ページID:57059更新日:2023年1月20日

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知事臨時記者会見(平成25年11月27日水曜日)

本館2階特別会議室

16時30分から

発表事項

 

 山梨県環境整備センターに関する今後の対応について

知事

山梨県環境整備センターについては、昨年12月の漏水検知システムの異常検知に係る調査委員会の調査結果及びその後の施工業者との協議結果等を踏まえ、環境整備センターに関する今後の対応についての考え方を、本年11月議会までに、明らかにすることとしてきたところであります。

環境整備センターに関する今後の対応について、本日午後から、県議会・全員協議会において、議員各位に説明申し上げたところであり、併せて記者発表をさせていただきます。

戦後、わが国では、大量生産・大量消費型の経済・社会活動により高度成長と国民の生活水準の向上が実現しましたが、その一方で、大量の廃棄物を発生させ、廃棄物の不法投棄や最終処分場の不足などの問題を生じさせました。

こうした中、本県においては、産業廃棄物の最終処分のほとんどを県外に依存しているという状況を踏まえ、平成5年に「公共関与による産業廃棄物最終処分場の整備方針」を策定し、県内を5地区に分けて、順次、最終処分場の整備を進めていくこととしたところであります。

このうち、北杜市明野町の環境整備センターは、県内初の公共関与による最終処分場として、他地区で整備される処分場のモデルとなるよう、地元の皆様からの御意見や御要望を計画に反映させ、安全性を最優先に整備を進めてきたものであります。

センターは、平成21年5月に操業開始しましたが、折からの経済不況やリサイクルの進展等に伴い、産業廃棄物の最終処分量が減少したことにより、操業当初は、廃棄物の搬入量が当初計画を大幅に下回ることになりました。このため、県及び環境整備事業団は一体となって、廃棄物の搬入量増加に向けて取り組みを進め、平成22年7月頃からは搬入量の着実な増加が見られるようになりました。

こうした中、平成22年10月に1回目の漏水検知システムの異常検知が発生し、原因究明調査などのために1年半近くの間、廃棄物の搬入を停止することとなりました。

更に、昨年3月の搬入再開後は、再び廃棄物の搬入が着実に進みましたが、12月に2回目の異常検知が発生し、再度、受け入れを停止せざるを得ない状況となったところであります。

この二度にわたる異常検知については、1回目は事業団において、2回目は学識経験者等で構成する調査委員会において、それぞれ原因究明調査が行われ、その結果、いずれの場合も漏水検知システムの銅線交点部に極めて強い荷重がかかったために上層遮水シートが損傷し、その損傷を介して電気が流れたことが原因であること、上層遮水シートからの汚水漏れはなく、施設の安全性は保たれていることなどが結論づけられました。

これに加えて、調査委員会の報告によれば、二度にわたり異常検知が発生した以上、施設の施工過程等で生じた同様の損傷が他にも存在している可能性を完全には否定できないとされており、現状のままで廃棄物の受け入れを再開させた場合、再び異常検知が発生し、廃棄物の受け入れを長期間停止するなど、センターの安定的な管理運営に支障を及ぼすことが懸念されるところであります。

このため、県及び事業団と致しましては、センターが廃棄物の受け入れを再開し、所期の目的を果たしていくためには、先ずは同様の異常検知が三度発生しないよう対策を講じることが必要であると判断し、このため、事業団から施工業者に対して、同様の異常検知が発生しないよう必要な対策の検討と実施を求め、協議を行ったところであります。

しかしながら、先月下旬までにいずれの業者からも「施工や作業に問題はなく要請には応じられない」との回答があり全面的に拒否されたことから、センターが受け入れを再開するためには、(1)裁判で施工業者に必要な対策の実施を求めるか、あるいは、(2)事業団が自ら必要な対策を講じるか、いずれかの措置をとることによって、安定的な操業の継続が可能な施設とすることが必要となります。

このうち、裁判を起こす場合については、裁判自体が長期に及び、その後の補修に要する期間を合わせると、先行きが不透明な中で極めて長い期間、受け入れを停止した状態が続くこととなり、センターに対する県内の排出事業者の信頼を維持し続けることは難しく、また、維持管理費の増大による赤字の拡大も懸念されます。

また、事業団が自ら対策を講じることについては、既に多額の赤字が見込まれているセンターに対して、新たに多くの資金を投じることとなりますが、リサイクルの進展等により産業廃棄物の最終処分量が減少し、最終処分場の逼迫が緩和しつつある状況の中で、これ以上の多額のセンターへの資金投入は、県民の理解を得ることが困難であります。

以上の結果、センターは、現状のままでは、安定して継続的な廃棄物の搬入が保障されず、他方、安定的な操業の継続を可能にするための2つの方策についても、センターの処分場としての信頼性の喪失、赤字の更なる拡大による県民負担の増加等から、県民の理解を得ることは困難であり、県としてはこの際、新たな廃棄物の受け入れを断念し、施設を閉鎖せざるを得ないものと判断致しました。

一方、センターの収支見通しにつきましては、昨年2月に第1次改革プランを策定し、約48億円の赤字を見込んだところであり、県議会の承認をいただく中で、昨年度末までに約21億円の赤字処理を行ったところであります。

第1次改革プラン策定後、昨年3月の廃棄物の搬入再開以降は、プランの想定に近い水準の搬入量が確保されるなど着実に推移してきましたが、昨年12月、2回目の異常検知が発生し、施設の閉鎖を余儀なくされることになったことから、今般こうした状況の変化を踏まえ、改めて収支の見直しを行った結果、最終赤字額は6億4千万円拡大し、54億5千4百万円となることが見込まれます。

赤字が拡大する要因は、2回目の異常検知が発生し、更に施設の閉鎖を余儀なくされたことに伴い、料金収入の減少や調査経費等の損害が生じたことと、水処理施設関連経費などが増加したことであります。

二度にわたる異常検知は、汚水漏れがないにもかかわらず、漏水検知システムが異常作動したものであり、これは明らかに、施工上の瑕疵に起因するものであります。従って、料金収入の減少や調査経費等の直接的な損害に加え、処分場が満杯になるまでの営業損失等を含め、本年度中を目途に、事業団において施工業者に対する損害賠償請求訴訟を提起したいと考えております。

請求額は、今後精査しますが、概ね10億円程度と見込まれ、これにより、既に訴訟を提起中の1回目の異常検知と併せた全体の損害賠償請求額は、概ね14億円程度と想定されますが、センターの最終的な赤字額をできる限り縮減させるため、訴訟の遂行に最大限努力して参りたいと考えております。

また、センターは、国から約4億5千9百万円の補助金を受けて整備していることから、今回の施設閉鎖に関して、その取り扱いについて、現在国と協議中であり、返還の必要が生じた場合には、施工業者への損害賠償請求に返還額を加えて請求することと致します。

なお、今後、センターは埋め立てを終了し、最終覆土を行ったうえで、施設を閉鎖することとなりますが、事業団は、公害防止協定に基づき、適切にセンターの維持管理を行うとともに、山梨県市町村総合事務組合から委託を受けた一般廃棄物最終処分場の整備及び運営管理を行っていく必要があります。

県と致しましては、事業団と一体となって訴訟を通じ、異常検知等に起因する損害の最大限の求償に取り組むとともに、センターの事業から生じる赤字につきましては、今後、第1次改革プランにおける収支見通し等の見直しを行ったうえで、引き続き支援を行っていく必要があると考えております。

「環境整備センターに関する今後の対応」についての県の考え方につきましては、ただいま御説明申し上げたとおりでありますが、11月定例県議会において幅広く御議論をいただくとともに、しっかりと説明して参りたいと考えております。

<質疑応答>

記者

先ほどの全員協議会でも再三出てきましたけれども、今回のこの判断は、一部議員の間からは英断という話はありましたが、県の責任、巨額の税金が投入されることになりました、その判断のタイミングを含めてですが改めて知事はどのようにお考えかお聞かせください。

知事

この明野の産廃処分場は平成6年の9月に明野に設置するということを決定して以来、その時々の関係者が良い処分場を造るべく最大限の努力をしてきたわけであります。しかしながら結果として、リサイクルの進展というような産廃事情が大きく変化したこととか、あるいは2回にわたって漏水検知システムが異常に検知するというトラブルが発生したとか、そういった事情によって大幅な赤字を発生することになってしまったということは誠に痛恨の極みでありまして、県民の皆さんに対して申し訳ないことだと思っているところであります。

責任はと問われれば、これはもちろん私を含めて県政、この問題に関わってきた人々全員にあると言わざるを得ないわけでありますけど、しかし少なくとも二度の異常検知が発生したことについては瑕疵ある施工であるということで、法律的な責任は施工業者にあるわけでありますから、これから損害賠償請求をしてしっかりと訴訟に対応してできるだけ赤字、県民負担を少なくすべくこれから努力していかなければならないと思っております。

記者

知事でいうと横内知事を含め3人の県政の下でこの事業が行われてきたわけですが、知事は国会議員時代は明野選挙区ということで、その流れというのはつぶさに見てこられたと思うのですが、そういう中でリサイクルが進むとかそういった時代の変遷を見ながらも県政に就任された。そういう中でこの事業について知事が見直しをするタイミングは今以外になかったのでしょうか。

知事

私が平成19年2月に知事に就任したわけでありますけども、その時点おいてはすでにその前の平成18年の段階で工事が発注されて工事が実際に行われていたという状況でありましたから、その時点でこの事業を廃止するということになりますと当然のことながら違約金を含めてかなりの額を事業を行っている施工業者に払わなければならないというような事情があって、平成19年の1月の選挙の際には私はこれは進めていくしかないということを1つの公約として持ち上げたわけであります。したがって知事に就任した際にはこれを進めていくということで、そういう方針でやって参りました。次に問題になりますのは平成21年5月にこれがオープンしたときに予想以上に廃棄物の入りが悪かったということがあったわけであります。ただこれは当時リーマンショックの最中であるということもあるし、いろいろな事情を聞きましても直ちに処分場ができてどっと物が入ってくるというのではなくて、業者は既に他の処分場を使っている。それには一定の契約期間があって契約期間が満了した時点で入ってくるわけですから追々増えてくるのが通常でありますので、その時点で直ちに止めるというような判断はなかったと思います。その際、県と事業団一緒になって廃棄物の搬入量を増やす努力をしたわけであります。その結果として平成22年の7月8月9月というように搬入量が順調に増加するということになりました。そうしたところ10月に第1回目の漏水検知システムの異常があったわけであります。

それを処理していくのに1年半近くかかったわけでありますけれども、その際に1回目の漏水検知システムの異常が発生したときに、それでこれを廃止してしまうという判断もあったのではないかというご意見もあるいはあろうかと思いますけども、しかしあの時の判断としては、異常の原因というのは銅線の交点の部分のゴムのシートに上から極めて強い力が掛かったためにそこに微細な損傷が生じて、ゴムですから自然にそれは修復されるわけですけども、その後だんだん上に廃棄物が乗っかってくるにつれてまた少しずつ開いて銅線と銅線がほとんど直接接触するとうことになって電流が流れたということであって、そういうような損傷が起こるような事態というのは管理の段階ではほとんどないと考えられましたし、1回目の異常箇所を見るときかなり広く見たわけでありますけれども、他のところは全く異常がない状態ということでありましたし、それからさらに明野の産廃処分場に廃棄物処理を出していた業者の皆さんにしてみれば、せっかく自分たちが近くに処分場ができたということで他のところを止めて明野の処分場へ入れ始めたそのときでありますから、できるだけ早く再開してもらいたいという強い期待があったことも確かでありますし、それからあれだけのお金をかけて立派な物を造ったわけでありますから、これはできるだけ有効利用しなければならないという思いもありましたし、そういうことを総合的に判断してこれは再開すべきだということで再開したわけであります。

そういうことで過去いつかの段階でもっとはやく閉める決断をする時期があったのではないかということについては、これは皆さんの判断でありますけども、私自身振り返ってみてそれはなかったと思っております。

記者

明野の廃止という選択肢が知事の中に生まれたのはいつからかというのを1つ伺いたいのと、公共関与の産業廃棄物処分場の必要性を今の時点で知事はどのようにお考えになっていますか。

知事

廃止という選択肢が頭に去来をしたのはいつかということになるとすれば、それは2回目の漏水検知システム異常が発生したときに、これはもしかするとこのシステムに工事の瑕疵による欠陥があるのではないか、そうだとするとあるいはそういうこともあり得るか、という気持ちは去来したわけであります。しかしながら、やはり多額の資金を使って立派な処分場を造ったわけでありますから、できるだけこれは有効利用していきたい。同時に赤字は発生するけれどもその赤字をできるだけ少なくしていかなければならない。したがてできることであれば継続したいという思いが強かったわけでありますけれども、いろいろ検討していくにつれて、やはりこれは3度4度とそういう可能性がでてくるリスクがある処分場である以上、そして、それを修復するためにはまた巨額の投資をしなければならない以上、それは県民の理解を得られない。ここはいろいろなご意見があるけれども閉めるしかないと判断したのはごく最近、今週に入ってからと言っていいぐらいのものであります。

それから公共関与の処分場の整備方針というのがありますけれども、そのことですか。

記者

時代の変遷というかリサイクルという話もありましたけども、そういった今の状況を踏まえて、公共関与の産業廃棄物処分場の必要性というのをどのように考えてらっしゃいますか。

知事

現時点では非常にリサイクルが進展し、全国的に廃棄物の発生量が大幅に減っているという状況がありますし、もうお聞きになったと思いますけども全国の廃棄物処分場の空いている残余年数というのでしょうか、それはかなり延びている、一時期は1年2年などと言われていましたけども、それが十数年と延びてきているということでありますから処分場が逼迫しているという状況は全国的にはない。それから一時期は都道府県によってはよそからの搬入は止めるような話が次から次へとあったのですけど、今はそういう県は増えるという状態はなくなってきているというわけでありますから、わりと処分場は需要は緩んでいるという状況でありますので、ここで公共関与の処分場をさらに造るという必要性はないと思っております。

したがって本県の平成5年に作った公共関与による廃棄物処分場整備の方針というのがございますけども、これについては皆さんご記憶してないかもしれませんが、既に平成22年2月の議会の際に、明野の処分場とその次に造る境川処分場以外については、つまり5つから2つ引いた3つです、これは建設を凍結すると言ったのです。そしてその次に境川の処分場を具体化すべく検討していった結果、境川の処分場は一般廃棄物と産業廃棄物の処分場を造っていくつもりであったわけでありますが、産業廃棄物の部分が推計してみると非常に大きな赤字になるということが明らかになりまして、23年5月に境川処分場の産廃部分についても凍結すると言ったわけであります。一廃だけ造りますといって今進んでいるわけです。したがって明野処分場を閉鎖ということにしましたので、現在、公共関与の廃棄物処分場整備方針は事実上凍結されていると言ってよろしいと思います。

将来状況が大きく変わって、今は逼迫が緩んでおりますけども、何らかの事情で産廃処分場が非常に逼迫するという可能性が出てくるという状況になったときには、これは再度見直し、あるいは新しいものを造るということを含めて検討しなければならないと思っておりますが、当面は今の凍結して造らないという状態で進めたいと思っております。

記者

将来的な話で逼迫する事情が出てきた場合は再度建設、整備計画見直しということだったのですが、明野処分場をめぐる一連のトラブルがあってまた造るとなると難しさがあるのではないかと予想されますが、そのあたりについて知事の見解をお伺いしたい。

知事

それはおっしゃる通りだと思います。それは当然なことです。しかしそうは言っても平成5年当時の状況というのは大変厳しい状況で、先ほど申し上げましたように県内に産廃処分場が独自のものがない、外へ持って行くしかない。外の方では産廃処分場が足りなくなってきているものだから、県によってはもう入れさせないという県がいくつも増えてきている。そして当時聞いた話ですけれども、企業誘致なんかに行ったりしますと山梨県は処分場がないじゃありませんかということを言われて企業誘致にもマイナスになる。というのが平成5年ごろの状況だったわけです。したがって、やはり県独自の処分場を造ろうという決定になったわけであります。ですから、これから仮に何か造るというということになるとすれば、やはりあの当時のような非常にシビアな産廃処分場の逼迫というのが起こるようなときには改めてまた考えなければならないということを申し上げているわけであります。

記者

自県内処理というのが事実上途絶えることになるのですが、震災とかそういうものが発生したときにがれき、災害廃棄物の処分先に困る可能性というのはどうお考えでしょうか。

知事

災害廃棄物というのは一般廃棄物なのです。産業廃棄物ではないです。したがって今の明野処分場には今の公害防止協定上は捨てられないのです。であるが故に一般廃棄物処分場である境川処分場を今造っているわけです。これは一般のごみと同時に災害が発生したときのそういうものも含めて造っているわけです。これも平成30年に完成するわけですが、災害に対する対応はそこで対応していくということになるわけです。

記者

県の責任という部分で話を聞きたいのですが、漏水検知システムの異常は業者の責任ということですが、見通しという意味でこれだけの赤字額がでるということに対する見通しの甘さという意味での県の責任についてはどのように考えて、県民の理解を得られると思っているのかその辺の考えを伺えますか。

知事

おっしゃるとおり漏水検知システムの異常検知に伴う赤字は、これは業者の責任として損害賠償を主張していくわけでありますが、当然赤字の相当部分はリサイクル等の進展に伴って産廃の(最終)処分量が当時に比べ大幅に減ったというところにあるわけであります。

これは確かに、見通しを誤ったということであります。ただ当時の状況のもとにおいては、先ほど申し上げましたような状況の中で、やはり自県でしっかりしたものを造らなければならないという判断があって始めたことであり、同時にまた確かにその後、産廃の事情というのは、最終処分場の逼迫は緩んでいる気はしましたけれども、しかしやはり自県内できっちり処理するということは、これは必要ではないか。そこにある程度の赤字が生じても自県内処理をしっかりやっていくことは大事ではないかという判断もまたあったわけです。

しかし非常に大きな多額の赤字を生じたということについては、これは見通しの誤りと言われても仕方がないわけであって、これは本当に県民の皆さんに対してお詫びを申し上げなければならないと思っております。

記者

処分場跡地に関しては今後どのように利用していくかは、何か今のところ考えはあるのでしょうか。

知事

これは(森林環境)部長から報告、説明をしたと思いますが、借地が大部分でありますのでこれから貸してくれている地権者と相談しながら、どうするか決めていくことになっておりまして、今の段階でこれをどう有効利用するということは今の段階では我々としてこうという方向は持っているわけではありません。

これから、地権者と相談しながら決めていくということになると思います。

記者

最初の方で、この問題に関わってきた知事や全ての職員に責任があるというご発言がありましたけれども、知事ご自身の責任としてはどういう部分にあったと考えていらっしゃいますか。

知事

それは県政の最高責任者として、このような多額な赤字を発生し、同時に漏水検知システムの異常という思わざるトラブルによって中途段階で、これを廃止せざるを得ないことになった、ということについてはこれは県政の最高責任者として責任はあるという判断をしております。

記者

その時々の知事の判断については、先ほど、例えば途中で閉鎖という判断がもっと早くできなかったのか、という点では今までいろいろな局面で判断していって、今に至っているというご説明がありましたが、そういう時々に起こったことへの具体的な対応としては間違ったことはしてこられなかったと思っていらっしゃいますか。

知事

私自身としては、ずっと自分のこの判断を振り返ってきて、こういう道以外に他の決断があり得たかというと、なかったと思っておりますけれども、しかしこれは県政の最高責任者として、結果責任でありますからこれは当然責任があると思っております。

記者

別件で自県の処理の方針ですが、明野閉鎖で境川も産廃がないというと、自県の処理の旗印というのは、山梨県としては一度降ろすというような形なのでしょうか。

知事

今時点では処分場を、産業廃棄物処分場を凍結しているわけでありますから、自県内処理の旗印もまた今の段階では凍結をしているということになるわけであります。

記者

今の質問とちょっと前の質問とかぶりますが、産業廃棄物が自県内処理、今後不可能になるということについてのお考えは。

知事

今の時点でも自県内処理ができればそれが望ましいのは、当然なことであります。

しかしながら、それをやろうとしても今の処分場をこれから継続するというのは、再々縷々申し上げているようにこれ以上の巨額の県民負担をすることになり、それはやはり適当でないということで閉鎖をせざるを得ないと判断したところです。その結果として、自県内処理ができなくなるわけでありますけれども、今の産廃処分場の逼迫がかなり緩んできているという状況等も考えれば、事業者の皆さんにそれほど、かつてほど大きなマイナスをもたらすことはないだろうという判断もあります。そういうことで、自県内処理が望ましいことは確かでありますけれども、これからはそれができないということでありますから、それはやむを得ないことだと思っているわけであります。

記者

知事が先ほど結果責任のことをおっしゃっていたと思いますが、知事が就任された当時は着工されていて、造成がかなり進んでいた段階だと思いますが、実際稼働させる前段階で、当初計画上1,800万円黒字になると、概算収支を公表されて知事がそれを承認されていたと思いますが、結果的に半年後には35億円近い赤字が見込まれると修正されていますが、当時収支の見通しが甘かったとおっしゃっていましたが、しっかり収支の予測がなく稼働させた知事本人の責任はどう考えていますか。

知事

確かにおっしゃるように、そういう推計をしたことはあります。弁解をするわけではありませんけれども、あの当時のデータ、取りうるデータは、産廃のデータは正確なものは5年に1回でてくるんです。その取りうるデータからすると(当時の)ああいう計算ができたものですから、そういう推計をしたわけであります。

しかしその後の状況から、そうならなかったということです。ただ仮にならなかったとしても、あの時点でできあがって新品のぴかぴかのものを動かさないで止めるという選択はもうない、あの時点ではないわけです。

森林環境部長

(平成)20年5月の理事会・評議会でご了解いただいたものです。

知事

(平成)20年5月の段階です。その時点では全部掘られたりしてかなりの出来型ができていたわけです。それをそこで止めてしまうという事は、選択肢としては当時はそれはなかった。もちろん赤字に仮になると推計、正確に推計したとしても、それはあくまでもその時点で予測ですから、そういう予測だけに基づいてそこまで仕事が進んでいるものを止めるということは、現実の判断としてそれはできなかっただろうと思っております。

記者

そうすると仮に実態に即した30数億円の赤字というのが、稼働前にわかっていたとしても知事は稼働させたという、ご判断をしたと理解をしていいでしょうか。その赤字が見込まれるような施設だったとしても稼働させる。仮定の話ですが、(稼働)させたというお考えでよろしいでしょうか。

知事

仮定はともかくとしても、実際21年5月に稼働して、そして産廃の搬入状況から見て30数億円の赤字になると、当時見通したわけでありますけれども、だからといってその時点で、さあ止めるかというと、やはり止めるという選択肢は私にはなかった、立派なものを造ったと、水質基準も本来求められている水質基準の10分の1というような、極めて安全性の高い立派なものを造った。赤字は非常に大きいけれども、しかしそういうものができた以上それをできるだけ有効に利用して、またその赤字もその時の推計でありますから、できるだけそれを減らすべく努力をしていくということが、当時としては正しい方向であってそこで止めてしまうという選択肢は私にはなかっただろうと思います。

記者

これも仮定の話になりますが、結果的に漏水の問題が起きてしまいましたが、その前に35億の赤字という見通しがでた段階で、公害防止協定を何とか見直して、廃棄物の品目を、例えば灰を入れられるなどの検討をして、赤字を減らせる方向に持っていけないかというそういうお考え等は当時ありましたでしょうか。

知事

あの当時においては、まずは公害防止協定の枠の中で出来るだけ埋め立て量を増やすような努力をしていくべきだということで、それをやったわけです。

そして、(平成)22年の7(月)、8(月)、9(月)とかなり増えてきた、こういう状況であったわけですけれども、その時点で異常が起こったわけです。10月に、異常検知うんぬんで1年半近く止まったと、また再開をして順調にきたと、また止まったと、こういうことなのですが、今のようなそういう選択肢も全くなかったとはいえないと思いますけれども、あの当時としてはまずは、公害防止協定の枠の中で最大限の努力をするということが、まずは必要なことと判断しそういう努力をしたということです。

記者

協定の中で最大限というお話しがありましたが、知事が就任された時点では既に結ばれていたと思うので、5.5年の期間としても、品目にしても協定というのはある種非常に身動きが取りづらい要因になっていたのではないかという気もしますが、そこら辺就任時に既にご覧になって実際どうだったのかというところを伺えますか。

知事

確かに非常に厳しい条件だとは思いました。しかし、長い間10数年にわたって地元の皆さん、それから北杜市そういうところと話し合いをしてきて、いろいろな経緯がありましたけれどもそういうことで合意に達したわけでありますから、その枠組みの中で最大限の努力をまずしていくということが必要だという判断をした、ということであります。

記者

知事も(協定が)結ばれたのは就任前ですから、振り返っていただいてそもそも着想から着工まで、話が具体的になるまでにも長い年月を要したことなども含めて、地元との話し合いとか、説得とかそういう部分は非常に県側にとっては最後までかなり高いハードルであったり、拘束要因だったと思うのですが、そういった中でも進めてきたという、それは知事の前の時代もそうですが、就任前の話も含めてどういう評価をされていますか。

知事

もっと地元と虚心坦懐に話をすれば、また別の結論もあったかもしれませんが、今にして思えば仮定の話でありましてそれを今言っても仕方がないわけであります。

私は知事になってからこの問題について、反対派の皆さんの代表と就任直後すぐ会って、4回位県庁に来てもらって数名の方々に来てもらって話し合いをやりました。平行線で、もちろん具体的な進展はなかった、結論はなかったわけでありますけれども、しかしお互いにある程度理解し合えるようなところは何となくあったという感じはします。

しかし、反対派の皆さんというのは非常にしっかりした考え方を持っておりまして、なかなかそれを変えていくということは非常に難しいということを感じたものであります。

記者

先ほど今回の問題で県政最高責任者としての責任があるとおっしゃっていましたけれども、具体的にどのような責任を取るというようなことは現時点で決めていらっしゃるのですか。

知事

それは少なくともこれからやっていかなければならないことは異常検知に伴う閉鎖によって損害が生じているわけであります。それは法的な責任は施工業者にあるわけでありますから、それをできるだけ追求することによって、赤字を減らしていくことに努力を傾けていくことだと思っております。

記者

一番最初の質問と若干かぶりますが、閉鎖という判断を下されたときの心境を教えていただきますか。

知事

基本的には多額のお金をかけて立派な施設を造ったわけですから、できるだけ有効活用したいという思いは極めて強かったわけであります。しかしそれがための選択肢をいろいろ考えてみてもいずれも県民の皆さんに納得していただくような選択肢は出てこないということから、これは誠に残念な思いを持ちながらこれしか道はなかろうと判断したわけであります。非常に残念に思っているところであります。

記者

先ほどおっしゃっておりましたが、住民の方々との話し合いの中で当時知事は山梨県内の企業の進出のためにも、産業界の発展のためにも自前の処分場を持つことは必要であるというような主旨のことをおっしゃったと思います。当時はそのような見解を持ってらしたことを確認させていただきたいのと、その考えが変わったのは何をきっかけにしたのか、ありましたら教えてください。

知事

当時もそのようなことを申しあげましたし、今でも先ほど申しましたように自県内処理が望ましいことは間違いないわけであります。

しかしながら自県内処理をするために必要となるコストが極めて大きいことから、比較考量するとお金をかけて継続するのは望ましくないと判断して、今回このような決定をしたということであります。

記者

確認ですけれども、コストの面と比較考量したということでよろしいでしょうか。

知事

赤字が拡大することですから、そのとおりです。

記者

先ほどの赤字がわかった時点の話なのですけれども、それ以前に住民団体の方はこれは赤字になると、県が黒字になるだろうという時に反対派は赤字になるだろうと指摘があったのですが、それは知事のお耳に入っていたのでしょうか。

知事

そのようなことを言っている方がいることは承知しておりました。

記者

実働した期間は2年あるかどうか、事実上半分以上は停止している状況になってしまっている。県は、日本でも非常に安全性の高い処分場ということで開始したと思うのですが、結果としてはつまずきの連続だったという状況について率直な感想を伺いたい。

知事

このような漏水検知システムの異常という処分場として本来あってはならないトラブルによって、まだまだ使える処分場が閉鎖されることについて、非常に残念だと思っております。再三申し上げておりますが、赤字をできるだけ少なくするために、その原因である施工上の瑕疵を起こした事業者に対して責任を追及していかなければならないと思っております。

記者

施工上の瑕疵の部分を追求するという話ですけれども、実際問題、業者はそこは明確に前回お願いしたときにも拒否しているわけです。今後は司法の場で争うことになると思うのですが、その辺の責任は実際にどこまで追及できるのか、停止部分に関しては全て業者の責任だと追求できると、知事の考えとしてはどう思われていますか。

知事

弁護士とこれから詳細に相談しなければいけませんが、法律的に判断してどのくらいの額を請求できるか、取りあえずの仮置きとしては合計14億円ぐらいまでいくだろうとなっています。これはこれから精査していかなければならないと思っているところです。これは純粋に法律的な議論ですから、法的な責任は施工者にあるわけですから、県が自ら工事して造ったわけではありませんから、そのような瑕疵ある施設を造った施工業者に責任があるということであります。その責任を追及していきたいということであります。

記者

先ほど知事が処分場の新設凍結を既にしているという話をされての関連ですけれども、仮に処分場の整備を今後行うことがあるとすれば、どのような条件だったら凍結を見直すのかというような考えがあれば教えていただきたい。

知事

端的に言えば、平成5年当時のような状況です。あれは全国の最終処分場の残存期間が2.5年とか、そしていくつかの県が次々に自県内に搬入しては困るという決定をするというような状況です。そういう産廃処分が非常に逼迫した状況になったときです。

記者

今の質問に関連して、逼迫した状況は、今後経済情勢とかいろいろな要因で訪れる可能性はゼロではないと思います。その辺、知事はどのように見込んでいらっしゃいますか。

知事

それは私としては、今の経済情勢からするとかなり考えにくいと思います。しかもリサイクルが相当進んできている状況でありますから、考えにくいと思いますが、世の中どのようなことが起こるか分かりませんから、そのような気配がでてきたら直ぐにでも検討を始め、状況が苦しくなったら再度自県内処理を行うことを進める可能性はあると思っております。

記者

結果的にこのような赤字がでるに至って、就任されてからの判断から考えてもこのとおりだったと思うという話がありましたが、そもそも着想から稼働までに20年弱を要する長い期間の中で、いろいろ変遷があって、結果的に見通しが甘かったという結果から、県は何かを学ぶべきだと思いますが、そういったものを検証して、今後このような大きな事業に取り組みにあたって、どこかで引き返したり、対応できるような仕組みなどを作るための、例えば機関を設けて検証するとか、現段階でそのようなお考えがあるか、もしくは必要性についてどう考えていますか。

知事

おっしゃるように公共事業について、常に事業について再評価し、時代に合わなくなったものについては撤退を含めて検討するべきであると思っております。

県では公共事業評価委員会を作って学識経験者の皆さんに事前評価、継続しているものについては事後評価をお願いしているわけであります。これは私が就任する前からおこなっていますけれども、そのような委員会を作ってやっているのも今回のこうした明野の産廃問題も1つの教訓として受け止めながら、このような制度を作っているのだろうと思っております。

やはり1回始めたものも時代が変わっていく中で、再評価して、必要なら直していかなければいけないと思います。

記者

先ほど知事が、責任は関わった人皆にあるという主旨の話をされたと思うのですが、今回の明野処分場問題を総括するような作業を庁内で行う考えがあるのかという話と、ある種の責任の明確化などを行う考えはあるのでしょうか。

知事

今の時点では、過去これを担当した人達は、その時点その時点においては、懸命に努力して最適だと思う判断をしてきたことは間違いないと思います。それが結果として良かったか悪かったということはあると思いますけれども、今の時点でどこの誰が悪かったとかということを言うというのはどうかと思います。マスコミの皆さんが、そのような検証をされることはもちろん良いのですけれども、県として今そのようなことをやることは、私としては考えておりません。

 

以上

このページに関するお問い合わせ先

山梨県知事政策局広聴広報グループ 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
電話番号:055(223)1336   ファクス番号:055(223)1525

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