インタビュー

《陶芸家》 東條正美
Vol.13 【起業】今しかない・・・県職員をやめ陶芸の道へ
今回のゲスト
《陶芸家》 東條正美さん
(南アルプス市)
陶芸家 ギャラリー「てしごとや」経営

趣味から本格的な陶芸づくりへ

Q 県職員をやめ、本格的に陶芸の道に進もうとしたきっかけは何ですか?
県職員として働いて35年経った時に、体調がすぐれなかったこともあり「陶芸に打ち込むなら今しかない」と思い切って退職しました。ちょうど、陶芸に没頭する時間も長くなり、その分、自己流ではなく専門的な知識や勉強が必要となっていた頃で、「この情熱と体力がある60歳前に人生を賭けないと後悔する」と思ったのです。
 
Q 本格的に陶芸の道に進まれて苦労したことはありますか?
自分の作品づくりに対しての苦労や、結婚式の引き出物として大きさや雰囲気をほぼ同じ花瓶100個を作るという大変なこともありましたが、基本的には好きなことをやっているので、ストレスがありません。ギャラリー経営もお金もうけでやっているわけではないので、自分自身、楽しくイキイキとやっています。
また、夫は理解があり、ギャラリーの作品をのせる木の台や、窯場の小屋を作ってくれるなど協力してくれています。スクーリングで10日間ほど京都に出掛けている時も、夫が家事をやっています。

今までやってきたことは無駄ではなかった

Q 今まで経験されてきたことは何かプラスになっていますか?
35年間の勤めで自分の中に少しずつ蓄積してきたことがあったから躊躇せずにチャレンジできたと思います。大学に行ってからのレポート書きでも仕事をしていたことが役立っています。また、働いていたことである程度自由になるお金があったこともチャレンジできた理由のひとつだと思います。それと、若い頃から華道や手芸などあれこれやってきて、陶芸に打ち込むことになりましたが、すべて関連がありその結果がこうなったので、あれこれやってきたことも無駄ではなかったです。

Q これからの抱負をお聞かせください
家のまわりには自然がたくさんあるので、稲や果物、草花など自然の物を陶芸に取り入れていけたらいいなと思います。他には、大学を卒業した後、いろいろな国の陶芸を見てみたいということと、インターネットのホームページをつくり自分の作品を紹介していきたいです。
 陶芸展にも2度ほど出展して入賞しましたが、教授から「あれこれと作品を作って出展するのではなく、これと思う1品を出しなさい」と言われたので、今はその1品のために力を貯めています。

☆メッセージ☆

若い時は欲張っていろいろとやってみて、それから、だんだんとその範囲を狭めていき、自分が一生打ち込んでいけるものを見つけることが大事。それまでやってきたことは無駄にはなりません。


取材日:平成17年10月26日

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東條さんのこれまで

子どもの夏休みの工作づくりのため「親子陶芸教室」に参加し、初めて陶芸とであう。次第に陶芸のおもしろさに夢中になり自己流で作品を作り始める。

地域の陶芸仲間と作品づくりに励む一方、県庁で陶芸クラブの講師を務めるなど、20年間、趣味として陶芸に親しむ。

2002年、35年間務めた県庁を退職。53才で京都造形芸術大学の陶芸通信教育コースに入学し、本格的に陶芸の勉強を始める。

自宅の古い建物をリフォームして自作の陶芸作品を展示販売するギャラリーをオープン。陶芸教室も同所に開くほか、福祉施設や学校などでも講師として活躍している。

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