ページID:77398更新日:2009年2月1日

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平成15年度 年度始め知事訓示

詳細内容

知事写真(JPG:13KB) 年度始め知事訓示
日時 平成15年4月7日(月)
午前10時から
場所 恩賜林記念館

 皆さん、おはようございます。新しい年度を迎え、皆さんは、決意も新たに仕事に打ち込んでおられることと思います。
 私も、知事に就任して以来、まだ、二カ月にならないところですが、この間、皆さんには、二月定例県議会への対応をはじめ、公約の実現に向けた取り組みなど、大変なご苦労をお掛けしたことと思います。
 当初は、不安もありましたが、皆様方に支えられてきました。お陰をもちまして、あわただしい中にも、心身共に充実し、県政の執行に打ち込めますことを、心から感謝申し上げたいと思います。
 さて、私にとりまして、今年度は、県民の皆さんへのお約束を具体化していく実質的なスタートの年であり、特に、今年度は、就任の際にお願いしました四つの改革を実行に移す大切な年であります。
 そこで、本日は、このことを中心にお話し、皆さんのご理解とご協力をお願いいたします。
 就任の際にも申し上げましたが、私は、選挙期間中、県政に対して「分かりにくい」、「庶民感覚に欠ける」などの県民の皆さんの声をよく耳にしました。知事就任以降も、民間の方々の意見を伺う機会を意識的に設けてまいりましたが、皆さんの県政に対する見方は、「危機意識が薄い」など総じて厳しいものでした。
 こうした県民の皆さんの声を真摯に受け止め、県民の信頼に応え得る県庁に変えていく必要があります。ある意味で、危機はチャンスです。
 また、知事が変わり、県民は何か新たな展開を期待しております。この意味でも、今こそ改革の好機であり、この機を逸しては、成し得ないと思っております。
 今回の目的は、地方分権の次なる高みである地方主権の確立のためのものです。と同時に、改革は、皆さんに痛みと余分な業務を求めることでもありますので、「やる気」と「やり甲斐」を生み出す職場づくりにつながるようなものでなければなりません。
 私は、こうした基本的な考え方に立って、「行政の意識改革」、「県民の底力を引き出す行政の推進」、「小さな県庁で大きなサービス」、「中央直結から、市町村直結の県政の確立」の四つを柱に改革を進めてまいります。そして、その実施に当たりましては、県庁自らの努力で解決できる点は、自ら行うことにし、できることから順次、実行に移してまいります。
 また、県民生活に影響を与える事項等につきましては、外部委員会を設置し、検討していく考えであります。そこで、四本の柱に沿って、私が考えている改革の方向性について、少しお話します。
 まず、「行政の意識改革」についての取り組みです。県庁は、県民に対するサービス機関として、コスト意識や迅速な対応などの経営感覚を磨くとともに、県民ニーズに的確に応えるよう現場重視の姿勢の徹底という観点から改革を進めてまいります。
 そのためには、皆さんには、自分の物差しが、県民の皆さんのものとずれていないか、絶えず確認することが必要です。そして、積極的に県民との対話に努め、「机上の論議ではなく、現場で考える」ということに心がけて欲しいと思います。
 こうした意識改革を推進するために、まず、県が重点的に取り組む施策や県民の関心が高い事項などについて、職員が県民の皆さんのもとへ直接出向いて説明する「出張講座」を創設します。この取り組みは、県民の皆さんの県政に対する理解の促進や今後の施策立案、制度の改善などにつながるものと考えております。私自らも、どんどん現場に飛び込んでいき、型にこだわらない自由な対話をきめ細やかに実行してまいります。
 職員の皆さんも、地域活動の中で県民の声を聞き取りながら、県政に反映していくようにお願いします。
 また、活発な政策論議ができる風土を醸成するために、職員からの政策提案制度を創設します。皆さんからの提案は、直接私が聞き、良い提案は、どんどん実行に移していきます。
 こうした取り組みは、ややもすると行政が陥りがちな「過去を見て、回りを眺め、先に送る」などといった前例重視、横並び主義を払拭し、先進性、主体性を持った政策づくりの原動力になるものと考えております。
 人事についても、年功序列を廃し、能力主義の徹底を図るとともに、企画、総務などの内部管理部門と事業系部門など現場との交流を活発にして、現場感覚が活かされる人事、組織づくりに努めてまいります。
このほか、サービス精神、企業センスを身につけるために民間との交流も進めてまいります。
 二点目は、「県民の底力を引き出す行政の推進」に向けての改革についてです。
 一層の情報提供や情報公開の推進、県政への若者や女性の参画の促進、また、県民の意見を施策に反映するシステムづくりなど、県政に県民の英知と力を結集させるための取り組みを進めてまいります。まず、情報の公開についてです。
 本県も、全国的にはだいぶ上位にランクされています。
 知事交際費については、現在、プライバシーに関わるお見舞いなどの相手方を除き、すべて公開しておりますが、今後は、これらについても、相手方のご理解が得られた場合には、公開していくことにいたします。また、県庁の最高機関である庁議や主要な施策・事業についての協議などの検討結果についても公開いたします。
 次に、県民の意見を施策に反映するシステムづくりについてです。
パブリックコメントにつきましては、本格的に始動させるとともに、公共事業について計画策定段階から県民の参画を求める、いわゆるパブリックインボルブメントの検討も急がせます。計画づくりの段階から、地域の皆さんと行政とが協働することで施設への愛着を育み、完成後は自らが管理していくという環境里親制度にも、つながっていくものと思います。
 政策アセスメント制度についても、一層の充実を図るとともに、より客観的な制度とするために県民による第三者評価を実施してまいります。県民の価値観が多様化し、統一的な合意を得ることが困難になってきている現在、第三者評価は、県民の視点に立った事業の改廃という点からも大きな意義を持つものと思います。併せて、インターネットモニターも創設いたします。
 このほか、若者や女性の参画促進のために各種審議会などの委員の選任方法についても、見直してまいります。
 三点目は、「小さな県庁で大きなサービス」の実現に向けての取り組みについてです。
 県と県民との役割分担の明確化や協働の推進、また、財政の健全化の促進、さらには徹底したスクラップアンドビルドを推進し、簡素、効率的で質の高い行政サービスの提供を目指してまいります。
 まず、県の役割の見直しについては、公と民の役割分担基準を定め、行政の守備範囲を見直し、県がやること、やらないことを明確にいたします。また、NPOとの協働を推進するための基本方針を策定し、NPOなどと一体となった施策の展開を積極的に進めていきます。さらに、PFIについても、具体的な活用を検討してまいります。
 次に、サービスの受け手側に立った行政の推進という観点からの組織の総合化ということについてです。
 今年度から、消費者サイドの視点に立って、食品安全推進室を設置しましたが、食品の安全については、農水省、厚生労働省、内閣府など複数の省庁にまたがっております。観光なども、自然環境、温泉、また歴史・文化、さらには、農業体験など様々な分野に関わっております。このほかにも、関連する許認可等は一箇所で受けられる窓口のワンストップ化の県民要望にも、応えなければなりません。
 このような課題に対応するためには、現在の縦割りを残したままでは限界があり、総合的な行政を推進する観点から組織を再編・統合する必要に迫られていることは間違いありません。
 次に、組織内分権の推進についてです。組織内分権とは、現場の権限と責任を明確にし、臨機応変のサービスの提供を可能にしようとするものです。
 まず、予算編成については、一定の分野において各部局長の権限と責任で、主体性をもって取り組めるよう検討してまいります。こうした取り組みにより、県民への説明責任の充実や部局間の競争強化による事業の改廃の促進等の長所があるといわれています。
 私は、できるだけフィルターを通さない事業担当課の生の声を聞き、事業の適否を判断したいと考えておりますので、この面での効果も大いに期待しております。
 人事等についても、同様に、一定程度、各部局長に委ねる方向で検討してまいります。現場の課題を良く知る部局長が人事配置を行うことで、より適材適所が徹底され、組織の機能強化につながるものと期待されます。
 また、激しい時代の変化の中で、特定の政策課題や緊急な事態にプロジェクト・チームの設置など機動的な対応が求められるケースが数多く想定されることから組織の弾力的な運用が可能になります。
さらに、同一部局内でも、課によって繁閑に違いがあり、人員の効率的な活用のために組織間の連携も図ることができ、これらの課題への柔軟な対応により組織の活性化が図られるものと思います。
 こうした取り組みを通じて、昨年度、せっかく県庁本館のワンフロアー化が実現しましたので、さらに一歩進め、心のワンフロアー化へとつなげていければと考えております。
併せて、企画部門の分権も進め、企画、予算、人事と三位一体となった効率的、効果的な事業執行が各部局において可能になるよう検討してまいります。
 近年、県の組織は構造が複雑化し、調整機能の肥大化や意思決定の遅れなどが懸念されております。このため、責任の明確化と意思決定過程の短縮を図るため、権限の移譲や決裁区分の見直しを行い、より現場の近くにいる職員が主体的、機動的に仕事ができるようにしてまいります。
幸い、部局編制の法定制を廃止する地方自治法改正案が今国会に提出されておりますので、これを良い機会として抜本的な組織の改革に努めてまいります。
 財政の健全化については、県債発行に数値目標を設定した県債削減計画を策定します。また、限られた財源を重点的・効率的に活用していくためには、これからは「あれも、これも」ではなく、「あれか、これか」とメリハリを付けていかなければなりません。そのために、政策アセスメントの有効活用を図るとともに、公共事業の優先度を測る事前評価制度を導入してまいります。
 このほか、職員定数の見直しや試験研究機関等の独立行政法人化の推進やさらには、外郭団体の整理統合、電子県庁の実現などにも取り組んでまいります。
 最後は、「中央直結から、市町村直結の県政の確立」に向けての改革です。
 私は、就任あいさつの中で「中央直結から、市町村直結への県政の確立」の必要性についてお話ししました。私は、知事になるまで、国と県と市町村の間は、等間隔だと思っておりました。
 しかし、実際、知事になっての感覚は、県と国との距離と県と市町村との距離を比較しますと、県は国の方にずっと近いような気がいたします。それは、どこから生まれているかと考えますと、機関委任事務が廃止されても、相変わらず県の事務の多くは、国の法令で定められた国からの法定受託事務の管理・執行にあるからだと思います。
 また、国主導の施策展開が、縦割りの系列で日常的に行われ、しかも、財政的な措置と密接に関わっていることなどを考えますとやむを得ないかとも思いますが、それが、市町村を指導する、という意識にもつながっているような気がいたします。
 私は、この距離を等間隔に、さらには、市町村に近く真に対等な形に変えていきたいと考えております。そのためには、職務の執行に当たっては、「問題意識を持った職員」であることに心がけて、市町村の声にしっかりと耳を傾け、共に考え、共に解決する姿勢を大切にして欲しいと思います。
 また、これからは、市町村優先の原則を踏まえ、県と市町村との役割分担も見直していく必要があります。まず、市町村が行うものは、市町村がしっかり行っていただかなければなりません。また、市町村が責任をもって、職務に取り組むことができる体制の整備を支援していく必要があります。 そのためには、政策立案の能力を高めることが重要です。
 まず、地域独自の政策研究を進めるため、新たに市町村と県との共同研究の場を創設したいと考えております。また、共同研修制度の整備、さらには、県と市町村、市町村間の人事交流の促進を図り、市町村主権の確立のための人材育成を支援してまいります。
 県内分権も、積極的に進めてまいります。まず、新たな権限移譲推進計画を策定し、市町村への権限移譲を推進します。
 また、権限移譲に当たっては、権限、財源、人間の三ゲンがセットで移譲できるような大胆な権限移譲を心がけてまいります。
このほか、県補助金の統合化や市町村財政に負担を与えている法令外負担金の廃止・縮小も進めてまいります。
 さらに、市町村の声を国に伝えていくために、今までの「国への提案・要望」を改め、市町村からの政策提言も国に積極的に伝えていくことにしております。
 また、東京事務所の役割も見直し、市町村長などが東京で活動する際の拠点として活用していただくなど市町村の東京事務所としての機能も付与し、名実ともに「山梨県の東京事務所」に変えてまいりたいと考えております。
 一方、国に対しては、更なる必置規制の緩和や地方への税財源の移譲を強く求めてまいります。
 以上、私の目指す四つの改革の方向性についてお話いたしました。
改革には、日々の努力とその積み重ねが大切です。このため、私は 「思いついたその時、その場から」を合言葉に、日常の中から改革を進めてまいります。
 また、改革は、私一人のみで達成できるものではありません。というより、皆さん自身の内からの改革があってこそ、実のある改革になるものと確信しております。そして、改革を通して、県民の皆様から「打てば響く、頼りがいのある響く県庁だ」といわれるような県庁に変えていきます。その期待に、皆さんは応えてくれるものと信じております。
 皆さんの奮闘を心から期待し、年度始めに当たっての私のあいさつといたします。

関連サイト

リリース日:2003年4月7日

添付ファイル

知事政策局広聴広報課

甲府市丸の内1-6-1 本館2F
TEL:055(223)1336
FAX:055(223)1525

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