ページID:54538更新日:2023年1月20日

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知事記者会見(平成25年6月26日水曜日)

本館2階特別会議室

11時30分から

知事コメント

発表事項

発表事項以外の質疑応答

 富士山世界遺産登録決定について

知事

去る6月22日土曜日午後5時28分、現地時間では3時28分でありますが、カンボジアのプノンペンで開催されましたユネスコの世界遺産委員会におきまして、富士山の世界遺産登録、名称は「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」となりましたが、世界遺産登録が決定いたしました。

平成17年から7年以上に及ぶ、多くの関係者の一方ならぬご尽力の賜であり、この場をお借りして、敬意を表するとともに、心から感謝を申し上げる次第であります。

政府代表団の一員として世界遺産委員会に出席し、歴史的な瞬間に立ち会えたことを大変嬉しく、また光栄に思っております。

世界遺産委員会では、日本を除く20ヵ国の内19ヵ国の委員から、「富士山の世界遺産登録を歓迎する」、「富士山が今まで登録されていなかったことに驚いている」などの賞賛の声が次々と上がりまして、感激と誇りを覚えるとともに、改めて富士山の偉大さを実感したところであります。

世界遺産として登録されたということは、富士山をしっかりと保全し、次の世代に継承していくという我々の責務を世界に約束したということに他なりません。イコモス勧告で指摘されたことは、世界遺産委員会でもそのまま決議されておりますので、来訪者管理戦略の策定や開発の制御、登山道の保全等の課題につきましては、関係者と十分な協議を行いながら的確に対応し、その状況を2016年2月1までに世界遺産委員会に報告しなければならないことになっております。

また、このたびの登録決定によりまして、世界中から注目が集まり、例年以上に来訪者が見込まれる中で、安全対策やおもてなしの充実等についても十分配慮する必要があります。加えて、登録されたことにより安手の観光地とならないよう、より質の高い保養地・観光地づくりを目指していくことも重要な課題であります。世界遺産登録はゴールではなく、スタートであるといわれております。まさに、これから、将来にわたる、保全のための長い道のりが始まるわけであります。

県では、国や静岡県、とりわけ地元の自治体及び関係者とこれまで以上に緊密な連携を図りながら、その対応に万全を期して参る所存であります。

県民の皆さま方におかれましても、世界の宝となった富士山の保全に向けて、格別なご理解とご協力をお願い申し上げます。

 富士山世界遺産保存整備山梨県・地元自治体連絡会議について

知事

世界遺産として登録された富士山でありますが、世界遺産委員会の議決によりまして勧告・要請された諸課題の解決や今後質の高い保養地・観光地づくりを効果的・効率的に進める必要があるため、県及び関係自治体間の連携・調整を図る体制をしっかりと構築する必要があります。

現行の体制といたしましては、保存整備のための組織として、両県知事や関係市町村長や県・市教育長などで構成する「富士山世界文化遺産協議会」及びその下部組織として山梨県側の実務担当者等で構成する「山梨県富士山世界文化遺産保存活用推進協議会」がございます。

しかし、この体制では、県と関係自治体、関係自治体とは市町村と恩賜林保護組合でありますが、この間で、行政としての意見調整をする場がないため、これまでの遺産協議会などの組織体制に加えて、保存整備等に関する意見調整の場として、知事、関係市町村長、恩賜林保護組合長で構成する「富士山世界遺産保存整備山梨県・地元自治体連絡会議」を設けることといたしました。

この連絡会議では、当面、利用者負担制度や登山者の安全対策などを協議していくことを考えております。

なお、「富士山世界文化遺産登録」山梨県推進本部は、登録実現により目的を達成いたしましたために、今後の保存整備対策を進める庁内体制として、「富士山世界遺産保存整備山梨県対策本部」を設置することといたしました。

 

<質疑応答>

記者

足かけ20年近くにわたって世界遺産登録を目指してきたわけですが、改めて採択が決まった瞬間を振り返っていただき、どんな思いがこみ上げてきたか教えていただけますか。

知事

(6月)22日の午後、富士山に関する審議が行われるということでありましたけれども、本来は10分くらいで終わるのではないかということだったのですが、1時間近くかかったわけです。それは委員国が21ヵ国、日本を除いて20ヵ国ありますが、ほぼ全ての委員国が発言を求め発言をしたということであり、その発言の内容は1つの例外もなく富士山というものは、素晴らしいもので価値のあるものだと。これを世界遺産にすることに我々は賛成であるという賛成演説を、ずっと延々と続けてやってくれたのです。通常1つや2つは、そういうものに疑義を呈したり、反対という意見があるのが通常でありますけれども、それがまったくなかったというのは、極めて珍しいことのようであります。それだけ、世界は富士山の偉大さに対して、非常に高く評価をしているということが改めて確認をできたわけであります。そのような各国の代表の意見表明が続いている間に我々非常に感激しまして、隣におられた学術委員会の委員長の遠山先生は、ハンカチをだして涙を拭っておられると、そのくらい感激をしました。そして三保松原も含めて登録ということを議長が決定をしたその瞬間、本当に日本代表団は感情が爆発しまして思わず立ち上がって、万歳を叫んだということであります。同時に世界各国とも、非常にそれを祝福してくれ、非常に高い拍手をしてくれ、何人かの他国の委員はわざわざ来て、祝意を表明してくれたということでありまして大変に感激の瞬間でありました。多くの関係の皆さんの長年の努力が実ったと、とりわけ富士山の場合には日本のそれ以外の世界遺産と異なりまして、2つの県に跨り、市町村も10を超える市町村が関連するわけで、なかなか自治体がたくさんだとスムーズに意思決定ができないものでありますけれども、そういう中にあって、大変に意思疎通もよく一致結束して7年間努力をしてきたその成果が実ったということは、大変に素晴らしいことだと思っております。いずれにしましても、世紀の歴史的な瞬間に立会うことができて私としても光栄に思っているところです。

記者

改めて世界遺産登録で、どのような経済効果があるかお聞かせ願います。

知事

経済効果はいうまでもなく、直接的には、観光客が従来以上に過去の例を見ても訪れるであろうということに伴う波及効果だと思います。それに加えて、富士山のある山梨県ということが日本全国に改めて認識をされる。言ってみれば山梨のブランド力といいましょうか、そういうものが高まることに伴って、有形無形の間接的な波及効果が大きいだろうと思います。私どもとしては、それをできるだけ拡大をしていきたい。そのために、1つは富士北麓においでになるであろう観光客を、できるだけ山梨県全域に周遊をしてもらう。そのために、富士山とプラス八ヶ岳、富士山とプラス昇仙峡そういうふうに富士山と併せて観光地をPRし、波及効果が全県域に及ぶように努力をしていきたいと思います。それとお客さんが増える、それに対して一時的な利益至上主義に走ってしまいますと、結果的に安っぽい観光地になってしまうわけで、長い目で見ればまた観光客に逃げられて観光客が減ってしまうことになるわけですから、やはりこの世界遺産の恵みというものを、長く享受していくためには、今の段階で質を絶対に落とさない、質の高い観光地を行政も事業者も地域住民も作っていく、そのことが長い目で見て世界遺産の波及効果を最大限享受できる近道だと思っています。

記者

質の高い観光地づくりという点で、現状の富士山周辺の観光地をどう見ていらっしゃるかということと、これから検討していくのだと思いますが、質の高い観光地づくりのためにどういった方策があると考えていらっしゃるのか教えてください。

知事

現状でいいますと、富士山そのものは自然物として素晴らしいものであるし、それに触発されて生まれてきた文化も素晴らしいものであるわけですが、富士山とその周辺の景観などを見ると決して素晴らしいとはいえないという状況だと思います。よくいわれるように道路の配電線が蜘蛛の巣のように走っておりまして、富士山の一番良いカメラスポットにどうしても電線が架かってきてしまうという苦情を聞くことがございます。それから看板等が非常に乱雑に設置されているというようなこともありまして、富士山の素晴らしさを周辺の人為的な景観が害しているという面があるのだと思います。これは時間がかかりますが、地域の皆さんの理解を得ながら景観整備を負っていかなければならないと思います。

忍野村で忍野八海周辺の景観整備事業を進めてこられて、もう相当できてきておりますが、改めて今できた姿を見てみて、電線がほとんど無くなって、電柱が無くなって、看板類も極めて整理され、これだけで景観が一変して富士山と極めて調和した景観になっている。こういうことから見ても、そういった景観整備をしっかりとやっていかなければならない。そのことが結局質の高い観光地に繋がりプラスになるのだと思います。

その方策でありますが、行政はある種の規制をするとかそういうことが当然あるのですが、行政が一方的に規制をするだけではいけないのであって、やはり地域住民の皆さんに理解をしてもらい、地域住民の皆さんと一緒になって取り組んでいく。むしろ地域住民の皆さんの方が前向きに努力していく。そういう態勢に持っていくことが極めて大事だと思っております。そのためには地域の皆さんによくよく説明をしていくことが大事だと思っております。

さらに言えば、ちょっと口幅ったい言い方ですけれども、論理学の言葉に「合成の誤謬」という言葉がありまして、「部分最適は全体最適に繋がらない」ということなのですけれども、要するに一人一人が自分にとって一番良いと思うことをやった結果が全体が一番良いということにはならないということです。観光事業者さんが自分が一番利益が上がる方法といえば、看板を大きいのを作って、できるだけ目立つ旗を立てたりできるだけ目立つ建物にしたりということをやる。そうすれば自分としては利益が上がる。それが一番観光事業者さん個人にとっては最適かもしれません。その結果として観光地全体は大変に安っぽいものになってしまい観光客に飽きられ、結果的にそのマイナスというのは観光事業者さんに跳ね返ってくるわけです。そうではなくて、利益がここまで上がるのを少し抑えて、その代わり自分の観光施設が富士山にマッチしたような美しいものにしていく。そのために少し自分の利益は抑える様に努力する。そういうことを全体としてやれば非常に質の高い観光地ができて、結果的に長く世界中から質の高い観光客が訪れ、結果的に一人一人の生業も繁栄するというわけです。

そういうことをよく地域の皆さんに説明しながら、一緒に質の高い観光地づくりを進めていきたいと思っております。

記者

来月1日には夏山開きとなり相当数の登山者が訪れると思いますが、改めて世界遺産になった山に登られる方々に対しての注意喚起であったり県としての安全確保に対しての思いであったり、そういった喫緊の課題についてどのように考えられていて、どこまで対策ができているとお考えですか。

知事

世界遺産になった途端に事故が発生するというようなことではいけないわけで、国民の皆さんが富士山が世界遺産になったことを心底喜んでいただいている、そうした喜びに水を差すようなことをしてはいけませんので、当面の登山シーズンの安全対策というのは極めて重要だと思っております。

そのために国民の皆さんにお願いすることは、弾丸登山というような危険な登山は是非止めてもらいたい。富士山に登られる方、とりわけ頂上まで登られる方は途中の山小屋に1泊して十分休息を取り余裕を持って富士山に登っていただきたいということであります。途中休息を取らずに7時間8時間歩き続けて頂上で御来光を見ようということをされると、ご本人にとって事故を起す可能性が非常に高くなる。8合目に診療所がありますけれども、その診療所の調べによりますと、通常の余裕を持った登山をしている方と比べ、弾丸登山をしている方は高山病とか怪我をする確率が数倍高くなるといわれています。ご本人にとって危険でありますし、また、そういう方が非常に疲労しながら最後の8合目9合目を気ぜわしく御来光に間に合うように急いでいくということになると、どうしても途中で倒れたりとか登山道を外れて歩いたりとかして、結果として将棋倒しが起こったりあるいは落石が起こったり、他の人も危険にするわけです。弾丸登山というのは止めてもらいたい、山小屋に1泊してゆとりをもって登山をしていただきたいということを引き続き呼びかけて行きたいと思います。

それから当面の対策としては、国の法律を変えてもらったりとか条例を作ったりとかはなかなかできないわけですから、当面は、ある意味人海戦術になりますけれども、7合目から上は県・富士吉田市・山小屋組合などが誘導員を出して誘導しているわけですけれども、それを倍増しまして安全登山をしっかり指導するということにしております。同時に警察官も5合目6合目に従来よりも遙かに多く配置して安全登山をしっかりと監視指導してもらうようにしているわけであります。そういう関係者の皆さんの連絡体制をしっかり取っていくために、当然無線機はみんな持つわけですが、連絡本部というものも作ってお互いの連絡、情報交換をしっかりやりながら安全対策を組織全体として取っていく、という仕組みを作っていきたいと思っているところであります。既にそれについては組織としては決めておりますので、あとは実際に山の上の方にいっていただく人達を募集して、その誘導員になっていただく方によく研修をするというようなことをこれからやっていって、万全を期するようにしていきたいと思います。

記者

今回登録実現の場に行かれてイコモスやユネスコのいろいろな判断を聞かれたと思いますが、これまで現行の法律でかかっている規制で十分保全管理が可能というのが県側の地元に対する説明だったと思いますが、こういった過程を経て知事のお考えや認識の面で変化はありましたでしょうか。

知事

富士山世界遺産の構成資産とその周辺にバッファーゾーンというのがあるわけですが、ここについては文化財保護法、あるいは自然公園法、あるいは各市町村の景観条例というものがありますから、こういうものによって規制はできるということであります。そういう考え方を取ってきましたし、そのことは今でも変わりません。

ただ、イコモスが非常に富士山の保全対策を心配しているというのか、力を入れてもらいたいという強い意向を持っていることが明らかになりましたので、そういう制度の運用をさらにしっかりやっていくというのが当然ありますし、それから先程言いましたとおり単に法規制だけを強化すればいいわけではなくて、地域住民の皆さん、関係者の皆さんにそういう意識を持ってもらって、住民の主体的な努力としてやっていただくことが大事でありますから、そういう意識啓発をしていくことが大事だと思っております。

そういう中にあって、今の規制で大丈夫だと思っておりますけれども、場合によっては今の法律なりを直さなければならないということもあるかもしれません。その際には今日つくった(富士山世界遺産保存整備)山梨県・地方自治体連絡会議とか、あるいは以前からある保存管理協議会とかそういう場で十分議論して、関係者納得ずくの上でそういった規制の強化をやっていくということにしたいと思っております。

発表事項以外の質疑応答

 NHK連続テレビ小説について

記者

手前味噌で、他社の皆さんの前で大変恐縮ではあるのですが、昨日、NHKの朝の連続テレビ小説の舞台が山梨県ということになりまして、主人公の村岡(花子)さんの出生地が甲府であるということもありまして、連続テレビ小説の言ってみれば誘致がうまくいったということでもあるのですが、知事としては1年余り前から本格的にNHKの松本(正之)会長にもお会いになったりして、そういった取り組みに取り組んできたわけですが、率直にご感想はどうであるということと、どんなドラマになってもらったら一番いいなというようにお考えかということをお聞かせいただけますでしょうか。

知事

これは本当に私としても嬉しい決定でありました。去年の10月に松本(正之)会長にも会ってお願いしたわけであります。また歴代のNHKの甲府放送局長さん方もみんなそれぞれに実現に努力していただいたと聞いておりまして、本当にありがたいことだと思っております。

山梨県は朝のドラマでは平成9年に「あぐり」というものがあって、山梨に疎開したということで、山梨については既に1回行われていると、放映の対象としているということのようでありますけれども、今回、山梨出身者である村岡花子さんを主役として取り上げていただいて、大変にありがたいと思っております。

村岡花子と言えば「赤毛のアン」だけではなくて、児童文学と言いましょうか、少年少女文学というものの翻訳者としては第一人者で、ちょうど日本が戦後から復興していく、そして子ども達が多い、そういう時代に村岡花子さんの翻訳小説というものが本当にたくさん読まれて、子ども達に未来に大きな夢を与えてくれたのです。私なんかも何冊も読みましたし、今でも思い出します。この村岡花子さんの翻訳というものがその後の日本人に与えた影響というものは非常に大きいものがあると思っております。そういう意味でNHKの朝ドラに相応しいテーマではないかと思っているところであります。

県としては撮影その他に最大限、協力していきたいと思っているところです。

記者

どのようなドラマになってほしいかという点についても1点。今放送中のものも大変愛らしい主人公と面白い脚本に支えられて、人気を非常に得ているわけなのですが、こんどつくられるドラマはどのようになってほしいかということをお答えいただければ。

知事

村岡花子さんという人は山梨県出身で貧しい家庭に生まれて、しかしご両親の方針で貧しいにもかかわらず最高の教育を受けようということで東洋英和女学校に入って英語教育を受けたということであります。非常に頑張り屋で、けっして豊かな家庭ではない中、自分自身の努力で自分の道を切り開いていたわけです。今、日本の子ども達が今ひとつ未来に明るい展望を持てない。また、変化よりむしろ安定を求めるというようなところがあるわけですけれども、このドラマが日本の子ども達に夢と勇気と、努力することの大切さというものを教えてくれるようなドラマになってほしいと思っております。

記者

地域にとってどのようなドラマになってほしいかという視点で聞いておりました。

知事

地域にとっては、それは今言ったことと同じことで、やはり山梨の子ども達が自分達の先輩にはそういう人がいたのだということを知って、そして頑張る、1つの糧になるドラマであればいいなと思います。山梨出身の女性には立派な方が、例えば小川正子などという女医としてハンセン病に活躍した方もいるし、みんな頑張り屋で、一筋、自分の人生を貫いている方が多いわけであります。村岡花子さんもそういう人でありますけれども、是非山梨の子ども達に夢と勇気を与えてもらいたいと思います。

 

 

(以上)

 

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山梨県知事政策局広聴広報グループ 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
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