インタビュー

《社会保険労務士事務所経営》 加藤里美
Vol.26 【起業】プライドを持ってやりがいのある仕事がしたい。資格を取って社会保険労務士へ
今回のゲスト
《社会保険労務士事務所経営》 加藤里美さん
(南アルプス市)
加藤社会保険労務士事務所経営

仕事の延長線上にあった資格

 高校卒業後、大手のスーパーに就職した加藤さんは、女性の大半が販売担当に配属される中で事務を希望。当初は実習として販売も担当しましたが、やがて庶務課へ、そして総務から人事部へと配属になりました。そこで生涯の仕事となる社会保険の事務手続きに従事することになりました。その時に、自分の年金手帳はどうなっているんだろうと初めて意識したそうです。調べてみると、ない、あわてて再発行の手続き、実は母親が大事に保管していた、というエピソードがありました。
 7年ほど勤めた頃、ふと考えるようになりました。「一生懸命仕事をして、この会社では確かに重宝がられてはいるが、このまま作業的な仕事を続けても、仕事の内容を認められてもらえる男性とは違う。でも再就職ということになった時、女性って不利なのではないか?一生続けられる、プライドを持ってできる仕事をしたい。」
 何気なく見た雑誌で「社会保険労務士」という資格を知り、調べるとまさに自分がしている仕事。一気に興味が湧き、通信教育講座を受講することにしました。

※社会保険労務士…社会保険労務士法に基づき、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類、申請書等の作成、申請書等の提出代行、申請・届出等についての代理、労務管理その他の労働及び社会保険に関する事項についての相談及び指導を行う専門家

退職、資格取得、そして開業

 通信教育講座を受講したものの、退社は毎日夜7時過ぎ。集中して勉強できずに受講期間が過ぎてしまいました。これではいけない、と思い自分自身を追い込むために退職。毎日、図書館で勉強して資格を取得しました。
 次は「自分の売り込み」と思ったのですが、これがなかなかうまくいかなかったそうです。どうやって資格を生かすか悩みながら、アルバイトを3つ掛け持ちする状況が続きました。1年ほどして、アルバイトの一つ、今まで隔日で通っていた甲府の社会保険労務士事務所で、毎日働くことになりました。他のアルバイトは辞め、事務所の仕事に専念するうちに、次第に任される仕事も増え、残業もするようになり、自信も持てるようになった頃、事務所が閉じられることになりました。
 そして、自ら事務所を開業。夫はいずれ開業すると思っていたらしく協力的で、今でも家事はそのときできる方がするそうです。事務所では現在、数十社の依頼を女性スタッフ4人で切り盛りしています。「優遇しているわけではないんですが、再就職など大変な女性をできるだけ応援したいんです。県内には女性社会保険労務士は2割ほどですが、適していれば性別は関係ありません。むしろ女性の方が細かい仕事は向いているのかなと思います。」

やまなし女性異業種の会

 加藤さんは、県内の女性経営者によるやまなし女性異業種の会で副会長を務めています。この会は、会員相互が異分野の経営ノウハウを学び、情報交換、地域貢献活動を目的とし、男女共同参画推進センターぴゅあ総合で「起業セミナー」を開催するなど、会員のノウハウを生かした活動をしています。

☆加藤さんからのメッセージ☆

夢をあきらめないでほしい。
想像した何年後への夢に繋がっているのは今日や明日。毎日毎日を大切に生きてほしい。

高い目標を立てる必要はない。
外に研修に行くばかりじゃなくて、うちでやることができる身近なところから始めてほしい。

まずは、自分の頭と心を棚卸ししましょう。

バックナンバー

加藤さんのこれまで

高校卒業後、県内大手スーパーに勤める。人事総務部へ配属され、資格を取ろうと決心する。

一念発起し資格取得のため退職。資格取得後、先輩の社労士事務所で働く。平成4年に加藤社会保険労務士事務所を開業

現在、数十社のコンサルタントをしている。また、やまなし女性異業種の会の副会長として活動している

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