ページID:77403更新日:2009年2月1日

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平成20年2月定例県議会知事説明要旨

詳細内容

 平成二十年二月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 私は、昨年一月の知事選挙で県民の皆様の御信託をいただき、昨年二月十七日に知事に就任致しましたが、以来、一年が経過致しました。
 この間、豊かさを実感できる「暮らしやすさ日本一」の山梨づくりに向けて全力で取り組んで参りましたが、その実現のためには、先ず、県庁が変わらなければならないと考え、三つの改革を進めて参りました。
 一つ目は、「創意工夫を凝らし挑戦する県政」の推進であります。
 県庁職員五千人の意欲と能力を最大限に引き出すことが必要と考え、「お金がない」、「前例がない」、「制度がない」という事なかれ主義を脱却して、前向きにチャレンジする職員の姿勢こそを評価していくとの方針を明確にした結果、困難な行政課題にも積極的、主体的に取り組む姿勢が見られはじめました。
 こうした職員の姿勢の変化は、職員提案制度における提案件数が前年度の二十九件から百七十八件へと大幅に増加したことにも現れてきております。
 二つ目は、「簡素でスピーディーな県政」の推進であります。
 行財政運営の効率化を図っていくためには、行政組織のスリム化を進めていくことが重要であり、昨年末に策定した「行政改革大綱」において、平成十九年四月一日現在における総職員数を平成二十三年度当初までの四年間で六百三十三人純減することとしたところであります。
 これにより、全国の都道府県に対して国が要請している削減目標を上回る割合で職員数の削減を図っていくことと致しました。
 また、スピーディーな県政に転換するには、各種の政策判断を迅速化するとともに、庁内の意思決定手続きを簡素化することが必要と考え、昨年四月に知事政策室の機能を強化し、トップマネージメントを発揮する体制を整備して参りました。
 更に、「県政クイックアンサー制度」を導入し、県に寄せられた要望や質問には一週間以内に回答することを徹底した結果、昨年度を百四十件上回る多くの要望等が寄せられるなど、県民の皆様には、その改善を実感していただけているものと考えております。
 三つ目は、「県民に開かれた県政」の推進であります。
 県の取り組みや考えを広く県民の皆様にお伝えするためには、県のトップである私自らが直接、説明責任を果たすことが重要と考え、原則として週一回の記者会見を行うとともに、これまでの五十回程の会見内容については、ホームページでも動画付きで公開してきたところであります。
 また、「正確な情報は常に現場にあり、県民にある」との考えに立ち、現場第一主義をモットーに、県内各地に私自らが出向き、県民の皆様と普段着の対話をする「県政ひざづめ談議」を月二回のペースで開催してきたところであり、本年度は既に二十回、約五百名の県民の皆様と意見交換をさせていただいております。
 こうした三つの改革に加えて、山梨のすぐれものを私が先頭に立ってトップセールスするなど、県内外の各界の方々との直接の対話に努め、この一年間で地球一周分を超える四万キロ以上を移動し、様々な県政課題の解決に向けて取り組んで参りました。
 こうした取り組みの中で、中部横断自動車道の新直轄区間に係る県負担額の大幅な縮減、昭和町常永地区の大規模商業施設計画の見直しといった、県民の皆様との公約にも一定の道筋をつけることができたものと考えております。
 また、この一年を振り返りますと、富士山の世界文化遺産登録に向けた暫定リストへの登載や二〇一三年の国民文化祭の開催内定、更には、二〇二五年にリニア中央新幹線の営業を開始するとのJR東海の発表など、全国が注目するような大きな動きも相次ぎ、本県が大きく飛躍・発展していく着実な手応えを感じております。
 今後とも、こうした動きをより力強く、確実なものにしつつ、「チャレンジ山梨行動計画」の着実な実施を通じて「暮らしやすさ日本一」の山梨が実現できるよう、私の全身全霊をかけて取り組んで参ります。
 議員各位をはじめ、県民の皆様におかれましては、なにとぞ力強い御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 次に、平成二十年度当初予算の編成に当たりまして、その基本的な考え方を申し上げます。
 国の明年度予算編成においては、平成二十三年度に国と地方の基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスを黒字化する目標に向けて、引き続き歳出改革を行う一方、地域活性化、生活の安全・安心などの重要課題に予算の重点化が図られ、歳出規模は対前年度比〇・二パーセントの増となっております。
 一方、地方財政計画においては、地方が自主的・主体的に地域の活性化を図るために必要な地方再生対策費が計上された結果、歳出規模は対前年度比〇・三パーセントの増となり、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質交付税は、対前年度比二・三パーセントの増が確保されたところでありますが、社会保障関係費等が増加する中で、地方は依然厳しい財政環境に置かれております。
 こうした中で、明年度の本県財政について見ると、歳入面では、本年度の六月現計予算と比較して、県税収入に一定の増加が見込まれるとともに、地方再生対策費の創設に伴い、臨時財政対策債を含む実質交付税も増加しますが、基金の取り崩し額を減額するため、一般財源の総額については、本年度と同程度を見込んでおります。
 一方、歳出面におきましては、本年四月から、乳幼児医療費等の窓口無料化を全県下において実施することに加え、後期高齢者医療制度が全国的に導入されることから、社会保障関係費が大きく増加するとともに、公債費も増加するなど、義務的経費の増加が避けられず、非常に厳しい状況にあります。
 このため、行政改革大綱を着実に実施しつつ、簡素で効率的な行財政運営の実現に取り組んでいるところであり、人件費については、職員数の削減などにより、対前年度比で一・四パーセントの減となったところであります。
 また、公共事業費及び県単独公共事業費につきましては、地域経済への影響に配慮しつつ、段階的に縮減することとしておりますが、本年度に引き続き、国の地域自立・活性化交付金を活用することにより、県負担額を抑制しつつ、事業費の最大限の確保に努めたところであります。
 以上のような取り組みによっても、一般財源はなお大幅に不足するため、明年度の予算編成に当たりましては、百三十億円の基金を取り崩すこととしたところであります。
 一方、県債につきましては、行政改革大綱に基づく取り組みを着実に進めた結果、臨時財政対策債等を除く通常の県債について、引き続きプライマリーバランスを確保するとともに、企業債や出資法人の債務保証等を含む県債等残高についても、計画を上回る削減を達成できる見込みであります。
 このため、臨時財政対策債等を含む債務残高全体につきましても、明年度は本年度を下回り、減少に転じる見込みであります。
 以上のような厳しい財政環境の中で、明年度予算は、「チャレンジ山梨行動計画」の本格実施の初年度として、必要な予算については積極的に計上したところであり、今後、全庁を挙げて、創意工夫を凝らしつつ、着実に施策を実施して参る所存であります。
 以下、平成二十年度当初予算案のうち、主なるものにつきまして、「チャレンジ山梨行動計画」の施策体系に沿い御説明申し上げます。
 その第一は、「変える・やまなし」の実現についての施策であります。
 県内各界各層の方々から幅広く御意見・御提言をお伺いし、これを今後の県政運営に生かしていくため、本年度に引き続き、「山梨県経済財政会議」や「やまなし女性の知恵委員会」、「県政ひざづめ談議」などを開催して参ります。 
 また、県政の重要課題に迅速に対応し、県民の視点に立って、縦割りではなく、組織横断的に施策を展開するため、知事政策室の機能を一層強化して、知事政策局を設置するとともに、景観づくりを含む総合的な県土づくりを担うため、土木部を県土整備部に組織再編して参ります。
 更に、土地開発公社、道路公社、住宅供給公社の地方三公社の経営改善に向けて、一層の合理化を図るため、役員の一元化や職員の一元的な人事管理を行うなど、本年四月より「山梨県地域整備公社」として、実質的な三公社の統合を行って参ります。
また、納税者の税負担の公平性と税収の確保を図るため、県と市町村による地方税滞納整理推進機構を設置し、協働して滞納整理に当たる体制を強化して参ります。
 第二は、「力みなぎる・やまなし」の実現についての施策であります。
先ず、やまなしブランドの確立と販路拡大についてであります。
 大消費地に近い本県の特性を生かして、果物やジュエリー、ワインなど、やまなしの多くのすぐれものを全国に情報発信して、本県物産のブランド化を図ることが、産業経済の活性化への近道であります。
 中でも、ワインの販路拡大につきましては、本年度は、外務省に対し、国産ワインコンクールに入賞した県産ワインを百八十九ある在外公館で活用してもらえるよう積極的に働きかけてきた結果、早速、東南アジア各国の日本大使館で活用されはじめるなど、効果が現れてきております。
 海外では健康志向に伴い和食がブームとなっており、和食に合う甲州ワインが静かな人気を集めつつあることから、今後とも、イギリスをはじめとしたEU諸国やアメリカ合衆国などに対する甲州ワインの販路拡大を積極的に図って参ります。
 更に、明年度は、ワインに造けいが深い有識者によるワイン懇話会を設置し、県産ワインの一層の情報発信や販路拡大を図る取り組みについて意見交換を行うとともに、十一月三日を「やまなしヌーボー」解禁日と定め、都内及び県内でのヌーボーフェスティバルの開催など、県産ワインのPRと販路拡大の取り組みに対して支援して参ります。
 また、ジュエリーや織物などの地場産品やぶどう、ももといった果物についても、本県の中小企業や農家の方々が非常に高い技術を持ってすぐれものを作っておられます。
 こうした県民のたゆまぬ努力が報われて、市場において正当に評価され、ブランド化が促されるよう、「香港国際宝飾展」や「フードタイペイ」など世界有数の国際見本市へ出展することを支援して参ります。
 更に、約四百五十名のやまなし大使の方々による「やまなしサポーターズ倶楽部」を都内で開催し、本県の魅力を全国へと情報発信してもらうことで、やまなしブランドの確立を推進して参ります。
 次に、農業の振興についてであります。
 本県農業は、生産者のたゆまぬ努力により、ぶどう、ももなど日本一の生産量を誇る果物を中心に発展してきたところでありますが、近年は農業収入が減少し続けるとともに、後継者不足に悩み、耕作放棄地の拡大が続いているところであります。
 そこで、大消費地に近い有利性を生かして、収益性の高い農業を展開していくことで現状を打開するとともに、山梨発の日本の新しい農業モデルを確立していくとの気概を持って、昨年末、「やまなし農業ルネサンス大綱」を策定致しました。
 この大綱に掲げる施策を総合的に推進していくため、販路の拡大や高品質化を図る農業施設や設備の整備に対して、総事業費一億円の助成制度を創設することと致しました。
 また、高収益な農業の実現に向け、県産果物の「輸出促進センター」を都内の大田市場に設けるとともに、台湾、香港などのマーケットにおいて、販路の拡大を図ることとし、特に、ももについては、現在、輸出が解禁されていない中国等の市場開放に向けた働きかけを強めて参ります。
 更に、本県農業が将来にわたり発展していくためには、担い手の確保・育成が必要であることから、農業大学校を再編して、果樹や花きなど本県農業の特性に対応した教育プログラムを強化し、担い手育成の拠点として参ります。
 また、新しい農業を推進していくため、大規模経営を行う企業等の農業参入を支援するとともに、地域の実情に応じたきめ細かな普及指導活動を展開していくため、農務事務所等に普及センターの看板を掲げ、普及指導体制を充実して参ります。
 県内各地で深刻化する鳥獣害に対しては、特に被害が多いニホンジカ、イノシシ、ニホンザルの個体数の適正管理を図ることが重要であることから、猟友会などの関係団体の協力を得つつ本格的な対策に乗り出すこととし、全県下において適切に管理捕獲を実施して参ります。
 また、市町村による被害防止のための計画づくりや防護柵の設置などの被害防止策に対して、積極的に支援を行って参ります。
 次に、中小企業の振興についてであります。
 原油・原材料価格の高騰などにより業況が悪化している中小企業者に対し、金融面からの支援を行うため、この一月に創設した原油・原材料価格の高騰対策緊急融資を引き続き実施することとし、商工業振興資金全体で総額百四十億円の融資枠を確保することで、中小企業者の資金需要に的確に応えて参ります。
 次に、企業の人材の確保・育成についてであります。
 技術系人材の確保・育成が大きな課題となっていることを踏まえ、その対応策を検討するため、本年度は「技術系人材等の確保・育成等検討会議」を開催して参りました。
 今後は、会議における議論を十分に反映したアクションプランに基づき、総合的な人材確保対策を進めて参ります。
 先ず、県内における技術系人材の確保対策として、「ジョブカフェやまなし」のノウハウを生かし、県内大学にカウンセラーを派遣し、県内の就職を支援して参ります。
 また、本県出身の県外大学生等に県内企業についての情報を積極的に提供することをはじめ、首都圏の技術系大学等における本県への就職相談会の開催など、県外における技術系人材の確保にも努めて参ります。
 更に、産業技術短期大学校と工業高校の連携強化により、実質的に高等専門学校と同様の教育プログラムの提供に向けた検討や、地域産業界と工業高校が連携したインターンシップの実施など、企業の必要とする人材を輩出できるような教育システムづくりに取り組んで参ります。
 また、産業技術短期大学校や工業技術センターにおいて、企業ニーズに応じたオーダーメード型職業訓練や研修などを充実し、企業の人材育成に対する支援を強化して参ります。
 次に、企業の誘致・育成についてであります。
 本年度、産業立地室を設置し、企業の誘致体制を強化したことなどにより、平成十八年においては七件であった企業立地件数が、平成十九年には二十件以上に増えるなど、成果が見られはじめているところでありますが、地域間競争が激しさを増す中で、今後も、より一層強力に企業誘致を展開していく必要があります。
 そこで、過日、山梨県企業立地基本計画が国において同意されたことを受け、新たに立地企業への税制優遇措置を創設するほか、従来は製造業を助成対象としていた産業集積促進助成金制度を改正し、バイオ産業や研究機関も助成対象に加えるとともに、情報通信関連産業の立地に対する助成制度を創設して、IT関連企業の本県進出を積極的に促して参ります。
 同時に、県内企業の成長、発展を支援するため、施設・設備の拡充を行う場合にも助成を行うなど、県内企業のニーズに対し適切に対応して参ります。
 また、県の基幹工業団地などの高速インターネット利用環境の整備を行い、本県への企業誘致を行う上でも必要な情報インフラの環境を整備して参ります。
 次に、新産業創出の支援についてであります。
 過日、燃料電池技術の実用化に向けた世界最高水準の研究開発を行うとともに、この分野の国際的な研究開発拠点の形成に向けて、山梨大学が国の研究開発プロジェクトに応募することを明らかにしました。
 燃料電池技術の研究開発により、新分野の産業の創出やクリーンエネルギー産業の集積が期待されることから、県としては、大学の研究施設建設等に対し、土地の無償貸与や研究員の派遣など事業展開の上で必要な支援を積極的に行うとともに、実用化に向けた産学官の連携推進体制を整備して参ります。
 また、国の無利子貸付金を活用して総額十五億円にのぼる「山梨みらいファンド」を造成し、本県の未来を開く二十一世紀型創業を支援するため、新たな開業や新事業の創出に対して助成して参ります。
 更に、厳しい経営環境にある県内建設産業が、経営改善はもとより、新規事業分野への進出を図ることに対して支援して参ります。
 次に、地域の活性化についてであります。
甲府駅北口県有地は、県内外の情報が行き交い、人々の交流の結節点となりうる場所であることから、去る一月に、新県立図書館整備検討委員会より、新県立図書館の建設場所として適当であるとの報告をいただきました。
そこで、この報告を尊重し、新県立図書館については、北口県有地に設置する方向で検討して参りますが、北口県有地については、新県立図書館を設置してもなお、敷地に余裕があることから、県民の共有財産として有効活用することが適当と考え、図書館と連携させながら、高度情報化拠点を整備し、全体を高度情報エリアとして活用して参る考えであります。
高度情報化拠点には、情報通信産業を誘致するとともに、情報の受発信や人々の交流を支援する諸機能を整備するなど、本県における情報産業の発展、ひいては本県の活性化の起爆剤的な役割を発揮するよう、積極的に取り組んで参ります。
今後は、図書館と連携した高度情報化拠点の在り方などを検討し、明年度のできるだけ早期に全体構想をお示しして参ります。
 更に、甲府市中心市街地の活性化に向けて、紅梅地区再開発ビルへの宝石美術専門学校の移転整備を着実に進めるとともに、商店街でヴァンフォーレ甲府の試合中継を実施して賑わいを創出する事業や、甲府駅前の通り沿いなどでの甲州ワインを活用したイベント、県内大学生に対する中心市街地活性化のアイデア募集などを実施して参ります。
 また、中部横断自動車道の開通に伴い、人、物の流れが大きく変化することが想定されることから、地元市町とも連携しつつ、開通を見通した沿線地域の活性化策を検討して参ります。
 更に、富士北麓地域の特性を生かした振興を図るため、国際交流ゾーンの形成に向けた気運の醸成、地域の一体的な推進体制の確立を図って参ります。
 第三は、「やすらぎ・やまなし」の実現についての施策であります。
 先ず、県庁舎の耐震化についてであります。
 県庁舎につきましては、別館や県民会館など五庁舎の耐震性は著しく低く、放置しておくことができない状況にあります。
 特に、災害発生時に、警察本部や子どもの安全を担う教育委員会の機能が停止するということは、県民の安全・安心を確保する観点からもあってはならないと考えているところであります。
 そこで、昨年七月より、学識経験者を含めた「県庁舎の耐震化に関する検討委員会」を設置して、耐震化等整備の在り方について検討をいただき、去る一月に最終報告書の提出を受けたところであります。
 県としては、検討委員会の提言も踏まえ、県民会館などの四施設を県民情報プラザ及び第二南別館の敷地内に新庁舎として集約建て替えを行い、そこに防災機能を集約することとし、別館については、文化財的価値も考慮する中で、耐震改修を行って、保存・活用していくこととしたところであります。
 明年度は、基本計画の策定や新庁舎に整備すべき防災拠点機能の調査を行うとともに、相当の経費削減が図られる可能性のあるPFI方式の導入について調査検討して参ります。
 また、地震に対する安全確保のため、昨年七月に策定した耐震改修促進計画に基づき、県立学校を含む県有施設については、平成二十七年度までに一〇〇パーセントの耐震化を図るよう計画的な改修等を着実に進めて参ります。
 更に、民間の建築物につきましても、耐震化を一層促進していくため、高齢者世帯等への補助率のかさ上げ、耐震改修助成制度の対象の拡大など、木造住宅の耐震化支援策の充実を図って参ります。
 次に、危機管理体制の整備についてであります。
災害・事故が多様化・大規模化し、消防に対する住民ニーズも高度化する中で、人口減少社会において、これに的確に対応していくためには、消防本部の広域化は避けて通ることのできない喫緊の課題であります。
 このため、昨年九月以来、市町村や学識経験者、消防関係者からなる消防力強化検討委員会を設置し、消防の広域化など地域消防力の充実強化に向けた検討を進めているところでありますが、本年度末までには、検討委員会の報告が取りまとめられる予定であり、今後早期に、本県にふさわしい消防の広域化に向けた具体的な方針を策定して参ります。
 また、消防体制の充実強化を図るため、明年度は消防学校の建て替えに向けて必要な機能、規模などの具体的な検討に着手して参ります。
 更に、地域住民などを含めた防災力向上のため、身近な地域における図上訓練の実施、地域の防災リーダーの育成などを図って参ります。
 また、信号柱や道路標識の老朽化が進む中で、本県においても、信号柱や道路標識の倒壊事故が発生していることから、明年度より三年間で、倒壊のおそれのある老朽化した県内の信号柱、道路標識について、緊急かつ集中的に更新を行って参ります。
 次に、子育て支援についてであります。
 本年四月から五歳未満児の通院、未就学児の入院について、診療時に無料で医療サービスが受けられる乳幼児医療費窓口無料化を導入することとしております。
 これに併せて、ひとり親家庭、重度心身障害者の医療費についても、県下全市町村で窓口無料化を実施して参ります。
 また、小児救急医療体制の更なる充実を図るため、富士・東部地域への小児初期救急医療センターの設置について、現在、専門家からなる委員会で活発な御論議をいただいており、本年度末に取りまとめられる報告を踏まえ、明年度の開設を目指して、市町村や関係機関との協議を行って参ります。
 更に、子育てと仕事の両立を支援するため、職場環境の改善に取り組む企業を支援するとともに、放課後児童クラブの施設整備に対し助成して参ります。
 次に、地域福祉の推進についてであります。
 視覚障害をもつ人などの自立を支援し、日常訓練機能を備えた施設とするため、青い鳥成人寮を改築することとし、設計に要する経費を計上致しております。
 また、県民敬老祝金等支給事業につきましては、平均寿命の延伸など社会情勢の変化を踏まえて見直しを行うこととし、今後は、長寿を祝う節目の歳に当たる八十八歳及び百歳の方々並びに県内最高齢者を対象として参ります。
 次に、後期高齢者医療制度についてであります。
 本年四月から七十五歳以上の高齢者を対象とする後期高齢者医療制度が導入されます。
 県においては、国の制度に基づき、医療給付費の負担をはじめ、低所得者等の保険料軽減措置に対する補てんや、給付費の増大などに伴う財政不足に対して貸し付け等を行うための財政安定化基金への積み立てなど、所要の経費を計上致しております。
 次に、保健医療の充実についてであります。
 全国的に医師不足が深刻化する中で、本県においては、昨年七月に医師定着を促すため、医学生への奨学金制度を創設したところ、百七十三名の応募があり、山梨大学においても、県内において一定期間、診療に従事することを要件とする地域枠を平成二十年度の推薦入試より設けるなど、医師不足の解消に向けての対策の充実を図っております。
 しかしながら、当面の産科等の医療サービス体制の確保にも全力で取り組んでいく必要があります。
 そこで、分娩の取り扱いをやめる病院が相次ぐ中、妊婦の安全・安心をサポートする体制の構築が求められていることから、明年度は助産師外来の導入に向けて検討を進めて参ります。
 更に、病院が分娩の取り扱いをやめても、日常の健診については身近な病院で安心して受けられるよう、助産師を産科相談員として病院に配置し、妊婦の相談等に対応したり、分娩を予定している病院との橋渡しを行う体制づくりを進めて参ります。
 また、県職員として医師を採用し、医師不足の公立病院等へ派遣を行うドクタープール事業につきましては、今後の活用促進に向けて、県内外の大学に対する働きかけをより一層強化し、地域医療を支える医師の確保に努めて参ります。
 更に、それぞれの地域ごとに、地域全体で必要な医療サービスが提供される体制を維持・確保していくためには、医療機関の役割分担を明確にして、十分な診療連携体制を構築していくことが必要であります。
 そこで、明年度は、市町村や医療機関など関係機関と協議して、全県下における公立病院等の再編・ネットワーク化に向けた構想を取りまとめて参ります。
 また、県立中央病院につきましては、今後、より一層の経営改善と自立性の向上を図るため、昨年九月、県立病院の経営形態について、病院経営の専門家などで構成する検討委員会を設置したところであり、引き続き検討を進めて参ります。
 次に、自殺予防対策についてであります。
 過去三年間の自殺者の増加率が全国で最も高いことを踏まえ、自殺予防対策に積極的に取り組む必要があります。
 そこで、相談窓口の周知など自殺予防に向けた普及啓発を行うとともに、メンタルヘルス対策が十分でない小規模事業所等への専門医の出張派遣など、きめ細かな自殺予防対策に取り組んで参ります。
 第四は、「はぐくむ・やまなし」の実現についての施策であります。
 先ず、教育環境の整備・充実についてであります。
 少人数教育の拡充につきましては、中学校入学時の学習環境や生活環境の変化に対応できず、不登校やいじめが急増する、いわゆる「中一ギャップ」への対応が喫緊の課題であることから、中学校一年生を対象に一クラス三十五人を基本とする少人数学級編制を本年四月より導入して参ります。
 峡東地域への総合制高校の設置につきましては、石和高等学校、山梨園芸高等学校両校の関係者など地元との協議が整ったことから、平成二十二年四月の開校に向けて設計経費を計上致しております。
また、教育を取り巻く環境が大きく変化していることから、新たな高等学校整備構想の策定に着手することとし、魅力ある高校づくりを進めて参ります。
更に、私学教育の振興につきましては、私立学校における教育環境の維持向上や保護者負担の軽減のため、私立学校運営費等に対して助成して参ります。
 次に、スポーツの振興についてであります。
県民に良好なスポーツの環境を確保していくためには、県有スポーツ施設等の整備・充実が必要であります。
 そこで、ヴァンフォーレ甲府のホームグラウンドである小瀬陸上競技場には大型映像装置を設置することとし、平成二十一年の夏を目途に、一日も早い供用開始に向けて整備を進めて参ります。
 また、小瀬体育館への空調設備の整備に着手するとともに、小瀬陸上競技場のグラウンド改修、老朽化した境川自転車競技場のバンクの改修などに取り組んで参ります。
 次に、文化の振興についてであります。
 開館三十周年を迎える県立美術館につきましては、ミレーの美術館として積極的に全国に情報発信するため、明年一月には、ミレーをはじめバルビゾン派の作品を集めて展示する「ミレー館」を備えた美術館としてリニューアルオープンすることとし、展示室の改修などを実施して参ります。
 また、「ミレー館」の開館に合わせ、美術資料取得基金を活用して、ミレーやバルビゾン派の新たな作品の購入を検討して参ります。
 更に、国内最大級の文化の祭典「国民文化祭」の二〇一三年の開催に向けては、民間のノウハウを最大限に生かしつつ、県外から多くの観客が来県するイベントとなるよう、市町村や文化団体、民間事業者などとの連携を強化し、推進体制の整備を図って参ります。
 第五は、「さわやか・やまなし」の実現についての施策であります。
 本年は、七月に開催される北海道洞爺湖サミットにおいて、ポスト京都議定書となる新しい地球温暖化防止の国際的な枠組みが本格的に議論されることとなります。
 本県においても、地球温暖化対策の一層の推進に加え、廃棄物の減量化・再資源化などによる循環型社会の形成、燃料電池やバイオマスなどといったクリーンエネルギーの開発・活用、更には景観対策も含めた美しい県土づくりなど、快適な環境を創造していくためには、多様な観点から政策展開を図っていく必要があります。
 そこで、明年度は、本県の総合的な環境政策の在り方について検討を行うため、有識者等による会議を設置するとともに、本県における地球温暖化対策をより効果的に進めるため、「地球温暖化対策条例」の制定に取り組んで参ります。
 また、県民一人ひとりの地球温暖化防止に向けた行動を促すため、環境チェックシートを全戸に配布するとともに、環境にやさしい燃料電池の技術開発への支援や木質バイオマスの利用促進に取り組んで参ります。
 更に、廃棄物最終処分場の整備につきましては、平成二十一年度の操業開始に向けて、現在、明野処分場の建設が環境整備事業団により進められるとともに、明年度は、笛吹市境川町上寺尾区において次期処分場建設に向けた環境影響評価等が行われることとなっております。
 今後も引き続き、地域住民の理解を得ながら、環境整備事業団と十分に連携しつつ、安全で安心な処分場の整備に取り組んで参ります。
 次に、富士山の世界文化遺産登録につきましては、文化庁や静岡県、並びに関係市町村と連携し、平成二十三年度の登録に向けた準備を着実に進めることとし、明年度は、文化財の保存管理計画の策定を行う市町村の財政負担を大幅に軽減するための措置を講じるなど、県と市町村が一体となって、世界文化遺産登録に必要な推薦書原案の作成に鋭意取り組んで参ります。
 第六は、「つどう・やまなし」の実現についての施策であります。
 本県観光につきましては、NHK大河ドラマ「風林火山」の波及効果により、昨年上半期における観光客数は、前年に比べて延べ二百万人を超える増となるとともに、民間の創意工夫を生かした風林火山博も四十八万人を超える入館者を集めました。
 明年度は、四月から六月まで全国のJR六社と協力して、全国から本県への集中的な誘客促進を行う「山梨デスティネーションキャンペーン」を実施することとし、シニア層をメインターゲットに宿泊滞在型の観光地として定着を目指して参ります。
 また、デスティネーションキャンペーン後も宿泊客が確保できるよう、本年度の中国、四国、九州に加え、明年度は北海道、東北に対しても誘客宣伝を行って参ります。
 更に、首都圏に隣接しつつも自然豊かな本県全体をスタジオととらえ、映画・テレビのロケ地として積極的に活用してもらえるよう、県内各地の様々なロケ地情報のデータベース化やDVDの作成などを行って参るほか、ワイナリーや文化施設を巡りながら、風景や郷土料理を楽しんでいただくワインツーリズムの推進など、本県の地域資源を十分に生かして、新たな誘客の取り組みを行って参ります。
また、今後の本県観光の振興を総合的に推進するため、県観光物産連盟と大型観光キャンペーン推進協議会の統合など、新しい中核組織の在り方を検討することとし、民間の自由な発想を生かしつつ、国内外の観光客を効果的、効率的に誘致する体制を整備して参ります。
 国際観光の振興につきましては、海外からの誘客活動を一層強化し、特に、中国からの誘客を促進するため、北京において、観光セールスや観光情報の収集・分析などを行う専門スタッフを委嘱して参ります。
 また、神奈川県・静岡県両知事と中国を訪問し、上海において共同で観光宣伝を行うとともに、中国主要都市において本県への魅力ある旅行企画の提案など観光トップセールスを行って参ります。
 第七は、「むすぶ・やまなし」の実現についての施策であります。
 先ず、交通ネットワークの整備についてであります。
 リニア中央新幹線につきましては、昨年末、JR東海が二〇二五年の東京・名古屋間での営業運転開始に向け、五兆円余の建設費を全額自己負担することを公表し、先月には、国も民間事業者による建設を容認する見解を示したところであります。
 県としては、整備計画路線への格上げについて、国に対し強く働きかけるとともに、山梨リニア実験線の早期完成とリニア中央新幹線の建設促進に向けて、今後とも、最大限の協力をして参ります。
 また、道路交通ネットワークにつきましては、特に、県外・県境の基幹道路の整備促進が大きな課題となっております。
 中部横断自動車道につきましては、本県の南北軸を形成する基幹道路であり、平成二十九年度までの一日も早い完成を目指し、事業主体である国や中日本高速道路株式会社に対して強く働きかけていくとともに、富沢インターチェンジから増穂インターチェンジまでのアクセス道路の整備や用地取得などを進めて参ります。
 また、東富士五湖道路と東名高速道路の接続アクセスの整備について、国や関係機関に対して強く要請するとともに、中央自動車道のボトルネックとなっている小仏トンネルの渋滞解消についても、国等に対して働きかけて参ります。
 更に、県内の道路整備につきましては、新山梨環状道路の南部区間について、明年度の全線開通を目指し、事業を推進するとともに、東部区間について、都市計画決定に向けた環境影響評価の現地調査等を行って参ります。
 また、西関東連絡道路の山梨市万力以北への延伸につきましても、明年度の事業着手に向けて国との協議を進めて参ります。
 JR中央線の高速化につきましては、沿線地域が一体となって取り組む必要があることから、一月末に、長野県や本県などの市町村や関係団体による「中央東線高速化促進広域期成同盟会」を設立致しました。
 期成同盟会の設立を契機として、中央線の高速化や利便性の向上につなげていくため、沿線住民の気運の醸成を図るとともに、国やJR東日本に対し、これまで以上に強く働きかけて参ります。
 次に、情報ネットワークの整備についてであります。
 県内の携帯電話の不感地域を解消するため、通信施設を整備する市町村に対し支援を行うとともに、大規模災害時の情報通信体制を確保するため、東京を経由しない独自のインターネットのバイパスとして地域IXを構築して参ります。
 以上の内容をもって編成しました結果、一般会計の総額は、四千三百五十三億円余となっており、本年度六月現計予算と比較して、〇・八パーセントの減となっております。
 この財源と致しましては、県税千百三十八億円余、地方交付税千百四十二億円余、国庫支出金五百九十億円余などのほか、臨時財政対策債を含めた県債六百六十六億円余を計上致しております。
 また、特別会計は恩賜県有財産ほか十一会計を合わせまして二千六百十四億円余、企業会計は、電気事業ほか三会計で二百四十八億円余となっております。
 次に、条例案のうち、主なるものにつきまして申し上げます。
 先ず、山梨県後期高齢者医療財政安定化基金条例の制定についてであります。
 本年四月から七十五歳以上の高齢者を対象に、後期高齢者医療制度が導入されることに伴い、この制度の財政安定化を図る貸付事業等を実施するため、基金を設置しようとするものであります。
次に、山梨県土地開発基金条例の改正案についてであります。
 土地開発公社の債務を円滑に処理するため、土地開発基金を財源として活用できるよう基金の処分規定について所要の改正を行うものであります。
 次に、指定管理者制度の導入に係る条例の改正案についてであります。
 県立富士湧水の里水族館、県立美術館及び県立文学館など六施設に、新たに指定管理者制度を導入することとし、指定管理者が行う業務の範囲、選定基準、指定の手続きなどを定める改正条例案を提出致しております。
 最後に、平成十九年度二月補正に係る提出案件につきまして御説明申し上げます。
 先ず、予算案のうち主なるものにつきまして申し上げます。
 今回の補正予算案においては、好調な企業業績に伴い、法人二税の増収などにより県税収入が三十四億円余増加するとともに、地方交付税十一億円余及び平成十八年度決算による実質収支二十九億円余が、それぞれ予算額を上回ったことなどにより、一般財源の増加が見込まれることから、財源対策による基金の取り崩し額をできる限り減額した結果、本年度の基金の取り崩し額は、当初予算計上額の百四十億円から二十億円となり、主要基金の残高は、平成十八年度末の五百四億円余から四百七十一億円余となります。
 また、中部横断自動車道の新直轄区間に係る交付税の増額分につきまして、後年度に増加する県負担金に充当できるよう、財政調整基金に十億円を積み立てるほか、米倉山造成地の債務処理により生じる土地開発公社の特別損失に対して、将来にわたる補てん財源として活用できるよう、土地開発基金に十億円を積み立てることと致しました。
 この結果、一般会計の補正額は二十一億円余の減額となっております。
 また、特別会計の補正額は、恩賜県有財産ほか七会計で二億円余の減額、企業会計の補正額は、病院事業会計で三億円余の増額となっております。
 次に、条例案につきまして申し上げます。
 山梨県産業集積区域における県税の特別措置に関する条例の制定についてであります。
 本県における産業集積を図るため、県下全域を対象とする企業立地基本計画に基づき、誘致企業に対する不動産取得税などを免除しようとするものであります。
 その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。
 なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。


  平成二十年二月十八日


山梨県知事  横 内 正 明

リリース日:2008年2月18日

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