ページID:77416更新日:2009年2月1日

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知事就任あいさつ

詳細内容

横内正明知事就任あいさつ(JPG:34KB) 知事就任あいさつ
平成19年2月19日(月) 10:00から
恩賜林記念館

■はじめに
 皆さん、おはようございます。
 このたび、県民の皆様のご支持をいただき、第59代山梨県知事に就任いたしました横内正明でございます。
 本日より皆さんとともに山梨県の大いなる発展を目指して県政を担うことになりました。
 先ほど、県庁前庭で多くの方々に迎えていただく中で初登庁し、そして今、こうして皆さんの前に立ちますと、改めて県民の皆様から負託された職責の重さを痛感し、身の引き締まる思いが致しております。
 県政の新たな出発にあたり、これからの県政運営に当たっての基本的な考え方について、私の所信の一端をお話しさせていただき、皆さんのご理解とご協力をお願いする次第でございます。

■前知事への敬意
 まず、三位一体改革など、厳しい社会経済情勢が続く中での県政運営を担当され、去る2月16日に任期を終え、退任されました山本前知事のご労苦に対しまして、深甚なる敬意を表します。山本前知事には、今後とも山梨県の発展のために何かとお力添えをいただきますよう、お願い申し上げます。

■山梨県の現状
 さて、私は平成15年の知事選挙と、そして平成16年の参議院選挙において、県民、国民の皆様のご支持を得られず苦杯をなめました。私にとって、大きな挫折でありました。
 しかし、今、振り返ってみますと、この挫折によって自らを見つめなおすことができ、多くの皆様の声を虚心に聞くことが出来るようになったと考えております。
 この四年間、私は「一人の県民」として、県内各地域のさまざまな方々とひざを交え、県政や地域のこと、そして毎日の生活について語り合い、その思いや不安、希望や期待などについて伺うことができました。
 地域の生活道路や橋のこと、小児医療や高齢者福祉のこと、子供の教育や地域の地場産業のことなど、県民生活に直結した身近なことから、山梨県の発展方向まで、さまざまなご意見やご提言をいただきました。
 その中で、私が強く感じたことは、今、県民の間には、「閉塞感」と「先行き不安感」が鬱積し、多くの県民は、「山梨を変えてもらいたい」、「未来に期待できる山梨にして欲しい」という、切実な思いを強く抱いているということでありました。
 ふりかえれば戦後、山梨は豊かな郷土作りをめざして県民総力をあげて取り組み、大きな成果をあげて来ました。この結果、都道府県の経済力を示す指標である「県民一人当たりの所得」の水準が、昭和30年当時は全国で40番目で、文字通り「後進県」であったわけでありますが、平成の初めには12番目となり、「先進県」の仲間入りをしたわけであります。
 ところが、近年、県内経済の低迷によって、県民の豊かさの実感は薄れつつあります。
 例えば、全国的に見れば、戦後最長といわれる景気回復が続いている中で、山梨では多くの中小企業や地場産業が依然、不況に苦しんでいます。
 県民一人当たり所得も全国で12番目だったものが今では23位まで落ち込み、先進県との格差が広がりつつあります。
 農業も、農業収入が年々減り続けるのに伴って、農家は後継者不足が進み、遊休農地の拡大もとどまるところがありません。
 こうした状況の中で、県民も、先行き不安感から、前進しようという意欲を失っているように見えます。その証に、新たな企業が生まれる頻度を表す「事業所開業率」は、全国で40番目と最低のクラスに落ち込んでおり、進取の気象を身上とする“甲州商人”の伝統が失われつつあるかに見えます。この状況を座視し、放置しておくことができましょうか。
 経済の凋落は福祉、教育、文化という広い分野にまで影を落とし、県民全体の活力をそぐことにつながります。
 それ故に、私は今回の選挙で、「山梨の現状を放置するわけにはいかない」、「山梨を変えよう」とひたすら訴え、県民の皆様の絶大なご支持をいただきました。
 県民の「民意」は、まさに「山梨を変えよう」というこの一点に尽きるものでありました。「変革」こそ、県民の切なる願であります。

■道州制への対応
 山梨を変えなければならないもうひとつの理由、それは来るべき「道州制」への対応であります。「道州制」とはいわば、都道府県レベルで行われる合併でありますが、道州制は10年後あるいは15年後には導入される可能性が大きいとみられます。
 山梨県が合併するとなれば、相手は隣接する東京都、神奈川県、千葉県といったところになることが有力でありますけれども、これらの都県と合併した場合、名前は例えば「南関東州」などとなって、山梨は巨大な広域行政体の中の一地域になるわけであります。
 そうなった時に、山梨は「西のはずれの後進地域」として取り残されていくのか、それとも「大都会の人々があこがれる美しい山の都、森の都」としてかけがえのない地位と名誉を持ちえるのか、どちらの道を歩むことになるかは、今日から始める私と皆さんの「山梨を変える」努力にかかっている、といっても過言ではありません。

■創意工夫をこらし挑戦する県政
 では、山梨を変えるにはどうしたらよいか。それには、まず、県庁が変わらなければなりません。
 県庁改革の第一は、創意工夫を凝らして挑戦する県政、「攻めの県政」への思い切った転換であります。
 県庁職員5000人は県内随一の人材の宝庫です。しかし、その県庁職員が、今ひとつ「元気がない」、「やる気がない」と見えるのは私だけでしょうか。その声は、県庁内部からも聞こえてきていました。
 県庁で働いている5000人の職員全員がこぞって知恵を出し、汗を流せば、県民のために大きな力となって、大きな仕事ができるはずであります。
 長期にわたって業績不振を続けてきた名門自動車企業「日産」を、短期間で再生させたカルロス・ゴーン社長が就任して最初に言った言葉は、「家が火事で燃えているのに、なぜ君たちはそのままじっと座っているのか」でした。今、県民は不安に耐えながら懸命に暮らしを守っております。私たち県庁職員が手をこまねいているわけにはいきません。山梨の今の閉塞状態を打開できるのは、皆さん方、県庁職員の前向きなチャレンジ精神しかないのです。
 私は皆さんにお願いしたいと思います。困難な仕事を前にした時、「予算がない」・「前例がない」・「制度がない」という3つの言い訳はやめて下さい。
 県民の生活に必要なことであれば、「出来ない理由」をならべるのではなく、どうしたら出来るかを必死で考え、方法を生み出して下さい。県民の生活に必要なことであれば、知恵を絞り、「前例」などなくても創意工夫をこらし、解決法にチャレンジすることを強く求めたいと思います。無論、私も皆さんの先頭に立ってチャレンジすることをお約束します。
 知事と県庁5000人の職員が総力をあげて挑戦する姿を見てもらうことが、県民を勇気づけ、やる気を呼び戻し、山梨を変えるものと私は確信をしております。
 従って、人事、人材の登用にあたっては、当然のことながら、職員の「積極的な」姿勢と「ひたむきの努力」を評価の基準にいたします。また、人事にあたっては、県政の第一線である「現場部門」を重視し、県民に直接サービスを提供している現場を良く知り、現場において営々と努力し、業績をあげている職員に光をあて、積極的に登用してまいります。

■簡素でスピーディな県政
 県庁改革の第二は、簡素でスピーディな県政への転換であります。
 県の借金が毎年増加している事態にストップをかけねばなりません。さらなる経費削減への努力が必要です。そのために、行財政改革を一段と進めます。
 「民間会社に比べて、お役所仕事は遅すぎる」という批判は今なお絶えません。県民に対するスピーディな行政を行うため、県民からの要望には一週間で回答するための「県政クイックアンサー制度」を設け、県民の諸々の要望に速やかに対応する県政といたします。「すばやい反応、すばやい行動」こそ、県民の要望に応える基本です。
 職員の皆さんには、是非、日常業務においてスピーディであることを念頭に置いていただきたいと思います。

■県民に開かれた県政
 県庁改革の第三は、県民に開かれた県政の徹底であります。
県民の信頼と県政への参加を求めて「情報公開」を徹底いたします。山梨県の情報公開度は全国41位という全国で最低クラスとなっています。新しい県政は、県民に隠さなければならないことは何もありません。情報公開なくして県政に対する県民の理解や協力を得ることは出来ません。その意味で、山梨はトップクラスの「情報公開先進県」を目指します。
 また、私は、「正確な情報は現場にあり、県民にある」と考えております。持っている情報を公開するだけでなく、常に現場、県民サイドからの情報を吸い上げることが重要です。このため、私は、県民の皆さんとの対話を重視した県政運営を行うこととし、県民と知事が「シナリオのない普段着の対話」が出来る「県政ひざ詰め談義」を年20回、県内各地で開きます。職員の皆さんも是非、積極的に現場に出て行って欲しいと思います。

■県民の信頼確保
 さて、今、全国で知事の官製談合事件などが発生し、県あるいは行政に対する国民の信頼も薄らいで、揺らいでおります。
 本県においても、飲酒運転をはじめ、職員の不祥事が多発するなど、県政に対する県民の目も大変厳しいものとなっております。
 県民の信頼なくして県政の円滑な運営はあり得ません。どうか職員の皆さんには、県民の信頼こそ県政運営の基本であるということを肝に銘じ、高い倫理感と使命感を常に持ち続けながら職務に励んでいただきたいと思います。

■県政の基本戦略
 最後に、「山梨を変える」ための私の基本戦略について申し上げます。
 山梨には、内外に誇れる「すぐれもの」「ブランド」が沢山あります。大都市東京に隣接するという有利な立地条件があり、美しく豊かな自然があります。そこで生まれた、育まれた美味しい果物やワイン、そして伝統と技術に裏打ちされた優れた地場産業や先端産業があります。「健康寿命日本一」という健康で長生きできる生活環境、「少年犯罪の少なさ日本一」という子育てに適した地域社会なども、山梨の誇れるものです。
 山梨のこうした「すぐれもの」をさらに多く創り出し、あらゆる情報作戦を通じて、全国に世界に情報発信していきましょう。そして、すぐれた立地条件を生かして先進的な企業を誘致し、観光客を呼び込み、県産品の販路拡大を進め、産業と経済を活性化をおこなってまいりましょう。
 そのために、私、知事自身が山梨のトップセールスマンとして先頭に立ちます。皆さんも、ひとりひとりが山梨のセールスマンになったつもりで、情報のアンテナを高くして山梨に役立つ情報を広く早く入手するともに、山梨の魅力を全国に情報発信してください。
 こうして経済を活性化させれば、県税収入が増加し、財政再建を進めることができます。まさに「成長なくして財政再建なし」であります。そして、財政基盤を強化して、「暮らしやすさ日本一」といわれるような山梨社会をめざして、医療や福祉、教育などの政策を充実させていきます。
 どうか職員の皆さんには、こうした認識を私と共有し、それぞれの持ち場で、「暮らしやすさ日本一」の山梨づくりのために果敢に挑戦していって下さい。

■おわりに
 さて、甲斐の国は周囲を険しい山に囲まれ、人々は豊かな大自然にいだかれながらも、災害をはじめとする数々の試練に耐えて来ました。しかし、私たちの先祖、先達は、苦難の道に伏しながらも、決して希望を失うことなく、幾たびも立ち上がり、今の山梨を築いてきたのです。
このかけがえのない郷土を守り、未来にわたって県民に繁栄と安定を約束することこそ、私たち行政を託された全ての県職員の義務であり、名誉でもあります。
 「無能を罷め無用を廃す」。これは中国古代の戦国策にある言葉です。「能力なきものはやめる、無用な事業は廃する」というきびしい言葉ですが、私は「職員の能力を最大限に発揮させ、無駄を省くことが行政の基本だ」という意味にうけとめています。
 私は、繁栄した郷土山梨を次世代に引き継ぐために「無能を罷め、無用を廃し」、県庁一丸となって県政に励むことを職員の皆さんと共に誓い、知事就任の挨拶といたします。

リリース日:2007年2月19日

横内正明知事就任あいさつの様子(JPG:43KB)
横内正明知事就任あいさつの様子

知事政策局広聴広報課

甲府市丸の内1-6-1 本館2F
TEL:055(223)1336
FAX:055(223)1525

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