トップ > 県政情報・統計 > 知事 > 開の国やまなし こんにちは。知事の長崎です。 > 知事記者会見 > 平成27年度知事会見 > 知事記者会見(平成27年12月25日金曜日)
ページID:70259更新日:2015年12月28日
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本館2階特別会議室 11時30分から コメント 発表事項以外の質疑応答 |
知事
この1年間、皆さんにも大変お世話になりありがとうございました。2月17日の知事就任以降、10カ月余りが経過しましたが、この間、多くの県民の皆さん、(記者の)皆さん方、県庁職員にもご理解とご支援を賜って活動できたことを本当に嬉しく思います。一言で言えば、全力で走り抜いた1年だったと思います。
いろいろなことがありましたが、10月上旬に大村智先生のノーベル生理学・医学賞を受賞することが決定し、今週の月曜日にノーベル賞授賞の報告にも来ていただきました。大村先生の生き方は、私たちの手本になるものだと思っております。
大村先生は、常に「人の役に立ちたい」というお話をされています。私の原点も、政治という中で、「県民、国民のために何ができるか」ということを常に模索することにあり、これまで走り抜いてきました。
大村先生の、長い経験とノーベル生理学・医学賞受賞という世界中から認められた実績は、私たちのお手本であり、若い県民、国民の皆さん方が大村先生のように「何が自分にできるのか」ということを自分に問いながら、科学・技術という分野だけでなく、いろいろな分野で羽ばたいて欲しいと痛切に感じました。
10月26日に、「山梨県特別文化功績者」として表彰し、12月11日に「山梨県名誉県民」として顕彰することも決定しました。私が、(山梨県特別文化功績者の)表彰状をお渡しできたことは、非常に嬉しく、誇らしいことだと思っています。大村先生といろいろな話をする中で、これからなお一層、大村先生を目標に私自身も頑張らなければいけないという思いを新たにしました。
リニアも科学・技術を結集したものだと思っています。12月18日に、南アルプストンネルの起工式が行われました。地元の皆さんの合意形成が大前提ですが、リニア中央新幹線が2027年の実用化に向け、大きく本格的にスタートした年になったと思っています。
リニアは、定住人口(を増やす効果)だけでなく、山梨の魅力を更に大きく世界中に発信ができる、そんな効果がリニアの本格的な工事着手として現れたと思っています。
山梨の経済的な置かれた立場、雇用の部分だけでは、言い尽くせない部分がありますが、私も就任以降、JR東海の幹部の皆さん方に、できるだけ地元にも貢献して欲しい、というお話をさせていただき、先の起工式でも同趣旨のお話をさせていただきました。
これから、圧倒的な時間短縮が図られ、甲府~東京・品川間が今の計画では25分、甲府~名古屋間が約40分となります。日本のへそになり、スーパー・メガリージョンといわれている首都圏、中京圏、関西圏の一体化の中心部になるという思いを新たにし、今進めているリニア環境未来都市の整備に向けて加速させていきたいと思っています。
次に、エネルギーの話題であります。9月に、リニアに利用されている超電導技術を使った次世代フライホイール蓄電システム実証試験施設が米倉山に完成しました。再生可能エネルギー、太陽光発電などは非常に不安定な部分がありましたが、再生可能エネルギーの安定導入に向けて一歩踏み出しました。
長い間、山梨大学を中心に研究・開発してきた燃料電池実用化についても産学官による協議会を設立し、活動を開始したところであります。
燃料電池が、車だけでなくあらゆるもののエネルギーとして、大きく実用化、商業化に向けてスタートがきれたことは、本県にとっても非常に喜ばしいことだと思っています。
時間はもう少しかかりますが、全国の自治体では初めてのケースと報告させていただいている、「やまなしパワー」ブランドを通じて(割安な電力を供給することで)、これから製造業を中心とした山梨の基幹産業、山梨に存在する企業のこれからの事業拡張、経営拡大や企業誘致の支援ができる仕組みをつくったことは、非常に嬉しいことだと思っています。
エネルギーは知事選の公約でもお示しし、「エネルギー供給力」、エネルギーを安定的に安価に供給することがその地域の産業育成、産業振興に繋がりますので、本格的には来年度からの導入になりますが、個人的にも非常に嬉しい出来事だと思っております。
更に、中国、シンガポール、インドネシアに訪問し、トップセールスを行いました。それぞれの地域が、いろいろな魅力を持っていますが、山梨の持つ魅力を求めて、今、中国からたくさんの観光客が訪れています。
これから、成長が大きく見込まれるアジア地域、シンガポールは既に一人当たりの国民所得では我が国を上回っている部分もあり、アジアのショーケースといわれています。インドネシアは2億5千万近い人口を有し、中間層、富裕層もこれから増えていきます。こういう地域に対し、観光、農業を含めたいろいろなお話をさせていただきました。
一番感じたことは、山梨が持っている果物、日本一の生産量を誇るブドウ、モモ、スモモ、更にはワイン、日本酒などの地場産品が今までは情報発信が十分にできない部分もあったかもしれないということです。これからはきっちりとした情報発信が必要であり、私たちが当たり前だと思うような山梨のことがたくさんの外国人にとって魅力に繋がっていることも改めて認識しました。
インドネシアで、私がシンポジウムを行った際、インドネシアの皆さん方は富士山の魅力は知っていても、四季があり、果物や水、ワインや日本酒などの山梨の魅力があることは、なかなか理解されていませんでした。日本(のいろいろな地方)から、インドネシアに同時期に訪問された皆さん方から、山梨にはたくさん魅力があるという話もあり、勇気づけられました。
今年は、春から夏、秋にかけての高温、長雨、秋から冬にかけての暖冬で、果物の出来が悪く、農家の皆さん方のご苦労があったのではないかと思っております。山梨オリジナルの気象変動に対応できる、新しい品種の導入、産地化が、ブランド力向上に繋がっていくと考えています。
女性の活躍をしていかなければ、日本も山梨県もよくないといわれていました。私の公約の一つである女性の皆さん方の組織の象徴としての新井副知事の登用、その前段で4月1日付けの県庁の人事では女性管理職の登用に心がけ、目標を早期に達成し、私自身の強い想いが達成できたと考えます。
私は、1月の知事選を経て、その際に117の公約を掲げて当選をさせてもらいました。いつも、私が考えていることは、個性や特性を最大限に生かしながら、将来にわたってこの山梨がどう良くなっていけるのか、考え抜いた1年でもありました。
今日決定した「ダイナミックやまなし総合計画」は、その道筋を県庁全体で合意形成をしたものであります。ゴールではありませんから、これから一つ一つの課題をクリアしながら、できる限り成果を上げていくことが求められるので、それに心血を注いで邁進をしてもらいたいと考えています。
今年は、地方創生元年で、各自治体で人口減少をどう食い止め、課題をクリアしながら、地域の元気を取り戻すことが本格化した1年であったと考えています。
「やまなしパワー」の部分でも触れましたが、山梨の企業が元気になっていただき、活性化する、それを通じて雇用の拡大を図る。観光も含め、国内外からたくさんの人々を呼び込む、その魅力を通して山梨の元気を取り戻していきたいと考えています。
地域間、産業間の連携を繰り返しお話しさせていただきました。峡東地域の3市が協力し、たくさんの団体が入ってもらい「世界農業遺産」にしていこうということが、本格的にスタートしたことと、峡東地域の「ワインリゾート構想」が地域、産業間の連携で本格的にスタートできたことも非常に嬉しく思っております。
来年の2月1日までにユネスコへ提出する富士山世界文化遺産の保全状況報告書を、国、静岡県、関係市町村等と合意ができ、文化庁の審議会でも和文については、ご承認をいただいたとお聞きしています。保全状況報告書も取りまとめることがゴールではなく、この保全状況報告書に基づいた事業を保存と活用のバランスの取れた形で実施をしていくベースができたことは嬉しいことであります。
社会保障の分野においては、今まで非常に大きな懸案になっていました、ひとり親家庭への就職に有利な資格取得支援や、ひきこもり相談窓口の設置、本県独自の被災者支援制度について、全ての市町村と協定が締結され新しい仕組みが、来年1月1日から実施されます。国の制度だけでなく、私たち自治体はきめ細かく、住民生活の安心、安全に目をくばれる立場にいます。被災者支援制度が、市町村長全てのご理解とご協力が得られて市町村と共同でできたことは、防災担当の副大臣を以前やらせていただいた人間から見ても、本当に嬉しいことだと思っています。
「ダイナミックやまなし総合計画」が、今日決定しました。更には、人口ビジョンを実現する「総合戦略」も決定しました。たくさんの部門計画、「新・やまなし農業大綱」、「やまなし森林・林業振興ビジョン」、「山梨県社会資本整備重点計画(第三次)」、「山梨県強靱化計画」、「山梨県公共施設等総合管理計画」が今年中にできたことに対しては、県庁の部長、課長だけでなく全職員に改めてお礼申し上げます。パブリックコメント、有識者の皆さん、審議会の皆さん、たくさんの事業者の皆さまを含め、ご意見、要請を伺いながら対応ができたことについては、私自身が「オール山梨」体制でこれからやっていかなければ、山梨が光り輝くものにならないと、発言させてもらったことにも繋がる部分だと思っていますので、今年1年間、たくさんの皆さん方に、ご理解とご支援を賜りながら、この職責を果たせたことを嬉しく思うと共に、来年も皆さん方には、更にお世話になりたいと思っておりますので、ぜひともご理解とご協力を賜ることを心からお願いし、冒頭私から、この1年を振り返ってのご挨拶にさせていただきます。
記者
1年間のこれまでの取り組みについていろいろとご説明いただきましたが、漢字1文字で表すといかがでしょうか。
知事
計画の「計」です。総合計画、総合戦略、いろいろな計画を今年作ってまいりました。この元々の語源というのは、言葉に十を足すということで、物事や数を皆でまとめ上げて考えていくことであります。
英語ではplanやvisionというかもしれませんが、物事を作り上げていくときによく国家百年の計ということも言いますけれども、全体で合意形成をしていく大切さを自分自身で学びながら、更には地域の力の結集、魅力や地域資源はそれぞれの地域にあります。
地場産業や農業は産業界の力の連携、結集だと思っています。外国にも知事として訪問させてもらった中で、山梨の魅力や山梨の資源は、どこにいつもあるかということを自分なりに考えてまいりました。
今年はこの「計」ということで自分の頭で整理させていただいて、総合計画を中心に、8つの計画をまず今年中にできたことも含めて、たくさんの皆様方がこの「計」を、計画をしたものに基づいて地域間、産業間、全ての県民の皆様方にご支援とご理解を賜りながら、この総合計画、総合戦略、そしてそれぞれの部門計画を実施していきたいと考えています。
記者
政府機関の移転についてお尋ねします。先日も知事の方からもコメントを出していただいたのですが、山梨が提案していた森林技術総合研究所について、研修機能の一部が移されるような方向性が示されました。
当初は華々しく政府機関というものを国が掲げていたかと思いますが、その当初から比べるとかなり後退したような印象が拭えないのですが、知事の率直な感想をお聞かせいただけますか。
知事
東京一極集中をどう是正するかという中で、政府機関や政府関係の研修機関、研究機関が地方に移転していく、ということだったと思います。
今回、実際の政府研究所、研修所で、正式に全面移転が公表されているのは、1機関だったと記憶しています。私どもがご要請をしていたNEDOについては、移転の対象にならずという結論になっています。けれども、国で公表された文章をよく読むと、これからの研究等については必要な協力をしていきたいということが明示されています。
これから、リニア環境未来都市、次世代フライホイール蓄電システムの実用化、燃料電池の実用化、今までも、NEDOと燃料電池についてもフライホイールについても協力をしてきましたから、それをもっと大きな形としていくような、対応を県も考えなければなりませんし、またNEDOともよく相談をしたいと思っています。
森林技術総合研究所については11の県が研修所を移したいということで、それが3県に絞られたという形になっています。今のご質問は、研修の機能だけではないかというご指摘だと思いますが、私自身は、これが今の政府の1つの結論でありますので、本来の移転と同等とまではいかないかもしれませんが、来年の1月、2月に実務的な合意形成を本格化し、3月には決定されるというスケジュールに向けて、いかにたくさんの研修機能を山梨に移していただくのか知恵を絞って、最大限の研修機能の移転というものの働きかけをして参ります。
先ほどご報告したように12月18日にリニアのトンネルの起工式もあり、これから本格的にリニアも2027年に向けて工事が進んでいくと思っています。
山梨の優位性というのは組織全体を移転していただくときと同じですから、どうやったら他の2県に比べて研修機能を移転していただけるのかということを、さらに中でよく検討しながらブラッシュアップをして、また、相手のあることですから、相手の思いも上手くくみ取ってあげていくというのが、最終盤で合意ができる大切な視点だと思いますから、そういうこともいろいろ考えながら、来年3月まで、県民の皆様方に、こういうものがこれから研修機能として山梨に来て、それが林業だけではなく地域にとってもプラスになるということを、きっちりとお示しできるように、最大限努力していきたいと考えています。
記者
富士山の閉山日が来年から山梨静岡両県で9月10日に統一される方向になりましたが、知事の所感をお聞かせください。
知事
今まで全世界を含めて県内外から来られる方々にとって、静岡県と日が違うというのは、わかりにくかったと思います。特に9月以降になると、秋から富士山の頂上も冬になりますから、静岡県と一体の日になったことで、ひとつの共通の土俵が増えたことを嬉しく思います。
これからも、富士山を通じて、静岡県とは、いろいろな協力や共同の事業が今まで以上に出てくると思います。中央日本4県サミットという静岡、山梨、長野、新潟の4県で、できるだけいろいろなことを共同でやっていこうと、特に災害時の問題、そして、事故や災害になった時に、どう共通的に対応していくかということは、今、事務的にもいろいろな作業を詰めているところです。
静岡県と閉山日という部分が象徴となって、さらにそういう部分が加速していくことが望ましいことだと考えます。
記者
富士山の開山日の方も、一緒にしたらどうかという声が出ていると伺っているのですが、これに関してはどのような段階にあるのかお聞きしたい。
知事
開山日は、伝統的な長い歴史の中で、それぞれ、気象条件や、歴史文化の部分でその違いがあると承知しています。無理に頭とおしりを共通することだけが望ましいとは決して思いません。
まず、閉山日が一緒になることで、ひとつずつ課題は解決していくものだと思います。これから、推移を見守りたいと思います。いろいろな歴史的、文化的な要素があることについては、それぞれ、山梨は山梨の歴史文化もありますし、静岡は静岡としての歴史文化があり今に至っていると理解しています。すぐにどうこうということではないのかと現時点では考えます。
(以上)