ページID:77410更新日:2009年2月1日

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平成18年6月定例県議会知事説明要旨

詳細内容

平成十八年六月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
さて、国と地方の関係は、平成七年に地方分権推進法が施行されて以来、一連の地方分権改革が推進され、「上下・主従」の関係から「対等・協力」の関係となってきました。
 地方自治本来の姿の実現を理念として行われた三位一体の改革では、三兆円規模の税源移譲は実現したものの、国庫補助負担金の改革は依然として国の関与が残るものとなり、また、地方団体共有の固有財源である地方交付税については大幅な削減が行われるなど、地方の自主性・自立性の向上につながる内容とはならず、国の財政再建のみが優先され、地方に負担を強いる結果となりました。
 現在、国において、国と地方を通じた財政の健全化と地方の自立に向け、歳出・歳入一体改革の議論が行われておりますが、国と地方の明確な役割分担を議論することなく、地方交付税の大幅な削減や人口と面積による配分が主張されており、本県のような規模の小さい地方公共団体にとって、一層厳しい財政状況になることが懸念されるところであります。
 こうした中、全国知事会をはじめとする地方六団体は、真の地方分権を求めるため、新地方分権推進法の制定や地方税の充実強化、地方交付税を地方共有税として法定率を引き上げることなどを内容とする「地方分権の推進に関する意見」を取りまとめ、地方自治法に基づく意見提出権を十二年ぶりに行使して国に提出致しました。
 地方交付税の一方的な削減は、国の財政再建のために地方に負担を転嫁するものであり、地方主権の理念を無視する点で容認し難いものであります。
 「国から地方へ」、「地方にできることは地方に」という流れの中で、地方主権を確立し、個性豊かで活力に満ちた地域社会を築き上げるためには、国と地方の役割分担を明確にして、それに応じた地方税財源の充実強化を行うこと、また、税源の偏在に伴う財政力の格差拡大に対応し、地方が計画的な行財政運営を行うことができるよう、地方交付税制度の財源保障・財源調整の両機能が堅持されることが必要であります。 
 過日、関係各省庁に対して行った平成十九年度国の施策及び予算に関する提案・要望においても、「地方主権の確立」を重点項目に掲げ、国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実強化などについて強く要請したところであり、今後ともあらゆる機会を通じて国に訴えて参ります。
 県議会議員各位におかれましても、なお一層の御支援、御協力を賜りますようお願いする次第であります。
 次に、当面する県政の課題につきまして申し上げます。
 先ず、新たな学習拠点の整備についてであります。
 新たな学習拠点につきましては、施設の設計・建設から運営までを民間事業者が行うPFI事業として実施することとしており、先般、設計・建設、維持管理、運営の各業務について県が求める水準を示した上で、PFI事業者の募集を開始したところであります。
 提示した要求水準は、休館日をなくし、開館時間を延長することなど、利用者に従来にない利便性が提供される施設となるよう、各業務にわたる具体的な内容となっております。
事業者の選定につきましては、総合評価一般競争入札により実施することとし、本年秋には提案書の提出を受け、審査委員会において価格と提供サービス内容などを総合的に評価した上で、最も優れた提案を行った事業者を選定することとしております。
明年度早期にはPFI事業契約を締結し、平成二十一年秋の開館を目指して鋭意準備を進めて参ります。
 次に、山梨リニア実験線の一般区間の建設についてであります。
 山梨リニア実験線においてこれまで未着工である一般区間については、リニア中央エクスプレス建設促進山梨県期成同盟会をはじめ、県選出国会議員、県議会議員各位、更には、沿線各市の御支援をいただきながら、関係機関に対し早期着工を要請してきたところであります。
 去る四月二十七日、山梨リニア実験線の事業主体の一員であるJR東海が、先行区間の設備を実用レベルの仕様に更新するとともに、実験線を一般区間まで延伸することを検討する旨を発表しました。
 秋までに示されることとされている着工時期等の具体的な計画により、超電導磁気浮上式鉄道技術の早期実用化という県民の悲願に向けて、道筋がつけられるものと期待するところであります。
 今後におきましても、関係者の御理解と御協力をいただくとともに、東京から名古屋、大阪に至る九都府県との連携を強化し、リニア中央エクスプレスの早期実現とそのために必要な実験線全線の早期建設に向けて、全力を傾注し取り組んで参ります。
 次に、市町村合併の推進についてであります。
新たな合併特例法に基づき、更なる市町村合併の推進を図るため、本年三月に市町村合併推進構想を作成したところであります。
構想では、市町村合併推進審議会の答申を最大限尊重し、人口一万未満の小規模町村を中心に、早期に合併を推進すべき具体的な市町村の組み合わせを明示しております。
住民サービスを維持・向上していくためには、市町村の行財政基盤の強化が必要であり、今後は、この構想に基づき、関係市町村と住民による活発な議論が展開され、自主的な市町村合併が推進されるよう積極的に支援して参ります。
 また、先般、新たな合併特例法に基づき、芦川村を廃し、その区域を笛吹市に編入するための申請が両市村長からありましたので、廃置分合の決定を行うため、今議会に案件を提出し、御審議をお願い致しております。
 次に、産業の振興についてであります。
先般、本県が提案していた燃料電池の実用化に向けた研究開発事業が、地域の新産業創出を支援する「都市エリア産学官連携促進事業」に採択されました。
燃料電池に関する最先端技術を持つ山梨大学の研究を核に、産学官が連携して世界に先駆けて実用化を目指すものであり、クリーンエネルギーシステムが「森の国・水の国やまなし」から生まれ、世界に発信されることを期待するとともに、明日の山梨発展の基盤となる新産業・新事業の創出に結びつけていきたいと考えております。
 科学技術は、人々の生活水準を飛躍的に向上させるとともに、産業や経済の活力の源泉となるものであります。
 そこで、本県の科学技術振興の戦略的な推進を図るため、「やまなし科学技術基本計画(仮称)」を本年度中に策定することとしております。
 この計画の基本的な方向性や施策の在り方については、現在、科学技術会議において議論されており、今後の会議での議論を踏まえ、本県の自然環境や優位性にかんがみ、科学技術に係る重点投資分野の設定や試験研究機関の機能強化を行って参りたいと考えております。
また、既存の産業についても積極的に振興策に取り組んで参ります。
 先ず、本県の優れた地場産品のブランド化を図るため、富士山をテーマとしたロゴマークや製品の開発に官民共同して取り組む「富士山ブランド開発実行委員会」を設置し、具体的作業に着手したところであります。
更に、優良な醸造用ぶどう品種の栽培技術の確立や醸造技術の高度化など、ワイン産地の確立に向けた今後の取り組みについて、ワイン業界関係者やぶどう栽培農家とともに検討する「山梨ワイン産地確立推進会議」を設置し、集中的な御論議をいただいているところであり、推進会議での検討結果を踏まえ、本県ワイン産業の一層の活性化に向けた施策を展開して参ります。
 また、果樹試験場が開発したオリジナル品種のもも「夢しずく」が、七月に初出荷されます。
 これを契機に、農業団体とともに宣伝活動を積極的に展開し、果樹王国やまなしの一層のイメージアップと大消費地である首都圏への販路拡大を図って参ります。
 次に、少子高齢化対策についてであります。
 少子化の進行は、労働力人口の減少による経済の縮小など、社会の活力の低下につながるものであり、次の世代を担う子どもたちを安心して生み育てることができる環境をつくることは、社会全体で取り組むべき最も重要な課題であります。
 このため、「やまなし子育て支援プラン」に基づき、山梨の特性を生かした「地域で子育て」、「あんしん子育て」、「企業も子育て応援」の三つの重点プロジェクトを積極的に展開しているところであります。
 本年四月には、児童精神科医による診療を行う「子どもメンタルクリニック」を開設し、心のケアが必要な子どもや育児不安を抱える親などへの精神面での支援を開始致しました。
 また、子ども連れの家族に配慮した施設の場所や設備内容をホームページで紹介するなど、子育て家族が必要な情報を把握しやすくするとともに、十月のサービス開始を目指して、三人以上子どものいる家族に商品の割引などの特典を提供する協賛企業を募集しております。
更に、子どもを安心して生み育てるためには、周産期医療や小児救急医療などが適切に提供されることが重要であります。
 周産期医療につきましては、これまで、県立中央病院に新生児集中治療室等を備えた総合周産期母子医療センターを設置するとともに、県内の病院及び診療所の機能分担による医療提供体制を整備するなど充実を図って参りました。
しかしながら、分娩を取り扱う病院が減少するなど環境が変化しており、周産期医療の提供体制の見直しが必要となって参りました。
 このため、過日、産科、小児科の医師等で構成する周産期医療協議会を開催し、見直しに着手したところであり、安心できる周産期医療体制の整備に努めて参る所存であります。
また、休日や夜間の小児救急医療につきましては、初期救急医療を甲府市医師会救急医療センターを活用して行い、二次救急医療を甲府市周辺の病院が輪番制で対応する体制とし、昨年三月から実施しているところであります。
 更に、産科、小児科の医師の確保につきましては、医療関係団体や市町村などの代表者による「山梨県医療対策協議会」を設置し、協議を重ねて参りました。
協議会からは、医師確保のための方策について幅広く提案がなされており、今後は必要な確保策の実現に向け、積極的に取り組んで参る考えであります。
 一方、高齢化の進展に対応した持続可能な介護保険制度の構築を目指して、介護予防の推進と地域
密着型の新たなサービスの提供を柱とした介護保険法の改正が行われたところであります。
 こうした改正を反映しながら、日本一の健康長寿県である本県の特性を更に発展させるため、高齢者保健福祉対策の総合的指針となる新たな「健康長寿やまなしプラン」を本年三月に策定致しました。
 今後とも、このプランに基づき、地域密着型サービスの提供や地域包括支援センターの運営など、総合的な介護予防対策を担う市町村を支援して参ります。
次に、障害者の自立支援についてであります。
障害者自立支援法の趣旨を踏まえ、障害者がその能力や適性に応じて働き、地域社会で自立して暮らすことができる環境を整えていくことが重要であります。
 このため、起業塾の開催や事業所の開設経費の助成などを行い、意欲のある障害者の起業を支援する「障害者企業立ち上げプロジェクト事業」を展開しており、現在まで二回のセミナーを開催したところであり、秋までには対象者を選定し、明年度の企業立ち上げを目指して支援して参ります。
 また、授産施設利用者の就労や重度障害者の在宅就労を促進するため、企業における職業訓練等を実施するとともに、知的障害者を雇用する福祉工場の整備に対して支援することとしております。
更に、障害の重度化・重複化への対応や在宅福祉の支援機能の充実を図るため再整備を進めて参りましたあけぼの医療福祉センターが、九月一日に開所する運びとなりました。
 今後とも、障害者のための福祉・医療の中核施設としての機能を果たすよう努めて参ります。
 次に、廃棄物最終処分場の整備についてであります。
 北杜市明野町浅尾に建設予定の明野廃棄物最終処分場につきましては、処分場の着工に向けた現地における様々な準備を行うため、去る四月に山梨県環境整備事業団明野事務所を開設致しました。
 また、県、北杜市及び環境整備事業団の三者間で昨年末に締結した基本協定に基づき、事業主体である環境整備事業団において、施設規模の縮小や梅之木遺跡の保存に伴う設計変更等を順次進めており、今般、環境整備事業団より施設設置の変更許可申請がなされたところであります。
 更に、安全対策に万全を期すため、過日、地元住民等の立入調査などを盛り込んだ公害防止協定を三者間で締結したところであり、この協定に基づき、廃棄物の搬入管理など処分場の安全対策に係る具体的な管理運営方法等について検討するため、環境整備事業団では安全管理委員会を設置することと致しております。
 なお、処分場予定地内で発見された梅之木遺跡につきましては、北杜市が国史跡指定を目指して保存整備する方針を決定したところであり、文化財保護の観点から、県もこれを支援して参ります。
 今後におきましても、北杜市と協議する中で、明野処分場の建設に向けて全力で取り組みを進め、早期に処分場建設工事に着手していく考えであります。
次に、観光の振興についてであります。
 明年一月からはNHK大河ドラマ「風林火山」の放映が、また、平成二十年春にはJR六社による全国規模の観光宣伝事業である「デスティネーションキャンペーン」の実施が予定されております。
 これらは、いずれも山梨の魅力を全国に発信し、本県のイメージを更に高め観光客の増大を図る絶好の機会であります。
 このため、大河ドラマの放映に合わせて官民協働の集客イベント「甲斐の国 風林火山博」を県民情報プラザで開催することとし、大河ドラマの魅力を紹介するとともに、県内観光地の案内や地場産品の販売など、本県の観光情報を発信して参りたいと考えております。
 また、本年度から三年間にわたり、富士の国やまなし「風林火山」観光キャンペーンを展開することとしており、先般、官民一体となった「山梨県大型観光キャンペーン推進協議会」を設立したところであります。
更に、田舎暮らしを志向する団塊の世代等のニーズにも対応し、二地域居住も見据えた持続的な交流の拡大を推進するため、過日、「富士の国 やまなし館」に都市住民と農山村地域をつなぐ窓口「グリーンカフェやまなし」を開設致しました。
 こうした本県の魅力発信に併せて、新たな観光資源の発掘や再構築を行い、民間のノウハウを生かしながら山梨ならではの誘客・交流メニューづくりを進めるなど、交流人口の拡大に取り組んで参ります。
 次に、道路網の整備についてであります。
中部横断自動車道は、本県の産業、経済、文化、観光の発展に大きく寄与するとともに、災害時の緊急輸送路としての役割など、大きな整備効果が期待されるものであります。
このため、従前の有料道路方式のみでは整備の見通しが不透明であることから、県の財政負担が生じても新直轄方式を併用することにより早期整備を優先すべきと判断し、国や関係機関に強く働きかけてきたところ、本年二月、国土開発幹線自動車道建設会議において、富沢インターチェンジ(仮称)から六郷インターチェンジ(仮称)までの間については新直轄方式で整備されることとなり、その他の有料道路方式で整備される区間についても中日本高速道路株式会社から完成予定年度が公表されたところであります。
 両方式の併用によって、増穂以南は早ければ十一年後に全線開通する可能性が出て参りましたが、中部横断自動車道の整備を一層強力に推進するには関係機関の連携と地元の協力が不可欠であることから、過日、事業者及び関係機関で構成する「中部横断自動車道(増穂以南)推進会議」を設置致しました。
今後も、県選出国会議員、県議会議員各位をはじめ、市町村、関係団体の御支援と御協力をいただく中で、一日も早い完成に向け全力を挙げて参ります。
また、中央自動車道都留インターチェンジのフルインター化につきましては、早期に用地取得を完了させ、本年度中に工事に着手して参ります。
新山梨環状道路につきましては、甲府市桜井町から甲斐市宇津谷までの北部区間において、事業者である国により、都市計画決定に向けた環境影響評価の現地調査が行われております。
県が事業者となる東部区間につきましては、国道二十号から甲府市桜井町までの北部区間も一体として計画を策定することとし、パブリック・インボルブメントの手法により地域住民などの意見聴取を行って参りました。
 その結果、「新山梨環状道路東側区間協議会」から、地域住民の意見を踏まえ、国道百四十号の東側を通過するバイパス案が最適との報告をいただきましたので、これを反映した概略計画を国と共同して策定したところであり、今月中に正式決定して参りたいと考えております。
南部区間につきましては、中央市が実施している土地区画整理事業と連携し、平成二十年度の完成を目指して事業の進捗を図って参ります。
 次に、新たな高等学校入学者選抜制度についてであります。
 明春に行われる平成十九年度入学者選抜から、新たな入試制度を実施致します。
 生徒が希望する高校を県内どこからでも直接志願することができるようにするため、教育委員会は、普通科高校の通学区域を全県一学区にするとともに、総合選抜制度を廃止致します。
 また、入学者選抜は、複数の受検機会を確保するため、前期・後期募集制により行うこととし、前期募集には希望する誰もが受検できる「自己推薦」を導入することとしております。
 先般、各高等学校は、志願してほしい生徒像及び前期募集における選抜方法等を公表し、学力だけでなくスポーツや文化活動、ボランティア活動等について生徒の優れた資質や実績を多面的に評価するための具体的な基準を示したところであります。
 今後は、中学生や保護者、学校関係者等にその詳細を周知するなど、的確な情報提供に努め、生徒が適切な進路選択ができるよう配慮しながら、新たな入試制度の円滑な導入を図って参りたいと考えております。
 次に、提出案件の内容につきまして御説明申し上げます。
 今回提出致しました案件は、条例案十一件、その他の案件十件となっております。
 条例案のうち、主なるものにつきまして申し上げます。
 山梨県県税条例の改正案についてであります。
地方税法等の一部改正に伴い、国から地方への税源移譲を行うための個人県民税の税率の見直しなどを行おうとするものであります。
次に、契約締結案件につきまして申し上げます。
 防災行政無線デジタル化整備工事等につきまして、契約締結の諸準備が整いましたので、これに伴う案件を提出致しております。
 その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。
 なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。

平成十八年六月二十二日

山梨県知事  山 本 栄 彦

リリース日:2006年6月22日

総務部財政課

甲府市丸の内1-6-1 本館4F
TEL:055(223)1381
FAX:055(223)1385

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