人とは、一致しなかったということなのでしょうか。

知事

住民訴訟に対する向き合い方というものが、それ以前の方とは100%一致していたわけではなかったということだろうと思います。

私は、住民訴訟において、県民の皆様の利益を何よりも優先するべきだろうと思います。その結果、県が仮に敗訴することになろうと、あるいは勝訴することになろうと、それは二次的な話であって、一番重要なことは県民の皆様の利益をいかに実現していくかということです。こここそが、私がとるべき県民の皆様に対する態度であって、訴訟の勝ち負けを優先させるということは、これは時として県民の皆様に対する裏切り行為になりかねないと信ずる次第であります。

 

以上

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