ページID:53128更新日:2023年1月20日

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知事臨時記者会見(平成25年5月1日水曜日)

本館2階特別会議室

14時00分から

発表事項

 

 富士山世界遺産推薦に係るイコモスの勧告について

知事

昨夜(4月30日)午後11時25分頃、文化庁から、富士山についてイコモスが世界文化遺産にふさわしい旨の評価をし、世界遺産委員会に勧告を行ったとの連絡を受けました。勧告段階とはいえ、登録の実現を大いに期待できる結果が得られたことは誠に喜ばしく、これまでの長年にわたる地元住民や関係者の多大なご理解とご尽力を思えば、万感胸に迫るものがあります。改めて関係者の皆様の一方ならぬご労苦に対し、深甚なる敬意を表するとともに心から感謝を申し上げる次第であります。

勧告の内容については、既に配布済みの文化庁による報道発表資料のとおりであり、三保松原の除外の他、資産の名称や保存管理等に関わる、いくつかの勧告がなされております。文化庁長官もコメントを出されているように三保松原につきまして十分な理解が得られなかったことは残念に思っております。

今後、こうした評価の理由等について国が中心になって分析が行われることと思いますが、山梨・静岡両県においても、引き続き国との連携を密にし、本年6月に開催される世界遺産委員会に向けた対応に万全を期して参りたいと考えております。

質疑応答

記者

イコモスの勧告の中で開発が拡大しつつあることに懸念を寄せていたり、あるいは来訪者の管理戦略が緊急に必要であるとうたっております。入山料の話が度々出ていますが、以前イコモスの勧告をみてというお話しもありました。率直に今はどのように入山料あるいは開発の規制、入山者・来訪者の管理をお考えでしょうか。

知事

まず入山料についてでありますけども、従来申し上げてきたことは、基本的に私は賛成であります。

しかしながら、利害関係者が富士山の場合は非常に多いですから、そういう利害関係者のコンセンサスを得ることが大事だということを申し上げて参りました。現在の段階は、もう既に皆さんにお話しをしていることでありますが、富士山世界文化遺産協議会という富士山を保存管理していく組織ができており、その組織の中に作業部会が設けられております。その作業部会でこの入山料について検討していくということになっておりまして、今は担当の課長同士で今後どういう手順で検討を進めていくかを相談している最中であります。例えば学識経験者の意見も聞かなければいけないからそういう組織を作ろうかとか、いろいろ今後の検討の仕方について協議をしている最中であります。

あと、イコモスの指摘の中に、おっしゃるように富士五湖周辺等においてかなり開発が進みつつある。その開発についてのコントロールとか、あるいは来訪者管理これは要するに登山者対策ということです。あと運用のこととか、あるいは公共工事などが行われている。そういうことに対してどうかということなのですけれども、イコモスのこの勧告では2016年までにそういった問題について日本としてどう対応していくのかを検討して、イコモスに報告しなさいとユネスコ世界遺産センターに保全状況報告書を出しなさいということを言っているわけです。したがって、あと3年あるわけでありますが、この3年の間に今のような問題については関係者の間で十分協議した上で、しっかりしたものをユネスコにお出しするということになると思います。

記者

環境保全とか入山料を含めた入山者の管理というお話しがありましたが、環境保全とか景観とか、県として今後取り組むべきことについてお考えをお伺いしたいのですが。

知事

県として取り組むことと申しますと、まず1つは、今回イコモスの登録を是とする勧告が出たわけでありますけども、まだ登録が決まったわけではありませんので、これは6月16日から行われるユネスコの世界遺産委員会で決まるわけですから、引き続き丁寧にやるべきことをきちんとやって、登録を確実なものにしていくということがあります。これは文化庁や静岡県、関係市町村と一緒になって、連携をしっかり取りながらやっていかなければならないと思います。それからイコモスで指摘されているような開発のコントロールの問題とか、あるいは登山者対策の問題とか、公共事業の問題、こういったことについては、山梨県の区域内については山梨県が中心となって関係の市町村と相談をしながら具体的な対策を検討し、静岡県そして文化庁と相談をして、先ほど申し上げたように、3年後にしっかりとした保全状況報告書をユネスコとイコモスに提出をする。その中心的な役割を担っていかなければならないと思っております。

記者

開発拡大の懸念について、これから具体的にどのように対処するかを決めていくことではあると思いますが、例えば規制の強化に繋がり得るのかどうかお考えをお聞かせください。

知事

この点については一貫して我々は説明しておりますが、既に自然公園法という法律の網は被っている。さらには景観条例を各市町村が、県もありますけれども、作っているということでありますから、その2つによってしっかり守られると思っております。

しかし、規制の強化ということではなくて、イコモスが心配するような乱開発のようなものが起こらないように対応していかなければならない。それについてどういうやり方をしていったらよいか、今後、先ほど申しましたような3年の間によくよく検討していくことになると思います。

記者

知事はイコモスの勧告の速報をどういったタイミングで知ったのかということと、登録ということを知ったときの率直な感想をお願いします。

知事

昨晩12時ぐらいの日付が代わる頃です。ちょうど(宮城県)石巻におりまして向こうの震災などの状況を視察してきたわけです。昨晩12時頃に県庁からの連絡で知りました。間違いないと思いながら、しかし不安を持っていただけに天に昇るような喜びでいっぱいでした。

記者

三保松原の扱いですけれども、イコモスは距離が遠いというところを何回か指摘しているのです。これについて知事はどのように考えていますでしょうか。

知事

再々申し上げておりますように富士山と三保松原は日本の代表的な景観の1つです。そのようなことから三保松原を入れたということは、我々としては適切な判断ではなかろうかと思っているわけなのです。しかしあまりにも距離が離れているために、イコモスにしてみれば富士山及びその関連する宗教的あるいは芸術的な遺産群に含めるには1つだけ飛び離れているところが引っかかったのではないかと思います。

記者

6月の世界遺産委員会までは引き続き三保松原の必要性というスタンスで行く形で良いでしょうか。

知事

三保松原について外すべきだというイコモスの勧告が出たということで、これにどのように対応していくかは6月のユネスコの世界遺産委員会までの間に日本として検討しなければいけないと思います。それはやはり文化庁が中心になって関係者で協議するということになると思っております。

記者

改め登録される見通しが高まったことで、川勝(静岡県)知事も含めて職員の方は登録することが常々東日本大震災(からの復興へ)の後押しになるとおっしゃっていると伺っています。(世界遺産登録の)意義をどこに求めるかをお伺いしたいと思います。

知事

確かに東日本大震災ということもありますけれども、富士山はイコモスの勧告書の中にも書いてありますけれども、これはまさに日本を代表するシンボルなのです。日本のシンボルである富士山が世界遺産になることが、もし駄目になるということになりますと、その他の(世界)遺産とは違って国民への影響ももちろん大きいでしょうし、国としての尊厳といいますと大げさになりますけれども、そのようなものを傷つけられるようなことになる気がします。

私ども常々この作業している過程で、もし万が一駄目になると通常の(世界)遺産とは違ってマイナスの影響が大きいと感じながら、失敗するわけにはいかない思いでやってきたわけです。富士山の日本における偉大さというものがありますので、もし登録が駄目ということになればマイナスの影響が大きいだろうなと思います。

記者

先ほども自然公園法それから景観条例があるということですけれども、実際にはこれらは十分守られていない状況もあるようなのです。そこでコンプライアンス面で遵守させるような働きかけはどのような行われることになりますでしょうか。

知事

非常に広い範囲ですから中には法規制がありながら守られていない事例もあるのかもしれません。しかし自然公園法の規制はかなり強いものでありますし、私は大筋においてはしっかり守られていると思っております。先ほど申しましたように3年後に状況報告書を提出するわけでありますから、それまでの間に規制の在り方についても検討していくことは必要だと思っております。

それは決して規制を強化するという意味ではなくて、今(質問した)あなたがおっしゃったように、もしルーズな運用がなされているとすればそれをきちんとすることを検討しなければならないと思います。

記者

(富士山を)世界遺産にという動きは20年以上前から取り組まれて、その間にいろいろな紆余曲折があったと思うのです。歴史的な経緯あるいは両県民を中心にした国民の悲願であったと思うのですが、そこを振り返って、どのようなお考えというか思いを持たれるかお聞かせください。

知事

長い経緯があるわけであります。最初は自然遺産を目指してそれが駄目で、文化遺産で再挑戦することになったのが、今から7年前です。

富士山の場合には、世界遺産の範囲が非常に大きく、県も2つの県にまたがり市町村もたくさんの市町村にまたがって、関係の役所も文化庁だけではなくて環境省だとか防衛省なども関係してくるということで、非常に関係者が多いわけです。

この7年間ずっと見てきて関係者が多いにもかかわらず、大きなトラブルもなく一致協力して着実に作業を積み重ねてきた印象を私は強く持っているのです。そのような関係者の一致協力があったということが、今回このような形でのイコモスの勧告になった一番大きな要因だと思っております。

記者

先ほど少し質問したのですが、入山料は来年に導入の方向で検討されるということで、特に今のところ変わりないか、後は、この夏の試験的な導入というのも、多少なりとも弾みなり、影響があるのかと言うことと、入山者の管理というのは、決して入山料だけではないと思うので、この夏にも、観光客はおそらく大幅に増えるでしょうし、夏どころか、このゴールデンウィークの後半にも、さっそくイコモス勧告が出たと言うだけでも増えるのではないかと思うので、その辺の影響あるいは施策の見通しを伺えますか。

知事

入山料につきましては、先ほど申し上げましたけれども、利害関係者のコンセンサスが大事であって、コンセンサスが得られるのであれば、静岡県知事は、この夏にも試行的にやりたいと言っておりますけれども、そういうコンセンサスが得られるのであれば、それは試行的にやることもあり得るだろうと私は申し上げている訳です。その考え方は、まったく変わっておりません。今後検討していく中で、コンセンサスを得られればそれでもいいのではないかと思います。しかし、本格的ということになれば、今年からと言う訳にはいきませんから、来年からということになると思います。それと、入山者が増えるだろうと、その対策ということですけれども、今のところ具体的に、私どもが、どうするという考えを持っている訳ではありません。特に、ゴールデンウィークの後半に増えるということになると、少し対策として、どういう対策が考えられるか、今の段階では、考えていないわけです。

いずれにしても、登山者の増加対策というのは指摘事項でもあるし、しっかりと検討しなければならないと思っています。

記者

イコモスの勧告の中で、地元自治体とか地域の人達の努力に対して一定の評価がされているという指摘が、今日の文化庁のレクでありましたがそれについて感想をお尋ねしたい。

知事

地元の皆さんの協力、ご尽力は非常に大きかったと思います。まずやはり関係の市町村長、県と一緒になって7年間にわたって、非常に苦労しながら作業を積み重ねてくれたわけですし、地元のコンセンサス作り、盛り上げ、そのことについても関係の市町村が一生懸命やっていただいたと感謝をしたいと思います。

同時に、地域の住民の皆さま方も、世界遺産になるということについて、大変にご理解をいただいて、ご協力をいただきました。よく言われることですけれども、湖の周辺の清掃だとか、あるいはイコモスの調査員がおいでになっている際には、構成資産の周辺について清掃をしていただいたりとか、それから富士山の五合目周辺などの清掃作業、様々な形で富士山を世界遺産にふさわしい保全管理を、しっかりしてやっていこうという盛り上がりが地域の住民の皆さんに相当あったのではないかと思っております。その事が、今回のイコモスのこういう勧告にも表われているのではないかと思っておりまして、感謝しているところです。

記者

もう1つですが、信仰面だとか、技術面とかの今回文化遺産の価値の部分をどうやって浸透させていくところについても、浸透させていって欲しいという意味合いだと思うのですけれども勧告の中では指摘しているのですが、どのように浸透させていくかと言う部分と、文化遺産として単なる自然遺産という最初の流れがあって頓挫してからの話ではあるのですが、文化遺産として富士山を登録される意義をお聞きできれば伺いたいのです。

知事

登録、文化遺産として登録意義というのは、1つには、日本の宝が世界の宝になるわけです、そうすることによって、その地域山梨県民、あるいはその地域の住民の皆さんの思いで、自分たちは富士山という世界の宝の近くに住んでいる、従ってこういう地域を、自分たちが守る、自分たちの力で大切にし、よりよいものにしていかなければならない、そういう地域づくりへの意欲が高まってくることが、まず1つ期待されると思います、それから。当然のことながら、これは観光地としての効果も大きいわけでありまして、やはり世界の宝というとでありますから、世界的なグレードを持った観光地として、将来発展していく可能性が大いにあると、単に日本人だけではなくて、世界中から人々が訪れる、そういう観光地になっていく可能性があると、思います、ほかにもあると思いますが、そういうことが意義だと思います。

記者

その文化遺産としての価値をどのように広めていくかということですか。

知事

それは、世界遺産に登録ということになりますと、世界遺産センターというものをつくって、ここで富士山の文化的な価値を、国民に知ってもらうための、色々なPR活動、展示を行うことになるわけです。

そういう中で、富士山の価値というものを広く、国民の皆さんに知らしめるPR活動や教育啓蒙活動をやっていくことは必要だと思います。

 

(以上)

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