トップ > 県政情報・統計 > 知事 > 開の国やまなし こんにちは。知事の長崎です。 > 施政方針 > 令和8年6月県議会知事説明要旨
ページID:126525更新日:2026年6月19日
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令和8年6月定例県議会の開会に当たり、提出いたしました案件の御説明に先立ち、その背景にある政策の基本的な考え方と、県政運営に関する私の所信を申し述べ、議員各位、そして県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。
本年2月のこの議場で、私は申し上げました。
私たちが直面しているのは、単なる景気の波ではなく、エネルギー・所得・産業・人口といった、社会の前提そのものが揺らぐ「構造変動の時代」であると。
古い地図は、もはや役に立たない。
求められているのは、理念でも対症療法でもなく、現場で実装され、検証され、成果と教訓を伴う具体的な「解」であると。
あれから、僅か4箇月であります。
しかし、この4箇月で、私たちを取り巻く環境は一変いたしました。
中東におけるイラン紛争は、国際的なエネルギー供給に深刻な影を落としました。
米国とイランの間では、戦闘終結に向けた覚書が交わされ、事態は一先ず収束に向かいつつありますが、ホルムズ海峡の通航を巡る混乱の影響は色濃く残っております。
こうした状況下において、物価の高騰は、なお長期化の様相を呈しています。
今回の事態は、海外に依存する我が国のエネルギー構造の脆弱性を改めて浮き彫りにしたものであり、今後も同様の混乱が発生する可能性は否定できません。
したがって、今般顕在化した構造的リスクに対し、早急に手を打っていく必要があります。
先の議会で申し上げた構造課題は、もはや遠い将来への備えではありません。
只今申し上げたエネルギー問題も含めて、今、目の前にある現実の危機として、一刻の猶予も許されない局面に至っております。
だからこそ、今回の補正予算は、年初に掲げた方向性を、理念のままにとどめません。
具体的な制度として、予算として実装し、県民の暮らしと地域経済を守る、現実の成果へと結実させるためのものであります。
本日は、2月議会で掲げた方針について、第一に、この間に確かに前へ進んだ取り組みを、第二に、情勢の変化を踏まえて見直した取り組みを、その理由とともに、第三に、新たに立ち向かうべき事態への対応を、順に御報告いたします。
そして最後に、これら全体を貫く「価値創造県やまなし」の挑戦と、私たちが目指す「頑張れば報われる社会」について、改めて申し述べたいと存じます。
はじめに、エネルギーについてであります。
エネルギー転換は、もはや研究や実証の段階にとどまりません。
社会の中でいかに実装し、持続可能な仕組みとして定着させるか。
問われているのは、その一点であります。
本県は、P2Gシステムの導入などを通じ、全国に先駆けてグリーン水素の社会実装に踏み込んだ、日本で唯一の自治体であります。
この実績の蓄積をもとに、本年10月には国際水素サミットを開催し、これを契機として、水素に関する知見や人材、企業が国内外から山梨に集い、この地をフィールドに、社会実装が展開される環境と仕組みを構築していくことと致しました。
(エネルギー危機下における生活者・事業者への支援)
その方向性の正しさを、皮肉にも、この4箇月の現実が証明いたしました。
イラン紛争に起因するエネルギー危機が発生し、県民生活と企業活動の双方に、燃料調達の不確実性や原材料価格の高騰という形で、深刻な影響が及んでおります。
戦闘終結に向けた覚書の合意がなされたものの、この影響は直ちに解消されるものではなく、地域経済は引き続き厳しい局面に置かれることが見込まれます。
このため、当面の緊急対応として、従来講じてきた緊急措置に加え、今般、生活者及び事業者支援のための追加対策を講じることとし、これに要する経費として144億円余、事業規模にして303億円規模を、本補正予算に計上いたしました。
具体的には、生活者への支援として、LPガスを使用する生活困窮世帯への支援金の支給、そして全県民を対象とした省エネ設備や再生可能エネルギーの自家消費設備の導入支援を行います。
中小事業者に対しては、省エネ・再エネ設備や生産性向上設備の導入補助に加え、低利融資、信用保証料の補助、価格転嫁への支援を講じ、迅速かつ的確に対応して参ります。
併せて、今後の様々な情勢変化に備え、県内外の情報を収集・分析する体制の強化を検討いたします。
(水素を核としたエネルギー構造転換の加速)
もとより、この危機の根底には、エネルギーの海外依存という構造的な課題が横たわっております。
対症療法だけでは、危機は何度でも繰り返します。
だからこそ、水素を核としたエネルギー構造転換を、この危機を契機に、むしろ加速させていくことが必要と考えます。
本年3月には、「やまなしハイドロジェンカンパニー」の事業が、国の価格差支援制度に認定され、今後15年間にわたる安定供給の体制が確立いたしました。
これらの成果を踏まえ、小口での分散型需要に対応した水素サプライチェーンの構築に取り組むため、水素の効率的な充填・運搬方法の調査等を行うとともに、山梨大学などと連携した水素コンソーシアム「Leading Institute for Green Hydrogen Technology」、略称「LIGHT」を今月10日に設立し、実装知の集積と人材育成を一体的に進めて参ります。
今後は、水素の地産地消と利用拡大を全県、更には全国への波及を目指すことにより、地域エネルギーの強靱化と新たな産業創出を実現し、地政学リスクに左右されない持続可能な水素社会を、この山梨の現場から実現して参ります。
次に、世界遺産富士山の持続可能な管理についてであります。
富士山の保全と利活用をいかに両立させるか。
これは世界の自然・文化遺産が共通して抱える普遍的な課題と共通する問題であり、世界遺産富士山を預かる本県にとって、避けて通れぬ責務であります。
本県は、この課題から目を背けることなく、その責任を引き受けて参りました。
引き続き、登山環境の適正化、五合目の再整備、周辺県有地の高度活用など具体的な施策を講じることで、富士山の持続可能な管理を行って参ります。
(登山環境の適正化と地域全体の価値向上)
これまで実施してきた登山規制や安全対策により、登山者の過度な集中の緩和、弾丸登山の大幅な減少といった成果が現れ、登山環境の適正化については着実に進展しております。
五合目の再整備についても、検討を進めております。
五合目は信仰の玄関口であり、来訪者が最初に接する空間であることから、そのたたずまいは富士山全体の価値に大きく影響します。
このため、信仰の場としての本質を踏まえつつ、質の高い滞在価値が得られる唯一無二の空間となるよう、関係者と十分に調整を図りながら、丁寧に検討を進めて参ります。
更に、富士北麓の県有地については、山麓を含む地域全体の価値を高め、新たな価値を生み出す核となるよう、年内の公募開始を目指し、活用事業者の選定に向けた準備を進めております。
加えて、五合目への持続可能なアクセスを確保し、来訪者の流れを環境負荷が少ない形へと導くため、地域や関係者との丁寧な対話を重ねながら、新たな交通システム「富士トラム」の検討を着実に進めて参ります。
一方で、閉山期間中の遭難事故という課題も顕在化しております。
これに対し、防災ヘリコプターによる救助に要する費用について一定の負担を求めることも含め、無謀な登山を抑止する対策の検討を進め、更なる安全性の向上を図って参ります。
(富士山の将来像をともに描く「共創」への進化)
そして、ここで一つ、富士山の持続可能な管理を実現する進め方を一段と進化させて参ります。
富士山を取り巻く課題は、もはや個別に対処できる段階を超え、環境・観光・安全・産業といったあらゆる分野にまたがる複合的課題として、かつてない規模と複雑さで顕在化しております。
こうした状況の下、行政を中心とした従来の枠組みで対応していくだけでは、十分に対応しきれない局面を迎えております。
そこで今後は、効率性や創意工夫のノウハウを有する民間の皆様にも参画いただき、富士山の将来像をともに描き、その実現に向けた課題の解決策を編み出し、実行していく、すなわち「共創」の枠組みへと進化させて参ります。
富士山を守り、その価値を未来へ高めていく営みを、県民・民間・行政が一体となって担って参ります。
次に、国際連携におけるゲートウェイ構想の深化と拡張についてであります。
世界的な人のつながりが多様化・複雑化する中、地方においても、地域の発展と県民福祉の向上を図っていくためには、国家外交とも連携をとりつつ、主体的に世界と向き合う活動、すなわち「地方外交」が求められています。
複数の自治体が一つのネットワークとして世界と向き合う「ゲートウェイ構想」。
私はこれを、これまでそうであった一対一の国際交流を超える、新しい地方外交の在り方として描いて参りました。
その確かな一歩として、本年2月、ナグマ・モハメド・マリック駐日インド大使の御臨席の下、本県の主導により、愛知県・静岡県・長野県など9県が連携する「日印友好交流促進全国知事ネットワーク」を設立し、現在では参加県が12県まで拡大しております。
併せて、ベトナムをはじめとする諸外国との関係構築にも、力を尽くして参りました。
ネットワーク型国際連携により主体的に世界と向き合う方針の下、インドやベトナムとの多分野にわたる具体的連携の強化という形で、これを一層推進して参ります。
(インドとの互恵関係の確立)
先ず、インドとの関係強化についてです。
本年2月には、インド・ウッタル・プラデーシュ州のヨギ首相を本県にお迎えし、広範な分野における協力関係の深化を確認いたしました。
これを、いよいよ具体的な成果へと結びつける段階に入っております。
本年8月には、本県が中心となり、他の自治体や全国の企業とともに、200人規模のインド訪問団を組織いたします。
グリーン水素技術をはじめ、人的交流・観光交流・青少年交流など、多分野にわたる連携体制を具体化し、双方にとって価値ある互恵関係を確立して参ります。
これに要する経費として、インド友好交流推進事業費、1億1,800万円余を計上いたしました。
(ベトナムとの実質的交流の展開)
そして、ゲートウェイ構想は、新たなパートナーへと広がりました。
ベトナムであります。
先月のベトナム訪問では、タイニン省との間で国際交流・協力に関する覚書を締結し、エネルギーや農業をはじめとする分野で具体的な取り組みを推進することで合意いたしました。
更に、全国の知事に先駆けて同国政府を公式に訪問し、レ・ミン・フン首相をはじめ、農業・環境・商工分野の大臣と会談いたしました。
私自ら、国内最大の産地として日本産フルーツの魅力と競争力を直接訴え、併せて、果樹農業の技術・人材交流を提案したところ、日本産ブドウの輸出解禁に向け、ベトナム政府から極めて前向きなお答えをいただきました。
帰国後、速やかに鈴木農林水産大臣を訪問し、国の支援強化を要請したところ、国として責任をもって取り組む旨の御発言をいただき、輸出解禁の早期実現に向けた期待が大きく高まっております。
こうした取り組みは、本県にとどまらず、全国の生産者にとっても新たな市場の開拓につながるものと認識しております。
グリーン水素の分野でも、ハノイ市のヴ・ダイ・タン人民委員長との会談が実現し、国際水素サミットへの参画やP2Gシステムの実証に向けた協力で合意するなど、関係は新たな段階に入りました。
これらを着実に成果へつなげるため、ベトナム政府関係者等の招へいや実務者訪問団の相互派遣に要する経費として、ベトナム友好交流推進事業費、1,900万円余を計上いたしました。
本県の国際交流は、今や文化的な交流にとどまらず、経済的な実益をもたらす実質的な交流へと着実に広がっております。
次に、所得構造改革の推進についてであります。
2月議会において申し上げましたように、「働いても豊かさを実感しにくい」構造をいかに断ち切るか。
県民所得を着実かつ持続的に引き上げる、その一点こそ現下の山梨県政の最大の課題として位置付けております。
だからこそ私は、「賃金水準の引き上げ」「生産性の向上」「労働参加率の向上」という三つのレバーを、一体で動かす方針を定めたのであります。
この方針に基づき、本補正予算においては、スリーアップの好循環の拡大や労働需給調整、ケアラー支援の強化に資する予算を計上し、県民の所得向上を力強く推進して参ります。
(スリーアップの広がり)
はじめに、第一のレバー、賃金水準の引き上げであります。
本県では「スリーアップの好循環」を社会運動として推進し、企業・働き手・行政が一体となった賃上げの仕組みづくりに取り組んで参りました。
その中核となるスリーアップ実践企業認証制度における認証企業数は、これまでの取り組みを通じて、当初目標として掲げていた県内企業のおよそ1割に当たる3,000社に達しました。
企業の主体的な賃上げの取り組みは、着実に広がっております。
この流れを県内全体へ確実に波及させるため、認証取得促進の経費として3,100万円余を計上し、企業の成長と一体となった持続的な賃上げを後押しいたします。
(労働需給のミスマッチの是正)
次に、第二のレバー、生産性の向上であります。
持続的な賃上げを実現するには、企業が安定的に賃上げ原資を生み出すための生産性の向上が不可欠であります。
しかしながら、この点に関し、新たな課題が顕在化しております。
技術職や技能職が不足する一方で事務職が余剰となる、労働需給のミスマッチであります。
このままでは県全体の成長を阻害しかねません。
そこで、勘や慣例に頼るのではなくデータに基づく対策の検討を行うため、人手不足が顕著な分野の賃金水準や人材需要の実態を把握し、労働移動の可能性を分析する調査を実施することとし、その成果を具体的な施策の展開につなげて参ります。
これに要する経費として、1,900万円余を計上し、需給のミスマッチの是正を図って参ります。
(ケアラー支援の本格化)
最後に、第三のレバー、労働参加率の向上であります。
2月議会で申し上げたとおり、誰もが働き続けられる環境を整えることは、所得向上の基盤であると同時に、働く人の裾野を広げ、地域全体の生産力を維持・拡大することにもつながります。
特に、家族の介護を担うケアラーへの支援については、本県ではこれまで全国に先駆けて、支援パッケージを策定し、様々な支援策を展開してきたところですが、今回、新たにワークサポートケアマネジャーによる24時間365日の相談体制を構築し、伴走支援を本格的に実施いたします。
これに要する経費として、ケアラー伴走支援体制整備事業費、1,800万円余を本補正予算に計上し、介護発生初期から適切な支援につなげることで、介護離職を防ぎ、労働参加率の向上を図って参ります。
これらは個別施策の積み重ねではなく、実質所得を押し上げるための一体的な構造改革であります。
努力が報われる社会基盤を築き、本県が日本全体の構造的課題の解決を先導して参ります。
次に、産業構造転換による持続的成長についてであります。
構造変動の時代においては、既存の産業構造の維持だけでは持続的成長は実現できません。
本県は、基幹産業それぞれの構造転換を通じて、産業構造に安定的な成長力を組み込んで参ります。
先ず、ものづくりの分野においては、機械電子産業で培った技術力を背景に、医療機器や航空・宇宙・防衛、水素といった成長分野への展開を進め、産業の高度化を図ってきたところであります。
その結果、今後において世界的に巨大な市場が開けるといわれているフィジカルAIをはじめとする新たな産業領域にも対応可能な、精密機械の制御技術や製造技術が高度に集積する希有な地域となっております。
こうした強みを踏まえ、県では、「世界の成長市場に山梨の技術を展開する」という一貫した考えの下、特定産業に依存しない「成長産業横断型全県ファウンドリー構想」の実現を目指して参ります。
その最も象徴的な実践例が、後に述べます「水素」です。
水素は、脱炭素とエネルギー安全保障という世界的課題に応えつつ、エネルギーを巡る社会構造そのものを変革する大きな可能性を有しております。
本県といたしましては、その成長可能性に着目し、水素関連産業を世界市場で稼ぐことのできる産業として地域に根付かせることで、良質な雇用の創出と県民所得の向上につなげて参ります。
更に、果樹農業やワイン産業の分野については、本補正予算において、フルーツやワインに関する輸出戦略の強化や市場の多角化といった具体的施策を講じることと致します。
このように、基幹産業それぞれについて、情勢の変化を的確に捉えつつ、推進すべきものは着実に進め、見直すべき方針は適時に見直すことで、本県産業の持続的な成長へとつなげて参ります。
(水素関連産業の地場産業化)
先ず、水素関連産業の更なる高度化と裾野拡大への取り組みについてです。
都留市においては、2029年にP2Gシステムの核となるスタック量産工場の稼働が予定されております。
これを契機として、県内企業による部品・材料・設備・施工・保守に至るまでのサプライチェーンへの参画を進めることで、将来的に水素関連エコシステムの産業クラスターを創り上げて参ります。
こうした水素関連産業の地場産業化を着実に実現していくためには、水素の製造や利用の核となるスタック技術の蓄積に加え、それを支える施工・運用基盤の整備が不可欠であります。
とりわけ、低圧水素配管施工については、統一的な技術基準が確立されていないことにより、企業の参入障壁が高くなっていることが指摘されております。
このため、関係団体等の意見も丁寧に伺いながら、県として効率化やコスト低減に資する施工管理方法などの総合的な検証を行い、標準化に向けた取り組みを進めて参ります。
このように、県内企業による部品・材料・設備・施工・保守に至るまでのサプライチェーン参画を進めることは、今後、国内外にて水素エコノミーが拡大していく上で、本県がこれを進めていく上での「ツルハシ」としての役割を担っていくことを目指すものであります。
すなわち、水素の利用拡大に伴う様々な関連マーケットが拡大するにつれ、その担い手が誰であろうと、本県事業者の事業機会となることが期待されるようになるのです。
このように、本県が掲げる「全県ファウンドリー化」の方針の下、水素関連産業の地場産業化を一層推進するとともに、持続的な成長力を内包する水素社会の実装を進め、県民の豊かさの向上につなげて参ります。
(果実輸出戦略の再構築)
次に、果樹農業やワイン産業についてです。
ここで、率直に、現下の情勢を踏まえ、これまでの果実とワインの輸出に関する方針を抜本的に見直していく旨を申し上げます。
先ず、果実の輸出についてです。
これまで、デジタルとリアルを組み合わせたプロモーションにより、果実輸出額は着実に増加して参りました。
しかし、直近の国の貿易統計では、桃・ブドウの輸出額が全国的に減少しており、本県でも同様の傾向が見込まれます。
加えて、本県の輸出先が香港・台湾に集中し、特定の市場に依存しているという、構造的なリスクも顕在化しつつあります。
そこで、これまでの施策効果を改めて検証し、市場環境の変化に対応した新たな輸出戦略を策定することと致します。
本県施策の「現在地」と「目指す段階」を明確にし、単発の施策ではなく、一貫したブランディングへと転換いたします。
併せて、シンガポールを新たな重点市場と位置付け、現地企業との連携や大使館関係者を招いたファムトリップにより、輸出先の多角化を進めます。
これらに要する経費として、4,100万円余を計上いたしました。
(山梨ワイン戦略の再構築)
山梨ワインについても、同様であります。
国際コンクールで高い評価を得ながら、その品質とポテンシャルが、いまだ輸出の拡大に十分結びついておりません。
そこで、これまでの施策効果を検証した上で、ブランドの形成と定着から購買の拡大までを一体で進める、実効性の高い戦略を策定いたします。
これに要する経費として、山梨ワイン未来戦略策定事業費、2,500万円余を計上し、持続的な市場拡大を実現して参ります。
今後も、情勢の変化を的確に捉えながら、施策の見直しと実行を重ね、本県産業の持続的な成長を実現して参ります。
次に、人口減少時代の地域再設計についてであります。
人口減少は、地域の活力も、社会保障の持続性も、根底から揺るがす長期の構造変動であります。
これを単なる衰退と受け止めず、限られた力を賢く束ねて、暮らしの質を高め続ける。
山梨の地域再設計は、その覚悟から始まっております。
(科学的分析に基づく対策の再構築)
本県は現在、自然減が年間7,000人規模に達し、出生数も過去最低を更新し続ける、いわば「静かな有事」の只中にあります。
従来の経験や慣例に依存した施策では、もはや限界があります。
そこで、令和5年度から、国や大学の専門家と連携し、本県を実証フィールドとした科学的な分析を進めて参りました。
この度、その成果を報告書として取りまとめ、人口減少の複合的な要因を体系的に整理いたしました。
この知見を迅速に施策へ反映させるため、人口減少危機対策加速化事業費、1,500万円を計上し、新規施策の立案と既存施策の見直しを加速いたします。
更に、本県独自の「就業構造推計」を策定し、人材需給のギャップを可視化することで、産業・教育・インフラ施策と連動した戦略的な対応を進めて参ります。
(地域の主体的な取り組みの強化)
併せて、市町村への伴走支援を強化いたします。
市町村が行う人口減少対策の施策立案を支援する人口減少対策共創モデル実証事業に加え、定期的に県から市町村へ職員を派遣する地域コンシェルジュ事業により、地域に埋もれた魅力や課題を掘り起こして参ります。
また、地域の主体的な取り組みの担い手として期待される「地域おこし協力隊」については、全国的にその活動が注目を集める中、本県の充実した支援制度を広く周知し、意欲ある人材の確保につなげて参ります。
更に、任期後を見据えたキャリアプランの提供や、市町村の枠を超えた活動を可能とする新たな仕組みを検討いたします。
これらに要する経費として、「やまなし地域おこし協力隊サポート事業費」、600万円余を計上いたしました。
こうした取り組みにより、少子化に歯止めをかけるとともに、外部人材の流入と定着を促し、人口減少下においても社会機能を維持・強化していく持続可能な地域モデルを具体化して参ります。
次に、災害対応力の強化についてであります。
想定を超える災害は、もはや例外ではありません。
だからこそ、防災・減災の備えを、対応の質そのものから引き上げる。
これが、危機管理に臨む私の基本的な姿勢であります。
(火山防災の高度化)
先ず、富士山火山防災に関しては、噴火災害に対する防災・減災は本県にとって最重要の課題であります。
現在の富士山科学研究所は、その立地上、噴火に伴う影響を受け、まさに必要なときに観測機能を失う恐れが指摘されております。
そこで、火山防災拠点検討事業費、1,300万円余を計上し、研究所の移転を含め、噴火時においても観測・分析の機能を維持できる体制の構築に取り組んで参ります。
併せて、試験研究機能の高度化や、国内外の研究機関との連携も強化して参ります。
また、噴火災害時において、その影響を受ける地域内の病院の重篤な患者を、安全地域にある病院に安全かつ迅速に搬送する必要があります。
このため、医療コンテナを活用した入院患者の避難体制を整備することとし、富士山火山広域避難医療体制整備事業費、8,900万円余を計上いたしました。
(林野火災への広域連携)
本年1月の扇山林野火災は、本県では戦後最大規模の被害をもたらしましたが、県下の全消防本部による消火活動により、鎮圧に至りました。
もっとも、この経験は、誇るべき成果であると同時に、「初動対応のばらつき」や資機材の不足、応援側の負担といった課題も浮き彫りにしました。
そこで、県が主体的に広域応援を調整する仕組みを構築するとともに、必要な資機材の整備を進め、併せて応援経費の支援制度を創設いたします。
これに要する経費として、林野火災消火活動等支援事業費、1,300万円余を計上し、初動の迅速化と広域連携の実効性を、抜本的に高めて参ります。
(社会資本の強靱化)
近年の災害の激甚化に加え、人口減少やインフラ老朽化が進む中、社会資本の在り方そのものが問われています。
本県ではこれまで、緊急輸送道路の整備や河川改修を進めてきましたが、今後は限られた資源の中で機能を維持・強化するとともに、地域の活性化や社会全体の効率化にも資する社会基盤として総合的に整備していく必要があります。
このため、第五次社会資本整備重点計画に基づき、「活力・成長」「防災・減災」「持続・スマート」の三つの視点で施策を展開し、機能の再編や役割分担の見直しについても進めて参ります。
本補正予算には、国の内示増に伴い、公共事業費、198億円余を計上いたしました。
新山梨環状道路を中心とした広域道路ネットワークの整備を着実に進め、災害時の交通機能を確保するとともに、物流の円滑化や人の流れの活性化を通じ、本県の経済活動を支える重要な基盤として活用して参ります。
こうした取り組みにより、現場対応力と社会基盤の双方を強化し、人命を守り抜く体制を確立するとともに、地域の持続的な発展を支える基盤を築いて参ります。
本県は、安心と活力を兼ね備えた地域の実現に向け、着実に前進して参ります。
最後に、100年先への投資についてであります。
人づくりは全ての政策の出発点であり、本県の将来を方向付ける100年の大計であります。
未来を担う人材への投資を強化し、激動の時代に対応できる基盤を築くことで、県民一人ひとりの可能性を引き出すとともに、山梨の持続可能な発展を実現して参ります。
この方針の下、誰もが活躍できる社会を築き、地域を支える人材の確保と定着を図るため、教育・医療・福祉・スポーツの各分野において、次世代を見据えた取り組みを推進して参ります。
(産業と教育が一体となった人材育成モデルの確立)
本県は、子どもたち一人ひとりが自らの未来を切り拓き、学びが次の挑戦へと循環する「教育立県・山梨」の確立を目指し、教育の質と機会の充実を図って参ります。
産業の高度化やデジタル化が進む中、地域の成長を支える観点からは、未来を担う人材一人ひとりの力を最大限に引き出していくことが重要であります。
そのため、課題解決力と専門性を兼ね備えた人材を育成するとともに、誰もが主体的に進路を選択できる環境を整えるなど、教育の機会均等を実現していくことが不可欠であります。
このため、総額2億8,000万円余を本補正予算に計上し、県立高校改革を進め、拠点校を核とした体制の下、工業・農林・理数・多様な学びの4分野における実践的な教育を展開して参ります。
とりわけ、技術系人材の育成については、年度内にその具体的な方向性を決断する旨、お約束したところですが、今般、そのお約束を具体的な形に致します。
すなわち、甲府工業高校と県立大学を接続する全国初の7年一貫教育プログラムを構築し、データサイエンスやAIなどの先端分野を体系的に学ぶ環境を整備することとし、これに要する経費として、総額2億2,000万円余を本補正予算に計上いたしました。
産業と教育が一体となった人材育成モデルを、この山梨から確立して参ります。
(地域医療を支える人材の確保)
また、地域医療の根幹を支える医師の確保と定着は、持続可能な地域医療提供体制の確立を実現するために欠くことができない重要課題であります。
今般、地域医療を支える人材という観点から、地域医療に携わる医師の確保に関し、医師修学資金制度を抜本的に見直し、貸与額を全国最高の水準へ引き上げるとともに、地域枠の全国募集や対象大学の拡大により、優秀な人材を確保いたします。
併せて、県が直接面接を行う仕組みや地域医療実習を導入し、地域医療への理解と定着意識を高めるとともに、就業年数に応じた返還軽減制度の導入などにより、県内就業の意思を確実なものに高めて参ります。
これらの見直しを行うため、山梨県医師修学資金及び医師研修資金貸与条例を改正することと致します。
(ひとり親家庭への支援の強化)
また、全ての子どもが家庭環境に左右されることなく成長できる環境を整えることは、社会全体の重要な責務であります。
しかしながら、ひとり親家庭においては、養育費が重要な収入源であるにもかかわらず、実際に受け取ることができている割合は低い状況にあります。
このため、本年度創設した養育費確保の費用補助に加え、都道府県として初めて養育費の保証そのものを提供する仕組みを導入することとし、これに要する経費として、ひとり親家庭養育費保証推進事業費、500万円を本補正予算に計上いたしました。
これにより、更に実効性のある支援へと転換し、安定した子育て環境を確保することで、子どもの健やかな成長と家庭の安定を後押しして参ります。
(国スポ・全スポを見据えた競技者の育成と地域活力の増進)
更に、スポーツの分野でも、未来への投資を進めます。
令和14年に本県で開催される国民スポーツ大会及び全国パラスポーツ大会は、本県の選手が全国の舞台で力を発揮する場であるとともに、地域に誇りと一体感を生み出す貴重な機会であります。
現在、各市町村や競技団体の御協力の下、将来を担う競技者の発掘に加え、競技会場の選定を進めており、今後は、選手の育成とともに競技環境の整備を一層加速して参ります。
開催まで、6年であります。
県民の皆様の記憶に残る大会の実現に向け、庁内体制の強化を検討するとともに、関係団体と連携し、大会開催に向けた課題の整理や協議を進めて参ります。
更に、従来の手法にとらわれない大会運営を目指し、今後の国民スポーツ大会及び全国パラスポーツ大会を持続可能な形へ転換するモデルとなるよう努めて参ります。
以上の内容をもって編成いたしました結果、一般会計の補正額は、425億円余、既定予算と合わせますと5,747億円余となり、今回の提出案件は、条例案8件、予算案6件、その他の案件1件となっております。
その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願いいたします。
なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。
県民の皆様。
本日御報告いたしました数多くの取り組み。
その根底にある私の理想と構想、「価値創造県やまなし」の全体像を、最後に改めて申し述べたいと存じます。
ここに、県議会議員の皆様、県民の皆様と、ぜひ分かち合いたいと願う一つの「想い」がございます。
それは、この山梨は、私たちが自ら期待するよりも遥かに、夢大きく、明るい未来を手にすることができる、ということであります。
人口80万弱。
決して大きくはないこの山あいの地が、今、世界を相手に堂々と勝負できる時代が到来しつつあります。
なぜそれが可能なのか。
その鍵はただ一つ。
「価値創造」に他なりません。
県民の皆様とともに築きあげたい「価値創造」とは、これ、すなわち、危機を嘆くことでも、限界や制約を言い訳に挑戦から逃げることでも、ありません。
眼前の、あるいは想定しうる危機の中から、制約の中から自らの手で新しい価値を創り出していく、その営みであります。
いかなる価値も、与えられることを期待するべきものではなく、ましてや、訪れを待つべきものではありません。
ここ山梨で、私たち自身が生み出すべきもの。
本県県民の皆様が一体一丸となってともに目指し、進み、そしてともに享受すべき未来。
「価値創造県やまなし」とはその姿そのものであります。
そして、私たちが生み出す価値とは、二つの大きな実りとして、県民各位のもとに返ってくるでしょう。
一つは「県民所得の向上」。
もう一つは「地域価値の向上」です。
第一の柱、「県民所得の向上」。
その源は世界に挑む産業を自らの手で創り出す力であります。
ぜひ、今一度、思いを巡らせていただきたいのです。
今、高精度・高付加価値を志向する世界市場が爆発的に欲しているもの。
それは、医療機器であり、半導体であり、マシンを動かすフィジカルAIであります。
AIや先端技術が産業構造を大きく転換させる新時代において、欠かすことのできない精密な装置と部品を、山梨の企業は、既に世界へと送り出してきております。
かつてゴールドラッシュで最も確実に富を築いたのは、金を掘った者ではなく、その道具である「ツルハシ」を売った者でありました。
山梨も、まさに然りです。
あらゆる成長産業に欠かせない装置と部品を供給する。
県全体を世界の最先端産業を最上流から支えるものづくりの一大拠点、いわば「全県ファウンドリー」へと高めて参ります。
中でも、水素はその象徴たるべきです。
脱炭素、そして、エネルギー安全保障。
この世界共通の二つの難題を新たな産業価値へと転換させる。
それが山梨の挑戦であります。
私たちは水素を生み出し、供給するにとどまりません。
それを生み出す技術と、担う人材を育て、世界の水素社会づくりを我が山梨県こそが牽引して参ります。
本年秋には、世界7箇国、13の地域が山梨に集います。
エネルギーの未来を語るその舞台の中心に山梨が立つ、その日はまもなくです。
そしてもちろん、農業もまた価値を創り出す力強い産業であります。
四方を囲む山々がもたらす、清らかな水。
日本一の日照時間と大きな寒暖差をもたらす豊かな気候。
そして、代々、技を磨き続けてきた農家の匠の技。
この三つが揃って初めて、山梨の桃やブドウは世界のどこにもない比類なき味わいを育むのであります。
そして、そのブドウから生まれる日本ワイン。
山々の源流からもたらされる清らかな水から生まれる日本酒。
山梨はまさに「美酒美県」。
その銘酒もまた、今や、世界の舞台で確かな評価を得つつあります。
この山梨の恵みを、私は更に、世界の食卓へと広げていきたいのです。
そして、これら全てを世界と直結させるのがリニア中央新幹線であります。
品川まで25分。
羽田空港まで1時間。
これは、まさに時間距離の制約を打ち破る革命であります。
世界に最も近い地方となった山梨へ、人が、仕事が、投資が、豊かさの奔流が流れ込むのです。
リニアは、県民の所得を押し上げる未来への最大のインフラなのであります。
第二の柱は「地域価値の向上」。
この山梨が持つ第一級の素材。
その潜在力を最大限に引き出し、世界が憧れる価値へと更に高めていく挑戦であります。
山梨には世界の宝、富士山があります。
しかしながら、魅力たり得るのは富士山にとどまりません。
峡東に広がる色彩豊かな果樹の郷。
山紫水明が詰まった神秘の渓谷、昇仙峡。
八ヶ岳南麓の雄大な高原と絶景。
そして、日本第二の高峰、北岳を頂く天空の南アルプス。
東西南北のどちらを向いても、世界に通用する底尽きることない魅力ばかりです。
しかし、どれほど優れた魅力の原石も、磨かれなければその輝きを十分には放ちません。
では、どう磨くのか。
私は、その地域に暮らす皆様とともに、自分たちの地域ならではの個性を語り合い、言葉に結ぶことで磨き上げて参ります。
そうして、山梨の隅々を世界中の人がぜひ訪れたい、もう一度訪れたいと憧れる上質な地へと高めて参ります。
更には、その価値は、無論、一代で終わるものではありません。
この山梨の土地も、住まいも、本来、世代を超え、価値を高めていける大きな力、爆発的な可能性を秘めております。
私は、その力をこれからも最大限に引き出して参ります。
100年先の山梨に贈る、緑という資産。
豊かなこの県土は、何万年来にわたり緑を育んできた豊穣の大地であります。
その力を生かし、私たちが一本一本の木を植え、育てることで桃源郷のような美しい郷を未来へとつないで参ります。
県民一人ひとりの「住まい」もまた、街並みを計画的に整えることでその潜在力を存分に引き出し、世代を超えて受け継がれ、価値を増すべき確かな資産へと高めて参ります。
そして、これらの挑戦を根底から支えるのは他でもない「人」であります。
私は、一人ひとりの内に未来を担い得る新たな価値を育てて参ります。
人を育てることに徹底して投資を致します。
全国に先駆けた少人数学級。
子どもたち一人ひとりの可能性をとことん伸ばして参ります。
「甲斐」という名は、「交わる」に通じます。
世界に挑み、新しい文化の交路を担い得る人材をこの山梨から生み出し、更には世界中から挑戦する者を受け入れる。
そんな往来華やかな「開かれた国」山梨を創って参ります。
そして、そこにあっても誰一人取り残しません。
古くからこの地に息づく支え合いの心、「結」をもって誰もが居場所を持てる共生の社会を築く。
介護や病といった人生の試練に直面しても、誰一人として自らの人生を諦めなくてよい、そんな温かな山梨を創って参ります。
産業も、水素も、農業も、リニアも、地域づくりも、人づくりも。
これらは全て一つの営みとして貫かれております。
眠っていた技術から、世界に挑む産業を。
水と光と匠の技から、唯一無二の農を。
磨けば光る風土から、世界が憧れる地域を。
土地と住まいから、世代を超える資産を。
そして、子どもたち一人ひとりから未来と世界を担う人を。
山梨が、自らの手で次々と価値を創り出していく。
これこそが「価値創造県やまなし」の本来の姿であります。
それは決して遠い夢物語ではありません。
その一つひとつが、今、既に、この山梨で確かに、動き始めているのです。
その躍動の兆しは決して偶然ではありません。
今、世界が大きく変わろうとしている。
その向かう方向と、山梨が長年育んできた価値とが深く重なり合っているからこそ、私たちの挑戦はこれほどの確かさをもって前へ進んでいるのであります。
県民の皆様。
私が見据えているのは、決して数字の上だけの成長ではありません。
県民一人ひとりが、頑張れば報われるのだと実感し、暮らしにゆとりと誇りを取り戻す。
そして、子や孫の世代が迷うことなく、この山梨で生きていこう、ふるさとを選ぼうと願えること、そうした希望につながる豊かさであります。
その頂は既にはっきりと見えております。
そして、その頂からは素晴らしい景色を目にすることができることが約束されています。
しかし、私たちは今、その頂を目前にした、最後、最も苦しい登り坂に差し掛かっております。
物価の高騰、少子化と高齢化、そして、止まらない人口の減少。
これらこそが、私たちの行く手に立ちはだかる「胸突き八丁」であります。
この急坂を越えるために、私たちが成し遂げねばならないことは、ただ一つ、であります。
この山梨を「頑張れば報われる」地域にすること。
頑張った人が頑張った分だけ、確かに報われる。
流した汗が、きちんと報われる。
その手応えがあるからこそ、人は苦しい坂道でも、もう一歩、足を前に出すことができるのであります。
報いられる社会と地域。
それが日本にあるのならば、それは本県、山梨でなければなりません。
だからこそ私は「スリーアップ」を、力の限り推し進めて参ります。
それは、三つの「アップ」をひとつながりにする取り組みであります。
先ず、働く人が学び、技を磨く「スキルアップ」。
その高まった力が会社の、職場の収益を押し上げる「収益アップ」。
そして、その実りを経営者が賃金として働く人に分かち合う「賃金アップ」。
努力が収益を生み、その収益が賃金となって努力した人を報いていく。
この好循環こそが「スリーアップ」であり、「頑張れば報われる」社会を現実に動かす確かな仕組みなのです。
そして、皆様。
この「頑張れば報われる」という社会のあるべき姿は、決してどこかから借りてきた輸入品・模倣品ではないのです。
逆境を価値に変えてきた甲州人の開拓の気概。
互いに支え合ってきた「結」の心。
それは、この山梨の風土が長い歳月をかけて育んできた私たち自身の本質であり、生まれながら慣れ親しんできた価値観なのであります。
だからこそ、私たちはこれを必ず成し遂げられる。
私は、そう確信をするのです。
ただし、この急坂は行政の力だけで登り切れるものでは、決してありません。
県民の皆様、事業者の皆様、地域の皆様、そして、私たち。
一人ひとりがそれぞれの持ち場で力を尽くし、互いに手を取り合い、支え合いながら、一歩、また一歩と登っていく。
その皆の力を合わせる「結」の心こそが私たちを、必ずや目指すべき頂へと押し上げるのです。
構造変動の時代にあっても、地方は国の政策をただ待つ存在ではあり得ません。
現実の中から自らの手で「解」を示す。
それが、歴史の転換点において、常に自ら筆を執ってきた甲州人の流儀であります。
だからこそ、これほどの可能性を抱いた山梨の未来の明るさを、私は確信しております。
県民の皆様。
「頑張れば報われる社会」をこの山梨に創り上げること、ともに創り上げること。
それこそが目の前の胸突き八丁を越えていく、確かな道であります。
新しい価値を生み出す。
その生みの苦しみを全県民の皆様と必ず乗り越える。
ともに、その社会を創り上げて参りましょう。
議員各位、そして県民の皆様の御理解と御協力を、そして団結を心からお願い申し上げます。
令和8年6月19日
山梨県知事 長 崎 幸太郎