インタビュー

《グループホーム経営》 鷲見よしみ
Vol.30 【起業】異分野への挑戦 歯科医師から介護支援専門員に
今回のゲスト
《グループホーム経営》 鷲見よしみさん
(富士河口湖町)
グループホーム・デイサービス「うらら」
デイサービス「たんぽぽ」経営

仕事と家庭の両立

 富士河口湖町出身の鷲見さんは、大学の歯学部で学び、歯科医師の夫と結婚。岐阜県にある夫の実家の病院で歯科医師として働きながら二児をもうけました。昭和63年に独立して、鷲見さんの実家のある富士河口湖町に、「すみ歯科医院」を夫婦で開業しました。
 仕事と家庭の両立を保てたのは、パートナーの理解だと鷲見さんは言います。「女性が働ける条件は、周囲が働いていることを認めていてくれるということだと思います。そして、それを自分が感じられるかどうかで、仕事が続くか続かないか決まるんだと思います。」

入院を転機に介護の世界へ

 子どもが小学校に上がる年に、鷲見さんは体調を崩して入院しました。このとき、自分が生かされているという命の大切さを実感した鷲見さんは、退院してからデイサービスのボランティアをしました。患者として入院した経験とボランティアをした経験から、利用者の視点に立った、家庭の延長線上のように過ごせるデイサービス施設をつくりたいと思うようになっていきました。そして、平成10年に介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得しました。
 デイサービス事業を始めるときには、町の保健師さんに相談し、「町としては基盤整備はうれしいが、今の時点では委託がないとデイサービスは出来ないですよ。」と制度を教えてもらったりしました。
 そして、開設に向けて「子どもの声がする場所を」と探し、銀行からの融資も得られ、「すべてがそういう感じで、周囲の協力がありました。環境に恵まれました。」

デイサービス、グループホームの設立

 平成12年4月の介護保険法施行を待たず、平成11年10月にデイサービス「たんぽぽ」を開設。1日2人、3人から始めて、しだいに利用者さんが増えてきましたが、軌道に乗るまでに半年かかったそうです。平成14年9月には、認知症の利用者をよりよく介護するためにと、グループホーム・デイサービス「うらら」を富士吉田市に開設しました。
 「介護支援という分野で、まったくの素人が始めたというところが大変でした。でも、利用者が主体という視点は、スタッフに対しても私自身も、決してぶれないんです。だからこそ、スタッフも、中身のあるいい仕事をしたいという人が付いてきてくれるんです。仕事に誇りがあるんです。」
 鷲見さんは、平成16年から山梨県介護支援専門員連絡協議会の会長を務め、また、日本介護支援専門員協会の副会長としても活躍しています。
 介護の世界に入って良かったと鷲見さんは言います。「自分が一人で生きてないって事ですね。歯科医師だった頃は自分が行かないと物事が進まない。でもこの仕事は私一人じゃ何もできないんです。周りがいて、私の仕事が成立するっていうこと。それに気がついたことが大きかったですね。」

☆鷲見さんからのメッセージ☆

やりたいことをやっていく。でもごり押しや無理はしない。
自分がちゃんと やりたいって思っていて、着実にきちんとやっていったら、その思いはきっと叶うだろうし、きっといいこともいっぱいあると思います。

バックナンバー

鷲見さんのこれまで

富士河口湖町生まれ、岐阜県の大学の歯学部を卒業後、結婚して、岐阜県にある夫の実家の病院に勤め、後に富士河口湖町で「すみ歯科医院」を夫婦で開業する。

体調を崩して入院。退院後に興味のあったホスピスの活動・デイサービスのボランティアをする。介護支援専門員(ケアマネージャー)資格を取得

平成11年にデイサービス「たんぽぽ」を、平成14年にグループホーム・デイサービス「うらら」をそれぞれ開設する。
平成16年4月から山梨県介護支援専門員連絡協議会会長。平成17年11月から日本介護支援専門員協会の副会長

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