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平成18年2月定例県議会知事説明要旨

詳細内容

平成十八年二月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
 先ず、田邉國男元知事の御逝去に対しまして、衷心より、哀悼の意を表したいと存じます。
田邉元知事におかれましては、昭和三十三年に衆議院議員に初当選されて以来、四十二年間にわたり国政、県政の推進に御尽力されました。
国政におきましては、衆議院議員を九期務められ、この間、総理府総務長官など数々の要職を歴任されるとともに、県政におきましては、昭和四十二年から三期十二年間にわたり山梨県知事として、グリーンプランを基本理念に掲げ、県立美術館や社会福祉村の整備を行うなど、県勢の伸展に御尽力をいただきました。生前の御功績に対し、県民の皆様とともに感謝申し上げ、心から御冥福をお祈り申し上げます。
 さて、国、地方を通じた構造改革が進展する中で、次の世代が夢や希望の持てる山梨を築いていくためには、時代の潮流をしっかりと見据え、本県の特性に合った政策を立案し、大胆に実行していくことが重要であります。
 明年度は、「創・甲斐プラン21」がスタートして三年目を迎えますが、二十一世紀にふさわしい「誇れる郷土 活力ある山梨」を実現するため、本県が持つ「美力」、「民力」、「創力」の三つの宝を原動力として、県民の皆様との協働により、「創・甲斐プラン21」に掲げる施策の着実な実施に全力を傾注して参る考えであります。
 三位一体の改革につきましては、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇五」に基づき、平成十八年度までの三位一体の改革の全体像に係る政府・与党協議会の合意を踏まえた国の予算編成が行われました。
 この結果、国庫補助負担金の改革については、平成十六年度から平成十八年度までの三年間で約四兆七千億円、このうち平成十八年度には、約一兆九千億円の廃止・縮減が行われることとなりました。
 これに伴う税源移譲については、平成十九年度に所得税から個人住民税への三兆円規模の移譲が実施されることとなり、平成十八年度はその全額が所得譲与税で措置されたところであります。
 また、地方交付税については、臨時財政対策債と合わせ、三年間で総額約五兆一千億円の大幅な削減が行われることとなり、平成十八年度は約一兆三千億円の削減が行われました。
 今後、税源移譲に伴う財政力格差の拡大に適切に対応し、地方交付税の算定等を通じて個別の地方団体において所要額が確保されるよう、全国知事会等を通じて国に対し強力に働きかけて参ります。
次に、当面する県政の課題について申し上げます。
先ず、行財政改革の推進についてであります。
 三位一体の改革により、地方行財政を取り巻く環境が大きく変化していることなどから、行財政改革をより一層推進していくため、昨年十二月、「第二次行財政改革プログラム」を策定したところであります。
 行財政改革の目的は、厳しい財政状況の中で、将来を見据えた県政運営が図れるよう、限られた人材と財源を最大限活用し、県民ニーズに適切に対応した質の高い行政サービスが提供できる体制を確立することであり、私のリーダーシップの下、全庁一丸となってこのプログラムを強力に実行して参る考えであります。
 また、出資法人の見直しにつきましても、現行の計画が本年度で終了すること、指定管理者制度の導入など出資法人を取り巻く環境が大きく変化していることから、平成十八年度から平成二十年度までを期間とする新たな計画の策定を進めているところであります。
 今回の見直しでは、給与や役職員数の見直し、組織のスリム化などを進めるため、個々の法人の経営状況に応じた新たな経営計画の策定を求めることと致しております。
 特に、土地開発公社につきましては、土地の時価評価制度の導入や駐車場事業の終了を踏まえ、民間からの借入金の借り換え時期の到来に合わせて、県からの無利子貸付金を増額し、経営の安定化を図るとともに、米倉山ニュータウンの利活用についても、引き続き鋭意検討を進めて参ります。
次に、市町村合併の推進についてであります。
 新たな合併特例法に基づき、更なる市町村合併の推進を図るため、有識者等で構成する市町村合併推進審議会を設置し、自主的な市町村合併の推進に関する構想について審議をお願いして参りましたが、過日、答申をいただいたところであります。
 答申では、人口一万未満の小規模町村を中心に、合併を推進すべき具体的な市町村の組み合わせが明示されております。
 今後は、この答申を踏まえて合併推進構想を作成し、これに基づき自主的な市町村合併を積極的に推進して参ります。
次に、富士山の世界文化遺産登録についてであります。
 日本一の名峰富士山を世界文化遺産として登録することは、文化財の保護はもとより、美しい自然環境を人類共通の財産として後世に残すという大きな意義があると考えております。
 このため、昨年、県推進本部をはじめ、県と地元市町村の推進協議会及び山梨・静岡両県の合同会議を設置し、登録実現に向けた推進体制を整えたところであります。
 明年度は、学術調査委員会を設置し、世界遺産委員会の審査に必要な学術的資料の整理や適切な保存管理計画の検討を進めるとともに、遺産名、登録範囲、資産構成等の具体的な内容について調査検討を行い、国内暫定リストの原案を作成して参りたいと考えております。
今後とも、地元市町村や関係省庁をはじめ、富士山に関わる様々な方々や関係機関と連携しながら諸準備を進め、国の次期検討会において、暫定リストに登載されるよう取り組んで参ります。
次に、新たな学習拠点の整備についてであります。
 新たな学習拠点につきましては、昨年十二月に、事業の詳細や運営方法、施設構成などを内容とした実施方針を公表したところであります。
この施設には、図書や資料の収蔵・閲覧スペースをはじめ、セミナー室、ホールやギャラリー、ビジネス支援スペースなどを設け、施設規模は二万平方メートル程度として参ります。
 また、併せて、学習拠点との相乗効果により地域の活性化を図る附帯施設を民間事業者の提案に基づいて整備することと致しております。
 先般、審査委員会において、PFI事業として実施した場合には、設計・建設から維持管理までの一括発注により事業費が節減できること、また、民間の創意工夫により利便性を考慮した施設計画や施設の効率的な維持管理、利用者のニーズに対応した新しいサービスの提供が期待できることなどから、PFI事業として実施することが適当であると認められたところであ
ります。
 明年度早期には、PFI事業者の募集を開始するなど、平成二十一年度の開館を目指して鋭意準備を進めて参ります。
 次に、安全・安心なまちづくりについてであります。
 最近、県民が身近に不安を感じる犯罪が増加しており、犯罪の起こりにくい安全・安心なまちづくりの推進は極めて重要となっております。
 特に、下校時の子どもに対する犯罪が全国的に多発していることから、子どもの安全確保は喫緊の課題となっております。
このため、各地域で活動する防犯リーダーの養成や自主防犯組織によるパトロール活動への支援など、防犯活動への取り組みを一層推進するとともに、スクールガード・リーダーを増員して全市町村に配置するなど、地域、学校、警察が一体となって、児童生徒の安全確保に重点を置いた安全・安心なまちづくりに取り組んで参ります。
 また、東海地震などの大規模災害発生時に、県民の生命・財産を守るためには、防災情報の伝達や初期消火、救助救出活動などの災害対策活動が迅速かつ的確に実施されなければなりません。
 このため、新たに設置する地域県民センターに専任の防災担当スタッフを配置し、市町村、防災関係機関、自主防災組織等が一体となって活動するための具体的な実践行動計画を策定するとともに、図上訓練を圏域ごとに実施し、地域防災力の一層の強化に努めることと致しております。
 更に、建築物の耐震改修の促進に関する法律の改正に伴い、県や市町村の施設をはじめ、民間建築物も対象として耐震化率の目標や耐震改修の促進を図るための施策等について検討し、明年度中に耐震改修促進計画を策定することと致しております。
 また、最近、県発注の橋りょう工事や施設改築工事等において、鉄筋が不足していたり、基礎の鉄筋が切断されているといった、公共工事に対する県民の皆様の信頼を揺るがす事案が相次いで判明致しました。
県と致しましては、こうした事態を重く受け止め、すべての県発注工事において、施工業者に対し厳正な品質管理を改めて指導するとともに、職員に対して現場管理の徹底を指示したところであり、施工確認のマニュアルの改定などチェック体制を強化し、再発防止に努めて参ります。
 次に、少子高齢化対策についてであります。
 少子化の進行は、労働力人口の減少による経済の縮小など、社会の活力の低下につながることから、次世代を担う子どもたちを安心して生み育てることができる環境をつくることは、社会全体で取り組むべき重要な課題であります。
 このため、「やまなし子育て支援プラン」に基づき、山梨の特性を生かした三つの重点プロジェクトを積極的に展開しているところであります。
明年度は、子育てに必要な情報発信の強化や育児に関する相互援助活動への支援をはじめ、三人以上の子どもを育てる家庭に料金割引などのサービスを行う企業を募集するとともに、心のケアが必要な子どもや育児不安を抱える親を支援するため、児童精神科医等による診療を行う「子どもメンタルクリニック」を開設することと致しております。
一方、高齢化の進展に対応した持続可能な介護保険制度の構築を目指して、介護予防の推進と地域密着型サービスの提供を柱とした介護保険法の見直しが行われたところであります。
こうした介護保険制度の見直しを的確に反映しながら、日本一の健康長寿県である本県の特性を維持、発展させるため、高齢者保健福祉対策の総合的指針として策定を進めている新たな「健康長寿やまなしプラン」に基づき、介護予防担当者の育成に努めるとともに、市町村が行う介護予防事業を支援していくことと致しております。
 また、介護サービスの利用者が必要なサービスを適切に選択できるようにするため、事業者が提供するサービスの内容や運営状況についての情報を公表して参ります。
 次に、障害者の自立支援についてであります。
 障害者自立支援法の趣旨を踏まえ、障害者がその能力や適性に応じて働き、自立可能な収入を得ることによって、地域社会で自立して暮らすことのできる環境を整えていくことが重要であります。
 このため、授産施設利用者の就労や重度障害者の在宅就労を促進するため、企業における職業訓練等を実施するとともに、知的障害者を雇用する福祉工場の整備に対し支援することと致しております。
 また、意欲のある障害者の起業を支援するため、起業塾の開催や事業所の立ち上げ経費の助成などを行う「障害者企業立ち上げプロジェクト事業」を新たに実施することと致しております。
 次に、廃棄物最終処分場の整備についてであります。
 明野廃棄物最終処分場につきましては、峡北地区最終処分場整備検討委員会の意見集約の結果を尊重するとともに、市町村や産業界などからの要請を踏まえ、明野町浅尾の現計画地を建設地として決定したところであります。
 こうした中で、地元北杜市から処分場の安全対策や規模の縮小などについて御要望をいただき、県としてもこれらに真摯に応える必要があると判断し、昨年末に、県、北杜市及び事業主体である山梨県環境整備事業団の三者間で、明野処分場の安全対策等に係る基本協定を締結致しました。
 この協定において、最終処分が必要な県内廃棄物量が減少していること、埋立廃棄物量を減らすことは長期的な観点から処分場の安全性の向上につながること等を踏まえ、現計画の埋立廃棄物量を概ね三割程度削減し、これに合わせて施設規模を縮小することと致しました。
 また、明野処分場は全国トップレベルの安全性を備えた施設とする計画でありますが、処分場の建設や運営に当たり、安全面に更に万全を期すため、公害防止協定の締結や安全管理委員会の設置などを行うことと致したところであります。
 なお、処分場予定地内で発見された梅の木遺跡に係る遺構につきましては、文化財を保護する観点から、規模の縮小に伴う計画の見直しの中で配慮して参ります。
 今後におきましても、北杜市と協議する中で、明野処分場の早期建設に向けて全力で取り組みを進め、明年度には処分場建設工事に着手していく考えであります。
 次に、森林づくりについてであります。
二十一世紀は水と空気の時代と言われており、森林の適切な管理を通じ、清らかな水と空気を創ることは、本県のような緑豊かな自然環境に恵まれた森林県の役割であります。
 特に、民有林につきましては、木材価格の長期的な低迷等により、管理が不十分な森林が増加し、荒廃が拡大しており、このまま放置すると森林の公益的機能の発揮に著しく支障をきた
すおそれがあります。
 このため、公益性の確保が特に必要な民有林を「環境公益林」と位置付けた上で、企業局の電気事業からの繰入金を活用して整備を推進し、「森の国」、「水の国」にふさわしい森林づくりを行うことと致しております。
また、企業やNPO法人に森林の持つ公益的機能に対する理解を深めていただき、企業等が社会貢献活動の一環として森林整備に参画する新たな仕組みを構築して参ります。
 次に、産業の振興と雇用対策についてであります。
県内景気は、製造業を中心に緩やかに回復しつつありますが、業種によっては依然として厳しい経営環境にあることから、明年度も経営支援緊急融資を実施するなど、引き続き中小企業者の資金需要に的確に応えて参ります。
 また、活力ある地域経済を実現するため、産学官が連携して燃料電池の実用化に向けた共同研究を進め、明日の山梨の発展の基盤となる新産業・新事業の創出に結びつけていきたいと考えております。
 更に、過日策定した「やまなし知的財産戦略」に基づき、質の高い特許や商標などの知的財産を生み出し、保護・活用するという知的創造サイクルを確立し、本県中小企業の競争力の強化を図って参ります。
また、農業の担い手の確保や遊休農地の解消、農業生産の増大等を図るため、農業への企業の参入を促進するとともに、参入した企業や既存の農業生産法人に対し技術や経営などを総合的に支援し、これからの地域農業を担う大規模な経営体を育成して参ります。
 県内の雇用情勢につきましては、緩やかな改善の動きが続いておりますが、若年者については、就業意識の希薄化や職業観の変化などによるフリーターや短期間での離職者の増加といった課題が依然としてあることから、「ジョブカフェやまなし」の機能を充実し、就業支援の一層の強化を図って参ります。
 また、団塊の世代が一斉に定年退職する、いわゆる二〇〇七年問題などに対応するため、団塊の世代が培ってきた技術や技能を若い世代へ継承する取り組みを推進するとともに、中高年齢者や女性の実情に即した就業支援を行うなど、本県産業を支える人材を質と量の両面にわたって確保する取り組みを実施して参ります。
 次に、観光の振興についてであります。
明年一月からのNHK大河ドラマ「風林火山」の放映は、県民が郷土山梨を再認識するとともに、山梨の魅力を全国に発信し、本県のイメージを更に高め観光客の増大を図る絶好の機会であります。
このため、大河ドラマの放映に合わせて官民協働の集客イベント「風林火山博(仮称)」を開催することとし、登場人物の解説や撮影セットの再現など大河ドラマの魅力を紹介するとともに、県内観光地の案内や地場産品の販売など、本県の観光情報の発信を行う展示施設の設置に対し助成することと致しております。
 併せて、明年度から三年間にわたり、JRともタイアップして「富士の国やまなし風林火山観光キャンペーン(仮称)」を展開するとともに、放映をきっかけに来県した観光客が、本県の魅力に直に触れ、良質なサービスや地元との交流等を通じ、何度も山梨を訪れる山梨ファンとなっていただけるよう、積極的に取り組んで参ります。
更に、公共事業等においても武田氏ゆかりの観光地の環境整備を重点化事業に位置付け、関係部局が一体となって取り組んで参るとともに、市町村等が行う施設整備に対しても支援することと致しております。
 また、県立博物館におきましては、信玄公祭りの開催時期に合わせ、武田信玄をメインにした特別展を開催することと致しており、多くの観光客の方々に訪れていただけるものと期待しております。
 次に、道路網の整備についてであります。
中部横断自動車道は、本県の産業、経済、文化、観光の発展に大きく寄与するとともに、災害時の緊急輸送路としての役割など、大きな整備効果が期待されるものであります。
 このため、道路公団民営化後も整備が着実に進められるよう、国や関係機関に強く働きかけてきたところであります。
 先般、国から今後の整備の在り方について県の意見を求められ、道路公団民営化後は採算性が重視されるため、従前の有料道路方式のみでは整備の見通しが不透明であることから、県の財政負担が生じても新直轄方式を併用することにより早期整備を優先すべきと判断し、国に回答致しました。
 その結果、過日、国土開発幹線自動車道建設会議において、富沢インターチェンジ(仮称)から六郷インターチェンジ(仮称)までの間については新直轄方式で、その他の区間については有料道路方式で整備されることとなり、両方式の併用によって、県民の長年の悲願である早期全線開通が現実のものとなって参りました。
 今後も、国会議員、県議会議員各位をはじめ、市町村、関係団体の御支援と御協力をいただく中で、一日も早い完成を目指して全力を挙げて参ります。
 新山梨環状道路につきましては、体系的な道路網の整備に鋭意取り組んでいるところであり、北部区間につきましては、甲府市桜井町から甲斐市宇津谷までの間において、事業者である国と協力する中で、環境影響評価や都市計画決定の手続きを進めております。
 県が事業者となる東部区間につきましては、北部区間のうち国道二十号から甲府市桜井町までの間も一体の区間としてとらえ、パブリック・インボルブメントの手法を活用する中で、国と共同して計画の検討を行っております。
 明年度早期に、地域住民などの意見を反映した概ねのルートや構造等を示す概略計画を策定し、引き続き環境影響評価や都市計画決定の手続きに着手致します。 
 南部区間につきましても、事業の進捗を図っているところであり、平成二十年度の完成を目指して参ります。
 次に、平成十八年度当初予算の編成に当たりまして、その基本的な考え方を申し上げます。
 国の明年度予算は、三位一体の改革や医療制度改革など構造改革を一層推進し、持続的な財政構造の構築と予算の質の向上を図るため、歳出改革を堅持・強化するとの考え方に基づき編成されております。
 一方、地方財政計画は、国の歳出予算と同一歩調の下、給与関係経費や地方単独事業費の抑制などにより五年連続して規模が縮小されましたが、地方税、地方交付税及び臨時財政対策債などを合わせた一般財源総額は、平成十七年度と同程度の額が確保されたところであります。
 しかしながら、明年度の本県財政は、歳入面では、県税収入の増加が見込まれるものの、三位一体の改革などにより国庫補助負担金や地方交付税が減少する見込みであることから、徹底的な歳出削減努力を行ってもなお財源不足が生じることとなり、大幅な基金の取り崩しを余儀なくされたところであります。
 また、歳出面におきましては、市町村合併に関連する経費、老人医療や介護保険に要する経費などの増加が避けられないところであり、本県財政は、歳入歳出の両面において、引き続き厳しい状況にあります。
 こうした中にありましても、「創・甲斐プラン21」の着実な推進を図り、「誇れる郷土 活力ある山梨」の実現に向け、積極的に施策を展開していく必要があります。
 このため、平成十八年度当初予算編成に当たりましては、歳入歳出の両面において、あらゆる努力と工夫を重ね、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に努めることとしたところであります。
 先ず、歳入面におきましては、厳正な滞納整理など税収確保特別対策事業を実施するとともに、利用計画のない県有地を積極的に売却処分するなど、歳入を確保する取り組みを強化することと致しております。
 また、県債の発行につきましては、将来の公債費負担を抑制するため、地方財政対策により発行せざるを得ない臨時財政対策債や減税補てん債等を除く通常の県債の発行額を、当該年度の元金償還額の範囲内とする県債発行削減計画の目標を達成したところであり、今後とも通常の県債の残高を増加させないという方針を堅持して参る考えであります。
 歳出面におきましては、一般行政経費について厳しいシーリングを設定して総額を抑制するとともに、事務事業の見直しにより百七十九事業の廃止・縮減を行ったところであります。
 また、行財政改革プログラムに基づき、百三十四件の県単独補助金の見直しを行うとともに、公共事業費及び準公共事業費の計画的な削減を図る一方、特に観光振興や自然環境の保全、災害時の安全性の向上などに資する事業を推進するため、約六十億円の重点化枠を設け、限られた財源の効果的な活用を図ったところであります。
 その上で、県民の関心が高く社会全体での取り組みが求められる少子化対策や安全・安心なまちづくり、本県の特色を最大限生かし将来に活力をもたらす観光の振興や新産業・新事業の創出といった重要な政策課題には積極的に取り組むことと致しております。
 今後の本県財政につきましては、明年度以降の地方交付税改革などの方向が不透明な状況にあり、なお一層厳しさを増すものと懸念されることから、行財政改革プログラムを着実に実行するとともに、歳出全般にわたり徹底した見直しを行い、持続可能な財政運営のため、全力を挙げて財政健全化を推進して参る考えであります。
 以下、平成十八年度当初予算案のうち、主なるものにつきまして、「創・甲斐プラン21」の施策体系に沿い御説明申し上げます。
 第一は、「時代を生き抜く力強い産業の振興」についての施策であります。
 先ず、競争力のある商工業・サービス業の振興についてであります。
 商工業振興資金につきましては、経営支援緊急融資を明年度も実施するなど、総額百三十億円の融資枠を確保することと致しております。
 また、経営の革新や基盤強化等に取り組む中小企業を総合的に支援する体制を整備するとともに、新たに環境保全や障害者の社会参加に資する技術や製品の研究開発に対し助成することと致しております。
 更に、本県の優れた地場産品のブランド化を図るため、世界文化遺産登録に向けた活動とも連携して、富士山をテーマとした製品の開発や販路の拡大などに支援することとし、所要の経費を計上致しております。
 商店街の活性化につきましては、空き店舗を活用したコミュニティ施設などの設置・運営に対し助成するとともに、その店ならではの自慢の商品の開発など、個々の商店の魅力を高める取り組みを支援することと致しております。
 また、地域住民が主体となって地域の課題に取り組むコミュニティビジネスを振興するため、公募により選定したビジネスプランの実施を支援するとともに、知的財産を活用した産業振興を図るため、人材育成や中小企業への専門家の派遣などに要する経費を計上致しております。
 更に、産学官が連携して燃料電池技術を活用したクリーンエネルギーシステムの構築を図るため、教育研修や情報発信などを支援するとともに、工業技術センター等において試験研究の重点化事業として研究開発を進めることとし、所要の経費を計上致しております。
 昨年度創設した産業集積促進助成金につきましては、新たに事業展開を図る立地企業四社に対し交付することと致しております。
 次に、観光立県「富士の国やまなし」の確立についてであります。
 NHK大河ドラマ「風林火山」に関する展示をはじめ、県内観光地や地場産品などを紹介する「風林火山博(仮称)」の施設整備に対し助成するとともに、このイベントと連携して本県の魅力を情報発信する大型観光キャンペーンを実施するなど、官民が協働して観光振興に取り組むことと致しております。
 また、武田氏ゆかりの史跡やロケ地周辺などの観光地における受け入れ体制を整備するため、市町村等が行う公衆トイレや駐車場などの施設整備に対し助成することと致しております。
 環境に配慮した富士山の山小屋トイレにつきましては、引き続き整備に対し助成することとし、明年度中には、十八箇所すべての整備が完了する見通しであります。
 また、「富士の国 やまなし館」に新たに相談窓口を開設し、豊かな森林や美しい自然環境に恵まれた本県の魅力を伝えながら、都市住民の本県への定住などを見据えた持続的な交流活動の促進を図って参ります。
 更に、富士の国やまなし観光ネットの充実を図るとともに、携帯電話で簡単に観光情報を入手することができる仕組みづくりや本県の魅力を収録したDVDの作成など、ITを活用した情報発信に積極的に取り組むことと致しております。
 また、本県ならではの魅力を取り入れた新たな旅行商品を企画・開発する取り組みに支援することとし、所要の経費を計上致しております。
 本年は日中観光交流年に位置付けられていることから、外国人旅行者の誘客を進める国の施策と連携して、四川省の生徒や報道関係者などを招待し、修学旅行などを誘致するための宣伝活動を行うとともに、引き続き観光キャラバン隊を派遣することとし、所要の経費を計上致しております。
 次に、豊かさを育む活力ある農業の確立についてであります。
 先ず、大規模な農業経営を促進するため、農業生産法人や新たに参入する企業に対して専任アドバイザーによる経営の指導などを行うための経費を計上致しております。
 また、優良な醸造用ぶどう品種の栽培技術の確立によるワインの品質の向上をはじめ、消費の拡大やブランド化の推進など、ワイン産地の確立に向けた今後の取り組みについて、ワイン醸造メーカーやぶどう栽培農家とともに検討することとし、所要の経費を計上致しております。
 更に、化学肥料や農薬の使用量を削減した農産物の産地化を図るため、環境保全型農業を目指した実践的な取り組みに対し助成して参ります。
 また、農産物の産地競争力の強化を図るため、低コストで耐候性に優れた野菜生産施設の整備に対し助成するとともに、地域の特性を生かした特産農産物の品質向上と生産拡大を図るための基盤整備を支援することと致しております。
 次に、自然との調和のとれた林業の振興についてであります。
 荒廃の進行が懸念される民有林の整備に積極的に取り組むこととし、新たに森林所有者や市町村などと連携しながら、五百ヘクタール規模で間伐を行って参ります。
 また、森林資源を活用した新たなビジネスの創出を支援することとし、山村地域の活性化を図って参ります。
 次に、勤労者の豊かで充実した生活の実現についてであります。
 団塊の世代の再就職希望者などを対象に新たに職業紹介を行うとともに、熟練技能者の技を伝承するための職業訓練を実施することとし、所要の経費を計上致しております。
 また、「ジョブカフェやまなし」につきましては、利用者の増加に対応するため、カウンセラーを増員することと致しております。
 第二は、「環境日本一やまなしの確立」についての施策であります。
 先ず、美しく恵み豊かな自然との共生についてであります。
 特定鳥獣保護管理計画に基づき、増加するニホンジカ及びイノシシの管理捕獲を進め、野生動物の適正な生息環境の確保に努めて参ります。
 次に、循環型社会の形成についてであります。
 明野廃棄物最終処分場の整備を図るため、環境整備事業団の行う施設整備に対して支援するとともに、事業団の借入資金に対して損失補償を行うことを内容とする債務負担行為を設定することと致しております。
 次に、さわやかな生活環境の確保についてであります。
 低公害車の普及を図るため、圧縮天然ガス等を燃料とする低公害バスの導入に対し助成することと致しております。
 第三は、「明日を拓く人づくり・文化づくりの展開」についての施策であります。
 先ず、生涯学習社会の形成についてであります。
 新たな学習拠点の整備につきましては、図書館と生涯学習推進センターを一体化した集客交流機能を有する施設として、PFI事業により実施することとし、設計・建設から維持管理・運営までに要する経費につきまして、債務負担行為を設定することと致しております。
 次に、個性と創造性を伸ばす教育の充実についてであります。
 少人数教育「かがやき30プラン」につきましては、小学校一、二年生を対象に引き続き実施し、学習と生活の両面にわたりきめ細かい指導を行うことと致しております。
 また、児童生徒の望ましい学習環境を確保するため、適正な学校規模について検討して参ります。
 更に、児童生徒の健全な成長や健康増進を図るため、栄養や食事についての正しい理解を深め、学校給食を活用した食育を推進して参ります。
 特殊教育から特別支援教育への転換を踏まえ、障害のある児童生徒一人ひとりの個性に的確に対応した教育の推進に向けて取り組みを進めるとともに、障害児教育の充実を図るため、盲学校、甲府養護学校の一体的整備やあけぼの養護学校の改修を引き続き進めて参ります。
 また、教育環境の向上を図るため、吉田高等学校の整備を引き続き進めるとともに、山梨高等学校、富士北稜高等学校のグラウンド整備を行うことと致しております。
 更に、大学の教育環境の充実を図るとともに、地域や企業との交流を促進するため、大学間の連携を強化する大学コンソーシアムの設立・運営に対し助成して参ります。
 山梨県立大学につきましては、飯田キャンパスにおける校舎の整備を引き続き進めるとともに、看護学部の入学定員の増員に合わせ、池田キャンパスに実習棟を整備することとし、所要の経費を計上致しております。
 私学の振興につきましては、私立学校における教育条件の維持向上や保護者の負担を軽減するため、運営費や教職員退職資金造成に対する助成の充実を図ることと致しております。
 次に、生活にうるおいをもたらす文化の振興についてであります。
 富士山の世界文化遺産登録に向けた取り組みを推進するため、文化資産の学術的な評価や保
存管理のための調査、シンポジウムの開催などについて所要の経費を計上致しております。
 また、県民の参加による新しい文化を創造するため、平成十九年度やまなし県民文化祭にお
いて県民オペラを開催することとし、その準備に対し助成して参ります。
 次に、誇れる地域の創造についてであります。
 市町村合併によるまちづくりが円滑に進められるよう、合併支援特例交付金を交付するとともに、新たな合併特例法に基づく自主的な市町村合併を積極的に推進するため、合併推進構想に基づく協議会の活動やまちづくりの取り組みに対し支援することと致しております。
 第四は、「安心・安全に暮らせる社会の形成」についての施策であります。
 先ず、子育て環境の充実についてであります。
 子ども連れの家族に配慮した施設の場所や設備の内容をホームページにより情報提供するとともに、子育て支援を受けたい人と行いたい人を橋渡しするファミリー・サポート・センターの運営に対し助成することと致しております。
 また、NPO法人などから募集した先駆的な子育て活動を支援して参ります。
 更に、被虐待児や発達障害児など心のケアが必要な子どもの診療などを行うため、児童相談所に「子どもメンタルクリニック」を開設することとし、所要の経費を計上致しております。
 また、多子世帯を対象に料金割引などのサービスを行う協賛企業を募集し、企業とともに子育て家庭を支援する取り組みを進めることとし、所要の経費を計上致しております。
更に、学校教育の充実や機能の強化を図り、児童の自立を支援するため、甲陽学園を整備することとし、実施設計等に要する経費を計上致しております。
 次に、自立と社会参加を促す福祉社会の形成についてであります。
 意欲のある障害者の起業を促進するため、経営の専門家による研修を実施するとともに、起業計画の策定を支援することとし、所要の経費を計上致しております。
 また、重度障害者の在宅就労を促進するため、パソコンの技術指導や情報処理関係の仕事の受発注などを積極的に支援することと致しております。
 更に、授産施設利用者の就労を促進するため、発注元企業における職場訓練を実施するとともに、重度聴覚障害者の職場定着を支援するため、手話のできる相談員を配置することと致しております。
 また、一般企業での就労が困難な知的障害者を雇用する県内初の福祉工場の整備に対し助成することと致しております。
 更に、医療や保健、福祉、教育などの各分野が連携した相談機能の充実を図るため、障害者相談所に発達障害者支援センターを設置することと致しております。
 次に、安心な暮らしを支える福祉の充実についてであります。
 新たな「健康長寿やまなしプラン」に基づき、介護支援専門員に対する研修などを行うとともに、総合的な介護予防対策を行う市町村を支援することと致しております。
 また、介護サービス事業者のサービス内容などの情報を公表する制度が導入されることから、県の指定機関が行う調査及び公表に要する経費について助成することと致しております。
 あけぼの医療福祉センターにつきましては、障害の重度化・重複化への対応や在宅福祉の支援機能の充実を図るため、本年九月の開所に向け、引き続き整備を進めて参ります。
 また、精神障害者の社会復帰を促進するため、日常生活の支援や訓練などを行う施設の整備に対し助成して参ります。
 次に、県民の生命を守る良質な医療の提供についてであります。
 心室細動により心停止した場合における救命率の向上を図るため、すべての県立学校をはじめ、都市公園など多くの県民が集まる県立施設に自動体外式除細動器、いわゆるAEDを設置するとともに、使用方法などについての講習会を開催することと致しております。
 新型インフルエンザ対策につきましては、明年度から二箇年計画で、抗インフルエンザウイルス薬のタミフルを備蓄することとし、所要の経費を計上致しております。
 また、がんに関する症状や治療内容などの情報を登録・解析し、今後の予防対策や治療に生かすため、医療機関と連携したがん登録システムの導入に向けて準備を進めることと致しております。
 更に、国の医療制度改革を踏まえ、質の高い効率的な保健医療提供体制を構築する新たな保健医療計画を策定するため、各種調査を実施することとし、所要の経費を計上致しております。
 次に、安全で平穏な生活の確保についてであります。
 地域全体で子どもの安全確保を図るため、通学時の安全指導等を行うスクールガード・リーダーを増員するとともに、子どもの見守り活動を支援することとし、所要の経費を計上致しております。
 また、携帯電話やパソコンを活用し、モデル地域において、子どもの安全に関する情報を家庭、学校、地域で共有できるシステムを構築することとし、所要の経費を計上致しております。
 次に、高度防災社会の形成についてであります。
 災害時における情報伝達機能の強化を図るため、防災行政無線をデジタル化することとし、所要の経費を計上致しております。
 また、大規模地震の発生に備えて建築物の耐震改修を促進するため、県有施設の耐震診断の実施や耐震化率の目標を定めた計画の策定に要する経費を計上致しております。
 更に、県民の生命、財産を守る耐震化の取り組みを促進するため、木造住宅の耐震診断や耐震改修に要する経費について、引き続き市町村に対し助成することと致しております。
 第五は、「快適な生活と活発な交流を支える基盤の充実」についての施策であります。
 先ず、快適な住環境の確保についてであります。
 市町村合併の現状等を踏まえ、今後の都市計画区域の在り方について調査検討することとし、所要の経費を計上致しております。
 また、甲府市中心部の紅梅地区において計画されている市街地再開発事業につきましては、組合が行う事業計画の策定等に対し、国や甲府市と連携して支援することと致しております。
 次に、交流を支える交通体系の充実についてであります。
 新山梨環状道路につきましては、東部区間の整備区間への格上げに必要な調査等を実施するとともに、南部区間につきましては、早期完成を目指し、所要の経費を計上致しております。
 西関東連絡道路につきましても、笛吹市春日居町下岩下から山梨市万力までの早期供用開始を目指し、所要の経費を計上致しております。
 以上の内容をもって編成致しました結果、一般会計の総額は、四千五百二十四億円余となっており、本年度の当初予算と比較しますと二・六パーセントの減となっております。
 特別会計は、恩賜県有財産ほか十一会計を合わせまして、千五百三十五億円余、企業会計は、電気事業ほか三会計で二百六十七億円余となっております。
 次に、条例案のうち、主なるものにつきまして申し上げます。
 先ず、山梨県民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する条例の制定についてであります。
 条例等で規定されている書面等の保存、作成などについて、書面に代えて電磁的記録により行うことができるよう共通的な事項を定めようとするものであります。
 次に、山梨県の事務処理の特例に関する条例の改正案についてであります。
 市町村への権限移譲につきましては、地方分権や市町村合併の進展などを踏まえ、「市町村への権限移譲推進計画」を策定し、積極的に取り組んで参りました。
 今般、この計画に基づき、農地法に規定する農地の所有権移転に係る許可などの事務を市町村に移譲し、住民の利便性の向上や行政の効率化を図ろうとするものであります。
 次に、山梨県立大学授業料、入学料及び入学検定料条例ほか四条例の改正案についてであります。
 県立の大学、短期大学等の授業料を国立大学等における授業料の標準額に合わせて改定しようとするものであります。
 次に、山梨県立宝石美術専門学校設置及び管理条例及び山梨県立宝石美術専門学校授業料、入学料及び入学検定料条例の改正案についてであります。
 宝石美術専門学校につきましては、宝飾の制作から販売まで総合的な技術や知識を持つ人材を育成するため、一般課程及び研究科を廃止し、高度技術専門コースを新設するとともに、専門課程を充実することとして、明年四月から実施しようとするものであります。
 最後に、平成十七年度二月補正予算案のうち主なるものにつきまして申し上げます。
 先般、設置されました笛吹市・芦川村合併協議会の活動を支援することとし、所要の経費を計上致しております。
 また、利用者の安全を確保するため、民間の社会福祉施設、病院等におけるアスベスト除去等に対し助成することと致しております。
 更に、県内産業の高度化と雇用の創出を図るため、山梨ビジネスパークに入居した企業に対し立地促進奨励金を交付することと致しております。
 また、公共事業等の事業費の確定による減額を行うことと致しております。
 この結果、一般会計の補正額は二十五億円余の減額となっております。
 また、特別会計は、恩賜県有財産ほか四会計で補正を行うこととしており、企業会計は、病院事業会計で一億円余の減額となっております。
 その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。
 なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。

 平成十八年二月二十四日

山梨県知事  山本 栄彦

リリース日:2006年2月24日

総務部財政課

甲府市丸の内1-6-1 本館4F
TEL:055(223)1381
FAX:055(223)1385

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