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平成18年9月定例県議会知事説明要旨

詳細内容

 平成十八年九月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
 先ず、秋篠宮同妃両殿下に親王殿下が御誕生になりましたことに対しまして、心からお祝いを申し上げます。
この度の御慶事は、私たちに明るい希望を与えてくださるものであり、国民等しく大きな喜びとするところであります。
 ここに、悠仁親王殿下の健やかな御成長と皇室の更なる御繁栄を心からお祈り申し上げます。
 さて、国と地方を通じた財政の健全化と地方の自立に向け、歳出・歳入一体改革の議論が進められておりましたが、去る七月、政府は「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六」を閣議決定し、二〇一〇年代初頭に基礎的財政収支の黒字化達成を目指すなど、直面する課題に対する改革の方針を示しました。
 地方財政については、地方交付税の現行法定率を堅持することや、安定的な財政運営に必要となる地方税、地方交付税等の一般財源の総額を確保することが明記されるなど、地方側に一定の配慮がなされた形となりました。
 しかしながら、今回の基本方針においては、基礎的財政収支の黒字化達成のための歳出削減額に幅を持たせていることや、人口と面積を基本として算定を行う新型交付税の配分方法が明確にされていないことなどから、今後の動向及び本県への影響を危惧しております。
 歳出・歳入一体改革の具体化に当たっては、国と地方が「対等・協力」の関係で取り組むことが重要であり、一方的に地方に負担を転嫁するのではなく持続可能な地方財政の運営が行えるよう、今後ともあらゆる機会をとらえ、国に強く働きかけていくとともに、県自らも自主財源の確保や一層の行財政改革に取り組み、限られた財源の重点的・効率的な配分に努めて参ります。
 次に、当面する県政の課題につきまして申し上げます。
 先ず、富士山の世界文化遺産登録についてであります。
 現在、地元市町村や静岡県と連携した取り組みを進めており、過日、山梨・静岡両県の合同学術委員会において、暫定リストに登載する遺産名を「富士山」とすることなどが協議されたところであり、今後開催される両県合同会議で暫定リスト案を正式決定した後、年内には文化庁へ提出したいと考えております。
 また、このような動きに合わせ、富士山をテーマとした本県独自のロゴマークを作成したところであり、富士山ブランドの確立による県産品の宣伝や販路拡大、観光客誘致はもとより、富士山世界文化遺産登録に向けた気運の醸成に役立てて参ります。
 次に、国民文化祭の誘致についてであります。
 本県では、地方美術館の先駆けとなった県立美術館をはじめ、文学館、博物館などの文化施設や平成二十一年開館予定の新たな学習拠点など、県民文化の振興を担う施設の整備を進めてきたところであります。
こうした取り組みに加えて、県民文化の向上を図るためには、文化活動に参加し、発表できる場や機会の確保が重要であります。
このため、文化の国体といわれる国民文化祭の誘致に取り組むことと致しました。
 国民文化祭は、幅広い分野の文化活動を全国的な規模で発表、競演し、交流する機会を提供することにより、文化活動への参加の気運を高め、新たな芸術文化の創造を促すものであり、全国から多数の観客が訪れる総合的な文化の祭典であります。
 既に、平成二十三年までの開催地が内定していることから、準備期間も考慮して、平成二十年代中頃の開催を目指し誘致活動を進めて参ります。
 市町村や文化団体と連携を図りながら、県民の底力を結集して全国に本県の「美力」、「民力」、「創力」を発信していきたいと考えております。
 次に、科学技術を活用した明日の山梨発展のための基盤づくりについてであります。
 現在、本県では、燃料電池に関する世界最先端の技術を有する山梨大学と総合理工学研究機構を核として、世界に先駆けた燃料電池の実用化を目指す国家的プロジェクトが産学官一体となって進められております。
 また、過日、日照時間日本一を誇る北杜市が、国の大規模太陽光発電の実証実験地に決定されたところであります。 
 環境負荷の小さい新エネルギー産業は、今後、大きな成長が見込まれ、地域経済の活性化だけではなく、環境日本一の県づくりにもつながる極めて有望な分野であります。
 今後は、燃料電池をはじめとする次世代に向けた新エネルギー技術の開発に積極果敢に取り組むとともに、関連企業の集積を進め、「森の国・水の国やまなし」が世界に向けたクリーンエネルギー産業の発信基地となるよう努めて参ります。
 更に、本県の科学技術振興の戦略的な推進を図るため、「やまなし科学技術基本計画(仮称)」を本年度中に策定することとし、現在、計画の基本的な方向性や施策の在り方について、科学技術会議において議論していただいております。
今後は、会議での議論を踏まえ、本県の自然環境や技術資源の優位性を考慮して、科学技術に係る重点投資分野の設定や試験研究機関の機能強化を行って参ります。
 このうち試験研究機関の機能強化については、委員の皆様より試験研究機関の組織再編の必要性に関する意見が出されております。
 今後は、十月に予定される中間報告を踏まえ、機能強化の具体化に向けた検討を早急に進め、地域産業の発展や安全・安心な県民生活の実現に貢献できる試験研究機関への組織再編案を取りまとめていきたいと考えております。
また、情報通信の分野におきましては、光ファイバーによる高速情報通信基盤、いわゆる情報ハイウェイが完成し、八月に運用を開始致しました。
 情報ハイウェイは、光ファイバーを県内幹線道路沿いに総延長三百二十キロメートルにわたって整備したもので、行政はもとより民間情報通信事業者等にも開放するものであり、大容量の情報を高速でやりとりすることができるため、インターネットの動画配信や地上デジタル放送視聴のための環境整備が促進されるだけではなく、電子商取引などによる企業活動の活発化が期待できるものであります。
 今後とも、情報ハイウェイの有効活用に向け一層の取り組みを進め、高速情報ネットワーク社会の形成に努めて参ります。
 次に、産業の振興についてであります。
 今般、活力ある産業集積の促進と雇用機会の拡大を図ることを目的とする産業集積促進助成金制度を活用して、パイオニア株式会社がプラズマディスプレイパネル製造工場を南アルプス市に進出させることになりました。
 今後とも、本県経済の活性化につながる企業誘致を積極的に進めて参りたいと考えております。
 去る七月、本県のワイン人材活性化計画が国の地域再生計画に認定され、私自ら認定書授与式に出席し、内閣総理大臣より認定書を直接いただいて参りました。
 今回の計画は、県、山梨大学、地元ワイン業界、生産農家等の産学官が一体となって、五箇年計画でワイン技術者などの人材育成、販路拡大、ブランド確立などに取り組むものであり、産学官の英知を結集して、農業、観光、地域の景観等と密接に結びついた貴重な資源である本県ワイン産業の地位を確たるものとして参ります。
 また、ジュエリーや織物などの地場産業については、「山梨ブランド推進事業」を実施し、世界に通用する産地ブランドの確立や販路拡大に向けた取り組みを支援しているところであります。
 更に、県内中小企業全般に対し、本年四月にやまなし産業支援機構に設置した「中小企業サポートセンター」において、経営革新や新規創業に向けた取り組みを支援するとともに、販売ルートを数多く持つ大手商社OBでつくるNPO法人を活用した販売活動、県外企業との商談会開催などの販路開拓分野に対しても積極的に支援を行っております。
 次に、農業の振興についてであります。
農業の担い手不足に対応するため、将来にわたって効率的かつ安定的な営農の継続と農村の健全な発展を図ることを目指して、集落全体で力を合わせながら地域に適した方法で農業を守り育てていく「集落営農」の取り組みを推進しており、市町村、農協などと連携して地域の合意形成を図りながら、栽培品目や立地条件などを考慮した集落営農のプランづくりを支援しております。
 また、本年五月から、農薬等の残留基準を定める「ポジティブリスト制度」が施行されたため、県では、農業団体と連携して制度の周知徹底に取り組み、農薬の使用基準の遵守、飛散防止対策を中心としたマニュアルの作成や技術講習会の開催など、農家の不安を取り除くよう啓発、指導を行って参りました。
 更に、農業団体が行う出荷前自主検査に加え、県でも主要農作物の残留農薬検査を抜き打ちにより実施することで、基準値を超える作物の流通を防止し、安全・安心な県産農産物等を消費者に供給できるようにするとともに、果樹をはじめとする本県農作物が風評被害等を被らないよう努めております。
 次に、交通基盤の整備についてであります。
 中部横断自動車道につきましては、去る七月九日に、身延町内において新直轄方式区間の中心杭打ち式が執り行われ、また、増穂インターチェンジ(仮称)から南アルプスインターチェンジ間につきましては、十二月十六日に開通する運びとなりました。
中部横断自動車道は、本県の産業、経済、文化、観光の発展に大きく寄与するとともに、災害時の緊急輸送路としての役割など、大きな整備効果が期待されるものであり、今後も、県選出国会議員、県議会議員各位をはじめ、市町村、関係団体の御支援と御協力をいただく中で、一日も早い完成を目指して全力を挙げて参ります。
 また、山梨リニア実験線においては、JR東海が、先行区間の設備を実用レベルに更新するとともに、実験線を一般区間にまで延長することとし、明年度には工事着手する意向を示しております。
実験線全線の建設により、リニア技術の早期実用化が図られ、リニア中央エクスプレスの早期実現に続くものと期待を寄せるものであります。
リニア中央エクスプレスは、本県と三大都市圏を東西に結ぶ新たな日本の大動脈に位置付けられるだけではなく、新たな南北軸となる中部横断自動車道と合わせ、本県の県土構造を大きく変えるものであります。
 このため、東京都をはじめ沿線八都府県と連携してリニア中央エクスプレスの早期開通と本県へのリニア新駅設置を強力に働きかけていくとともに、山梨百年の大計を踏まえ、社会経済全般にわたる変革を先取りした本県のグランドデザインを描いて参りたいと考えております。
 JR中央線の高速化につきましては、県はこれまでも、平成十年から二箇年にわたり中央線高速化基礎調査を実施し、県内路線の線形改良による時間短縮の方策、費用等を明らかにするとともに、県内沿線各市などで構成する「中央線沿線活性化促進協議会」や都内沿線各市とも協調しながら、国、JR東日本に対して高速化の実現を要望して参りました。
 今般、中央線高速化に向けて、なお一層の取り組みを進めるため、同じ課題を有する沿線の県や市町村等とともに「中央線高速化促進広域期成同盟会(仮称)」を設立することとし、協議を重ねているところであります。
 この同盟会の設置により、中央線高速化に向けた気運の醸成に努めるとともに、既に都市計画決定されている三鷹・立川間の複々線化の早期事業化など、高速化の実現に向けた具体的取り組みを国、JR東日本などに強力に働きかけて参ります。
 今後も、県選出国会議員、県議会議員各位をはじめ、市町村、関係団体におかれましても、なお一層の御支援と御協力を賜りますようお願いする次第であります。
 次に、「森の国・水の国やまなし」の確立についてであります。
 二十一世紀は水と空気の時代と言われており、清らかな水と空気を創出するために森林の役割に対する理解を深め、適切に管理する必要があります。
 そこで、本年度から、企業等が社会貢献活動の一環として森林整備に参画する仕組みを構築し、県内外の企業に対して、森林の持つ公益的機能に対する理解を深めていただくための広報活動を重ねております。
 先般、この趣旨に賛同したライオン株式会社と山梨市との間で森林整備協定が締結され、企業の支援を得て森林整備が進められる初の事例が誕生したところであります。
 今後、一層の広報活動に努め、多くの企業の参画を得て森林整備を進めるとともに、人々の交流の促進につなげて参りたいと考えております。
 更に、県産材のブランド化と販路の拡大を図るため、県産ラベリング材の流通を促進するなど「森の国の産業づくり」を推進して参ります。
 また、山梨の良質な地下水資源を守っていくための財源確保の手段として、法定外目的税の導入について検討を行ってきたところであります。
 この税の導入の是非を判断するに当たっては、専門的かつ幅広い見地から検討を行う必要があることから、昨年六月、学識経験者や有識者等で構成するミネラルウォーターに関する税検討会を設置致しました。
 検討会では、ミネラルウォーター税などの手段を活用した本県の地下水資源を守っていくための財源確保策等について専門的な見地から審議が重ねられ、先般、検討結果の報告をいただいたところであります。
 報告では、地域特性に応じた地方税の一つとして、地下資源としての水に着目した新税を構想することは理解できるものの、この税については、公平・中立などの税の原則に照らして考えた場合、納税義務者が特定かつ少数の者に限定され過ぎていることなどから、積極的に評価することは難しく、慎重に対応していくことが望まれるとされたところであります。
 県と致しましては、この検討会の報告を尊重して参る所存でありますが、本県の豊かな森林に育まれた良質な地下水資源の利用や保全の在り方等については、引き続き水政策の一環として更に深く掘り下げた検討を進めていきたいと考えております。
 次に、少子高齢化対策についてであります。
少子化の進行は、社会全体で取り組むべき喫緊の課題であり、子育て負担を軽減し、子どもを安心して生み育てることができる環境をつくることが求められております。
このため、子育てを行う保護者の経済的、時間的負担を軽減するため、乳幼児医療費助成制度について、医療機関の窓口でいったん自己負担額を支払い、後日市町村に出向き精算する現行の償還払い方式から、診療時に無料で医療サービスが受けられる窓口無料方式にして参りたいと考えております。
 これに併せて、心身に重度の障害をもつ人やひとり親家庭に対する医療費の助成についても、償還払い方式から窓口無料方式に移行して参る所存であります。
 今後、事業の実施主体である市町村をはじめ医師会など関係機関と協議を進め、この方式の導入に向け努めて参ります。
 また、「やまなし子育て支援プラン」に基づく山梨の特性を生かした重点プロジェクトにつきましても積極的に展開しております。
 過日開催した、子育て中の保護者との意見交換会においても、子育てに関する情報がほしいといった御意見を改めて伺ったところであり、現在作成中の子ども連れの家族に配慮した施設の場所や内容の紹介も役立つことと期待しております。
 更に、十八歳未満の子どもが三人以上いる家庭に商品の割引などの特典を提供する「やまなし子育て応援カード事業」については、レストランやスーパーマーケットなど、一千を超す店舗や施設から協賛をいただき、子育て環境整備の一環として十月一日に事業を開始する予定となっております。
 一方、高齢化が進展する中で、日本一の健康長寿県である本県の特性を維持、発展させるため、高齢者保健福祉対策の総合的指針として策定した新たな「健康長寿やまなしプラン」に基づき、「介護予防早期発見・早期予防モデル事業」を実施するとともに、地域包括支援センター職員の研修などにより、総合的な介護予防対策を担う市町村を支援して参ります。
次に、障害者の自立支援についてであります。
 障害をもつ人が地域社会で自立して暮らすことを支援する障害者自立支援法が本年四月から施行されたことを受け、本県独自の就労支援施策として、意欲ある障害者の起業を支援する事業や重度聴覚障害者の就労を支援する事業などに取り組んでおります。
 「障害者企業立ち上げプロジェクト事業」については、自らの会社を立ち上げようとする障害をもつ人が主体となったチームを公募し、先般、意欲的で将来性のある五チームを選出したところであり、今後、企業が設立できるよう支援して参ります。
 また、本年四月から、聴覚障害者情報センターに手話のできる就労支援相談員を配置して、就労が困難な重度聴覚障害者への支援を開始しております。
 今後も、これらの事業を通じ、障害をもつ人の就労を積極的に支援して参ります。
 次に、医師確保対策についてであります。
 臨床研修の必修化による医師の都市部への集中、病院勤務医の厳しい勤務環境、女性医師の出産・子育てによる離職等により、地域間・診療科間における医師の偏在や不足が全国的に顕在化したことを受け、国においては医師不足県の大学医学部定員増を認めるなどの「新医師確保総合対策」を取りまとめ、その内容が過日公表されました。
 本県においても、現在、医療関係団体や市町村などの代表者による「山梨県医療対策協議会」で、医師の確保や地元への定着のための方策について協議を重ねており、今後は、協議会での議論を踏まえて確保策等の実現に向けて取り組み、良質な医療の提供に努めて参ります。
 次に、廃棄物最終処分場の整備についてであります。
 北杜市明野町浅尾に建設予定の明野廃棄物最終処分場につきましては、昨年来、基本協定の締結やこれに基づく処分場規模の縮小、安全対策等を内容とする公害防止協定の締結など、着工に向けた具体的な取り組みを着実に進めてきたところであります。
 こうした中、山梨県環境整備事業団から提出された処分場規模の縮小に伴う施設設置変更許可申請について、廃棄物処理施設専門委員会からの意見聴取など、法に定められた一連の手続きを経て厳正に審査を行い、過日、変更許可を行いました。
 環境整備事業団では、安全対策に万全を期すため、六月に締結された公害防止協定に基づき、処分場の安全対策に係る具体的な管理運営方法について検討する安全管理委員会を今後設置することと致しております。
 処分場予定地内の浅尾原遺跡については、今月中には北杜市教育委員会による発掘作業が概ね終了する見込みであります。
 今後におきましても、明野処分場の建設に向けて全力で取り組みを進め、来月には、処分場建設のための造成工事に着手して参ります。
 次に、上野原市で発生した土砂崩落への対応についてであります。
 去る七月二十六日、上野原市野田尻地内において崩落した土砂が河川をせき止め、六世帯の住民が避難するという事態が発生しました。
 県や上野原市の再三にわたる中止命令や指導に従わず、民間事業者が林地に建設残土を大量に搬入したため、堆積した土砂が崩落し、仲間川をせき止め、下流域に二次災害の危険を発生させたものであり、誠に遺憾であります。
 県は、下流域住民の安全確保を第一に、上野原市と協力し、直ちに、応急水路の設置などの緊急対策工事を実施するとともに、再度の崩落による危険を回避するため、地すべり感知センサー及び仮排水路設置などの対策工事を実施しているところであります。
今後、これらの対応に要した経費については事業者に求償するとともに、関係法令に基づき、適正な処分を行って参ります。
 また、再びこのような土砂崩落が発生しないよう、市町村との緊密な連携のもと、違法な投棄を早期に発見し、初期の段階から厳しく指導できる体制を構築して参ります。
次に、観光の振興についてであります。
 本年度から三年間にわたり、官民一体となった富士の国やまなし「風林火山」観光キャンペーンを展開することとし、市町村等と連携して質の高い誘客・交流メニューづくりを進めるとともに、首都圏や中京・関西方面をはじめ、全国に向け、映像による情報発信や新聞、旅行雑誌の活用など積極的な誘客宣伝活動を展開しております。
また、明年一月からのNHK大河ドラマ「風林火山」の放映に合わせて県民情報プラザで開催される「甲斐の国 風林火山博」は、その会期を一月二十日から一年間と決定し、前売券の販売を開始したところであります。
 全県一体となった受け入れ態勢づくりを行うため、県内各地域特有の観光資源を活用した「魅力ある観光地づくりモデル事業」に積極的に取り組んでおり、一昨年の東山梨地域、昨年の北杜市及び上野原市に続き、本年度は、南アルプスの恵まれた自然や果物などの資源を生かした観光地づくりに取り組む南アルプス市、富士川地域の伝統や文化、豊かな自然を生かした広域的な観光地づくりに取り組む峡南地域の二地域を指定したところであります。
今後も、県内各地の魅力を有機的につなぎ、本県への誘客促進に努めて参ります。
次に、特別支援教育の推進についてであります。
 ノーマライゼーション理念の浸透や盲・ろう・養護学校における児童生徒数の増加、障害の重度化・重複化、更には、小中学校の通常学級に在籍する学習障害児等への対応など、障害をもつ児童生徒の教育を巡る状況は大きく変化しており、児童生徒一人ひとりのニーズに応じたきめ細かな教育的支援が求められております。
 国は、障害をもつ児童生徒に対する教育について、障害の種別に応じて盲・ろう・養護学校や特殊学級など特別な場で指導を行う「特殊教育」から、学習障害児等も含めて、障害の種別にこだわらず、より適切な教育や指導を行う「特別支援教育」へと大きな転換を図りました。
 現在、教育委員会では、国の動向を踏まえ障害児教育の充実を図るため、特殊教育振興審議会において、本県の地理的状況や障害種別ごとの教育的ニーズなどを基に、障害種別の組み合わせや通学区域の見直しをはじめ、児童生徒が増加しているかえで養護学校の増築などについて審議をいただいているところであります。
 来月には答申がなされる予定であり、この答申を受け、本県における特別支援教育の在り方とその推進方策を決定して参りたいと考えております。
 次に、警察署の再編整備についてであります。
市町村合併の進展により、自治体の行政区域と警察署の管轄区域との整合が取れていない状態が生じていることや、日常生活の都市化や高度情報化、国際化などにより、治安情勢が大きく変化していることを踏まえ、効果的、効率的に警察力を行使して質の高い安全・安心を県民に提供していくため、警察署の再編整備が行われることとなっております。
具体的には、原則として一つの自治体の区域を一つの警察署が管轄する体制にするとともに、小規模警察署の統廃合を実施して県内十五署を十二署とするものであり、今議会に、再編整備のために必要な条例案を提出致しております。
 次に、提出案件の内容につきまして御説明申し上げます。
 今回提出致しました案件は、条例案十二件、予算案三件、その他の案件七件となっております。
 条例案のうち、主なるものにつきまして申し上げます。
 先ず、山梨県立あゆみの家設置及び管理条例の制定についてであります。
 県立北病院の敷地内に整備を進めて参りました精神障害者の社会復帰を促進するための施設について、明年一月の開所に向け、名称や提供するサービス内容等を定めるとともに、指定管理者制度を導入しようとするものであります。
 次に、山梨県立青い鳥福祉センター設置及び管理条例の改正案についてであります。
 老人福祉法等の一部改正にかんがみ、青い鳥福祉センターに入所している要介護者に対して居宅介護サービス等を提供できるよう、利用料金等を定めようとするものであります。
 次に、公共施設の定期利用券導入に係る条例の改正案についてであります。
 県民の利便性の向上と施設の利用促進を図るため、県立博物館など七施設について、定期観覧料等
を新たに設けようとするものであります。
 次に、予算案につきまして申し上げます。
 先ず、福祉・医療関係についてであります。
 障害者の自立を支援するため、障害者福祉施設が行う就労訓練等のための設備整備に対し助成する
とともに、知的障害者を雇用する福祉工場の整備に対し支援を拡充することと致しております。
 また、がん診療連携拠点病院として県立中央病院が国の指定を受けたことから、地域におけるがん診療の連携強化と質の高いがん医療の提供体制の確立を目指し、医療従事者の研修、院内がん登録などを実施することとし、所要の経費を計上致しております。
 次に、商工関係につきましては、産業集積の促進と雇用の創出を図るため、新たに事業展開を図る立地企業三社に対し産業集積促進助成金を交付することと致しております。
 次に、公共事業費についてであります。
 国、地方を通じた行財政改革の中で、国の公共投資関係費の縮減に合わせて本県に対する国庫補助金等の配分がなされたことから、これに伴う減額を行うことと致しております。
 その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。
 なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。
 なお、職員の不祥事件について申し上げたいと存じます。
県立中央病院管理局職員による公金詐取事件が発覚したため、先般、この職員を懲戒免職処分と致しました。
 この事件は、県行政に対する県民の信頼を著しく傷つけたものであり、心から深くお詫びを申し上げます。
関係職員につきまして厳正な処分を行うとともに、私自身につきましても、不正な業務執行に対する自らの管理監督責任を明らかにするため、給料の一部を減額することが適当と判断し、所要の条例案を提出致したところであります。
 今後、職員の公務員倫理の確立になお一層取り組むとともに、再発防止に万全を期し、県民の皆様の信頼回復に全力を傾注して参ります。
 ここで、明春に実施されます知事選挙への対応につきまして申し上げます。
 私は、平成十五年二月、多くの県民の皆様の力強い御支援をいただき、県政執行の大任を担うことになりました。
 バブル崩壊後の低迷する経済、急速に進む少子高齢化など、我が国を取り巻く環境は極めて厳しいものがありましたが、県民の底力を発揮し、新世紀を生き抜く「新しい山梨づくり」への挑戦、地方自治体自身が中央依存体質から脱却し、自らの手で主体性を確立する真の地方の時代の実現、という私の訴えに、県民の皆様の深い御理解をいただきました。
 これまで、県民の皆様の負託に応えるために、一貫して清潔、公正、公平に徹し、一党一派に偏することなく、透明で分かりやすい県政、県民挙げて参画する県政の推進に全力を傾注して参りました。
 十年後を見据えた「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六」、いわゆる骨太の方針が示され、今後、その具体的な展開が図られること、道州制の導入に向けた検討が本格化すること、国土形成計画の策定を通じて広域的な地域連携が図られることなど、今はまさに、国、地方を通じた改革とともに、将来の本県像が大きく変わる変革期に直面しています。
 就任以来、財政状況は極めて厳しいものがありますが、県民の底力を結集して、変革期を生き抜く全国の自治体のフロントランナーを目指して取り組んで参りました。
こうした中、燃料電池の実用化を目指す国家的プロジェクトの推進や、本県の新たな南北軸となる中部横断自動車道と合わせ、日本の大動脈となることが期待されるリニア中央エクスプレスの開通に向けた実験線全線の着工、次の時代を担う人づくりにつながる全県一学区による新たな高等学校入学者選抜制度の導入など、次の世代に引き継ぐ「県土百年の計」の取り組みが緒についたところであります。
 更に、喫緊の課題である少子高齢化への対応、安全安心なまちづくりに加え、富士山の世界文化遺産登録や文化の国体ともいわれる国民文化祭の招致など、本県が全国において確たる地位を占めるための課題への対応も道半ばであります。
 こうした課題にきちんと道筋をつけ、県政発展のために尽力すること、それが県内各界各層、各地域の多くの皆様からいただいております強い御要請にお応えする道であると確信し、ここに県民の皆様の信を仰ぐべく、明春の次期知事選挙への出馬の決意を表明するものであります。
私は、これまで、本県の美しい自然環境が持つ人々をひきつける「美力」、県民が持つ自立心みなぎる「民力」、そして、個性溢れる歴史や文化、産業を創り出す「創力」の三つの力を本県発展の原動力と位置付け、長期総合計画「創・甲斐プラン21」に基づき、「誇れる郷土 活力ある山梨」の実現に向け、各般にわたる施策の展開に全力を尽くして参りました。
 この間、県民の皆様から県政に対する深い御理解をいただくとともに、力強い御支援を賜りました。 ここに深く感謝申し上げる次第であります。
 また、県議会議員各位には、常に県政について真剣な御論議をいただき、更に、多大な御協力を賜り、この場をお借り致しまして、改めて厚く御礼を申し上げます。
 更に、県選出国会議員各位、市町村長の皆様方から賜りました御支援、御協力に対しましても、心から敬意を表し、感謝申し上げる次第であります。
 今後とも、清潔、公正、公平に徹し、残された任期に全力を尽くすとともに、皆様からの御意見、御提言をいただく中で、職員ともども一丸となって、未来を切り拓き、県民の皆様に夢のある県政となるよう誠心誠意努めて参る所存であります。



  平成十八年九月二十八日

  山梨県知事  山 本 栄 彦

リリース日:2006年9月28日

総務部財政課

甲府市丸の内1-6-1 本館4F
TEL:055(223)1381
FAX:055(223)1385

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