ページID:77406更新日:2009年2月1日

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平成18年知事年頭あいさつ要旨

詳細内容

平成18年知事年頭あいさつの様子(JPG:126KB) 平成18年知事年頭あいさつ要旨

日時:平成18年1月4日(水)午前10時から
場所:恩賜林記念館

 皆さん、明けましておめでとうございます。
 ご家族おそろいで輝かしい新年をお迎えになられましたことと、心からお慶び申し上げます。
 また、昨年は非常に厳しい中にありましても、県政推進に当たりまして大変ご尽力を頂きましたこと、改めて感謝申し上げる次第です。
 さて、昨年を振り返ってみますと、いろいろな出来事がありました。
 暮れの、ヴァンフォーレ甲府のJ1昇格、また、正月の箱根駅伝においては、山梨学院大学が予想を覆して準優勝という素晴らしい成績を収められました。
 これはひとえに選手、監督、役員の方々の絶え間ない努力と、その集中力によって勝ち取ったものではないかと、改めて敬意と祝意を表する次第でございます。
 さて、国、内外を見渡した時に大変めまぐるしく変化した一年でもあったと思います。
 特に、災害、あるいは事件というものが多発した年でもあったと思います。
 また、景気の方も長引いた不況の中から一段落したと言いましょうか、踊り場を脱却したというようなことが言われましたが、この回復が堅調なものとして、今年以降ますます成長していく過程というものを夢見て、私どもも頑張っていかなければならないと思っております。
 一方、私ども県の事業の懸案事項としては、博物館がオープンを致しました。
 入館者数も順調に推移をして、予想を上回る人数だということですので、これからこの博物館の運営等については、更に充実をした中で、「山梨に博物館あり」と言われるように、立派なものに育て上げていきたいと思っています。
 同じく、教育問題としての高等学校の入試制度改革につきましては、県立の普通科高校の入試に「全県一学区」を導入するなどの方向が示されたわけでありまして、平成19年度以降、全県一学区制として施行されていくわけですが、そのためにはそれぞれ各高等学校において特色を出して、お互いに競い合うことが大事ではないかと思っていますので、それぞれの高等学校のご尽力に期待を致すところでもあります。
 そして、長年の懸案事項でありました、産業廃棄物の最終処分場の問題、いわゆる明野問題については、昨年の12月に北杜市、環境整備事業団と協定を結ぶことが出来ましたが、その間には、峡北地区廃棄物整備検討委員会の委員の方々に大変ご尽力を頂きました。
 そして、最終的には、「明野の現計画地が最適地だ」との答申も頂きました。
 これに基づきまして、県におきましても周辺の住民の皆様方に説明会を行ってきました。
 一部、反対もあるわけですが、ほとんどの方々にご同意を頂いているという中で、12月には北杜市、環境整備事業団と今後の建設についての協定にこぎ着けることが出来たということでございまして、ここに至ります多くの関係者の皆様方に心から敬意を表したいと思っております。
 それからもう一つは、市町村合併が進展をしたということであります。
 この平成17年度末には、13市16町村の29市町村になります。それぞれ合併しました市町村におかれましては、特色を生かしながら、これから住民のサービスに向けて徹底した努力を積み重ねていってくれるのではないかと思っております。
 まだ合併していない町村もあるわけですが、こうした町村の中でも「何とか合併して、一緒に仲間入りをして、良い町、良い村をつくっていきたい」という要望のあるところもたくさんあるようでありますので、こうした所のご努力を願うとともに、県としてもこれらの町村に対しての適切な指導、助言をして参りたいと思っているところであります。
 こうしたことが行われてきますと、その次にきますのは、道州制ということになるわけであります。
 この道州制につきましては、昨年、地方制度調査会の諸井会長を始め、委員の皆様方にご来県頂きまして、私どもと市町村代表、あるいは経済界代表との意見交換というものを行ったところでありますが、この中での話題というものは、二層制(道州と市町村)なのか、三層制(道州、県、市町村)なのかという議論が相当交わされているように受け止めました。
 やはり、これからの国の在り方というものを考えた時に、二層制ということがベターなのではないかという方向に動いているということも、私どもはしっかりと受け止めていかなければならないと思っております。
 特に関連するというわけではありませんが、この12月に国土交通省の蔵元官房審議官が私の所においでになりました。
 何かと言うと、今までの「国土総合開発計画」を「国土形成計画」にしていくということで、「国土形成計画」の策定に向けての考え方の説明をしに来たということです。
 その内容について、少し触れさせて頂きますが、これからの国土形成計画の中には、都道府県の提案というものをしっかりと受け止めていく制度を作っていくということであります。
 その制度を作るためには、国の地方支分部局、あるいは都道府県、関係政令市、地元経済界が対等の立場で協議会を設立して、広域地方計画を創設していくというものであります。
 難しい言葉でありますが、ブロック単位の計画を作って、国土の形成を図っていこうということであります。
 このことについて、本県に関わりがあることを一、二申し上げますと、景観とか環境を含めた国土の質的向上を図る中で、その地域の自主的な発展を可能にする国土形成を図るということであります。
 「複数の圏域に係るプロジェクトを効率的に推進出来るように、広域地方計画間の調整を図る」というふうに謳われています。
 どういうことかと言いますと、本県に関係することですと、例えば、リニアモーターカー、あるいは中部横断自動車道の問題、更には、広域観光、富士山の世界文化遺産登録などが該当するということであります。
 また、リニアモーターカーにつきましては、もう皆さん方もご存じのことでありますが、技術的な問題は既にクリアーしていると言われております。
 今は、如何にコストを下げることが出来るかという研究を進めていこうということでありまして、山梨県として、「山梨リニア実験線の一般区間、24.4キロメートルをすぐに着工すべきだ」と言ってきたわけですが、国土交通省から「着工を概ね5年間猶予して、その間にもっとコストを下げる研究をしていきたい」という申し入れがあり、県としては了解をしてきました。
 今後、国土形成計画により広域的にとらえるということになりますと、このリニアモーターカーにつきましては、本県が主体的に中心となって取り組んできたわけですが、今度は、その沿線に関わる各都道府県等と一体となって、こうした問題を考えていこうということでありまして、これからは今まで以上に各県とも力を共同して、この問題を成功させていくために努力をしていくようになると思っております。
 その中心的な役割を果たしていくのは山梨県でありますけれども、何とか見通しが立てられるようにして参りたいと考えているところであります。
 もう一つは、中部横断自動車道の問題であります。
 この問題につきましては、既に静岡県におきまして、「清水港や、今、建設中である静岡空港を山梨も一緒になって活用し、また、中部横断自動車道を使っての清水港への物資の搬送も必要になってくる。静岡県も当然、山梨との交流というものを考えた時に絶対に欠かすことの出来ないものであるので、積極的に対応を図っていく」という言葉も頂いているわけです。
 しかし、日本道路公団が民営化されましたので、今までのように道路公団直轄の事業としてとらえていくことは非常に難しくなってきたということです。
 民営化されて中日本高速道路株式会社というようなことになりますと、会社ですからどうしても採算性を重視していくことになります。
 全部を国直轄の事業として行うのは難しい、やはり新しい新直轄方式、いわば、県も建設費を負担していくという方向で完成を見ていこうという提案もありました。
 今、私どもと国土交通省との協議を積み重ねているわけですが、今月に開催されます国土開発幹線自動車道建設会議でこの問題が当然、議論されてくると思いますが、これは一つには、私どもが新直轄方式を受けていくという意志を表明することが大事になっているわけです。
 私どももいろいろ考えています。財政的な問題もあります。しかし、有利な方向で決着出来るならば、新直轄方式も辞さないという姿で一時も早く全線開通を実現させ、この連携軸というものを組み立てていきたいと考えているところであります。
 同じように、静岡県と共同して、富士山の世界文化遺産登録について、12月19日に登録推進のための合同会議を設置致しました。
 そして、これからは、この富士山周辺地域の市町村の皆さんにもご協力を頂き、文化遺産として申請する区域の核となる「コアゾーン」はどこにするか、それを取り巻く緩衝地帯、「バッファーゾーン」をどこにしていこうか、ということをしっかりと、各市町村等を含めた中で検討し、その「コアゾーン」、「バッファーゾーン」を決定したものによって、一時も早く国内暫定リストに搭載されることによって、5年間くらいの間に、何とか実現の見通しが立って来るのではないかと思っております。
 これは、どうしてそういう方向に力を入れていかなければならないのかということでありますが、これもまた広域的にとらえていかなければならない広域観光振興ということであります。
 既に、関東知事会の中におきましては、広域的な国際観光ということに対して、連携をしてみんなで頑張っていこうということで、事業はスタートしております。
 そのためには、関東地域の中の核となる山梨、静岡の中には、富士山の世界文化遺産登録は欠かすこと出来ないものであるということは、皆さん方もご存じのことではないかと思います。
 こういうことはやはり、山梨、静岡のみならず、関東地域としてもこの富士山の世界文化遺産登録にご協力を頂くという方向にきているということであります。
 逆に、私どもは、2016年のオリンピックを東京に招致するということで東京都が今、手を挙げていますが、こういう問題に関しても関東地域として、これに全面的な協力をして、東京へのオリンピックの招致を図り、そして、世界に向けての富士山を中心とした観光振興につなげていこうということも考えているのであります。
 このように、今後は広域で、またブロックごとに国土形成計画というものが組み立てられてくるという時代に変わってくるのであります。
 そのことを考えた時に、本県の将来の姿というものはどうなるか、今、私どもは現実の問題への対応というものが大事になってくるわけであります。
 私は、いつも申し上げておりますが、「この山梨は、『森の国』、『水の国』である。その山梨をつくっていくんだ」と言っているわけであります。
 ちなみに、20年以上も前に、「地球が危ない」と言われてきました。そして、1970年にローマ会議において「成長の限界」ということが指摘されてから35年が過ぎ、今や、「地球文明」の危機ということが真剣に議論されるようになってきました。
昨年2月に、京都議定書が発効しましたが、我が国が世界に約束した温室効果ガス排出量の削減目標は1990年に比べ6パーセントの削減です。
 これに貢献するため、本県では、2010年時点、あと4年後ということでありますが、二酸化炭素換算で、工場、家庭、運輸部門などの排出削減対策により、無対策の場合の推計値に対して、1,543トン、更に、森林の整備・保全による吸収源対策により、864トンを削減する計画となっております。
 このうち、森林による吸収の864トンを達成するためには、現在の育成林16万ヘクタールと天然林11万ヘクタールが今後も適切に整備・保全され、樹木が生長していくことが必要ではないかと思います。
 本県の森林面積のうち県有林が44パーセント、これに国有林や市町村有林などを合わせた公有林全体では62パーセントに及ぶということであります。
 この公有林の森林整備は比較的やりやすいわけですが、難問は残り38パーセントの民有林ということであります。
 林業を取り巻く環境は、依然として非常に厳しいものがあるわけでありますが、このため、本県では、県、市町村、民間の森林所有者、NPOなどが連携して、森林の保全・整備に取り組んでいるところであります。
 また、あらゆる産業の根幹を成す農業もしかりであります。
 こうした中で、温暖化防止のほか、県土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全など、多面的な機能を持つ森林については、山梨の「美力」アップにもつながっていくわけですので、こうしたことに本腰を入れ取り組んでいきたいと思っております。
 また、こうした清らかな水と環境の中にこそ、先端産業というものも立地されてくるということを考えました時に、この「『水の国』、『森の国』、山梨の創造」というものは、これからの将来にわたっての山梨の最重要施策であると考えているところであります。
 その点につきまして、皆様方の更なるご協力をお願い申し上げる次第であります。
 それから、暮れに竹中総務大臣から更なる行政改革を進めていくようにという文書が来ました。
 これから、まだまだ地方としての自立出来る姿をつくっていくためにはもっと、もっと、「小さな県庁 大きなサービス」に向かって、努力をしてくださいということであったわけであります。
 そのことを考えます時に、県庁は今まで何となく「事業官庁」と見られてきております。
 これを「政策官庁」へ切り替えていく必要があるのではないかと思うのであります。
 これはどういうことかと言いますと、「事業官庁」というものは独創性というものはなく、いわば上からの押し付けなどによっていろいろな事業を行い、ただ、受け継いで下へ下ろしていくに過ぎない感じが多くするわけです。
 これからは、「政策官庁」、自らが計画をして、立案して、それを執行していくということが最も大事な時代にきていると思います。 20年くらい前でしょうか、過去において、「少子高齢化、情報化、国際化という時代が来る」と言われていました。
 その言葉を聞いた時には、「少子高齢化とは、情報化とは、国際化とは、どういうことか、どうなっていくのだろうか」くらいに見ていたと思います。
 しかし、この20年の間に、なるほどこういう時代になるということだったのかと、全くそのとおりになってきたということであります。
 ただ、なってきたということではなくて、その間に少子高齢化に適切に対応して、今という時代になってきた時に困らないようにしてきたかということを考えますと、その対応は甘かったのではないかと思います。
 国際化にしてもしかりだと思います。情報化も全く同じだと思います。
 こういうことを考えます時に、今、私どもが「政策官庁」となるためには、もっと、もっと、時代を先取りする政策をつくっていくことが大事だと思います。
 山梨には、他の所にはない山梨の風土というものがあるわけで、それにマッチした政策というものをしっかりと組み立てた中でこれらの問題に対応していく時代だと思っております。
 そのためには、年末に各部へあいさつに行った時に申し上げましたが、「どうか、もっと、もっと、県民の中へ飛び込んで行って、県民と対等の立場でいろいろと県の状況、中身も理解をしてもらい、そして県民の皆さんの意見も聞きながら、お互いに協力して、そして、素晴らしい地域をつくっていこう」ということを申し上げました。
 是非、そういう意味におきまして、一緒に考えていくということが大事だと思います。
 やはり、「協働」、協力して働く「協働の社会」をつくる。これが、これからの時代の姿ではないかと考えたところでもあります。
 話は戻りますが、箱根駅伝で2区を走り、12人抜きの快走をした山梨学院大学のモグス選手が、「自分だけが走るのではない。みんなも一所懸命頑張れよ」というようなことを言ったそうです。
 それにみんなが発奮して、頑張った結果があのような成果になったわけです。
 いわば、モグス選手だけが走ったのでは、「部分の最適」であります。その部分だけは評価されますが、全体の評価はされません。
 協力してこそ、「全体の最適」というものが得られるわけです。
 これは、私は、行政にも当てはまると思います。部分的に満足しているだけでなく、県庁というその組織全体が満足出来るためには、お互いに横の連携を取って、お互いに頑張っていく。そうした中で全体の評価が得られてくるということでありますので、是非一つ、「全体の最適」を求めるために、皆様方には常に連携を保ちながら仕事を進めて頂きたいと思っています。
 「衆を得れば則ち国を得、衆を失えば則ち国を失う」という中国の言葉がありますが、「民意を反映した政治は、国の繁栄をもたらす」ということでありますので、是非、皆さん方におかれましては、県民との距離を縮め、県民の中に飛び込み、そして、県民とともに協働の精神を持って、この県土づくりに励んで頂きたいと思います。
 そこに、「誇れる郷土 活力ある山梨」が誕生してくると思っております。
 この一年間の皆様方の更なるご活躍を心からご期待を申し上げます。
 なお、仕事というものは、健康なくして成し遂げることは出来ません。どうぞ、健康には十分ご留意され、そして輝かしい未来ある山梨のために皆様方の一層の奮起、活躍をご期待申し上げまして、年頭のあいさつに変えさせて頂きます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

リリース日:2006年1月4日

広聴広報課 (ホームページ管理者)

山梨県甲府市丸の内1-6-1 本館2F
TEL:055(223)1337
FAX:055(223)1525

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