しょうゆの実
大豆と麹を発酵させてつくる保存食で、古くは峡中地域の伝統的な食として親しまれていましたが、現在は南アルプス市の芦安(あしやす)地域で伝承されています。
かつては各家庭で水でふやかした大豆で醤油を作っており、残った大豆を発酵させたものを「しょうゆの実」と呼んでいました。栄養満点のおかずであり、貴重なたんぱく源として食されてきました。
冬には欠かせない保存食であるため、醤油をつくらなくなった今でも毎年「しょうゆの実」をつくって大事に食されています。つくり方は各家庭によってレシピが異なることと、麹をつかった発酵食品のため、温度やつくり手のさじ加減により、味や香りも微妙に違います。
<主な地域>
南アルプス市
レシピ
材料
- 大豆2~4升(2.6~5.2kg)
- 麦麹1枚(約1kg)
使用する道具
- 薄くて広い木の箱1箱
- ワラ(ゴザでも良い)約1束
- タオル
- 毛布
作り方
しょうゆの実(乾燥)
- 煮る前に大豆はよく洗い、一晩水に漬ける。
- 大豆は納豆くらいの軟らかさになるまで4時間ほど煮る。
- 煮た大豆をザルにあげ、熱をとりながら1時間乾かし、さらさらにする。
- さらさらにした大豆に麦麹を細かくしたものを混ぜ合わせる。
- 木の箱にワラを薄く敷き、その上に麦麹を混ぜ合わせた大豆を3~4cmの厚さに入れる。
- 敷き詰めた大豆の上から大豆が少し隠れる程度にワラを薄く敷く。
- 【発酵】タオル・毛布をかけ、木の箱の中の温度を20度くらいにする。
- 豆から白いカビ(花という)が出たら、箱の下に敷いたワラをとりながら手を入れて混ぜ合わせる。
- 混ぜ合わせたら、またタオル・毛布を掛け、木箱の中を20度くらいにする。
- 何日かすると、白い花から黒い花になってくる。
- 豆全体に黒い花がついたら、タオル・毛布を取り外し、豆をよく乾かしてできあがり。
乾燥したしょうゆの実の調理法
- 水と少量のお酒の中にしょうゆの実を入れる(水・酒はしょうゆの実が浸る程度)。
- しょうゆの実が少し軟らかくなってきたら塩を少々入れる(塩味が足りない時は塩を足していく)。
- 1週間くらいすると、しょうゆの実ができる。
- できあがりには、ねぎ・しらすなどを入れて完成。
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