ページID:70907更新日:2016年2月5日

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知事臨時記者会見(平成28年2月4日木曜日)

本館2階特別会議室

16時45分から

発表事項

 

 産業人材の育成と確保等について

知事

私が、知事に就任してから1年近くになろうとしています。この間私なりに、全力投球で、知事職に当たって参りました。

ただ今、予算編成の作業中でもありますが、先日、高度医療の導入、産業人材の育成と確保の2つの大きな課題について、それぞれ検討委員会から報告書を提出していただきました。これを熟読しながら、県としてどのように対応するのか、決定をしましたので報告をしたいと思います。

私なりに、いろいろな関係者の皆さま方と報告書を提出していただいた以降、意見交換を行いました。県庁内部の担当部局長、課長とも相談をしました。

まず、産業人材の育成と確保についてであります。

本県の基幹産業である機械・電子産業を成長・発展させていくためには、即戦力となる人材を育成し、供給していくことが必要であります。

このため、県内企業に対し実施したニーズ調査等を踏まえ、産業人材の育成・供給の強化策について、産業界の代表や教育関係者からなる検討委員会で4回の御議論をいただきました。

その結果、技術系人材の中でも特に不足感の強い、生産工程の設計などを担う人材の育成については、工業系高校に2年制の専攻科を設置することにより、工業系高校の3年間と合わせた5年間の、より高度な専門教育を一貫して行うことが必要である、との御報告をいただきました。

また、産業界からもこの報告を尊重し、専攻科を早期に実現するよう要請をいただいたところであります。

さらに、検討委員会の保護者代表の御意見や、生徒・保護者からも、専攻科への期待が寄せられたところであります。

こうしたことを踏まえ検討した結果、5年間の一貫した専門教育を行うため、工業系高校に全日制の専攻科を設置したいと考えております。

今後、具体的な設置に向けた検討を進めて参りたいと考えます。

なお、検討委員会から報告のあった、産業技術短期大学校の定員充足や、大学生の県内就職の促進についても、合わせてしっかりと対応して参りたいと考えております。

次に、高度医療の導入についてであります。

本県における適切で効果的な高度医療の在り方を明らかにするため、県内医療関係者による検討委員会を開催し、高度医療の導入の方向性について御議論をいただいたところ、一昨日、座長である今井県医師会長から報告書の提出がありました。

この中で、重粒子線治療については、国の先進医療会議において前立腺がんなど多くのがんで既存治療との優位性が示されず、引き続き検討が必要となったことが昨年夏明らかになったことや、放射線医学総合研究所で治療装置の超小型化の開発が計画されていることから、今後も2つの状況を見極めて対応することが指摘されました。

これを受け、来年度も引き続き調査・検討を行って参りたいと考えております。

子どもの発達障害については、医療ニーズが県内でも急増しており、医療提供体制の強化が必要なことや、高度で先進的な医療を推進することにより、全国に先んじた医療提供体制を築くことが可能であるとの報告をいただいたところであります。

過日、産前産後ケアセンターを開所したところでありますが、県民の皆様から安心して子どもを産み育てられる環境の整備を求めるたくさんの声をいただいています。

また、発達障害児の団体の方々からも、こころの発達総合支援センターの予約待ち、これは今3カ月程度待つ状況でありますが、改善など支援体制を充実強化して欲しいとの御要望をいただいているところであります。

子育て支援を最優先課題として、検討委員会の御報告を踏まえる中で、子どもの心の発達に不安を持つ皆様の安心の拠り所となるよう、高度で先進的な医療センターの整備に取り組んで参りたいと考えています。

具体的には、現在、福祉プラザにある、こころの発達総合支援センターを移転し、機能的・人的に充実強化を図るとともに、新たに、発達障害や情緒障害の子どもに対する総合的な治療・支援施設等を併設することとし、来年度は、そのための基本構想を策定して参りたいと考えています。

最後に、もう1件、御報告させていただきます。総合球技場の整備についてであります。

総合球技場は、全国規模のスポーツ大会等の会場となって、県民に夢と感動を与える場になるとともに、交流人口の拡大など地域経済への波及効果を創出し、今後、スポーツ振興のみならず地域振興を図る上で、重要な役割を果たすものと考えております。

整備については、これまでに10万人近い県民からの署名が県に提出されているほか、先日は、山梨未来会議の中でも高校生との意見交換会を行いましたが、複数の生徒から熱い想いを伺ったところでもあります。

こうした総合球技場の必要性や県民の皆さんの声の高まりを踏まえ、整備を前提とした検討に着手することとしたところであります。

なお、建設場所については、総合球技場の機能が最大限に発揮できるよう、交通の利便性が高く、また、本県を象徴する地域となる、小瀬スポーツ公園周辺を含めた、リニア駅の近郊への整備を目指すこととし、リニア環境未来都市における施設として、位置付けていきたいと考えています。

記者

産業人材の育成と確保ですが、公約と照らし合わせて伺いたいのですが、高専の設置などによる、人材育成力の強化を公約で掲げていました。

今ご報告いただきましたが、高専の設置という部分に関しては断念するということになるのでしょうか。

知事

1番の目的は、即戦力となって活躍できる人材の育成であります。目的を達成するため、よりふさわしい手段として、工業系高校に専攻科を設置することを検討委員会の報告、保護者の皆さんの想いも含め選択し決定したとご理解いただければと考えています。

記者

専攻科を選んだことで、高専という選択肢はここで消えたということになりますか。

知事

資料があると思いますが、報告書を提出していただいた以降、私の想いも含めて、報告書の概要とこれから具体的に専攻科が必要かについて、担当部長、課長も含めて整理をさせてもらいました。

3点ありますが、検討委員会の報告は、1つ目は、専攻科2年を工業系高校の3年に加え5年間一貫で対応することによって、より高度な技術力を持つ子ども達を育てること。2つ目は、産業技術短期大学校の定員充足。3つ目が、大学生という、より高度な技術、研究力を持つ学生の県内就職率が低いこと。この3つの課題が掲げられました。この資料の中に記載している、高専と専攻科は生い立ちが違う仕組みでありますが、企業ニーズに応じた柔軟なカリキュラム編成が可能なこと。高専を設置すると、文部科学省の認可を受け、科目、学科の柔軟な編成ができないこと。高専は8割近くが県外に行ってしまって、定着率が2割程度であること。スピード感の部分では、高専と専攻科を比べると人材育成までに倍くらいの時間がかかる。

産業界からも、できるだけスピード感を持って1日も早い人材育成をお願いしたいという強い要望もあったことも踏まえ、この3点において、高専でなく今の時点では、専攻科を先ず優先すべき選択肢としたということであります。

記者

最後の、高専でなく現時点で優先すべき選択肢は専攻科だという部分は、高専に関して今後は検討するのかどうかということですが。

知事

検討というよりも、いくつもの選択肢を並行的に動かすのではなく、優先的に専攻科ということです。この資料を見ていただければおわかりになるように、今、文部科学省でもSPH(スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール)という新たな仕組み、先進的・先駆的な取り組みを行う専攻科を含めた高校を後押しする仕組みもります。

地元企業とより緊密な長期研修も含めたことができるなど、プラスの面が今の高専よりも専攻科にあると、現時点では判断をして、SPHの指定、地元企業との一層の連携強化を進めながらやることが、即戦力の人材育成により近くなります。

目的は、全く変わっていませんので、手段としての選択肢を専攻科に決めさせていただいたということで、ぜひご理解をいただきたいと考えています。

記者

今回判断したことは、公約の修正に当たるのではないかという感覚を私は持つのですが、知事のお考えはいかがでしょうか。

知事

先ほどもお話をしたように、私の公約の目的は、繰り返しになりますが、即戦力として活躍できる人材を育成することです。

目的を達成するために、どういう選択肢を選ぶかの中で、検討委員会でもご議論いただいた、手段としてよりふさわしい工業系高校への専攻科の設置を決めさせていただきました。

記者

公約の目指すところは、人材の即戦力の育成であることは変わっていないことは、重々承知してあえて聞きますが、公約を知事選の時に作られた段階で、県民、有権者の方々にわかりやすくイメージしていただくために、具体的な例として、高等専門学校、重粒子線など踏み込んだ具体例を挙げたと思いますが、1年間知事に就任されてからいろいろな検討を重ねる中で、現実と県の現状に即していなかったということで、修正することになったと思いますが、その辺りを率直にどのように振り返られますか。

知事

高専の部分でいえば、産業人材の育成で4回の検討委員会を産業界、教育界、保護者13名の多様な方々にご議論をいただきました。そのベースは、県内の企業の皆さん方が、どのような人材が必要なのか、産業人材のニーズを踏まえ対応させていただきました。

国においても、職業人の育成という方向感で新たな専攻科もできる仕組み、今までの高専と同じような同等な教育環境ができるような流れが、昨年の夏くらいから加速したことはご案内のとおりだと思います。そういう中で、スピード感、5年程度で人材育成できる部分かその倍近い時間をかけるのか、県内定着率がどうなのか、人口減少をストップさせるために雇用環境を整え、企業力を高めることが非常に大きな課題であることは繰り返し説明してきました。柔軟なカリキュラムでは、それぞれの企業、山梨の象徴的な企業に応えることは、教育の内容、質の部分では正しいことだと考えています。

このわかりやすい資料は、私も含め県庁全体で理解し、県民の皆さん方にこの仕組みが今の時点では、ベストな選択だということをお示しするために作ったものでもあります。国の方向性も変わり、ニーズも踏まえ、いろいろ弾力的な形を持ちながら、3つの大きな提言をいただいています。専攻科の設置は、1つの手段です。産業技術短期大学校の充実、大学生も山梨の企業に就職していただく、この3つを並行してやっていくべきだと思っていますので、今編成中の予算、事業に関わるものなので今日は全てをお話しできませんが、しっかりとした対応をしていくということで、ご理解をいただきたいと思います。

記者

2014年11月に公約を発表された段階、その時点での国の情勢などを踏まえた上で公約を練り上げたと思います。高専など具体的なところまで踏み込まなければよかったという気持ちはありますか。

知事

分かりやすい形で即戦力の人材育成という部分を表す対応を、その当時は私なりに考え抜いてイメージをさせていただきました。

記者

結果として1年間検討し、その段階での知事の考えが、具体例としては少しずれた形になっていくことについては、どのよう思われますか。

知事

人材育成は、多様であるべきだと思います。特に、保護者の皆さん方からのご意見は、多様な選択肢を子ども達に与えたい。そういう中で、高専という選択肢、専攻科という選択肢があります。専攻科の部分では、3つの部分が高専よりも今の山梨県の現状を考えた時に、ベターでありベストであるという判断をしたということに尽きると考えます。

記者

高専も重粒子線も含めてですが、有権者の方は選挙の際にぱっと見たワードで選んでしまう部分もあったりすると思います。重粒子線治療に期待したり、高専がほしかったりで一票を入れた方への説明は今後どのようにされるのでしょうか。

知事

できるだけ分かりやすい情報発信ということが必要だと思っています。そういう意味で、なぜこのようなとりまとめになったのかという経緯、今日の会見も含め、これからこの資料だけではなくいろいろな角度から保護者の皆様、産業界の皆様も含め、きっちりとした説明をしていきたいと思っています。

また、重粒子線治療についても、今すぐ導入するよりも、超小型化の開発がこれから計画され、既存の治療よりもより優位性を示せる部分が近い将来、私個人的にはあってほしいと思っております。そういう意味で今は重粒子線の部分はもう少しその状況を見極める時期だと思います。これはやめるとかそういうことでは全くありません。引き続き重粒子線治療の課題については検討委員会等で情報収集をしたり、あるべき姿というものを検討していただきたいと考えています。

それ以上に、医療ニーズを把握し、病例毎に山梨県でどのような医療ニーズがあるのかという中に、心の問題、そして発達障害というものがあり、優先順位の高いもの、こころの発達総合支援センターも、全国で診療と相談を併設しながらやっている事例というのはほとんどありません。先進的であるし、それをさらに強化し高度化をすることに繋げていくことが、相談や滞在型の産前産後ケアセンターによる若いお母さんを中心とした子育て環境の充実と併せて、心の問題を持つ子どもたちが待っている状況を踏まえれば、優先順位が当然高くなると私は判断しました。その充実強化に対応できれば、全国にまれな例になると思っていますし、子育て環境の充実に繋がっていくと確信をしていますので、その点についてはぜひ皆様方にもまずご理解を賜りたいと考えています。

記者

2つの事業とも良い事業だと思うのですが、分かりにくいのは、やはり知事が公約の修正ではないと言われているところが一番分かりにくいのだと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

知事

産業人材の育成も、目的は全く変わっていません。ただし、最終的に専攻科を選択したという部分で、手段が変わったということであります。

重粒子線についても、先ほどの超小型化の計画、優位性の実証、そこをまず待つべきで、こころの発達総合支援センターの充実強化にまず対応することが、山梨県全体、特にこれから子どもを産む方を含めた子育て環境の充実に資すると判断させていただいたということでご理解を賜ればと考えています。

記者

知事の発言の中で、端的に公約の修正ではないとはおっしゃっていないのですが、公約の修正ではないという理解でよろしいのでしょうか。

知事

公約は即戦力の産業人材育成ということがメインで、その一つの事例として高専ということを言ったことについては、その通りであります。検討する中で、より山梨に合った人材育成をする仕組みとし、スピード感、柔軟性、定着、この3つの要素を兼ね備えることができる専攻科ということを選択したということです。

記者

いずれにしても公約で掲げたものを達成するための手段を変えたという話であって、掲げた公約に対しては当初通りという意味合いでもあると思うのですが。

知事

目的自体は変わっていません。

記者

すると知事御自身としては公約の修正ではないとお考えということですか。

知事

特に高度医療の部分については、重粒子線は今止めたということを言っているわけではありません。二つの要素を見極める時間は必要だし、より県内の子育て環境、医療ニーズを踏まえれば、こころの発達総合支援センターを充実強化した方が子育て環境も充実するし、山梨の子育てに対する医療水準、やはり3ヶ月待ちというのは普通に考えてそれが正しいかどうかということを思えば、そうではないという方がほとんどだと思います。

私もこの医療ニーズというものをきっちりと見るまでは、ここまで長い時間が相談や診療にかかっていることは正直知りませんでした。

改めてそういった実態を踏まえて、何に一番優先順位をつけて県として対応すべきであるかということを考え、委員長からお話を聞き、報告書も熟読させていただき、関係する保護者の皆様方からも1日も早い設置、充実強化を求めているという声もあり、それらを総合的に判断して、今お話をしている形にさせていただいたということになります。

記者

今のお話との関連ですが、少なくとも公約の中で出てきた具体的な文言の部分と実際の県民ニーズとの違いがはっきりしてきた1年間だったと思いますが、公約を作成した時点と今との間で、やはり見通しの部分でいうと策定時に関しては不十分だったとの指摘もあるかと思いますが、そこに関してのお考えはいかがでしょうか。

知事

すべてを見通しできるわけでもないというのは事実であります。ただし、いろいろな医療ニーズ、産業界のニーズというものは、当然時代によって変化するでしょうし、さきほど産業人材の育成についても、国のいろいろな方向性が技術系人材の育成ということにかなり加速をしたことも事実です。

また重粒子線についても、超小型の装置の開発計画、また他の治療のあり方と比較して優位性がなかなか認められないのは、昨年夏前後に起こった事案ですから、それについては少なくとも昨年、1年前に見通すことができなかったという点についてはご指摘のとおりです。

記者

2日前に報告をお受けになって、そこから時間がないからスピーディに考えると知事おっしゃっていたと思いますが、実際にこの2つ、高専に関しては専攻科、産業技術短期大学校の定員充足など3つの柱の案を採用しようとお決めになって、重粒子線の方は重粒子線をペンディングして子どもの心の医療の方の充実をというふうにお決めになったのは、だいたいいつになるんですか。2日間しかなかったと思いますが。

知事

先だっての会見でもお話をしたように、それぞれ非常に重要な事案であるということは自分でもよく理解をしています。関係する部長、課長等からその都度委員会が終了した後、報告は受けていました。最終的には熟読をしながら、昨日の夕刻に私なりの判断をしたということでご理解を賜りたいと思います。

 

 

<以上>

 

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