Vol.39 【地域事業】自分が住むまちを良くしたい! |
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今回のゲスト
《space“もやい”代表》溝呂木百合さん(上野原市) |
仕事と子育ての両立
溝呂木さんは、現在3人のお子さんを持つワーキングマザー。設計事務所やカラーデザイン事務所勤務を経て、平成9年に上野原町(現上野原市)内に建築士事務所を設立しました。1人目のお子さんを出産後、「社会と関わっていなければ生きていけない」との気持ちから、2ヶ月足らずで仕事に復帰しました。当初は、「地域性や結婚して子どもがいることをハンデにしないぞ」と意気込んでいましたが、子育てをする中で、「子どもがいるということを、ちょっと理解してもらってもいいのではないか」という気持ちに段々とシフトしていきました。
現在は、住宅設計の他に、高齢者や障害をもつ人の福祉住環境整備に向けた住宅改修を多く手掛けています。現場のスタッフの方々は、子育てと両立して仕事をすることに理解を示してくれています。
地域に目を向ける
子育てを始める前は地域と関わる機会がなく、近所に誰が住んでいるかさえ知りませんでしたが、子育てをする中で、地域と向き合い、行政と関わる必要性を感じるようになりました。
そんな時、ぴゅあ富士で行われた「自分で講座を企画する」という内容の講座に参加したことがきっかけで、偶然中学校時代の恩師に再会しました。恩師から地域活動の勧めを受ける中で、男女共同参画をはじめとした地域活動の世界に引き込まれていきました。
平成13年に男女共同参画アドバイザー養成講座を受講し、県内で活動している人たちと出会うことができました。そこから、地域で男女共同参画を広める活動を始め、上野原の男女共同参画プランの策定に取り組みました。「自分たちの言葉でつくらなければ、生きたものにはならない」という信念のもと、プランをつくりあげるなど、男女共同参画の活動はものすごく貴重な経験となりました。
また、その後上野原の様々な審議会委員を務めたことで、まちの状況が見えてきました。「自分の思いをきちんと伝えなければ」と女性の立場から一人反論して、自分の思いを主張したこともあるそうです。「公の場でのあいさつ・発言の機会を通して、度胸がついた」といいます。
こうした活動の結果、平成19年には山梨県男女共同参画事業者等表彰(県民表彰)を受賞しました。
これまでの活動を通して、「思いを同じくして動いていける仲間を得たことがものすごく大きい」といいます。
地域社会の絆『space“もやい”』の設立
「自分たちの住むまちを良くしたい。そのためには、行政を批判したり、提案するだけではなく、自分たちも動かなければまちは変わらない」と、同じ思いを持った仲間と一緒に、平成17年に市民団体『space“もやい”』を立ち上げました。
“もやい”とは、船と船を結ぶ固いロープの結び方のことです。また、たくさんの人達と物事を行うことを示す催合う(もやう)という意味もあり、ここに溝呂木さんの地域に対する思いが込められています。つまり、個々の人々がつながり合い、お互いに助け合って生きていける地域社会の絆を築くことを目的としています。
平成19年5月には、空き家を借りて様々な催し物や講座を行うようになりました。現在はカルチャースクールや企画講座、子育て支援講座、手作り作品等の展示・販売など、10名ほどの仲間と共に『space“もやい”』を運営しています。遺伝子組み換え食品についての講演会や有償ボランティア活動など、溝呂木さん自身が色々な場に積極的に参加した結果、出会った仲間達だそうです。今後は、固定したメンバーだけでなく、もっと裾野を広げていきたいと考えています。
また、“もやい”は「事業」として展開していることから、継続していくためには、事業としての採算をとることが課題です。しかし、「自分たちが楽しくないと続けられない」という強い思いがあるため、まずは自分たちが納得できる事業を進めていきたいと考えています。
溝呂木さんは次のように話します。「私は何事もやれないことはないと思っています。とにかく始めてしまえば、結果は後からついてくるものです。」
溝呂木さんからのメッセージ
いろいろなことをやりたいと思っている人はたくさんいると思います。でも、ただ一人で頭の中で考えているだけでは何も進みません。大切なのは、まず自ら行動し、たくさんの人と出会うこと。思いを共感できる仲間と出会えれば、きっと物事は進んでいきますよ。
<space“もやい”>
平日午前10時〜午後4時 原則として土日祝日は休み(休日に講座を実施することがあります)
〒409-0112 上野原市上野原1719-2(平成20年9月に移転)
電話番号:0554(63)2581
メールアドレス:spacemoyai@mail.goo.ne.jp
ブログ:http://spacemoyai.blog120.fc2.com/
(取材日 平成20年9月22日)
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溝呂木さんのこれまで
高校卒業後、都内で仕事をしながら夜間は専門学校に通い、建築設計の基礎を学ぶ。その後、都内の設計事務所に就職するが、結婚を機に上野原へ戻る。
子育てをしながら建築の仕事を続け、平成9年に「ひつじハウス2級建築士事務所」を設立。その後、男女共同参画の活動を積極的に行い、地域の代表として様々な分野の審議会委員を務める。
平成15年から山梨県立女子短期大学の非常勤講師を務め、現在は山梨県立大学で「住居学」、「福祉住環境コーディネート論」の講義を担当している。
平成17年に地域の仲間と共に『space”もやい”』を立ち上げる。平成19年5月に空き家を借り、コミュニティスペースとして本格的な活動を始める。