ページID:77411更新日:2017年2月1日

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平成19年9月定例県議会知事説明要旨

詳細内容

 平成十九年九月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 去る七月二十日、二十一日の両日、秋篠宮同妃両殿下並びに眞子内親王殿下の御臨席を仰いだ第四十一回全日本高等学校馬術競技大会は、成功のうちに終了致しました。
 大会の開催に御協力をいただきました県議会や北杜市をはじめ関係者の皆様に御礼申し上げます。
 さて、我が国の経済の先行きについては、企業部門の好調さが持続し、民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれるものの、原油価格の動向などの不安要素があります。
 一方、本県経済の動向につきましても、製造業を中心に緩やかに回復しつつあり、企業の景況感の見通しも一部企業で改善する動きが見られるものの、依然として多くの本県産業は厳しい状況に置かれていると考えられます。
 こうした中、経済的波及効果の大きい観光産業の振興や県産品の販路拡大に向けた取り組みが重要であり、私自らが先頭に立って、迅速かつ的確に施策展開を図って参ります。
 そこで、先ず、経済成長の著しい中国や韓国に対する地場産品の新規市場開拓や観光客の誘致などのトップセールスを行うため、去る七月二十四日から二十八日まで、四川省及び北京市を訪れ、県内宝飾業者や観光業者と連携して海外市場進出に向けた説明会を開催しました。
 また、北京市長と観光交流に関する公式文書を取り交わし、観光客誘致への足がかりを築くとともに、早速、秋には八百名を超える本県への観光客の送客が決定しました。
 更に、韓国忠清北道と本県とが姉妹県道締結十五周年となることに合わせて、十月十二日から十五日まで韓国を訪れ、ソウル市において韓国政府や観光業界、マスコミ関係者などに対して本県観光の魅力を宣伝するとともに、ワインや果物などの県産品の輸入を積極的に働きかけて参ります。
 また、国内においては、過日、本県にゆかりがあり、各界に影響力のある在京の方々に御参加いただき、六本木ヒルズにおいてやまなしサポーターズ倶楽部交流会を開催し、果物、ジュエリー、ワインをはじめとする地場産品など本県のすぐれものをPRしたところであります。
 その際、サポーターズ倶楽部会員の約四百名の方々には「やまなし大使」を委嘱させていただき、本県の魅力を全国に情報発信するとともに、本県経済の活性化に資する情報提供をお願いしたところであります。
 次に、当面する県政の課題につきまして申し上げます。
先ず、高速交通網の整備についてであります。
 首都圏と近畿圏を結ぶ日本の東西の基軸となるリニア中央エクスプレスについては、明治三十年代の中央線の開通や昭和五十年代後半の中央自動車道の開通に匹敵する本県の経済発展の起爆剤となることが期待されることから、早期実現を図っていく必要があります。
 そこで、県としては、二〇二五年に首都圏から中京圏までのリニア中央エクスプレスの営業運転を開始することを目標とするJR東海の経営戦略に積極的に協力して参ります。
 このため、県選出国会議員や県議会議員各位、沿線各市をはじめ関係者の皆様の御協力をいただきながら、国レベルでの取り組みが一層加速されるよう強く働きかけるとともに、山梨リニア実験線の早期建設に向けて必要な未買収用地の取得や本線工事に必要な関連道路の整備など、速やかに取り組んで参ります。
 また、日本の物流の大動脈である東名高速道路と中央自動車道をつなぐ中部横断自動車道の全線開通は、本県の産業経済などの発展に大きな効果が期待されるものであり、長年の県民の悲願でもあります。
 そこで、県としては、中部横断自動車道増穂以南の整備について、十年以内の一日も早い完成に向け、引き続き国や関係機関に働きかけを行って参ります。
 先般、約百八十億円とされていた新直轄方式に係る本県負担については、百五十億円程度軽減し、三十億円程度とすることに道筋がつき、本年度はこの負担軽減措置の初年度として約十億円の交付税措置がなされたところであります。
 県選出国会議員をはじめ、県議会議員各位の御支援と御協力に改めて御礼申し上げますとともに、早期開通に向けての御協力をお願い申し上げます。
 更に、六月二十三日に首都圏中央連絡自動車道、いわゆる圏央道の八王子ジャンクションからあきる野インターチェンジまでの間が開通し、中央自動車道が圏央道を介して関越自動車道と接続したことにより、本県と北関東方面との連携は一層強化されました。
 この圏央道の整備に伴い、本県の企業立地環境や交通アクセスが大幅に改善されることから、本県への企業進出や観光客誘致などにつなげ、経済の活性化を図って参ります。
 また、本県の社会・経済活動を支える幹線鉄道であるJR中央線の利便性を向上させることは、都内への通勤・通学等を容易にし、人口増加や経済活動の活性化につながることが期待されます。 
 そこで、東京都、甲府市、JR東日本とで構成する「中央線高速化等利便性向上検討委員会」を立ち上げ、三鷹・立川間の複々線化の早期事業化や甲府駅発の早朝特急の開設など利便性向上のための具体的な方策について、検討をして参ります。
 このほか、横田飛行場の民間航空利用に向けて、八月下旬に外務事務次官に面会し、直接要望したところであり、今後とも、本県を含む首都圏西部地域における空港利用の利便性向上を図るため、東京都をはじめとする関係自治体と連携を強化しつつ、外務省、防衛省などに働きかけて参ります。
 次に、県内の産業経済の活性化についてであります。
本県の産業経済を力強く発展させていくためには、優良な企業の誘致・育成を図っていくことが極めて重要であります。
 本年四月より産業立地室を設置し、企業誘致を強化してきたことに加えて、圏央道開通の効果と相まって、上野原市の東部基幹工業団地が完売し、八月末までに九企業十一・七ヘクタールの企業誘致が進んだところであります。
 今後は、更にこうした動きを強化するため、過日創設した産業立地成功報酬制度の積極的な活用を図るほか、迅速な企業誘致に必要なワンストップサービスの充実に向け、九月一日から産業立地室に新たに四名の職員を配置するなど、一層の企業誘致体制の強化を図って参ります。
 また、積極的な産業立地を進める上では、企業が求める優秀な人材を確保することが重要であり、雇用情勢が改善している中で、特に不足している技術系人材の確保・育成については喫緊の課題となっております。
 そこで、民間企業の経営者、労働側の代表者や教育機関の関係者などで構成する雇用構造改善検討会議を開き、県内の高卒・大卒技術者の確保や県外大学生のUターン・Iターンの促進などの方策について検討を進めて参ります。
 また、産業界を担う人材の育成・確保を図るため、地域産業界と工業高校が連携して県内企業における実習などを実施するとともに、県内六大学における観光産業の担い手育成のための社会人向け講座や県立大学におけるデザイン講座を実施して参ります。
 次に、観光の振興についてであります。
 NHK大河ドラマ「風林火山」は二十パーセント程度の平均視聴率と好評を博しており、本県観光振興にも波及効果は大きく、特に、当初は年間二十万人の来客を目指していた風林火山博も開館八箇月で入館者数が三十万人を突破するなど、多くの来県者を迎えております。
 しかしながら、本県を訪れる観光客については、依然として日帰りが多いことから、滞在型観光の展開を図るため、中国、四国、九州方面への誘客宣伝を開始したところであります。
 また、団塊の世代の退職に伴い、今後、二地域居住の需要が高まることが期待されます。
 本県において、二地域居住を行う場合には、マイカー利用者が大半を占めることが想定されることから、中日本高速道路株式会社の協力を得る中で、首都圏と本県を行き来するマイカー利用者に高速道路料金の割引を実験的に導入するなど、本県への二地域居住の一層の促進に取り組んで参ります。
次に、農業の振興についてであります。
 果樹王国やまなしとしての地位を確たるものにしていくためには、新たに農業に参入しようとする人々を幅広く求め、意欲的に農業経営に取り組む担い手を育成することが重要であります。
このため、本年七月に「山梨県就農支援センター」を開設し、八月末現在で県内外の約六十名に対し就農相談や農地のあっ旋などを行うとともに、明年四月に専門学校となる農業大学校において本年十月より推薦入試を開始するなど、今後とも、本県農業の担い手育成に取り組んで参ります。
 また、十年先を見越して、世界に冠たるワイン産地へと飛躍的発展を遂げるためのプロジェクトも動き出しました。
 八月には、醸造用ぶどう栽培の世界的な権威である南アフリカ共和国のコブス・ハンター教授を招へいし、県内各地で技術研修会を実施するなど、先進技術の普及を図るとともに、県職員をぶどう栽培のエキスパートとして養成するため、三箇月間、醸造用ぶどう研究の先進地であるアメリカ西海岸のナパバレーに派遣したところであり、海外の先端技術を本県のぶどう栽培に生かして参ります。
 更に、これらの取り組みに加え、本県農業の発展・向上のため、長期的視点に立った農業振興の指針となる「やまなし農業ルネサンス大綱」の策定に着手し、「担い手が育つ高収益な農業の実現」と「魅力ある活力に満ちた農村の創造」などの目標の実現に向けた施策の検討を進め、年内を目途に公表して参ります。
 次に、安全・安心な県民生活の確保についてであります。
 先ず、医療体制の充実についてであります。
 地方における医師不足は、平成十六年に導入された新しい医師臨床研修制度に起因していると考えられますが、国に対して早急な抜本対策を講ずるよう強く要請しているところであります。
 しかしながら、本県は、現在、医師不足が深刻な十県のうちの一県であり、医療サービスの低下は県民が直面する喫緊の課題であることから、こうした国への要請に加え、幅広い医師確保対策に取り組む必要があります。
 このため、先ず、県内外の医学部生のうち、将来、本県の公立病院等で働こうとする者に対し、奨学金を給付する医師修学資金貸与制度を創設し、募集を開始したところであり、今後は大学と連携し、卒業後に医師として本県に定着することを促して参ります。
 また、臨床研修医を確保するため、七月に東京で開催された全国合同説明会に県内七箇所の臨床研修病院が共同で参加し、医学生にPRを行うとともに、本県出身の医学部生や医師に対し、県内病院の就職情報などを定期的に提供するサービスを開始したところであります。
更に、医師不足が特に深刻な公立病院については、ドクタープール制度の活用に向けて、派遣する医師の確保に全力で取り組んでいるところであります。
 また、塩山市民病院や都留市立病院において、分娩を取り扱わなくなることが地域の大きな不安となるなど、周産期医療体制の確保が喫緊の課題となっていることから、助産師の積極的な活用による助産師外来設置の検討を進めるとともに、病院が新たに分娩の実施を取りやめた地域においても、産婦人科医による健診が住民に身近な病院で行うことができる方策について検討を行って参ります。
 次に、防災対策についてであります。
 本年三月の能登半島地震に続き、七月には、新潟県柏崎市を中心に震度六強の大きな揺れを観測した新潟県中越沖地震が発生し、多くの尊い人命が失われるとともに、建物やライフラインに大きな被害が発生しました。
 被災した皆様に心から哀悼とお見舞いを申し上げます。
県民の生命・財産を守ることは県の果たすべき最も重要な使命であり、切迫性が指摘されている東海地震の地震防災対策強化地域として本県の二十六市町村が指定されていることを踏まえると、行政と地域住民が一体となった地域防災力や本県の防災体制を更に強化していく必要があります。
 このため、九月一日の防災の日に合わせ、過日、東海地震を想定した図上訓練や市町村及び関係機関と連携した総合防災訓練を行うとともに、県内の全戸に災害時の対応などを記載した防災チェックシートを配布し、防災体制の強化や県民の防災意識の啓発を図っているところであります。
 また、大規模災害時には、迅速かつ正確な情報の収集・伝達が最も重要であり、県や市町村、防災関係機関、災害拠点病院等が一体となって、より的確な初動対応や応急対策等が図られるよう、防災行政無線のデジタル化を年内に完了させるとともに、明年一月には、県、市町村、ライフライン関係事業者等による県内初めての総合的な図上訓練を実施するなど、県民の安全・安心の確保に向け積極的に取り組んで参ります。
 更に、大地震に伴う建築物の倒壊などを防ぐため、先般、耐震改修促進計画を公表したところであり、今後は県有施設の耐震化を計画的に推進していくとともに、個人住宅の耐震化率を向上させるため、耐震診断や耐震補強工事の補助制度の活用を図るなど、市町村とも連携しつつ、改修を促して参ります。
 次に、まちづくりについてであります。
人口減少・超高齢社会など社会情勢の変化を踏まえると、これまでのような成長・拡大を基調としたまちづくりから、既存の都市機能などのストックを活用し、集約型の都市構造であるコンパクトシティーを目指したまちづくりへと転換する必要があり、こうした考え方を「やまなし都市づくりの基本方針」として発表したところであります。
 こうした中で、昭和町常永地区の土地区画整理事業地内に計画されている大規模商業施設の立地に関しては、計画地周辺道路の渋滞が発生することが見込まれ、混雑解消に向けた巨額の投資が必要となることや全国の県庁所在地の中でも衰退が著しいと言われる甲府市中心市街地への影響が懸念されるところであります。
 そこで、都市計画の観点から、去る五月に昭和町へ立地計画の見直しの要請を行い、八月八日に常永地区で開催されました全体地権者会には、私自らが出席させていただき、規模見直しの必要性などについて直接地元関係者に説明をさせていただいたところであります。
 土地区画整理事業自体の必要性は十分に認識しているところでありますので、今後も引き続き関係者の御理解を得る努力を続けていく考えであります。
 また、大規模集客施設については、「大規模集客施設の立地に関する方針」を定め、計画の初期段階において、計画概要の提出などを事業者に求めるとともに、地域雇用や地産地消といった地域貢献活動を事業者に促すこととしました。
 今後は、県民、事業者、市町村の御理解と御協力を得ながら、大規模集客施設の適正立地の確保に努め、活力ある都市づくりの推進に取り組んで参ります。
 次に、提出案件の内容につきまして御説明申し上げます。
 今回提出致しました案件は、条例案九件、予算案三件、その他の案件七件となっております。
 条例案のうち、主なるものにつきまして申し上げます。
 専門学校山梨県立農業大学校授業料及び入学検定料条例の制定についてであります。
 明年四月に開校予定の専門学校山梨県立農業大学校の授業料及び入学検定料につきましては、県立高等学校全日制課程と同額とすることとし、授業料につきましては、急激な負担増を緩和するため、五年間で段階的に引き上げようとするものであります。
 次に、動産購入案件につきまして申し上げます。
 県立美術館は、明年、開館三十周年を迎えますので、これを記念して、本県出身の佐藤正明氏の彫刻作品「ザ ビッグ・アップルNo.45」を財団法人日本宝くじ協会の助成制度を活用して購入しようとするものであり、県民の皆様に鑑賞していただけるよう芸術の森公園に展示して参るものであります。
 次に、予算案につきまして申し上げます。
先般、県内全市町村の平成十四年度及び十五年度の国民健康保険財政調整交付金の過大交付及び県立中央病院建設事業に係る企業債の超過借入という不適正な事務処理が判明致しました。
 そこで、市町村の国庫返還を支援するため、国民健康保険広域化等支援基金を活用して、無利子の資金を市町村の財政状況を勘案した償還期間により貸し付けることとし、所要の経費を計上致しております。
 また、企業債の超過借入につきまして、借入先の財務省及び公営企業金融公庫へ速やかに返還したことに伴い、今後不足する償還金を計上することとしております。
 今後は、厳正な職務執行に対する職員の意識の向上を図ることはもとより、事務処理のチェック体制の整備など、職員一丸となって再発防止と信頼回復に努めて参ります。
 次に、税収の確保対策についてであります。
公平な税負担を求める県民の声も踏まえ、滞納整理に大きな効果が認められるタイヤロック装置を購入し、自動車の差押えを集中的に実施して参ります。
 次に、障害者の自立支援についてであります。
 障害者の自立を支援するため、障害者福祉施設等が行う就労訓練のための設備整備に対し助成して参ります。
 次に、産業立地の推進についてであります。
 産業集積の促進や県内産業の高度化と雇用の創出を図るため、新たに事業展開を図る立地企業に対し産業集積促進助成金を交付するとともに、山梨ビジネスパークに入居した企業に対し立地促進奨励金を交付することとし、所要の経費を計上致しております。
 次に、公共事業関係についてであります。
 山梨リニア実験線の一般区間着工に伴う関連道路について、事業者と連携して早急に整備を進めることとしております。
 また、本年七月の台風四号などによる林道の災害復旧につきまして、所要の経費を計上し、早期の復旧を図ることとしております。
 以上の内容をもって編成しました結果、一般会計の補正額は、六十三億円余、当初予算と合わせますと四千四百四十九億円余となり、借換債を除いた前年度同期予算と比較して、〇・二パーセントの減となっております。
 この財源と致しましては、財政調整基金の取り崩し二十四億円余のほか、地方交付税五億円余、国庫支出金二億円余などとなっております。
 また、特別会計の補正額は、恩賜県有財産特別会計で十四億円余、企業会計の補正額は、病院事業会計で三億円余となっております。
 その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。
 なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。


  平成十九年九月二十六日

 山梨県知事  横 内 正 明

リリース日:2007年9月26日

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