トップ > 県政情報・統計 > 知事 > 開の国やまなし こんにちは。知事の長崎です。 > 施政方針 > 平成30年度年度はじめ知事訓示要旨
ページID:84950更新日:2018年4月3日
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平成30年4月3日(火曜日)午前10時から 防災新館2階会議室
訓示内容 |
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皆さん、おはようございます。大変お忙しい時間帯にお時間をつくっていただきまして、ありがとうございます。
年度初めにあたり、一言皆さま方にお願いを申し上げたいと思います。外では、桜前線が昨年以上に早く山梨にも到達をし、甲府城の周辺の桜も満開から少し散り始めているところでございます。私も、桜は桃と同じくらい好きであります。なぜこの桜が、皆さん方にとって、日本人にとって、山梨県民にとって好きな花の、多分ナンバーワンなのかと自分なりに考えてみました。理由は多分3つあるのではないかと思います。山梨の冬は、今は冷暖房が完備されていますから、それほどではありませんけれども、古来から、厳しい冬から春の到来を告げる、その季節性ということが1点。そして万葉集などにも多く詠まれ、その文化性、芸術性というもの、さらに言えば、よく言われるように、満開になるとあっという間に、イメージ以上に早く散ってしまうという、この潔さ、これらの3つが日本人の気質、甲州人の気質に非常に合っているものなのかなと思います。
3月30日に115人の皆さん方の先輩をお送りいたしました。日付で言うと、3月31日ということであります。私とちょうど同級生でありましたから、それぞれの名前、また顔も含めて非常に懐かしい反面、一抹の寂しさというものも覚えた次第であります。私たちの同級生、そして先輩たちが脈々と県政という場でそれぞれの仕事をやり切り、そして山梨県の発展、暮らしの向上に資するということへの御労苦に、心から改めて感謝と敬意を申し上げるとともに、それを皆さん方がきちんと後輩として引き継いでいただきたいというように思います。
また、4月1日、実際の辞令交付は昨日でありましたけれども、106人の新採用職員の辞令交付式を行いました。言うまでもなく、今まで社会というものに入って、実際いろいろな仕事をしたり、上司といろいろな意見を戦わせ、そして対価として給料を得たりという、いわゆる社会性というものは、まだまだ皆さん方には到底及ぶわけではありません。しかしながら、感性、視点、そして感覚というものは、今まで皆さん方と違った部分に生まれ育ち、そしてそれを引き出すのが幹部職員の皆さん方の力だと思っています。時代は大きく動いています。また後ほど触れますけれども、あらゆる角度から新しい施策、新しい事業、それを社会の中で伍して、日本が、そして山梨県が戦っていくためには、その若い感性が何よりも必要だということに、ぜひ力点を置きながら、新採用職員の指導も含めて、皆さん方にお願いをしたいと思います。
平成30年度がスタートをしました。1月4日にもお話しましたけれども、来年の5月からは平成から新しい時代の突入ということがすでに決定をされています。元号が変わるときには、過去の、平成、また昭和を懐かしんだり、また大正、昭和であれば明治という時代を懐かしんだり、いろいろなことの節目の中で仕事をしていくというのが、私たちの役割であります。大人としての感性というものは、いろいろな歴史から、そして過去の問題を自分なりにひもとき、そしてそれを仕事や生活に生かすということが何よりも大切ではないかなと思います。
今年は、実りを収穫し、次の展開に備えるという、戊戌(つちのえいぬ)の年であります。ちょうど60年前は、昭和33年、1958年であります。皆さん方の中には、その年にお生まれになった方も何人かいらっしゃると思いますが、その年に何があったかと歴史をひもとくと、国道20号の新笹子トンネルが開通をし、その後の山梨県の発展のベースが1つできたという年であります。
当時の人口を振り返ってみますと、昭和20年から21年が戦後のいったんのピークで、90万人弱まで増加し、そしてちょうど60年前は実は80万人を切るという人口の状況でありました。その数字が高度成長で、いわゆる当時の集団就職とか、経済所得の向上の中で大学進学率が向上する中で、人口が流出をし、昭和41年までその状況が続きます。そうした戦後20年間、山梨県では人口減が続いたが、中央道の全線開通、そしてその前後の工業団地の造成等、いろいろな企業が新しく山梨県に進出し、その前提として、社会基盤の整備が中央道を中心にされたということであります。
これからの将来を展望すると、これもいつもお話をしているように、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、昨日、ビーチバレーの事前合宿が北杜市で決定をしたところであります。さらに言えば、その前後にラグビーワールドカップも含めて、昨日日本陸連の専務理事ほかが、ぜひ来年のアジア大会の事前合宿、そして2019年の世界大会の事前合宿、さらには東京オリンピック・パラリンピック本番の合宿地として、ぜひ富士北麓公園を使いたい、というお申し出がございました。そういうことから言うと、今そういういろいろなプラスの環境に資してきたのは、皆さん方のお力、そして先ほどもお話をしたように、皆さん方の先輩の脈々と続けてきた、その証しだと思っています。
いずれにしましても、60年前の高度成長の時代に対して、今、定常化経済という用語をよく使っています。なかなか日本は、経済成長がほかの国と比べて伸び悩んでいる。そして1人当たりの所得もなかなか伸びないという状況が続いているというところです。いずれにしましても、2027年のリニアの開業も含めて、中部横断道も中央道と東名が接続するという、今までかつてない縦軸、南北軸も開業するということであります。先ほどの中央道の全線開通の前後と併せて、まだまだ厳しい時代が山梨県全体に続くかもしれませんが、将来を見据えて、自らの仕事、そして自らの職責をぜひ全うしていただきたいと思います。
また、昨年の10月に県民の皆さんの意識調査というものを取りまとめてきたところであります。県民の皆さん方の満足度がその前の5年前に比べると、8ポイント上昇したということで、それをもっともっと県民の皆さん方が、あらゆる角度で満足度が向上するということが、私たちに与えられた役割であります。ただ、2つの分野だけには、その向上の効果というよりも、むしろもう少し頑張れというご指摘を受けています。1つが、公共交通期間のもっと充実を、ということと、いわゆる娯楽というものが少ないということであります。そういう意味では、県民の皆さま方のニーズというものは、60年前、また皆さん方がそれぞれの立場で県庁に入庁された時代と比べれば、はるかに多様化、複雑化をしているという証しだと思います。ある意味では、行政サービス、施策の提供というものは、きめ細かな県民の皆さま方のニーズにどうお応えをしていくかということが問われるのではないかなと思います。本県が今まで以上に発展するため、皆さん方、それぞれ部局長、また所属長になっている皆さん方ばかりでございますので、ぜひ、問題、課題を県庁全体で共有し、そしてその課題解決に向けて全力投球をしていただきたいと思います。
続きまして、皆さん方には、新しく所属長になった方も含めて、部下の皆さん、職員の皆さん方とどう対応するのかということについて、3点お願いをしたいと思います。いつもお話をさせていただいているように、皆さん方は職員を取りまとめる立場であります。そういう意味では、昨日も庁議の中でお話をさせてもらいましたけれども、やはり現場に出るということを、皆さん自身も、そして職員の皆さん方にも、ぜひお伝えをいただき、それを実行していただきたいと思います。自分の与えられた仕事だけではなく、新しい発想、新しい事業、そしてその地域や、産業界の皆さん方がどう思われているのかということを、やはり直接話を聞き、意見交換をするという中で、そのヒントを得たり、事業の方向性というものを、ぜひ磨いていただきたいと思います。現場を知ることからすべてが始まると言っても過言ではないと思っています。
2つ目は、これもいつもお話をさせていただいていることですが、チャレンジをしてください。チャレンジがない仕事というものは、発展性がないということであります。もちろん与えられた仕事への対応が難しい、そしてワークライフバランスということで、ある一定の時間内にやり遂げなければいけないということはもちろん当然でありますが、その上でチャレンジをしていただきたいということであります。
そして3点目は、私もいつも皆さん方にお話ししていますが、最終的な責任は、私が取らせていただきます。そういう意味では、所属、そして部局の中の責任は、皆さんが取っていただくという姿勢で、職員の皆さん方に接していただきたい。それが多分、若い職員、そして中堅の職員の能力を生かすということになると思いますので、ぜひこの3点は、皆さんの責任で実行していただきたいと思います。
そしてそれを実行する際に、いくつかの視点を持ってもらう必要があります。これも実は、昨日庁議でお話をさせてもらいましたけれども、今まで虫の目と、鳥の目という話をさせてもらいました。虫の目は言うまでもなく専門性を磨き、現場力を向上させるということであります。凝視をしながら、自分が一番そのエキスパートになっていくということであります。2つ目の、鳥の目というのは、大局的に俯瞰をし、そして自分の仕事、自分のポジション、立ち位置というものをどういう形にするかということであります。そしてもう1つ、今年は付け加えさせていただきたいと思います。魚(さかな)の目を持っていただきたいということであります。これも後ほど触れますが、今時代は大きく、第4次産業革命の中で推移をしています。その第4次産業革命に、山梨県全体が地域、そして産業界が、それに乗っていけるかどうかということであります。そういう意味では、魚は潮の流れというものを予測する力があると言われています。皆さん方が1つの方向性を出す場合、自分自身は全体が見られなくても、社会の変化や潮流、いわゆるその流れですね、ぜひこの魚(さかな)の目というものを、皆さん方がもう一度確認をし、再認識していただいて、その実行をしていただける1つのテーマにしていただきたいと思います。
今、アメリカではトランプさんが2年目を迎え、そしてEUでも、いわゆる自国主義、何々ファーストという言葉が、昨年は特にはやっていました。ただそれがどこまで続くかもちろん分かりませんが、今アメリカは、いわゆる関税障壁を作りながら、いわゆる今までのWTOの体制がもしかしたら少し変化をしようというところまで来ています。そういう意味ではお隣の中国、そしてアメリカ、そしてEU、アジア、いろいろな国、いろいろな地域の、やはりこれからの政策、施策、そして物を買う力、そして向こうから例えば山梨にいろいろな企業が来る、そんな力の集大成をするという前提で、その魚(さかな)の目というものを持ちながら、時代の潮流に乗り遅れないように、ぜひお願いをしたいと思います。
そして、技術革新では、もうこの1年、2年で、繰り返しお話をしましたけれども、いわゆるIOT、AI、そしてドローン、ビッグデータ、いろいろな新しい手段、新しい技術というものが、今は、身の回りの中でいっぱい溢れています。それを自分たちの仕事、事業にどう活用できるかどうか、そしていち早くそれを活用することで、山梨県の産業の力をより強めていけるかどうかは、それに大きく関わっていると思います。そういう意味では、消費や生産、そして全てがその部分で変化をしながら、これからの山梨県がどうあるべきか、どういう地域づくりをすべきか、ということをぜひもう一度皆さん方が確認をし、そして同じ方向感で仕事をしていただきたいと思います。
この3年間、皆さん方と一緒にいろいろな事業をやってまいりました。いわゆる水ブランド戦略では、育水ということをキーワードにしながら対応し、また、やまなしパワー、そして廃棄物の処理の向上にも、いわゆるエネルギーという視点も含めて対応を進めてまいりました。当然これが全ての変化を起こすキーワードではありません。1つの手段だというように思っています。そういう意味では、山梨の今ある魅力、山梨らしいものを、例えば私はいつも海外や、県外に行ったときにお話しを、県内でも最近は繰り返しお話しをさせてもらいますけれども、今日の天気のように「いい天気」、「いい水」、「いい空気」、これは中にいると当たり前のキーワードでありますけれども、これが類い稀な山梨らしい、山梨の優れた、私は資源だと信じています。ぜひ皆さん方と一緒に、国内外にこの山梨の魅力を、このキーワードをベースに伝えていく、そんな今年度にしていただければと思います。
そして2点目が、服務規律の確保であります。皆さん方の職場では、ほぼこの1、2年、あまりいろいろな出来事がなかったのかなと思います。それを1人の職員が、いわゆる法令遵守にあらがうような行為をすると、私たち県庁の全てがノーという視点で見られるということであります。このことは、5日の新採用職員の皆さん方にも繰り返しお願いをすることにしていますけども、やはり法令を遵守して、そして県庁マン、県庁ウーマンであるという自覚を持ちながら対応をしていただきたいということであります。
健康で仕事ができるということは何よりも大切なことであります。当然今の時代はワークライフバランスという、要するに仕事と、家庭の両立ということも含めてでありますけども、皆さん方がその先頭に立って、職員の皆さん方に職務規律の確保徹底ということにつきましても、ぜひとも再度要請をしていただけるように、お願いをしておきたいと思います。
そして、今日、30人の新所属長の皆さん方が、この場にお集まりをいただいていると聞いております。30人の皆さん方は、4月、昨日から実際仕事の場所において、それぞれの所属長というお立場で、仕事をしていただくポジションになりました。ぜひその中で、特に30人の皆さん方だけではありませんけれども、3つのお願いがあります。
これは実は、私個人が自分の心構えとして、常に持ち合わせているものであります。1つは、どんなに難しい事業、どんなに困難なことがあってもあきらめてはいけないということであります。これが1点であります。2つ目が他の人、もしくは他の組織、言葉を変えてもいいと思いますけれども、他の人を思いやる気持ちをぜひ持ち続けていただきたいということであります。そして自らの仕事や、また皆さん自身も誇りを持ってお仕事にまい進をしていただきたいということであります。あきらめないこと、他人を思いやること、そして誇りを持つこと、この3点をぜひ新しい所属長の皆さん方を中心に、改めて確認をしていただきながら、これが多分自分の心の中心にあり続ける限り、必ず昨年度以上に、皆さん方はいい仕事、いい山梨県をつくる素地を、基盤を作っていただけると確信をしています。
そして皆さん方の、先ほど言った広い視野、いわゆる鳥の目を持ちながら、他の部局や所属、まず県庁の中で連携をするというのは、ある意味では当たり前のことであります。この3年間、部局の壁というのが、どんどんハードルが低くなって、いろいろな物事、事業や仕事をする際に、いわゆる部局間連携、所属長の皆さん方が協力し合って対応するというケースができましたけれども、まだまだ全てではないとお聞きしています。ぜひそうした連携というものに、さらに取り組んでいただき、そしてその時に、先ほどお話したあきらめないことの裏返しになるのですが、自分はここまでが限界だ、自分たちの事業はここまでしかできないという、限界とか常識というものをいったん取り払って、その壁というものをできるだけ低い壁にしていただきたいということであります。所属長になった皆さん方は、今までの30年ほどの経験、そしていわゆる気力というものは、多分県庁生活の中でも一番のピークだと思っていますので、ぜひ皆さん方のこれからの奮起、そしてお仕事が活性化できるようにお願いをしたいと思います。
そして、恒例でありますから、いろいろ4字熟語を考えました。考えたのですが、一番分かりやすいことをもう一度皆さんにお願いをしたいと思います。仕事というものは、皆さん方が当然当たり前だと思っているかもしれませんが、やはり県民の皆さんのために、山梨県が発展するために、「一生懸命」やっていただきたいということであります。これは、一生を取ると懸命だけなので、少し強すぎる言葉かなと思って、自分の限られた土地を守るという形で、「所」を使う場合もありますけれども、やはり生涯をかけて県庁マン、県庁ウーマンとして皆さん方は公の奉仕を、仕事としているわけですから、ぜひ一生懸命皆さん方が、それぞれのポジションをやり抜いていただき、そして一歩上の目標を持って対応していただければ、必ず山梨県の基盤はもっと底上げができますし、先ほどの社会資本の整備についても、これはやりきらなければいけない事業でありますから、ぜひこの言葉を、今年度ぜひ胸に秘めながら、実は5日の新採用職員には一枚紙で配ることにしましたが、難しい言葉だと忘れてしまう場合がありますが、これは簡単ですから、ぜひ一生懸命という形で、キーワードを覚えておいていただきたいと思います。
私がいつもこの間お話しをしてきたように、いろいろな魅力、地域の力、産業の力、企業の力、個人の力があります。それをやはり、足し算、割り算、引き算ではなく、掛け算にしていきたいというのが、私の本当に強い思いであります。その職場のキーパーソンになるのがやはり皆さん方であります。仕事を束ねる、地域を束ねる、その力と権能が県民の皆さんから与えられているのは県庁の皆さん方の仕事だと私は確信をしています。そういう意味では、あきらめない、そして他人を思いやる、最後の部分に一番共通をする、この誇りを持つというのは、皆さん自身に今の一生懸命するということと、併せて対応をこれからもお願いしたいと思います。
最後になりますが、ぜひ皆さん方の仕事を、まず全うする、そして拡大をする、成長する。それが皆さん方の仕事だと思っています。本年度、この山梨県の魅力がしっかり基盤が整備でき、そしてそれを多くの県民の皆さん方に、それぞれの事業や施策というものをしっかりお伝えし、活用していただく、いわゆる実感をする年だと1月にお話をさせてもらいました。県民の皆さん方は、皆さん方の姿勢を見ています。私自身ももちろんそうであります。今年度、改めて皆さん方と一緒に仕事ができることを誇りに思い、そして山梨県の発展、山梨県の将来が光り輝くそんな山梨県になるように、ぜひ皆さん方のお力をお貸ししていただき、私と一緒に頑張っていただきたいと思います。ぜひこの平成30年度が皆さん方にとって、昨年度以上に良い年に、年度になりますように心から念じ上げて、皆さん方へのお願い、そして私の気持ちをお伝えさせていただきました。以上で終わります。ありがとうございました。
(以上)