ページID:91569更新日:2019年9月18日

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令和元年9月定例県議会知事説明要旨

令和元年9月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。

 先ず、宮川典子衆議院議員の御逝去に対しまして、衷心より、哀悼の意を表したいと存じます。

 宮川代議士におかれましては、平成24年に衆議院議員に初当選されて以来、3期にわたり国政の推進に御尽力されました。

 この間、文部科学大臣政務官を務めるなど教育分野での政策実現に大変熱心に取り組まれ、今後の御活躍が大いに期待されていただけに、無念でなりません。

 生前の御功績に対し、県民の皆様とともに感謝申し上げ、心から御冥福をお祈り申し上げます。

 さて、私が知事に就任してから、7箇月が経とうとしています。

 知事就任後は、この山梨の現在と、そして将来に第一義的責任を負う立場の者として、山梨の実態に目を凝らし、多くの県民の皆様の声を聴かせていただく中で、改めて感じましたのは、農産物や観光資源など、この山梨が有する数々の地域資源は、まさに世界レベルと呼ぶにふさわしいもので溢れており、これは、日々たゆまぬ努力で山梨ブランドに磨きをかける、県民の皆様お一人おひとりの勤勉さのたまものであるということであります。

 一方、こうした素晴らしい資源を持ちながら、なぜ山梨は現状の地位に甘んじているのだろうかと、素朴な疑問を感じることもあります。

 昨今激化する地域間競争の中にあっては、良いものは自然とマーケットに評価されるという姿勢ではなく、外に対して果敢にアプローチすることが不可欠であり、戦略性を持った攻めの仕掛けにより、外貨を積極的に稼ぐことが必要であります。

 私は、知事として、県民生活の向上という成果につなげられるよう、徹底的に結果にこだわり、県民の皆様に還元していく覚悟であります。

 その際、より効果的、戦略的に展開するためには、我が県単独での取り組みではなく、多くの方々とパートナーシップを構築することが必要であり、そうした観点から、先ず、私が最優先に信頼関係を築くべきと考えたのが、国であります。

 去る7月、大きな懸案であった中部横断自動車道に係る県負担について、総務省に交付税措置の拡充の決断をしていただき、その負担額は、ほぼ解消されることとなりました。

 これは、単に県としての要望活動を熱心に行ったということにとどまらず、地方交付税制度の在り方を国とともに正面から考え、協議した結果、国と山梨県が同じ方向を向き、制度をより良いものにしようという共通認識のもと、こうした結論を導くことができたものと考えております。

 県負担の解消により得られた成果を県民の皆様に還元できること自体、大きな効果をもたらすことはもちろんではありますが、このことを通じて、国としっかり議論し、理解を得ることができれば、県民生活の向上に向けて、国は大変心強いパートナーとなっていただけるということを、県民の皆様に、分かりやすくお示しすることができたことは、大変意義があったと考えております。

 また、長坂から八千穂までの未整備区間についても、日本のこれからの海外戦略や、新たな物流軸の形成を考えた際、国としても極めて重要な路線であるという点について、国と共通認識を得ることができたからこそ、環境影響評価の着手という大きな一歩が踏み出せたものと考えております。

 当然、これらの成果は、私一人のみの力ではなく、県議会議員の皆様のお力添え、更には、県民の皆様の熱意があってこそ、成し遂げられたものだと考えており、県議会議員の皆様には、この場を借りて改めて感謝申し上げます。

 更に、富士山火山防災対策については、本年7月、我が県の呼びかけにより、活火山を抱えるすべての都道県知事とともに「火山防災強化推進都道県連盟」を立ち上げ、先月には、本県が連盟の幹事県として、自民党国会議員連盟に対し、国による財政負担と法制度の整備について要望を行いました。

 近年の日本各地での火山活動の活発化や、大規模噴火発生時の人的被害の大きさを考えると、国の積極的なコミットメントを引き出し、緊密な連携の下、ハード・ソフト両面の事前防災対策を実施することが欠かせず、日本一の山である富士山を擁する本県がリーダーシップを発揮し、他県と連携を図りながら、国への働きかけを進めて参ります。

 これに加え、大量の土砂の堆積により、浸水被害が発生している雨畑ダムについては、豪雨により更なる被害が懸念されることから、県民の皆様の生命・財産を守る使命を有する県として、ダムを管理している日本軽金属株式会社に対し、浸水被害防止に係る抜本的な対策の速やかな履行を、一貫して求めて参りました。

 しかし、同社の現状認識は、抜本的な対応を求める本県、そして地域住民の皆様の想いとはかけ離れていると言わざるを得ず、誠意ある対応を強く求めます。

 そこで、今月12日、地元の早川町長とともに、ダム設置の許可権を有する国土交通省を訪問し、同社に対し強く行政指導を行うよう要望を行ったところであり、今後も国との連携を密にして、速やかな解決に向けて取り組んで参ります。

 これら一連の取り組みは、国との関係構築の一例に過ぎず、今後もあらゆる施策展開を図る中で、国とのパートナーシップの構築を念頭に、施策効果を高める努力を重ねて参ります。

 次に、諸外国との人やモノの交流を活発化させ、国際舞台における山梨のプレゼンスを一層高める観点から、海外に向けたアプローチをより広く、深く、積極的に展開して参ります。

 いよいよ明後日、ラグビーワールドカップ日本大会が開幕致しますが、本県では関連イベントとして、フランス代表チームの事前キャンプが県立富士北麓公園において、また、世界各国の国会議員が参加する「国会ワールドカップ」が富士河口湖町において、それぞれ開催され、世界各国の方々に御来県いただきました。

 特に、世界各国の国会議員の皆様に対しては、自国での力強い発信力への期待と、その後の本県との関係構築を図る目的で、歓迎レセプションを開催し、山梨の魅力を世界に向け、発信したところであります。

 また、中国に向けては、既に御議決いただいた6月補正予算において、各種県産品の販路開拓に向けた事業を展開することとしておりますが、これらの取り組みを更に深化させて参ります。

 先月は、JAグループの皆様とともに、首相官邸を訪れ、安倍首相と菅官房長官に県産果実を御賞味いただくとともに、中国へのブドウの輸出に向けた要望を行ったところでありますが、その際、首相から輸出解禁への力強い御決意をいただいたところであります。

 観光面では、12月に、「日中観光代表者フォーラム」の記念すべき第1回の本県開催が予定されておりますが、これは成長著しい中国からの誘客促進の絶好のチャンスであり、中国トップレベルの要人の方々と強固な関係を構築し、本県へのツアー造成などを働きかけて参りたいと考えております。

 更に、インドネシアやマレーシアなど、イスラム圏からの観光客も着実に増加していることから、イスラム教徒の方々特有の食文化であるハラールへの対応を強化することにより、インバウンド受入環境の充実のみならず、多文化共生社会としての本県の発展も目指して参りたいと考えております。

 次に、山梨「ワイン県」宣言についてであります。

 冒頭申し上げたように、本県は、素晴らしい地域の宝に溢れておりますが、PR下手ということもあり、その良さを知っていただくきっかけに乏しいという課題があるものと認識しております。

 そこで、山梨県の特徴を端的に表現するキーフレーズにより、全国、そして世界に本県を強く印象づけることを狙いとして、8月7日、山梨県は「ワイン県」であることを宣言致しました。

 これにより、山梨こそが名実ともに日本一のワイン産地であることを国内外に強くアピールするとともに、国中エリアで最もイメージの強いワインを前面に出し、富士山エリアに集中する観光客の国中エリアへの周遊を促したいと考えております。

 また、ワインは、マリアージュという言葉に料理との親和性、テロワールという言葉に地域や土地との親和性がそれぞれ表現されているように、様々なものとの相性により、楽しみ方が大きく広がるものであります。

 そこで、ワインを切り口に、山梨の地域資源の数々を多くの方に堪能していただけるよう工夫を凝らして参りますが、特に、「ワイン県」宣言との相乗効果が期待できる日本酒については、これまで以上に県酒造組合との連携を密にして、認知度向上と消費拡大に向け、積極的な取り組みを進めて参ります。

 次に、林業の高付加価値化についてであります。

 県民の皆様に豊かさを実感していただくためには、先ずは各産業分野において、しっかりと所得が確保でき、安定した生活が営めることが大前提であります。

 本県は、県土の約8割を森林が占める全国有数の森林県であるものの、林業従事者の所得は、他産業と比較して低い水準にあります。

 従って、この林業従事者の所得向上を図り、林業県としてもその地位を築いていくことは、まさに喫緊の課題であります。

 林業所得が低迷している主な要因としては、切り出した県産材の大半が、付加価値の低いチップ用として流通しており、逆に付加価値の高い製材用としての利用割合は、全国最下位の水準にとどまっていることであります。

 この点については、議員提案条例として去る2月議会で議決されました山梨県県産木材利用促進条例においても、県産木材の経済的価値の向上がうたわれております。

 また、詳細な分析を進める中で、県産木材の供給に係る構造上の問題、つまり、木材生産者から工務店等に至るまでの一貫した県内のサプライチェーンが有効に機能しておらず、付加価値の高い製材用としての流通形態に大きな課題があることが明らかになりました。

 そこで、9月補正予算において、これら木材関連事業者による強固な県産材供給システムの構築を強力に支援することとし、儲かる林業に向けた抜本的な体質改善を図り、ひいては林業従事者の所得向上や安定的な人材の確保を目指して参ります。

 次に、モモせん孔細菌病への対応についてであります。

 昨年秋の台風による強風と大雨、本年5月以降の降ひょうなどが原因で、これまでほとんど発生が見られなかった峡東地域を含め、県下全域でモモのせん孔細菌病が発生し、この病害がまん延した場合、日本一のモモ産地というブランドが脅かされる可能性があることから、先月、県議会からも早急かつ全県的な対策をとるよう、御提言をいただいたところであります。

 そこで、この御提言を踏まえ、明年度以降の発生を抑制するため、JAや市町村と連携して、この秋、県下すべてのモモ園において、一斉防除を行うこととし、薬剤費の助成に要する経費を9月補正予算に計上したところであります。

 これにより、病害のまん延を徹底して防ぎ、農家の皆様に安心して今後のモモ栽培に取り組んでいただくことにより、日本一のモモ産地のブランドに一層の磨きがかかることを期待しております。

 次に、豚コレラへの対応についてであります。

 今月11日に、埼玉県内の農場から本県食肉流通センターに出荷された豚四頭において、豚コレラの感染の疑いがあり、13日の感染判明後、県では直ちに豚コレラ防疫対策本部を設置致しました。

 県建設業協会をはじめ関係機関の皆様の御協力により、センターの枝肉等の埋却処分や、施設の消毒などのすべての防疫措置を完了させることができ、国との協議を経て、昨日からセンターの業務を再開しております。

 今後、埼玉県の発生農場と同じ日にセンターに出荷した県内養豚農場について継続して監視するとともに、豚コレラの防疫対策を強力に進めるため、追加的に必要となる経費の精査を進め、準備が整い次第、今議会に関連予算を追加提案させていただきたいと考えております。

 次に、提出案件の内容につきまして御説明申し上げます。

 今回提出致しました案件は、条例案13件、予算案4件、その他の案件2件となっております。

 条例案のうち、主なるものにつきまして申し上げます。

 山梨県医師修学資金及び医師研修資金貸与条例の改正につきましては、県内における医師確保の一層の促進を図るため、医師修学資金の返還免除の要件等について、所要の改正を行うものであります。
 次に、予算案のうち主なるものにつきまして申し上げます。

 効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するため、病院が行う病床転換に係る施設整備や在宅医療の推進に対する助成などに要する経費を計上致しております。

 このほか、既に申し上げました、「ワイン県」宣言を契機にしたPRキャンペーンの実施、県産木材の流通体制の構築に向けた取り組みに対する支援、モモせん孔細菌病の一斉防除に対する助成などに要する経費を計上致しております。

 以上の内容をもって編成致しました結果、一般会計の補正額は、33億円余となります。

 その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。

 さて、私は、知事就任後、県民の皆様にお約束した公約の実現に向け、多くの方々に支えられながら、日々全力で取り組んで参りました。

 先の県議会において、議員の皆様の深い御理解をいただき、補正予算が成立致しましたが、その中で計上致しました事業の中には、富士山登山鉄道構想や、リニアやまなしビジョン(仮称)など鋭意検討段階のもの、更には、少人数教育の推進や子どもの死亡事例の検証、いわゆるチャイルド・デス・レビューなど、全国に先駆けた取り組みに果敢にチャレンジしている最中のものもあります。

 これらを速やかに成果に結びつけ、私の掲げる「県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなし」を実現するためには、県民の皆様、そして、その代表である県議会とのパートナーシップが必要不可欠であると考えております。

 私自身、ここから更にスピードアップし、全力投球により、県民の皆様の御期待にお応えしていきたいと考えておりますので、県議会議員各位の一層の御支援と御協力をお願い申し上げ、私の所信表明と提案理由の説明と致します。

 令和元年9月18日

 山梨県知事  長 崎  幸太郎

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山梨県総務部財政課 
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