Vol.42 【観光】外国人に山梨の魅力を伝える! |
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今回のゲスト
《富士の国やまなし通訳案内士会事務局長》 松井由美子さん(甲斐市) |
夢を求めて再チャレンジ
学生の頃から英語は好きで、将来は「英語力を活かした仕事がしてみたい」と思っていました。短大の英語科を卒業後は山梨に戻り、縁あって婚礼の仕事に就きました。英語を直に使う事はほとんどありませんでしたが、そこで上司から学んだ「お客様に喜んで頂くために、心を込めて行き届いた仕事をすること」が今の自分の仕事に対する姿勢の基礎になっています。
平成5年にテレビ・舞台等の照明・音響業務を行う (株)イフチームに転職。そこで夫と出会いました。結婚、出産を経て、仕事を続けながら子育てと忙しい日々を過ごしていました。
子どもが成長するにつれ、「“自分として何かをした”と言えるものを持ちたい」そんな気持ちが少しずつ湧き上がり、再び英語の勉強を始めました。やり残した夢に気付いたようなわくわく感でした。その中で、英語と旅行が好きな私にぴったりの資格である通訳案内士の存在を知り、資格取得を志すようになりました。
最初の1年は、無我夢中で勉強し詰め込んだものが出てこないような状態で、結果は不合格。寝不足でしたし、子供にもさみしい思いをさせてしまったかも知れないと反省し、「家族を第一に、健康的な生活をしながら楽しくやろう。」と心に決めました。それからは、台所仕事や歯磨きなどの細切れ時間を活用して、壁に貼った単語を覚えるなど、工夫して勉強するようにしました。仕事も社員の協力のおかげで時間をやり繰りし、週1、2日落ち着いて勉強できる時間をつくりました。生活に勉強を取り入れるリズムができてくると、勉強していることも頭に入りやすくなりました。専門予備校の通信教育で勉強していましたが、模擬試験や模擬面接を受けるため東京にも通いました。
その甲斐あって、平成20年に5回目の挑戦で合格。応援してくれた夫も子供も一緒に大喜びしてくれて、正に喜びが2倍3倍に膨らみました。
※通訳案内士
通訳案内士は、単に語学力が優秀というだけでなく、日本地理、日本歴史、更に産業、経済、政治及び文化といった分野に至る幅広い知識が求められており、外国人旅行者に日本をより良く理解してもらうための、いわば「民間外交官」として重要な役割を担っています。報酬を受けて外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をする「通訳案内士(通訳ガイド)」になるには、観光庁長官が実施する「通訳案内士試験」に合格して都道府県に氏名、住所等を登録する必要があります。
富士の国やまなし通訳案内士会の設立
合格して1年目は、研修に参加したり、観光地を回ってみたりしました。山梨にも外国人観光客は相当数来訪されていることが分かりましたが、始めからツアーで通訳ガイドが同行することが多く、富士山のふもとに住んでいながら地元の通訳ガイドが案内する機会は非常に少ないのが現状でした。山梨を拠点に活動するにはどうしたらいいのだろうと考えを巡らせていました。
そんな時、NPO法人日本文化交流体験塾の米原理事長との出会いがありました。そこから富士河口湖町観光課や観光カリスマの小佐野様とも交流が生まれ、一歩を踏み出すきっかけを頂きました。山梨で通訳案内士のネットワークを作ってみようと考え始めたのです。
まず、県内の通訳案内士に仲間を募集する手紙を出しました。嬉しいことに、10名を超える方からお返事を頂き、そのほとんどが「山梨にもこういう会が必要だと思っていた」という賛同の声でした。最初は不安もありましたが、思い切って呼びかけたことで、同じように考えている方がいた事を知り、動き始めることになりました。
賛同してくれたメンバーと共に準備を進め、平成21年6月に「富士の国やまなし通訳案内士会」を設立しました。メンバーは現在8名(英語・中国語・フランス語)で、キャリア、年齢も様々ですが、頑張ってやっていこうという気持ちは皆一致しています。ネイティブガイドならではの、地元山梨の魅力をお伝えしていきたいと考えています。
今後の活動に向けて
現在、富士の国やまなし通訳案内士会では、3カ国語によるパンフレットの作成、富士山エリアを巡るツアーの企画、山梨の観光スポットを回っての研修会、日本文化の勉強会などを行っています。ゼロからのスタートでしたので、手探りでやっていかなければならず、失敗することもあると思いますが、柔軟に対応して修正しつつ進んでいけば良いと考えています。一歩一歩ゆっくり着実にやっていくことをモットーにやっていけたら良いです。継続して活動していくことが大切だと思っています。
また、会員同士、相互に交流を図り、研修会等を通して勉強を重ね通訳案内士としての質を高めていきたいと考えています。そして、自治体や観光業者の方など関係する皆さんからのご支援ご協力を賜りながら、地域に貢献できる会になっていきたいと思います。
これからチャレンジする女性へのメッセージ
自分の心の声をよく聞くことです。夢に向かって、「今だ」という心の声が聞こえてきたときに、一歩踏み出して行動することが大切だと思います。「これでいいのかな」と迷うときはなるべく心静かに考えて、決めるのは自分の心です。
もう一つは、周りにいる人を大切にすることです。一人では何もできないし、色々なことができたとしてもつまらないでしょう。それを分かち合える仲間や家族がいることが財産だと思います。
富士の国やまなし通訳案内士会
メールアドレス::yumi@if-team.co.jp
(取材日 平成22年1月13日)
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松井さんのこれまで
櫛形町(現南アルプス市)出身。短大の英語科を卒業後、 (株)花嫁センター(現(株)アピオ)に就職。結婚式の衣装を担当。
平成5年に照明、音響業務などを行う(株)イフチームに転職。結婚、出産後も仕事を続ける。
平成15年に英語の勉強を始め、国家資格の通訳案内士を目指す。平成20年に5回目のチャレンジで通訳案内士の試験に合格。
平成21年6月に富士の国やまなし通訳案内士会を設立。外国人に地元の魅力を伝えるため、富士山エリアを巡るツアーの企画やパンフレットの作成などの活動を始めている。