インタビュー

NPO法人甲府子ども劇場
Vol.32 【団体活動からNPO法人へ】変わらぬ主婦たちの思いが地域を育てる
今回のゲスト
NPO法人甲府子ども劇場さん
(甲府市)

30年間変わらない思い

 子どものための舞台芸術鑑賞をプロデュースする「子ども劇場」の活動は、福岡で始まり、全国を廻って学校公演をしていた人形劇団や児童劇団を通じて各地に広まりました。甲府では昭和51年に児童図書の関係者や幼稚園や小学校の先生などが中核になり準備会ができ、翌年、「甲府子ども劇場」が発足、文化・芸術に触れ舞台芸術鑑賞を主軸とした事業文化芸術体験・生活体験を通じて「豊かな感性や創造性、たくましく生きる力」を備えた子どもに育ってほしいと活動が始まりました。
 主婦たちではじめたこの活動は、男性からはいつ潰れてもおかしくないと言われたこともあるそうです。
 「でも、お母さんたちだから続いたとも言われたこともあるんです。どういう会社に勤めているとか、どういう宗教だとか、どんな考えを持っているかとか置いといて、子どものために続けたいというところでみんなの考えが一致するんです。」と子ども劇場のメンバーは言います。

NPO法人化

 発足から30年近くが経ったとき、甲府子ども劇場の活動に困難が増えてきました。一時期は1,200人を超えていた会員も減り、少子化に加え、子どもの塾や習い事、働く母親の増加など家庭の状況が変化した上に、学校乱入事件などで社会不安も増していました。「チラシを置いてもらうために学校の門を開けてもらうだけでも大変でした。」
 そうした中で、社会的に認められた団体となることが活動にプラスになるのではないかと考え、NPO法人となることを検討することにしました。「30年やってきたものと違うものになってしまう。」「今までやってきたことも公益的なものなんだから、NPO法人になっても活動は変えずにいける。」など意見は様々でしたが、1年間かけて話し合い、全会員が納得してNPO法人設立を決めました。NPO法人山梨県ボランティア協会に相談したり、NPO設立講座を受けたりして、平成18年6月にNPO法人としてスタートしました。

好評だった30周年記念公演

 現在は年4回ほどの公演を実施しています。キャンプや自主活動なども企画してほぼ毎月行事があります。
 「ただお芝居を見られればいいんじゃなくて、親も子どもも成長でき、人のことが考えられるような人間関係をつくっていきたい。」
 平成18年7月には「子ども劇場30周年記念公演」を開催。県民文化ホールでのオペラシアターこんにゃく座による「注文の多い料理店」は、470人もの入場者を迎え、大成功を納めました。
 代表の小笠原さんは言います。「主婦も子どもも意見を持って発言することで、子どもも主婦も鍛えられます。そして、子どもたちと関わったという親としての自信にもなるんです。そうやって30年続いてきた『子ども劇場』を、私たちも次に引き継いでいきたいと思います。」

NPO法人甲府子ども劇場
事務所  甲府市高畑1-20-26  tel・fax 055-232-7330
(月・火・金の10:00〜15:00開局)

☆子ども劇場の皆さんからのメッセージ☆

言い出しっぺと参謀役と太鼓持ち。3人いれば何かできる。
きっと、同じようなことを思っている人がいるから、まず声を出してみよう。

バックナンバー

甲府子ども劇場のこれまで

昭和52年、全国に「子ども劇場」ができる中、山梨でも「何かできるのではないか」と母親たちが集まって「甲府子ども劇場」が発足する。

活動がしやすくなるようにと、平成18年6月にNPO法人となる。

平成18年7月に30周年記念公演「注文の多い料理店」を開催。31年目も活動中

子ども劇場2