ページID:77394更新日:2009年2月2日

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平成20年12月定例県議会知事説明要旨

詳細内容

 平成二十年十二月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 我が国の景気は、原油・原材料価格の高騰などの影響により後退局面に入り、県内産業を取り巻く環境も厳しさを増す中、去る九月、県においては、三十二億円規模の活力創出緊急対策を取りまとめ、県内経済の活性化を目指して取り組んで参りました。
 しかしながら、九月以降、欧米各国では金融機関の破綻が相次ぎ、世界的な景気後退の兆しが強まっており、株価の大幅な下落や急激な円高により、輸出関連企業の業績や雇用情勢などの悪化が見られ、我が国の実体経済、国民生活に深刻な影響が現れ始めております。
 こうした中、国においては、去る十月十六日に、生活・雇用支援対策や中小企業等活力向上対策などを柱とする「安心実現のための緊急総合対策」を盛り込んだ補正予算が成立致しました。
 県と致しましては、厳しい財政環境の中ではありますが、国の経済対策にも呼応しつつ、県内経済情勢に緊急に対応する県独自の施策を切れ目なく実施していくことが重要であると考え、第二次活力創出緊急対策を取りまとめ、県民の安全・安心の確保と併せて県内経済の活性化を図って参ることと致しました。
 先ず、県民の安全・安心の確保に向けましては、治山、治水事業等、国の緊急総合対策に伴う公共事業と併せて、県単独の防災対策事業のうち、前倒しできるものは前倒しして実施することとし、災害の防止や交通の安全確保を図って参ります。
 次に、県内経済の活性化に向けましては、先ず、中小企業対策として、九月補正予算において、経済変動対策融資の融資枠を拡大したところでありますが、その後も、引き続き高い資金需要があることから、融資枠を更に拡大し、今後の資金需要に的確に応えて参ります。
 また、県内景気が厳しさを増す中で、中小企業が資金調達に不安を抱いていることを踏まえ、過日は、県内の銀行、信用金庫、信用組合など金融機関の代表者にお集まりいただき、私から直接、中小企業に対する円滑な融資に特段の配慮をしていただくよう要請したところであります。
 また、県産品の一層の販路拡大を図るため、東京日本橋の「富士の国 やまなし館」を活用した商談会を開催するなど、首都圏における取り組みを強化して参ります。
 更に、厳しい経営環境に直面する県内建設業者の活性化を推進するため、新たな事業分野への進出などを目指す取り組みに対する助成枠の拡大を行います。
 また、農業対策については、ハウスの保温性の強化等、省エネルギー化推進のための設備整備に対する助成事業を九月補正予算で計上したところ、ニーズが高いため、事業費の増額を行うとともに、配合飼料の価格高騰などにより厳しい経営状況が続いている酪農家の経営安定を図るため、直売所等における販路拡大を支援して参ります。
 更に、県を取り巻く環境が大変厳しい時期にあっても、県経済の将来の発展への布石を打っていくことが大切であると考え、中小企業者が抱える経営革新、販路開拓、研究開発等における課題を解決するため、事業化までを総合的に支援する専門家チームを派遣するとともに、市場調査や商品開発等に要する経費に対し助成を行って参ります。
 また、山梨大学を中心として世界最高水準の燃料電池の研究開発が進められていることを生かし、将来の県内における関連産業の集積・育成を図っていくため、今後の推進体制や必要となる機能・インフラ等についての基礎的な調査を実施して参ります。
 今後は、景気が更に厳しさを増すことも懸念されるため、県内経済の動向を注視しつつ、国の新たな経済対策の動きにも呼応しながら、引き続き機動的かつ効果的な施策展開を図って参ります。
 次に、県政各般の課題への取り組みにつきまして申し上げます。
 先ず、県立病院の経営形態の見直しについてであります。
 県立病院は、県民の健康と生命を守る最後の砦であり、県民の医療ニーズの多様化、高度化に対応した良質な医療を提供することを使命としておりますが、近年、病院の経営環境が厳しさを増し、県立中央病院の累積欠損金が拡大している中で、経営の健全化を図りつつ県立病院の使命を適切に達成していくためには、経営形態の見直しが必要であります。
 このため、昨年度、病院経営の専門家などからなる県立病院経営形態検討委員会を設置し、御検討をいただいたところ、「健全な病院経営を目指していくためには地方独立行政法人がふさわしい」として、非公務員型の「一般地方独立行政法人に移行することが望ましい」との御報告をいただいたところであります。
 また、県議会においては、県立病院あり方検討特別委員会が設置され、十一回にわたる慎重審議、検討が行われた結果、「現行の組織、職員体制を見直す必要がある」とした上で、経営形態については、一般地方独立行政法人と地方公営企業法全部適用とで「いずれを可とするかの結論には至らなかった」との御報告がなされたところであります。
 更に、この問題は県民の安全・安心の根幹にかかわることから、様々な方法で県民の御意見を伺う中で、十月に県内五箇所で開催したタウンミーティングにおいては、参加者から「政策医療は県立病院の使命としてしっかり担ってもらいたい」との強い意見とともに、職員が公務員でなくなることへの不安の声も寄せられております。
 県としては、これまでいただいた様々な御意見を十分参考にするとともに、諸般の状況を総合的に勘案した結果、県立病院の経営形態については、中央病院及び北病院を一体として、公務員型の特定地方独立行政法人とすることが最も適当であると判断したところであります。
 先ず、地方独立行政法人を適当とする理由については、地方公営企業法の全部適用と比較し、地方独立行政法人は経営責任が明確で、より自主的で柔軟な業務運営が可能となるとともに、県議会の議決を得た上で県が示す中期目標等を通じて、政策医療もしっかりと確保されるからであります。
 次に、地方独立行政法人のうち、公務員型の特定地方独立行政法人を適当とする理由については、県立病院の職員が公務員である方が安心感が得られるという県民の声に配慮するとともに、かねてより厚生労働省から、県立北病院を心神喪失者等医療観察法に基づく指定入院医療機関とするよう強く要請されている中で、現行法上、一般地方独立行政法人では、この指定を受けられないからであります。
 なお、特定地方独立行政法人とするためには、総務省の認可を必要としますが、過日、総務省から県立中央病院と県立北病院を一体として特定地方独立行政法人とすることの了解が得られたところであります。
 今後は、平成二十二年四月に新しい経営形態に移行できるよう、必要な準備を進めて参ります。
 更に、経営形態の見直しの目的は、より良い医療提供体制の確立にあり、そのためには、医療と病院運営に豊かな見識を持ち、県立病院の目指すべき方向を明確にして、職員の心を一つにまとめ上げることができる、優れたリーダーシップを有した経営責任者が必要であります。
 このため、経営形態の見直しの論議と並行して、新たな経営責任者にふさわしい人材の検討を進めて参りましたが、東京大学医学部消化器内科の小俣政男教授が最も適任であるとの結論に至り、過日、理事長就任をお願いしたところ、内諾をいただきました。
 小俣教授は、米国の大学や研究機関などでの研究生活を経て、平成四年に東京大学医学部教授に就任され、肝臓がんやC型肝炎の治療における世界的な権威として高い評価を得ておられます。
 また、長年の米国の病院などでの勤務の御経験から、病院運営にも詳しく、独立行政法人に移管された東京大学医学部附属病院の病院運営にも副院長として携わられてきました。
 更に、現在の上野原市の出身であり、ふるさと山梨のため「これまで培った知識と経験を生かしたい」との熱い思いをお持ちになっておられます。
 小俣教授の招へいにより、県立病院の医療の向上はもとより、がん治療をはじめとする本県の医療全体のレベルアップが図られるとともに、教授としての豊かな指導経験を生かし、若い医師の集まる魅力ある病院づくりを進めていただけるものと期待しており、こうした取り組みを通じて、県立病院の経営改善が図られていくものと考えております。
 明年一月から中期目標や中期計画の策定などの地方独立行政法人設立に向けての準備作業に、小俣教授には、主体的に関わっていただき、平成二十二年四月の地方独立行政法人の設立時には理事長に就任していただきたいと考えております。
 次に、医療提供体制の確保についてであります。
 周産期医療体制の確保が全国的な課題となる中、産科医師を確保することが急務となっております。
 そこで、本年度、産科医師の後期研修奨励金を設け、産科医師の確保定着を図るとともに、去る十月からは助産師外来運用マニュアルの策定や助産師の資質向上を図るための研修の実施等を内容とした寄附講座を山梨大学医学部に設置し、産科医師の負担軽減にも資する助産師外来の導入促進を図る取り組みを進めております。
 一方、小児医療については、去る十月三十日に、富士・東部地域において新たに小児初期救急医療センターをオープンし、子育てにかかる安心のよりどころとして、休日・夜間に多くの患者に利用されているところであります。
 次に、総合的な環境政策の推進についてであります。
 本年四月、有識者による「環境やまなし創造会議」を設置し、地球温暖化対策の推進をはじめとする様々な観点から、本県の総合的な環境政策の在り方について、御検討を進めていただいており、現在、最終的な意見集約を行っております。
 この「環境やまなし創造会議」での御論議などを踏まえ、温室効果ガスの排出抑制を計画的に推進するとともに、県民や事業者等の地球温暖化防止に対する意識を高め、自主的な取り組みを促進していくことを目的として、「地球温暖化対策条例」を制定することと致しました。
 この条例案には、事業活動に伴う温室効果ガスを一定以上排出する事業者に対し排出抑制計画の策定を求めること、事業者などが森林整備を行った場合は、排出抑制の取り組みの成果として、どの程度温室効果ガスを吸収する効果があったのか、県が認証する制度を設けることなどを盛り込んでおり、本年度中に実行計画を策定して、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進して参ります。
 また、森林保全等を目的とした新税についても、その導入可能性を「環境やまなし創造会議」において御論議いただいた結果、「今後の森林保全対策の方向性や必要な取り組みを明らかにしながら、税や寄附・協力金など必要な財源の確保方策について検討していくことが適当である」との御意見をいただいたところであります。
 今後は、県民共有の財産である豊かな森林の維持・保全など環境政策を進めるための仕組みの一つとして、新税の導入について、その可能性を検討して参ります。
 次に、企業立地の推進と技術系人材の確保・育成についてであります。
 企業立地の推進につきましては、県内企業への訪問や県外企業への誘致活動を積極的に展開しており、本年一月から六月までの上期における本県への企業立地件数は、昨年上期の九件を上回る十三件となっております。
 一方で、企業を取り巻く環境が極めて厳しい中、更に企業立地を推進していくためには、本年二月に策定した「技術系人材の確保・育成対策アクションプラン」に基づき、技術系人材の確保・育成を図っていく必要があります。
 そこで、県内大学にカウンセラーを派遣して学生の県内就職を支援するとともに、本県出身の県外大学生等への県内就職情報の積極的な提供を開始したほか、明年一月には、東京で技術系の学生を対象に県内企業のPRガイダンスの開催を予定しているなど、県外における技術系人材の確保にも努めております。
また、産業技術短期大学校と工業系高校の連携による一貫した教育プログラムを明年度から実施できるよう準備を進めるなど、県内の人材育成体制の充実に取り組んで参ります。
 次に、観光の振興についてであります。
 本年度は、四月から六月までのJRグループとの「山梨デスティネーションキャンペーン」に続いて、十月から明年三月まで、中日本高速道路株式会社との「めぐる!山梨『速旅』キャンペーン」を実施するなど、官民で連携して積極的に誘客活動に取り組んでいるところであり、NHK大河ドラマ「風林火山」の波及効果により昨年大幅に増加した観光客数を維持することができております。
 また、先月八日には、甲州市において、ワイナリーや文化施設を巡りながら、郷土料理や文化などを楽しんでいただく「ワインツーリズム二〇〇八」が、県と市の支援のもと、民間を中心とした実行委員会により開催され、多くの観光客に訪れていただいたところです。
 なお、本年度、新たな観光推進組織について関係機関と協議を進めて参りましたが、民間の自由な発想を一層生かしつつ、国内外の観光客を効果的、効率的に誘致していくため、明年四月に山梨県観光物産連盟や大型観光キャンペーン推進協議会などを統合して、新たな観光推進組織を設立できるよう、関係団体と準備を進めております。
 次に、農業の振興についてであります。
 本県農業は、ぶどう、ももなど日本一の生産量を誇る果樹を中心に発展してきたところでありますが、需要の低迷や産地間競争が激化する中、近年は後継者不足に悩み、耕作放棄地の拡大が続いているところであります。
そこで、果樹園の圃場整備と団地化を進め、担い手に農地を集積して本県果樹産地の競争力を強化するため、地域ごとにプロジェクトチームを設置し、現在、集落説明会やワークショップなどの開催により地域の合意形成を進めているところであり、合意形成が図られ、実施設計が完了した地区から、順次圃場整備の工事に着手しております。
 また、耕作放棄地対策につきましては、六月に策定した耕作放棄地再生活用指針に基づき、県内の全市町村において、耕作放棄地の実態調査の実施と耕作放棄地再生活用五箇年計画の策定を進めているところであります。
 県と致しましても、農務事務所を中心として市町村における計画づくり等への支援を行うとともに、耕作放棄地を解消する取り組みへの助成を進めて参ります。
 次に、高度情報エリアの整備についてであります。
 甲府駅北口県有地については、新県立図書館と併せ、情報通信産業を核とした高度情報化拠点を配置し、全体を高度情報エリアとして整備することにより、地域の活性化と本県産業の振興に資するよう活用して参ります。
 このうち、新県立図書館につきましては、技術力や提案能力などを重視する観点から公募型プロポーザル方式により設計業者の募集を行うこととし、現在、図書館、建築、都市計画など各分野の有識者五名からなる「新県立図書館建設設計者審査委員会」を設置し、募集・選定作業を進めております。
 今後、設計業者の選定後、速やかに設計に着手し、平成二十二年度の工事着手、平成二十四年秋の開館を目指し、事業の推進を図って参ります。
 また、高度情報化拠点については、民間の資金・ノウハウを導入し、定期借地権を活用した公民連携事業として整備することとしており、明年中の整備事業者の決定に向け、土地の貸付条件や施設の機能など、募集内容の詳細について引き続き検討を進めて参ります。
 次に、県庁舎の耐震化等整備についてであります。
 防災機能を集約した新庁舎の整備に係る事業方式については、PFI方式の方が直営方式よりも総事業費を一定程度削減できる見込みであり、財政負担の平準化も図られること、また、一階部分への賑わいの創出などで民間ノウハウの活用が期待できることから、去る九月定例県議会において、PFI事業として実施することが適当であるとの方針をお示ししたところであります。
 県議会での御論議も踏まえ、新庁舎の整備にはPFI方式を導入することとしたところであり、今後は、PFI事業者の選定準備に着手し、平成二十五年度の移転を目指して新庁舎の整備を着実に進めて参るとともに、別館、県議会議事堂の耐震改修、バリアフリー化等にも取り組んで参ります。
 次に、指定管理者制度についてであります。
 指定管理者制度は、住民サービスの向上と経費の節減を目的に、平成十六年度から丘の公園に、平成十八年度から四十六施設に導入致しましたが、このうち、来年度更新時期を迎える三十一施設と新規に導入する六施設、計三十七施設について、部局ごとに設置した選定委員会における審査結果等を踏まえ、指定管理者の候補者を選定致しました。
 選定した候補者の提案は、効率的な運営による経費の縮減や住民サービスの向上、利用者の増加が期待できるものと考えられることから、今議会に指定管理者の指定に関する案件を提出し、御審議をお願い致しております。
 次に、県立高校整備構想の策定についてであります。
 県立高校の再編整備については、生徒のニーズや地域の状況などを踏まえ、これまで現構想に基づき教育環境の充実に努めてきたところであります。
 こうした中で、全県一学区による新たな入試制度の導入や生徒数の更なる減少、また、地域産業を支える人材育成の必要性の高まりなど、高校教育を取り巻く環境が大きく変化していることから、教育委員会では、今後の魅力ある高校づくりを推進するための指針となる新たな構想を策定することとし、去る十月三十一日、学識経験者や産業界、教育関係者からなる県立高校整備構想検討委員会を設置し、検討を始めたところであります。
 検討委員会における主要な論点としては、小学区・総合選抜から全県一学区への移行を踏まえた普通科、総合学科、専門学科等の在り方、定時制・通信制高校の役割や在り方、本県の地域産業を担う人材育成を重視した産業教育の在り方、生徒減少期であっても学校の活力を保持するための適正規模や適正配置の在り方等が挙げられております。
 教育委員会においては、明年度、六月には検討委員会から報告を受け、秋を目途に新たな構想を策定することとしております。
 次に、交通基盤の整備についてであります。
 先ず、中部横断自動車道の増穂以南の整備につきましては、十一月には工事用道路としても利用する国道三百号富山橋及び波高島トンネルなどが開通し、また、六郷インターチェンジのアクセス道路や南部橋の整備も順調に進んでおります。
 更に、新直轄方式で整備する富沢インターチェンジから六郷インターチェンジまでの区間につきましては、用地買収も着実に進んでいることから、南部町内において年度内に工事に着手できる見通しであります。
 また、新山梨環状道路南部区間は明年三月に全線供用予定であり、これに併せアクセス道路となる県道韮崎南アルプス中央線の万年橋についても供用開始する見込みであります。
 次に、リニア中央新幹線の早期実現についてであります。
 二〇二五年の首都圏から中京圏での営業運転開始を目指すリニア中央新幹線については、先般、鉄道建設・運輸施設整備支援機構及びJR東海より、東京都・大阪市間のすべての調査範囲において、路線建設は可能とする、地形・地質等調査報告書が国土交通大臣に提出されました。
 今後は、輸送力や建設費用等に関する追加四項目調査の早期完了など、全国新幹線鉄道整備法に基づく手続きを円滑に進めることが重要であることから、過日、国土交通大臣を訪問し、早急に調査指示を行うよう要望したところ、年内にも指示を出したい旨の見解が示されました。
 県としても、追加調査が早期に完了し、整備計画路線への格上げがなされるよう、引き続き、国に対し強く働きかけるとともに、リニア中央新幹線の建設促進に向けて、今後とも最大限の協力をして参ります。
 次に、提出案件の内容につきまして御説明申し上げます。
今回提出致しました案件は、条例案十件、予算案四件、その他の案件三十七件となっております。
 条例案のうち、主なるものにつきまして申し上げます。
 先ず、山梨県地球温暖化対策条例の制定についてであります。
 温室効果ガスの排出抑制を計画的に推進するとともに、県民や事業者等の地球温暖化防止に対する意識を高め、自主的な取り組みを促進するため、必要な事項を定めようとするものであります。
 次に、山梨県職員給与条例の改正案についてであります。
 去る十月十七日、人事委員会から、職員給与と民間給与がほぼ均衡していること等から、給料月額や期末・勤勉手当は改定を行わないことが適当であるとする一方、病院等に勤務する医師の確保が社会的な問題となっていることにかんがみ、人事院の勧告に準じて医師の初任給調整手当を改定するよう、報告及び勧告がありました。
 そこで、医師不足の状況が深刻化する中、今後、県立病院における安定的な医師の確保を図っていく観点から、医師の初任給調整手当の改定については勧告どおり実施することとし、改正案を提出致したところであります。
 次に、山梨県知事等の給料の特例に関する条例及び山梨県職員等の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例案についてであります。
 去る九月四日、昨年十一月に経済財政会議からいただいた御提言や全国的な給与の特例減額措置の状況、更には本県の置かれている行財政環境など、諸般の状況を総合的に勘案し、新たな給料の特例減額措置を職員組合に対して提案致しました。
 その後、徹底した行財政改革に取り組んでいかざるを得ない本県財政の厳しい状況や、景気後退により新年度の税収の大幅な減収も懸念されることなどを丁寧に説明しつつ、職員組合と協議・交渉を重ねてきたところであり、過日は私自身も直接交渉の場に臨み、理解と協力を求めたところであります。
 その結果、職員組合の一定の理解も得た上で、新たな給料の特例減額措置を実施することとしたところであり、削減率については、非管理職は二パーセントに設定するとともに、特別職と一般職の管理職のうち部局長級職員については現行よりも更に二パーセント上乗せし、その他の管理職は四パーセントで据え置くことと致しました。
 また、開始時期については、職員の人事異動や昇任の時期に当たる年度当初の明年四月からとするとともに、実施期間は、一般職を対象として特例減額措置を実施している全国の三十四道府県の平均実施期間が二年五箇月であることなどを考慮し、平成二十三年九月までの二年六箇月とすることと致しました。
 職員が、それぞれの分野で県政発展のため懸命に努力している中、特例減額措置を実施しなければならないことは、私としても苦渋の決断でありましたが、今後とも、「暮らしやすさ日本一」の山梨の実現に向けて、決意を新たに職員と一丸となって県政推進に取り組んで参りたいと考えております。
 次に、予算案のうち主なるものにつきまして申し上げます。
 先ず、第二次活力創出緊急対策につきましては、防災対策として治山、治水事業等を前倒しして実施するなど、一般会計で十七億六千万円余を計上するとともに、中小企業対策として経済変動対策融資の融資枠を拡大することとし、商工業振興資金特別会計で十四億円余を計上致しており、補正額は、三十一億七千万円余となっております。
 次に、県立病院の地方独立行政法人への移行に向けた準備を行うこととし、所要の経費を計上致しております。
 また、県立北病院を心神喪失者等医療観察法に基づく指定入院医療機関として整備することとし、専用病棟の基本・実施設計に着手して参ります。
 次に、新型インフルエンザの発生に備え、入院を受け入れる医療体制の確保を図るため、医療資材の整備に対し助成することと致しております。
 次に、住民基本台帳カードの普及促進に向けて、県内全市町村において、明年四月からカード交付手数料の無料化が予定されていることを踏まえ、全県的な普及啓発活動を実施するため、所要の経費を計上致しております。
 なお、カードを利用して県民の利便性の向上や行政事務の効率化が図られるよう、今後、市町村と連携してカードの多目的利用を積極的に進めていきたいと考えており、平成二十四年秋に開館予定の新県立図書館においても、住民基本台帳カードを図書館利用カードとして利用できるようにして参りたいと考えております。
 以上の内容をもって編成しました結果、一般会計の補正額は、三十二億円余、既定予算と合わせますと四千四百十四億円余となり、前年度同期予算と比較して、一・三パーセントの減となっております。
 この財源と致しましては、地方交付税十三億円余、国庫支出金四億円余、県債十億円余などとなっております。
 また、特別会計の補正額は、商工業振興資金特別会計ほか一会計で十四億円余、企業会計の補正額は、病院事業会計で五千万円余となっております。
 その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。
 なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。

平成二十年十二月四日

山梨県知事  横 内 正 明

リリース日:2008年12月4日

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