ページID:111839更新日:2023年12月4日

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令和5年12月県議会知事説明要旨

令和5年12月定例県議会の開会に当たりまして、提出いたしました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 
 先ず、当面する県政の課題について、御説明いたします。
 
 はじめに、人口減少危機対策についてです。
 
 今後長期にわたって人口減少危機対策を継続的に推進していくため、10月に知事直轄の「人口減少危機対策本部事務局」を新たに設置いたしました。
 
 この本部事務局を核とし、子どもを産み、育てるための生活基盤を強く安心できるものとする「ふるさと強靱化」、全ての人に対して開かれ、若者や子どもたちの可能性を広げる「『開の国』づくり」を目指す施策を充実・強化させ、可及的速やかに実施できるよう、現在検討を加速化させているところです。
 
 この「『将来世代を含めた県民一人ひとり』が豊かさを実感できるやまなし」の実現に向けては、既に多くのステークホルダーに参画いただいており、地域経済の牽引役たる山梨中央銀行から本部事務局への職員派遣が実現しているほか、内閣官房参与の山崎史郎氏を筆頭とした人口減少問題の専門家グループと連携し、本県をフィールドに、各種少子化対策が出生率向上に与える影響、有効性を検証するプロジェクトも進展しております。
 
 具体的には、「働き方改革・雇用改革」、「プレコンセプションケア推進」、「地域力向上」の3つのテーマを設定し、調査研究の本格展開に向け、具体的な研究手法の確立など事前の準備を鋭意進めているところであります。
 
 本県の「挑戦と未来に近い実証フィールド」の本領を発揮し、全国に先駆け様々な施策を実行するとともに、国全体の出生率向上に寄与できるよう、施策の効果検証なども踏まえながら国の政策動向と一体となって取り組みを進めて参ります。
 
 次に、最近の国際交流の取り組みについてです。
 
 この秋、中国や韓国との国際会議を本県に誘致し、会議の開催を通じたハイレベルな地域間交流を展開しました。
 
 10月には、八ヶ岳南麓を舞台に『未来を見据えた地域づくり』をテーマに「日中韓3か国地方政府交流会議」を開催し、先月には地方都市では初となる「日韓知事会議」を富士北麓で開催し、友好姉妹都市忠清北道との交流に地元高校生も参加することで、将来につながる種をまくこともできました。
 
 今後、忠清北道との交流をますます深めるとともに、地方政府間交流の地域的広がりを積極的に模索して参ります。
 
 これに加え、先般、県商工会連合会の御尽力のもと、多くの団体や企業による山梨県日韓親善協会が設立されたところであり、民間と一体となって交流を活発化させて参ります。
 
 次に、ベトナムとの交流については、将来を見据え、「再生可能エネルギー」と「人材」の観点から、大変重視しているところです。
 
 先ず、友好姉妹県省たるベトナム・クアンビン省へ職員を派遣し、国営電力会社などの関係者と、地域内の電力事情や再生可能エネルギーの普及状況、グリーン水素の活用に向けた今後の展望について、意見交換を行ったところであり、具体的な結実を目指して取り組みを進めております。
 
 同省は、風力発電をはじめとした再生可能エネルギーに注力するとともに、自然環境と世界遺産が共存する付加価値の高い観光を発展させるなど、本県と極めて親和性が高く、それぞれの知見を共有しながら、ウィンウィンの関係を構築できるものと考えております。
 
 このほか、先日、ベトナム大使の仲介により、ヴィンロン省のトップであるギエム書記にお目にかかり、今後の交流の具体化に向け、積極的に検討を進めることとなりました。
 
 本県としては、人口減少危機対策に全力を注ぎつつも、将来を見据え、多くの多様な「人材」を得ることが不可欠であり、同省の多くの若者が本県で安心して暮らし、教育・福祉・医療・産業・観光などの各分野において活躍いただけるよう、日本語教育の充実を含め、受け入れ環境の整備を図って参ります。
 
 同省はトゥオン国家主席の故郷でもありますが、クアンビン省に加え、ヴィンロン省との交流の萌芽を、ベトナム国全体との友好につなげられるよう、歩みを進めて参ります。
 
 再生エネルギー分野の交流については、先月、ブラジル・ミナスジェライス州のロメウ・ゼマ知事を本県にお招きし、米倉山の研究サイトを視察いただきました。
 
 国内人口第2位の豊かな同州は、再生可能エネルギーに大変注力しており、ゼマ知事も国政に強い影響力を有する、将来を嘱望される人物であります。
 
 ゼマ知事は本県のグリーン水素の活用に高い関心を示され、GXに関する取り組みや、学術・経済団体との協力を両地域の発展につなげていくことで合意いたしました。
 
 また、インド・グジャラート州は、モディ連邦首相の出身地で、同氏が長きにわたり州首相を務め、近年急速にインフラ整備が進み、国内第4位の経済規模を誇るまでになっておりますが、先月、州首相のパテル氏が来県され、本県のP2Gシステムに対する高い評価を頂くなど、今後の互恵関係構築に向け、力強い一歩を踏み出すことができました。
 
 最近では、オーストリアの政府要人が大勢で来県されるなど、この分野における本県のトップランナーとしての注目度はますます高まるばかりです。
 
 こういった各国のパートナーとの友好の証を自然に還元すべく、鳴沢村の県有林に設けた「国際交流 世界の森やまなし」では、各国駐日大使や外国人留学生をはじめ、多くの方々の御参加のもと盛大にオープニングイベントを開催し、記念植樹を通じ諸外国の方々との交流を深め、山梨の魅力を十分に発信することができました。
 
 「人」や「知」のつながりを木の根の如く世界中に張り巡らせ、本県の社会基盤という土壌を「強靱化」するとともに、まさに富士の麓に植えたフジザクラの枝の如く、全世界に共益関係が広がる「開の国」を築き、次世代に継承して参ります。
 
 次に、富士五湖自然首都圏フォーラムについてです。
 
 富士五湖自然首都圏構想は、世界に誇る富士の裾野に広がる富士五湖地域を、教育、文化、芸術、伝統、創造、革新の中心となる21世紀の「自然首都圏」へと発展させていく画期的なプロジェクトであります。
 
 8月の「富士五湖自然首都圏フォーラム共同宣言」に続き、10月には、フォーラムの活動の一環として、新たな国際的プロジェクトである「富士五湖グローバル・ビレッジ構想」についても、地元自治体の合意を得ることができ、正式に発足する運びとなりました。
 
 この構想は、富士五湖地域に世界中から企業や自治体、学術・芸術団体など様々な組織が集まり、「グローバル・コミュニティ」を創出するものであります。
 
 具体的な活動内容は大きく2つあり、構想に参画する海外組織の日本での活動拠点となるジャパン・オフィスの富士五湖地域への開設を支援することと、このジャパン・オフィスと協働し、大規模な国際会議から民間による草の根の交流まで、様々なレベルでの国際交流や共同イベントを富士五湖地域で実現させることです。
 
 このようなグローバルな交流を進めることで、地域経済の活性化が地域社会全体への貢献となり、それが更なる住民利益を増幅させるという好循環を目指して参ります。
 
 こうした取り組みの実績を蓄積することで、将来的には、国際会議場や国際的ホテルなどが集まり、富士五湖地域を「ダボス会議」が開催されるスイスのリゾート地、ダボスに匹敵するエリアにして参りたいと考えております。
 
 県としては、様々な組織や企業の参画を促すべく、世界中にネットワークを拡大するとともに、この構想に参画する海外の組織や企業がイベントを実施する際の企画や運営、地元調整を支援し、イベントの具現化を全面的にサポートして参ります。
 
 本構想の取り組みの第一歩として、オンライン教育のトップランナーであるアナハイム大学をはじめとした米国カリフォルニア州の10の組織と提携したところであり、 これらの海外組織とは、国内の文化・芸術団体や、教育・研究機関との共同イベントの実施をはじめ、これらの分野での人材交流などを行って参ります。
 
 今後は、ブラジルや韓国、ベトナム、スペイン、オマーンなどの国々の組織にも参画いただき、ネットワークを世界中に広げていくこととしております。
 
 更に、この自然首都圏の実現や文化芸術活動の振興などに向け、先日、松竹株式会社との間で連携基本協定を締結いたしました。
 
 この自然首都圏という国内外に開かれたプラットフォームに、富士山と親和性が高く、また日本を代表する「最強の」コンテンツの一つである歌舞伎が加わることで、世界にも影響を与える化学反応を起こし得るものと期待しております。
 
 このような取り組みを通じ、富士五湖地域を文化や芸術、教育や研究の国際的な活動が次々と開花し、希望と期待と豊かさに満ちた自然首都圏へと発展させて参ります。
 
 関連して、富士山登山鉄道構想についてです。
 
 改めて申し上げますが、富士山は今、「悲鳴を上げている」状態であります。
 
 世界遺産登録の際、ユネスコ・イコモスから出された「宿題」、すなわち、人が多すぎる、人工的景観が信仰の場にそぐわない、環境負荷が大きすぎる。
 
 これらの宿題は、登録から10年たった現在においても根本的な解決に至っておりません。
 
 とりわけ、オーバーツーリズムについては、富士スバルラインのマイカー規制の拡充や、登山者数を平準化するための啓発、登山者の安全確保など、本県も可能な限りの対策を行ってきましたが、2019年には来訪者数は世界遺産登録前の2倍超に膨れ上がり、このままではいつ危機遺産に登録されてもおかしくありません。
 
 富士山におけるオーバーツーリズムは、まさに待ったなしの解決すべき課題であり、この認識は地元の皆様をはじめ全ての人々と共有できていると考えています。
 
 ただ、その解決策については現在、富士山登山鉄道・LRTと、自動運転による電気バスの大きく2つに考え方が分かれております。
 
 先月から開催している地元説明会においても、1,400億円もかけて県がやるべきではない、あるいは、電気バスで十分ではないかといった御意見を頂いております。
 
 先ず、登山鉄道構想の総事業費1,400億円については、あくまで構想策定時に民設民営を想定して試算したものであり、県が全額を負担する訳ではありません。
 
 現時点では、公的な関与を維持しつつ、民間による経営のメリットを発揮できる「上下分離方式」での運営を想定しており、県は「下」の部分、すなわちインフラの整備に、ファンドや民間企業と共に参画し、国の財政的支援も頂きながら、県費の支出を最小限として参ります。
 
 また、富士スバルラインの所有者としての地代や、整備主体への出資に対する配当として得られた利益は、当然県民に還元されるよう、教育・介護を中心に県施策を充実させる自主財源としたいと考えています。
 
 次に、富士山の課題を解決する手法として何が最適かについては、来訪者コントロールの容易さ、五合目駅舎整備による人工的景観の改善など、様々な点でLRTに優位性があると考えております。
 
 更に、富士山登山鉄道構想の射程は、富士山の現状の課題解決にとどまらず、将来的には既存の鉄道に接続するほか、富士スバルラインのみならず、富士五湖地域の主要なスポットまで延伸することで、当該地域に不足している二次交通の基幹路線にできると考えています。
 
 一方、電気バスについては、平成27年に富士五湖観光連盟が主体である地元の検討会が出した報告書において、鉄道やLRTと比べ、ゆとりあるスペースやバリアフリー性、冬季運行の安全性において劣るとされたほか、麓や五合目の施設が、地域の中心的な拠点となり得ないとされています。
 
 また、先の議会で御指摘のあった77人乗りの電気バスについては、立ち乗りを含めて77人乗りであり、カーブの多い富士スバルラインの輸送手段として安全性に問題がある上に、世界遺産富士山で提供されるサービスとしてふさわしくないと考えます。
 
 今後も引き続き、積極的かつ具体的な提案を議論の俎上に載せ、集合知を形成することで、100年先を見据えて、富士山及び富士五湖地域を世界の憧れの的となるような地域としていく解を見出して参ります。
 
 次に、水素社会実現に向けた取り組み等についてであります。
 
 P2Gシステムの開発・展開をはじめ、本県の水素社会実現に向けた取り組みは、国内外から多くの注目を集めているところであり、海外との交流は先ほど述べたとおりです。
 
 国内においては、東京都、福島県に続き、8月に群馬県と基本合意書を締結し、P2Gシステムの導入拡大に向け、連携した取り組みを開始しております。
 
 また、先月には、米倉山の実証事業やP2Gシステムの展開に向け協力体制を構築するため、国内最大の発電会社である株式会社JERAと基本合意書を締結いたしました。
 
 このような多くの引き合いに応え、県内外に導入されるP2Gシステムの品質確保や研究事業の誘致拡大を図るべく、今般、米倉山の研究サイト内に水素パイプラインなどの機能強化に向けた整備を行うことと致しました。
 
 更に、エネルギー分野における本県の優位性をより一層高めるべく、民間事業者と共同で事業体を設立し、電力需給調整市場に参入して参ります。
 
 電力需給調整市場への参入は、公営企業としては全国初の取り組みであり、これまでの米倉山における研究開発成果のビジネス化を図り、引き続きこの分野を本県が牽引して参ります。
 
 次に、県有地の賃料改定に向けた取り組みについてです。
 
 現在、富士急行株式会社とは、山中湖畔県有地に係る案件を含め、6件の土地賃貸借契約を結んでおりますが、本年8月4日の控訴審判決の内容を踏まえ、全ての案件について賃料改定の交渉を着実に進めていく必要があります。
 
 このうち山中湖畔県有地については、早急に対応できるよう既定予算を活用し、不動産鑑定を実施するとともに、不動産鑑定士の資格を有する弁護士と委任契約を締結し、一部案件と合わせて、現在交渉を行っているところです。
 
 今後、その他の案件についても交渉を本格化させるため、当該弁護士に交渉を依頼すべく、その着手金のほか、成功報酬等に係る債務負担行為について、予算を計上しております。
 
 次に、提出案件の内容につきまして御説明申し上げます。
 
 今回提出いたしました案件は、条例案8件、予算案4件、その他の案件10件となっております。
 
 先ず、条例案のうち、山梨県再生資源物の不適正保管等の防止及び産業廃棄物の適正管理の促進に関する条例の制定についてです。
 
 近年、北杜市において堆肥原料の大量堆積により生活環境に悪影響を及ぼす事案が発生したことを受け、有識者会議やパブリックコメントを通じて幅広い御意見を伺いながら、実効性のある規制を検討して参りました。
 
 本定例県議会に提出いたしました条例案では、堆肥や使用済み金属製品などの再生資源物の保管や処理の基準を定め、保管者に保管場所の事前届出や搬入と搬出の記録の保存を義務付けたところです。
 
 条例の実効性を確保するため、基準に適合しない不適正な保管や処理に対する改善命令や搬入停止命令を規定したところであり、毅然とした態度で適正かつ厳格に対処して参ります。
 
 また、現在、北杜市において発生している廃棄物処理法違反の事案については、適法な保管量とさせるべく当該事業者に改善命令を発し、その搬出作業の確実な履行に向け、定期的な立ち入り検査や監視カメラによる徹底的な監視を行っているところです。
 
 なお、本事案に係る県のこれまでの指導の在り方が適切であったか、行政処分や産業廃棄物管理に関する有識者からなる第三者委員会を設置し、先月27日に第1回目の委員会を開催したところであり、中立かつ客観的に検証いただいております。
 
 条例制定に加え、検証結果を踏まえた必要な見直しを行い、再生資源物や産業廃棄物の適正な保管及び処理を促進し、県民が良好な生活環境を享受できる地域社会を実現して参ります。
 
 次に、職員等の給与に係る条例の改正についてです。
 
 県職員、学校職員並びに警察職員に係る給与につきましては、去る10月17日、人事委員会から給料月額及び期末・勤勉手当の引き上げを内容とする勧告がありました。
 
 これを踏まえ、勧告に沿った対応を行うとともに、特別職等についても、一般職の給与改定等に鑑み、必要な条例改正案を提出したところです。
 
 更に、地方自治法の一部改正に鑑み、会計年度任用職員に対して勤勉手当を支給することとし、必要な措置を講ずることと致しております。
 
 これらの内容をもって編成しました結果、一般会計の補正額は、20億円余、既定予算と合わせますと5,560億円余となります。
 
 その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願いいたします。
 
 なお、国の「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を踏まえた対応については、引き続き国の動向を注視しつつ、必要な場合には予算案の追加提案を行うことと致します。
 
 なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。
 
 さて、喫緊の課題、また、この先の県内におけるあらゆる取り組みにおいて、「集合知」の形成に努め、これを活かしていく決意を、これまでも申し上げて参りました。
 
 これは前述した、富士山登山鉄道構想における臨み方にとどまりません。
 
 本県施策のあらゆる局面における集合知の活用は、豊かさ共創社会を支える心得であり、「一人ひとりが豊かさを実感できる山梨」を築くための大きな原則のひとつであると考えております。
 
 もとより、人が何をもって「豊かさ」と受けとめるかは、各人各様であり多様であるべきです。
 
 そうであるとすれば、行政、あるいは社会は、県民一人ひとりに対して、それぞれの「豊かさ」を追求することができる環境を整えることにこそ、先ずは全力を尽くすべきであります。
 
 御承知のとおり、山梨県も拠って立つ日本という環境は、決してかつてのように、目をつぶっていても無尽蔵に豊かさが生み出され、努めることなく全ての県民に等しく還元されていくような時代ではありません。
 
 こうした時代状況にあって、県民一人ひとりの豊かさ追求への歩みを保障していくためには、ここ山梨という地が持つ可能性・能力をあらゆる角度から最大限に掘り起こし、あらゆる機会を活かしきるという「社会的覚悟」の確立なくしては、およそ不可能であります。
 
 2期目の任期に当たりまして、私は、県民の皆様から、ふるさと山梨の、未来に向けた前進・発展の歩みを確固たるものにすべきという決意を託されています。
 
 山梨という地が、県民一人ひとりにとって、豊かさ追求のより良き営みの場として進化し続けられるようにすべきという決意を託されているのです。
 
 そして、その決意を形にするためにこそ、山梨の可能性を最大限に活かし、山梨が享受すべき機会を余すことなく享受し尽くすべく、常に様々な視点からの様々な意見をぶつけ合う中で「集合知」を形成していく、その在り方自体をも、更に模索していきたいと思っております。
 
 「集合知」のあるべき姿とは、「意見を集約すること」にとどまるものではなく、むしろ「意見を形成すること」と理解すべきです。
 
 そうであってこそ、施策が、より多くのより幅広い層の県民の皆様に届くことにつながると信ずるからであります。
 
 すなわち、異なる意見や考え方を排除・排斥するのではなく、それを導くに至る多様な背景を理解し、施策の練り上げにおいて織り込み、吸収していくプロセスこそ大切にしていくべきであります。
 
 あるいは、多くの意見、多くの言葉、多くの知恵を、単純にモザイクのように寄せるだけに留まることなく、時に厳しい対立状況が予想されたとしても、これに恐れをなすことなく、「山梨の豊かさを創造する」という絶対の土俵において、必要であれば激しい議論を戦わせ、そこから妥協点を超えた新しい知恵を生み出すという創造と改善の過程そのものであるべきではないでしょうか。
 
 もはや現在は、あるいは、今後考えられる未来においても、閉ざされた状態で今を守ろうとする姿勢をもってしては、現状維持すらままならない状況にあります。
 
 本県における、この先100年の大計を見据えたとき、異質なものにも躊躇せず、多様性と正面から向き合い、果敢にこれを取り込み我が血肉とすること。
 
 それが、本県がその獲得に妥協しない「集合知」であるべきだと、私は何度でも、そう繰り返すことに躊躇いたしません。
 
 この「集合知」という、県政運営における新しい文化を、私は率先して実践・実行し、それを次の世代、若い世代にもぜひ、引き継いでいきたいと思います。
 
 本年も間もなく年の瀬を迎えます。
 
 コロナ禍が明けた本年、総合計画をはじめ、豊かさ共創、子育て支援、福祉、教育、富士山登山鉄道構想など、あらゆる場面でこの「集合知」を活かす取り組みが既に実行段階に入っております。
 
 今後、「集合知」の更なる活用により、これらの取り組みの進捗は一層加速を見ることでしょう。
 
 来年の2024年を迎えるに当たり、ぜひ県民の皆様、そして、県議会議員各位におかれましては、それぞれの御関心のある施策や課題、テーマについて御参画を賜り、熱量みなぎる御議論をお願い申し上げます。
 
 山梨県の未来をともに築いていくため、「集合知」を最大限に活用し、更なる発展へ、ともに力を合わせて高く跳躍せんことを心から願っております。

 令和5年12月1日

 山梨県知事 長崎 幸太郎

 

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