ページID:77415更新日:2009年2月1日

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平成19年6月定例県議会知事説明要旨

詳細内容

 平成十九年六月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 我が国経済の最近の動向を見ますと、戦後最長の息の長い景気回復が続いていると言われておりますが、本県の景気につきましては、製造業を中心に緩やかに回復しつつあるものの、企業の景況感は必ずしも見通しが明るくなく、大部分の中小企業は、依然として、厳しい状況が続いております。
 こうした本県における閉塞感や先行き不安感を打破して、八十八万県民の英知とエネルギーを結集し、豊かさを実感でき、未来に期待できる山梨をつくっていかなければなりません。
 私は知事に就任して以来、一貫して「暮らしやすさ日本一」の山梨づくりを掲げて参りました。
そのためには、まず、その中心的役割を担うべき県庁の改革に取り組まねばなりません。
 そこで、職員には、県民と接する現場を重視した現場第一主義を徹底するとともに、私自身、「県政ひざづめ談議」などを通じた県民との直接対話を進めることとし、更には、「すばやい反応、すばやい行動」こそが県民の要望に応えていく基本であると考え、「県政クイックアンサー制度」なども設けたところであります。
 また、山梨には、県内外に誇れる「すぐれもの」、「ブランド」が沢山あります。
 おいしい果物やワイン、そして伝統と技術に裏打ちされた優れた地場産業や先端産業、更には、健康寿命日本一という恵まれた生活環境、少年犯罪の少なさ全国トップクラスという子育てに適した地域社会なども、山梨の誇れるものであります。
 山梨のこうした「すぐれもの」を更に多く創り出し、全国に、そして、世界に情報発信をして、先進的な企業を誘致し、人々を外から呼び込み、県産品の販路拡大を進め、産業と経済の活性化を図って参ります。
 本県の経済の活性化こそが、県税収入の増加、財政基盤の強化に、ひいては、医療や福祉、教育などの政策の充実につながるものであり、こうした取り組みにより「暮らしやすさ日本一」の山梨づくりを実現して参ります。
 県民の皆様には、山梨を変えていくための工程を明記した、これから四年間の具体的な行動計画を明らかにする必要があると考え、過日、今後取り組むべき方策の概要を暫定計画という形でお示しさせていただきました。
 行動計画は私の政策提言を着実に具体化し、スピーディーに実行していくために策定するものであり、具体的な数値目標や実現に至るまでの手順などを明記した、新たな県政の指針となるものであります。
 今後は、暫定計画を基に、県議会議員各位をはじめ、幅広く県民の皆様の御意見を伺いながら、本年中には、将来の本県像を見据えつつ、この四年間で行うべきことを示した最終的な行動計画を策定して参ります。
 また、国、地方を通じ、大変厳しい財政状況にある中、「創意工夫をこらし挑戦する県政」、「簡素でスピーディーな県政」、「県民に開かれ、県民とともに創る県政」など、私の提唱する改革を実行していくためには、行政サービスの改革や県財政の改革などを大胆かつ計画的に推進していく必要があると考え、新しい行政改革大綱を策定することとしました。
 既に、就任直後には一千万円以上の工事についての一般競争入札拡大の方針をお示しするなど、緊急の課題については迅速に改革に着手しておりますが、年内を目途に、改革後の姿とその実現に必要な基本戦略や財政健全化に向けた具体的な取り組み等を示すべく、今後四年間を計画期間とする行政改革大綱を策定して参りたいと考えております。
 これらの考え方を踏まえ、今回提出致しました補正予算案は、私の目指す県政の具体化を図るための第一歩として、私が県民の皆様に公約致しました施策に係る所要の予算を計上したものであり、県議会の御承認をいただいた上で、速やかに実行に移して参ります。
 次に、当面する県政の課題につきまして申し上げます。
 先ず、産業の振興についてであります。
 本県経済を成長させるためには、産学官が連携した戦略的な取り組みが必要であります。
 そこで、「やまなし科学技術基本計画」を策定し、本県の特色ある自然や既存の産業集積などの地域特性を生かしながら、産学官が連携して、研究成果や技術シーズの事業化を図ることにより、地域産業の活性化を進めるとともに、研究開発における重点投資分野の設定や試験研究機関の機能強化等を図って参ります。
 また、中心市街地の活性化には、既存の都市機能などのストックを十分に活用したコンパクトシティーという考え方が重要であり、こうした考え方の下、甲府市紅梅地区に民間事業者が再開発を行うビルに宝石美術専門学校を移転整備することとし、官民共同により、県都甲府市の「ジュエリーのまち甲府」としてのイメージアップを図りながら、学生が市街地に戻ることによる活力と明るさを生み出して参ります。
 更に、県内地場産業の育成に向けては、ワイン、ジュエリーなどの海外販路開拓によるブランド化を図るとともに、小規模企業や観光事業者に対する融資制度の創設を行います。
 また、今後、進出意欲のある企業の情報を早期に把握して、本県への企業誘致の実現につなげていくため、進出企業に関する情報の提供者に対して上限一億円の報酬を支払う「産業立地成功報酬制度」を創設するとともに、産業集積促進助成金などを引き続き活用しつつ、企業の本県進出と雇用機会の拡大を図って参ります。
 次に、観光の振興についてであります。
 本県は、観光先進県となる高い潜在能力を有しており、秘めた能力を顕在化させるためには、時代のニーズを把握するとともに、目指すべき方向を簡潔かつ明瞭に示すビジョンが必要であります。
 このため、本年度は観光カリスマをはじめとした有識者による懇話会を設置し、本県観光振興の指針となる新たな観光振興計画を策定します。
 また、NHK大河ドラマ「風林火山」による本県観光への波及効果は絶大であり、従来、未開拓であった中国、四国、九州方面に対する誘客宣伝活動を強化して宿泊客を誘引するとともに、今後は長期滞在型の観光や二地域居住、いわゆるマルチハビテーションにつながる取り組みをJTBやJR、中日本高速道路株式会社などの民間事業者とも連携しつつ、推進して参ります。
更に、国際観光の振興も重要であり、外国人観光客数を十年後には現在の二倍に増加させていくため、外国人観光客に対する接遇研修への支援などを行うとともに、私自らがトップセールスマンとなり、友好省である中国四川省並びに韓国ソウル市へ出向いて、政府機関や現地旅行会社等に本県観光の魅力を売り込んで参ります。
 次に、防災対策についてであります。
本県は、東海地震の地震防災対策強化地域として、地域防災力や防災体制の更なる強化を推進していく必要があります。
 このため、本年度は、県や市町村、防災関係機関だけでなく、電力、ガス等ライフラインを担う民間事業者も含めた初めての全県を挙げた図上訓練を行うとともに、一般家庭の防災意識の向上を図る取り組みを進めて参ります。
 また、大地震に伴う建築物の倒壊などを防ぐため、建築物の耐震化は喫緊の課題となっております。
そこで、県や市町村の施設をはじめ民間建築物も対象として、耐震化率の目標を定め、耐震改修の促進を図るため、耐震改修促進計画を本年七月を目途に策定します。
 特に、県有建築物については、計画的に耐震改修等を推進し、平成二十七年度末には耐震化率一〇〇パーセントを目指すとともに、別館や県民会館などの県庁舎五施設は耐震改修が必要な施設であるため、災害時における防災拠点としての役割も踏まえつつ、耐震改修等整備の在り方の検討に着手します。
次に、福祉・医療の充実についてであります。
 誰もが安心して暮らせる社会を構築するため、福祉・医療サービスの提供体制づくりが重要であります。
 しかしながら、本県は医師の数が全国と比べて少ない医師不足県であり、県民の安全・安心な生活を守るためには、地域医療を支える医師の確保が最重要課題となっております。
 そこで、山梨大学医学部の卒業生等の本県の医療機関への就業を促進するとともに、県外の医師などに本県医療機関への就業情報を提供することにより、本県における医師の数を確保して参ります。
 また、県職員として医師を雇用し、医師の派遣を行うドクタープール制度を導入することにより、医師の数が十分に確保できない地域においても医療サービスを受けられるよう、取り組んで参ります。
 更に、子育てしやすい環境を整えるため、乳幼児医療費助成について診療時に無料で医療サービスが受けられる窓口無料方式を明年四月から実施するとともに、ひとり親家庭医療費助成や重度心身障害者医療費助成についても窓口無料方式を導入して参ります。
 次に、環境保全に向けた取り組みについてであります。
県民の生活環境の保全と本県経済の持続的な発展を図るためには、最終処分場は必要不可欠な施設であり、廃棄物の最終処分のほとんどを他県に依存している本県にとって、処分場の確保は喫緊の課題であります。
 明野廃棄物最終処分場につきましては、本県初の公共関与による処分場として、環境整備事業団において、平成二十一年度の操業開始に向け工事が進められているところであります。
また、次期処分場につきましては、笛吹市境川町上寺尾区からの応募を受け、候補地の地質、環境等の概況調査を行っているところであります。
 今後、概況調査の結果を基に、峡東地区最終処分場整備検討委員会の御意見を伺い、整備を進めて参りたいと考えております。
処分場の整備は、地域住民との共通理解のもとに進めていくことが大切であり、今後も地域住民の理解を得ながら安全で安心な処分場の整備に取り組んで参ります。
また、本県を美しい山の都、森の都としていくためには、県民共有の財産である森林の恩恵を受ける隣接都県に住む方々にも森林づくりへの主体的な参画を求めていく必要があります。
 そこで、既に本県において、十九社により行われている企業の森づくりを一層促進するとともに、県民やNPO法人等の団体も参加できるよう、本県の森林づくりを推進する組織としてやまなし森づくりコミッションを設立し、日本一きれいで豊富なやまなしの水と緑と景観を守って参ります。
次に、農業の振興についてであります。
 本県の農業は、農家の方々のたゆまぬ努力により、ぶどう、ももなど、日本一の生産量を誇る果樹を中心に発展して参りました。                                しかしながら近年は、農業収入が減り続けるとともに、農家は後継者不足に悩み、遊休農地の拡大が続いております。
 こうした状況を打開し、農業の活性化を図るため「やまなし農業ルネサンス大綱」を策定し、本県の恵まれた自然や大消費地に近い有利性を生かした取り組みを進めて参ります。
 更に、本県農産物の販路の拡大を図りつつ、農業に関心を持つ若者や団塊の世代などの意欲ある担い手を幅広く確保・育成することで、強い農業の実現を目指して参ります。
 また、野生鳥獣による農作物被害が全県的に深刻な状況となっていることを踏まえ、特に、近年被害が多いニホンザルについて、柵などによる侵入防止を図るとともに、本年度から、新たに管理捕獲の対象とするなど強力な対策を講じて参ります。
 次に、教育体制の充実についてであります。
 国づくりの根幹は人づくりにあり、一人ひとりの個性を大事にしながら、ふるさとを愛し、世界に通じる人づくりが県政の発展には不可欠であります。
 しかしながら、いじめや不登校が社会問題となるとともに、モラルや学力の低下といった課題が指摘されており、こうした課題に取り組むためには、教育環境の改善を図っていく必要があります。
 そこで、保護者や教育機関が連携して子どもに対する細やかな対応を行うことができるよう、教員OBを活用したいじめ・不登校対策や家庭教育力の向上を図るなど、本県の教育体制の充実に努めて参ります。
 また、文化的環境の向上に向け、県内の様々な美術館の収蔵品の貸し借りを促進するとともに、県立美術館にあるミレーの作品についても貸し出すことで、県民が県内各地において美術品を鑑賞する機会が拡充されるよう取り組んで参ります。
 次に、新県立図書館の整備についてであります。
 現在の県立図書館は、老朽化が進んでいる上、収蔵能力も限界に達していることから、建て替えが必要な状況であります。
 このため、新県立図書館の整備に向けて、学識経験者等で構成する検討委員会を設け、機能、規模、建設地などについて御検討いただき、年内を目途に最終報告をいただいた上で、できるだけ早い時期に、整備計画をお示ししたいと考えております。
 また、計画策定に当たりましては、検討委員会での議論と併せ、広く県民の皆様の御意見も伺いながら、新しい時代にふさわしい、県民に親しまれる図書館として参る考えであります。
 最後に、高速交通網の整備促進についてであります。
過日、JR東海が二〇二五年に首都圏から中京圏までのリニア中央エクスプレスの営業運転を開始することを目標とする長期的な経営戦略を発表しました。
リニア中央エクスプレスの開通は、地域間の時間・距離を縮め、本県が人・物の交流における日本の大動脈に位置することになることから、本県経済を画期的に活性化するものであります。
 そこで、リニア中央エクスプレスの早期実現に向けて、JR東海を全面的にバックアップしつつ、沿線自治体とともに国に対して強く働きかけて参ります。
 一方で、JR中央線は本県の社会・経済活動を支える幹線鉄道であり、中央線の高速化と利便性の向上は、都内への通勤・通学等を容易にし、人口増加など、本県の活性化に大きな効果が期待できます。
 このため、同じ課題を有する沿線の長野県や市町村はもとより、経済団体なども含む官民一体となった「中央線高速化促進広域期成同盟会(仮称)」を本年中に設置し、国やJR東日本に強く働きかけて参ります。
 道路は、あらゆる社会経済活動を支える社会基盤であり、計画的な整備が必要であります。
 特に東名高速道路と中央自動車道をつなぐ中部横断自動車道は、日本の南北を結ぶ基幹道路となることから、十年以内のできるだけ早期に完成することを目指すとともに、国策的道路であることを踏まえ、建設に係る約百八十億円とされる県負担をできる限り少なくした上で、早期開通が実現できるよう県を挙げて対応して参ります。
 更に、道路、鉄道に加えて空港立地の偏在解消も図っていく必要があります。
 そこで、本県を含む首都圏西部地域における空港利用の利便性向上を図るため、横田飛行場の民間航空利用に向けて、東京都をはじめとする関係自治体と連携を強化しつつ、外務省、防衛省に働きかけて参ります。
 高速交通網などのインフラ整備については、本県発展に不可欠であり、県選出国会議員、県議会議員各位をはじめ、市町村、関係団体におかれましても、なお一層の御支援と御協力を賜りますようお願いする次第であります。
 次に、提出案件の内容につきまして御説明申し上げます。
 今回提出致しました案件は、条例案二十件、予算案五件、その他の案件八件となっております。
 条例案のうち、主なるものにつきまして申し上げます。
 先ず、山梨県医師修学資金貸与条例の制定についてであります。
 本県の地域医療を担う医師の確保を図るため、将来、県内の公立病院等に勤務しようとする医学部生等に貸与する修学資金を新たに創設しようとするものであります。
次に、山梨県土砂の埋立て等の規制に関する条例の制定についてであります。
 無秩序な埋立てによる土砂の崩壊を未然に防止し、県民の生命、身体及び財産の保護を図るため、土砂の埋立て等に関する許可や崩壊防止に係る措置命令など必要な規制を行おうとするものであります。
 次に、山梨県希少野生動植物種の保護に関する条例の制定についてであります。
 本県に生息・生育している希少な野生動植物種の保護を図るため、希少野生動植物種の捕獲、採取等の禁止、生息地等を保護するための規制などを定め、生物の多様性が確保された良好な自然環境を保全しようとするものであります。
 次に、専門学校山梨県立農業大学校設置及び管理条例の制定についてであります。
 農業に関する知識や技術を修得させ、本県の農業を担う人材の確保・育成を図るため、農業大学校を専修学校に再編しようとするものであります。
 次に、山梨県立美術館等の観覧等の特例に関する条例の制定についてであります。
 県立美術館、県立考古博物館、県立文学館及び県立博物館に、一年間の共通観覧券を導入し、利用の促進を図ろうとするものであります。
 次に、特別職の職員の退職手当に関する条例の改正案についてであります。
 先の知事選挙における公約を踏まえ、リーダーとしての私自らの決意を示すため、私、横内正明の現任期に係る知事の退職手当については支給しないこととし、所要の改正を行うものであります。
 次に、不動産の購入及び売却の件についてであります。
 産業の振興及び企業立地の促進を図るため、山中湖簡易保険保養センターの廃止に伴う不動産につきまして、日本郵政公社から購入し、ファナック株式会社に売却しようとするものであります。
 次に、予算案につきまして申し上げます。
 今回の補正予算案に計上致しております主要な施策・事業につきましては、「暮らしやすさ日本一」と言えるような豊かさを実感できる県づくりを目指して、県民ニーズの高い事業を優先的に実施するための公共事業等の重点化をはじめ、以下に申し上げます七項目に沿って積極的に推進して参ります。
 その第一は、「変える・やまなし」の実現についての施策であります。
 「山梨を変える」という大きな目標に向かって、産業・経済の活性化と財政基盤の強化に取り組んでいく必要があります。
 そこで、民間の視点や発想を今後の県政運営に反映させていくため、経済界の方々や学識経験者からなる山梨県経済財政会議を設置し、本県経済の活性化や行財政改革に積極的に取り組んで参ります。
 また、県政情報の発信力をより一層強化するため、県ホームページを県民が見やすいものに作り変えるとともに、県広報紙「ふれあい」のリニューアルなどを行って参ります。
 更に、県民への公募により「やまなし女性の知恵委員会」を設け、女性の知恵や感性を県政に生かして参ります。
 第二は、「力みなぎる・やまなし」の実現についての施策であります。
 先ず、「やまなしブランド」の確立と販路拡大についてであります。
 地場産品や農産物などの地域資源を生かした「やまなしブランド」を更に多く創り出し、全国、世界に情報発信することにより、力強い産業の振興を図って参ります。
 農林業や地場産業、観光関連産業などブランド化に関連する施策を一体的、効果的に展開するための「やまなしブランド戦略」を策定するとともに、本県ゆかりの方々を集めた「やまなしサポーターズ倶楽部」を東京で開催し、「やまなしブランド」のトップセールスを行って参ります。
 また、県産ワインの高品質化、ブランド化に向け、優良な醸造用ぶどう品種の栽培方法、醸造技術等について、栽培農家やワイン醸造メーカーと連携した研究を進め、世界に通用するワイン産地の確立を目指して参ります。
 更に、ジュエリー、ワイン、繊維、和紙など、産地ブランドの形成や海外への販路拡大に取り組む地場中小企業者等を支援するとともに、台湾など東アジア地域への果実の輸出を促進するための検疫体制の整備や現地での販売活動などを支援して参ります。
 次に、農業の振興についてであります。
 インターネットを活用して県内農産物を全国の消費者に直接販売する取り組みに対して支援して参ります。
 また、商社等と連携して、県内の農産物を活用したオリジナル商品の開発や販売戦略を構築するための取り組みを進め、多様化する消費者ニーズに応えて参ります。
 更に、団塊の世代などをターゲットに就農を希望する者への相談体制の強化を図るため、農業振興公社内に就農支援センターを設置し、就農に関する情報を一元化するなど積極的な情報提供を行って参ります。
 また、野生鳥獣による農作物被害の防止を図るため、鳥獣害防止技術指導員の養成や新たな防止柵の研究開発などを進めるとともに、犬を活用したニホンザルの追い払いなど、地域における被害防止体制の強化を図って参ります。
 次に、林業の振興についてであります。
 輸入木材の高騰など国産材をめぐる情勢の変化を踏まえ、県産材の需要拡大を図るため、森林組合や素材生産業者等が連携した生産コストの削減などの取り組みに支援するとともに、大消費地に向けた県産材のPR活動などに対しても支援して参ります。
 また、本県の主要樹種であるカラマツの利用促進を図るため、長野県などの近隣県との連携により、広域的な流通システムの構築に取り組んで参ります。
 次に、中小企業の振興についてであります。
 本県に集積する機械電子産業や地場中小企業の技術力の向上、製品開発や受注機会の拡大に向け、積極的に取り組みを進めて参ります。
 中小企業金融対策につきましては、大型観光キャンペーンやNHK大河ドラマ「風林火山」による観光需要に応えるため、新たに観光施設整備融資制度として融資枠十億円を設けるとともに、従来の経営支援緊急融資制度は廃止して、新たに貸付限度額を引き上げ、貸付要件を緩和した小規模企業サポート融資制度を設けることとし、本年十月から実施することにより、中小企業者の資金需要に的確に応えて参ります。
 また、県内中小製造業者等の技術力の向上や受注機会の拡大に向けて、新技術・新製品の研究開発や販路開拓を支援するとともに、今後の成長が期待される環境対策やバイオ産業技術、福祉関連機器等の開発を積極的に支援して参ります。
 更に、本県の資源や生産技術等をテーマとしたデザインを全国に募集し、県産品の高付加価値化を図るとともに、新たな「やまなしブランド」商品の開発を推進して参ります。
次に、企業誘致の推進についてであります。
 県外から優良な企業を誘致するため、やまなし産業立地コミッションを立ち上げ、企業用地や優遇制度など立地関連情報を提供するホームページを作成するとともに、本県の魅力を収録したDVDを作成するなど、企業誘致・宣伝活動を強化します。
 次に、商業の振興についてであります。
 多様化する消費者ニーズに対応した個性豊かな商店街づくりを促進するため、商店街の活力創出を目指した計画策定や魅力ある商店街づくりに対し助成するとともに、空き店舗を活用した創業などの取り組みを支援して参ります。
 第三は、「やすらぎ・やまなし」の実現についての施策であります。
 県民の安全・安心な生活を守ることは、「暮らしやすさ日本一」を目指した県づくりを進めていく上で極めて重要であり、子どもから高齢者まで、いきいきと安心して暮らせる地域社会づくりに積極的に取り組んで参ります。
 先ず、危機管理体制の確立と地域防災力の強化についてであります。
 東海地震の地震防災対策強化地域を多く抱える本県にとって、大規模災害に備えた防災対策につきましては、迅速な取り組みが求められております。
 このため、耐震改修促進計画の耐震化目標を踏まえ、木造住宅の耐震診断や改修事業に対する支援を拡充するとともに、耐震化が必要な県有建築物につきましては、今後計画的に改修することとし、本年度は、県立大学看護学部実習棟ほか二施設の実施設計費を計上しております。
 また、明年一月の「防災とボランティア週間」に合わせ、全県下一体の総合図上訓練を実施するとともに、峡南地域において、人工血液透析患者などを対象とした防災訓練を併せて実施して参ります。
 更に、県のホームページにおいて、総合的な防災情報やリアルタイムな災害情報を提供するとともに、家庭で利用できる防災チェックシートを全戸配布し、県民の防災意識の啓発に努めて参ります。
 次に、子育て支援についてであります。
 子育てと仕事の両立を支援するため、民間保育所における延長保育の実施に対し助成するとともに、託児サービスを備えた職業訓練を実施し、子育て中の母親等の就業を促進します。
 また、気軽に立ち寄れる子育て相談コーナーをスーパーマーケットなどに設置し、育児に携わる保護者の不安解消に取り組むとともに、地域の子育て支援団体から募集した先駆的な子育て活動を支援し、ネットワーク化を図るなど、地域社会全体で子育てを支援する環境を整備します。
 次に、地域福祉の推進についてであります。
 地域活動に意欲的な高齢者を発掘し、ことぶきマスター人材バンクへの登録を促進するとともに、活動の場の確保に取り組み、豊かな経験や知識を生かした高齢者の社会参加を推進します。
 また、障害をもつ人が、地域で自立した生活を営めるよう、授産施設等へ経営アドバイザーを派遣するなど収入の増加に結びつく取り組みを推進するとともに、障害者福祉施設の整備に対し助成して参ります。
 更に、甲陽学園につきましては、施設の老朽化に加え、虐待などの問題を抱える児童生徒の増加への対応や学校教育の充実が求められていることから、児童生徒の自立に向けたきめ細かな指導・支援を行うために必要な施設を整備することとし、所要の経費を計上しております。
 また、障害児教育の充実を図るため、かえで支援学校の校舎を増築し、子どもたちの教育環境の向上に努めて参ります。
 次に、保健医療の充実についてであります。
 地域医療を支える医師の確保を図るため、山梨大学の医学部生及び大学院生、県外の医学部生を対象に、二百七十人分、総額二億円余の修学資金を計上しております。
 また、医師と医療機関に就業のあっ旋を行う県医師会のドクターバンク事業に支援するとともに、臨床研修医の受け入れを促進するための説明会や講習会を実施するなど、様々な医師の確保対策に取り組んで参ります。
 更に、本年八月から、小児初期救急医療センターにおいて、全国共通の電話番号「♯8000」による夜間の医療相談を実施することとし、医療に係る子育て不安の軽減に取り組むとともに、国中地域と富士・東部地域の小児救急医療体制の格差是正を図るため、医師会とも連携しながら、富士・東部地域における新たな小児救急医療センターの整備に向けた検討を行い、地域のニーズを踏まえた小児救急医療体制の確保を図って参ります。
 また、年齢に応じた健康づくりを目指すアンチエイジングの考え方を取り入れ、生活習慣病予防のための健康診査や健康相談を行う市町村を支援するとともに、地域の温泉を健康づくりに活用するなど、健康寿命日本一にふさわしい健康づくりを推進して参ります。
 なお、本年八月より、女性特有の健康の問題について、婦人科医師や心理カウンセラーによる相談を行う女性健康相談センターを県民情報プラザに設置して参ります。
 第四は、「はぐくむ・やまなし」の実現についての施策であります。
 国際化や情報化の進展など激しく変化する社会環境の中で、次代を担う人材として、児童、生徒の一人ひとりが個性を発揮できるよう教育体制の充実を図るとともに、地域文化の振興に向けた取り組みを進めて参ります。
 先ず、教育環境の整備についてであります。
 少子化により児童生徒が減少する中で、望ましい教育環境を整備するため、学校規模の適正化に取り組む市町村に対し支援します。
 次に、学校教育の充実についてであります。
 児童生徒の確かな学力の定着を図るため、授業の改善に向けた実践的な研究を進めるとともに、深刻化するいじめ問題に的確に対処するため、経験豊かな教員OBを相談員として派遣するなど、児童生徒の指導、相談体制を強化します。
 また、私学教育の振興につきましては、私立学校における教育条件の維持向上や保護者の負担を軽減するため、私立学校運営費助成を増額計上しております。
 次に、文化の振興についてであります。
 国内最大級の文化の祭典「国民文化祭」の招致に向け、文化団体との連携強化など、準備のための取り組みを進めて参ります。
 次に、県立文化施設の整備・活用についてであります。
 県民の美術鑑賞機会を充実するため、所蔵する作品の相互貸借など県内美術館の連携を図るアートミュージアム・ネットワーク事業を新たに行うこととし、その第一弾として、県立美術館の収蔵作品を県内二箇所の美術館で展示することとしております。
 第五は、「さわやか・やまなし」の実現についての施策であります。
 本県の豊かな自然、日本一きれいで豊富な水と緑と景観を守り、後世に引き継いでいくため、県、市町村、民間が連携した取り組みを進めて参ります。
 先ず、豊かな環境の保存と継承についてであります。
 本県特有の高山植物をはじめとする希少野生動植物とその生息地等を保護するため、希少種や生息地等保護区の指定に必要な調査、検討を進めます。
 また、景観に配慮した森林の整備や遊歩道のバリアフリー化を進めるなど、森林空間をレクリエーションや健康づくりの場として利用する癒しの小径を整備して参ります。
 次に、循環型社会システムの構築についてであります。
 県民挙げてゴミの減量化を図るため、小売業者、消費者団体、市町村などが協働して行うレジ袋の削減への取り組みを支援して参ります。
 また、首都圏の自治体と連携した情報共有体制を構築し、広域化する廃棄物の不法投棄を阻止するための取り組みを強化します。
 更に、大月市内の解体業者が放置したままの廃棄物につきましては、再三の指導及び措置命令にも従わない状況のまま、廃棄物が周辺道路や農業用水路に飛散するなど、周辺地域の生活環境保全に支障を来していることから、履行期限の本年七月十一日までに撤去されない場合には、行政代執行により一部を撤去することとし、所要の経費を計上しております。
 第六は、「つどう・やまなし」の実現についての施策であります。
 豊かな自然をはじめ、果実、ワインなどの「やまなしブランド」を国内外に情報発信するとともに、本県の魅力に引かれて県内外の人々が集う「癒し先進県」を目指して取り組みを進めて参ります。
 先ず、国内外に向けた山梨の魅力発信についてであります。
 首都圏に位置する本県の優位性を生かし、団塊の世代をはじめとする都市住民を対象に、本県への移住促進を図るための相談会を開催するとともに、市町村と連携して、自然の中での居住を体験する機会を提供するなど、二地域居住を促進する取り組みを強化して参ります。
 また、東京日本橋の「富士の国 やまなし館」に県産品を展示・販売する常設コーナーを設置し、首都圏における県産品の普及・宣伝を図って参ります。
 次に、観光の振興についてであります。
 NHK大河ドラマ「風林火山」の放映を契機とした観光客の増加を踏まえ、今後更に本県の魅力を高め、滞在型観光を推進するため、地域資源を生かした観光商品を企画・開発する取り組みを進めるとともに、地域自らが観光資源の発掘と誘客促進を図る取り組みに支援して参ります。
 また、東アジア地域からの誘客促進を図るため、本県の観光宣伝や魅力ある旅行企画の提案など中国の四川省及び北京市、韓国ソウル市においてトップセールスを行って参ります。
 第七は、「むすぶ・やまなし」の実現についての施策であります。
 産業、経済、文化など本県の発展に必要な様々な分野での交流を促進させるための交通ネットワークを整備するなど、県民の生活環境の向上に努めて参ります。
 先ず、交通基盤の整備についてであります。
 中部横断自動車道につきましては、事業主体である国や中日本高速道路株式会社と連携し、富沢インターチェンジから増穂インターチェンジまでのアクセス道路の整備など、積極的に取り組みを行って参ります。
 また、西関東連絡道路につきましては、甲府市から山梨市までの開通による効果を踏まえ、道路の延伸について調査検討を進めて参ります。
 更に、山梨リニア実験線につきましては、本年一月に承認されました新たな計画を踏まえ、実験線全線の早期完成に向けて、用地取得や土捨て場の確保などに積極的に取り組んで参ります。
また、JR中央線の高速化につきましては、新たに長野県や都内沿線市などと期成同盟会を設立するなど気運の醸成を図りながら、国、JR東日本への要望活動を強化することとしております。
 次に、国際交流の推進についてであります。
 富士山をはじめとする豊かな自然、地場産業を支える高い技術力など世界に誇れる本県の魅力を幅広く発信し、国際交流県を目指した取り組みを進めて参ります。
 本年は、韓国忠清北道との姉妹県道締結十五周年に当たりますことから、県議会議長並びに県議会議員各位とともに訪問することとし、この機会に民間企業と共同で観光プロモーションを実施することとしております。
 また、本年四月に策定した「やまなし多文化共生推進指針」を踏まえ、県内に居住する外国人と地域住民との共生を図るため、通訳ボランティアの育成や生活情報に関する外国語パンフレットの作成など、生活面での支援に取り組んで参ります。
 以上の内容をもって編成しました結果、一般会計の補正額は、二百十一億円余、当初予算と合わせますと四千三百八十六億円余となり、借換債を除いた前年度同期予算と比較して、一・五パーセントの減となっております。
 この財源と致しましては、地方交付税五十七億円余、国庫支出金六十一億円余などのほか県債八十一億円余を計上しておりますが、県債につきましては、実質交付税である臨時財政対策債等を除く通常の県債の発行額をその元金償還額の範囲内とする基本方針を堅持しております。
 また、特別会計の補正額は、恩賜県有財産ほか三会計で二十一億円余となっております。
 その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。
 なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。

  平成十九年六月十四日

山梨県知事  横 内 正 明

リリース日:2007年6月14日

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