トップ > 県政情報・統計 > 知事 > 開の国やまなし こんにちは。知事の長崎です。 > 施政方針 > 平成28年6月定例県議会知事説明要旨
ページID:73032更新日:2016年6月6日
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平成28年6月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
先ず、平成28年熊本地震によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。
また、被災された方々に対しまして、衷心よりお見舞い申し上げます。
県では、4月16日の本震発生後、速やかに警察広域緊急援助隊や医療救護班を現地に派遣し、要救助者の捜索活動や被災者への医療活動を実施したほか、その後も熊本県や国などからの要請に基づき、同月22日からは被災建築物応急危険度判定士、26日からは保健師チーム、27日からは災害派遣精神医療チーム、いわゆるDPATを派遣するなどし、建物の被害状況の把握や避難住民の健康診断などを行って参りました。
これと併せ、損壊した家屋の雨よけなど、用途の多いブルーシートの提供や、見舞金の贈呈などの支援も行いました。
また、先月7日からは、県の行政職員を避難所に派遣するなど、各般にわたる人的支援に努めているところでもあります。
今後も、被災地からの要請に基づき、積極的に各般の支援活動を展開して参ります。
被災地の皆様におかれましては、一刻も早く平穏な生活を取り戻すことができますよう、県民の皆様とともにお祈り申し上げます。
過去百年以上にわたって、マグニチュード7以上の地震に見舞われることのなかった熊本という地で起こった今回の地震は、ときに「災害が少ない」と言われる山梨に住む我々にも、自然災害への備えの重要さを改めて突きつけるものとなりました。
県では熊本地震を受け、目下、市町村と連携し、避難所運営についての詳細な実態調査に着手し、大規模地震発生時における災害対応の検証を進めております。
また、先日、現地に派遣した職員から、被災地の現状や現地での活動について、直接報告を受けたところであります。
職員からは、避難所運営において、大量の救援物資や全国各地からの支援チームなどに適切に対応できるコーディネーター的役割を担う人員が不足していたこと、被災者を支援する立場の自治体職員もまた被災者であり、その多くが疲弊していたことなどが現場の課題として報告されました。
私としては、今後、県と市町村が連携して、全国からの人的・物的支援への受け入れに対応できる体制を構築していくこと、また、災害時に現場で活躍することのできる専門性の高い人材を育成していくことの必要性を痛感したところであります。
今後は、防災会議地震部会において、委員による現地調査を実施し、今回の課題を整理するとともに、専門的見地からの御提言をいただく中で、本県における災害対応の一層の強化を図って参ります。
また、今回の熊本地震では、避難所ごとに必要な物資などの情報を把握できる「避難所支援システム」を大手のIT企業が提供し、これが大いに活用されたことで、注目をされたところでありますが、本県において現在開発を進めている総合防災情報システムにおいても、同様の機能を導入して参ります。
今後はこうしたインフラも活用しながら、「ダイナミックやまなし総合計画」に掲げた「安心・防災力」の向上に向け、いざという時の備えに万全を尽くして参ります。
次に、当面する県政の課題について申し上げます。
先ず、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致に向けた取り組みについてであります。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに関し、県ではスポーツを通じた交流の促進を図るとともに、美しい自然や多様な文化といった地域の魅力を世界に発信する好機として、事前合宿などの誘致を積極的に推進してきたところであり、これまで、庁内に東京オリンピック・パラリンピック推進本部を設置し、既存の競技施設の改修を進めるとともに、市町村や競技団体などと連携し、各国の競技関係者への働きかけなどを行って参りました。
また、本年4月には総合政策部内に新たに国際総合戦略室を設置し、事前合宿誘致への取り組みの更なる強化を図ったところであります。
こうした中、フランスのシャモニ・モンブラン市と姉妹交流を行っている富士吉田市から、フランスのラグビーチームの事前合宿を誘致したい旨の相談がありました。
これを受け、県においても本県出身のラグビー関係者などを通じ、フランスラグビー協会と調整を行って参りましたが、協会側から、オリンピックの事前合宿の候補地として、富士吉田市を優先的に検討したいとの意向が示され、先般、協会会長、県、富士吉田市の三者間で覚書を交わしたところであります。
今後は、富士北麓地域へのフランスラグビーチームの合宿の誘致を確実にするため、市における協会との協定締結に向けた調整や視察の受け入れなどを支援することとしているほか、事前キャンプの誘致などを通じた大会参加国との人的、経済的、文化的な相互交流について国が支援する「ホストタウン制度」への登録を目指すこととし、過日、国に対し、市との連名で、申請書の提出を行いました。
また、他の市町村においても事前合宿の誘致の進展が図られるよう、誘致活動に関して専門的な助言を行うことのできる人材をスーパーバイザーとして任命することとしており、これからも県を挙げて取り組んで参ります。
次に、公共事業の前倒し実施についてであります。
私は、これまでも、社会資本の整備が県民生活の向上や地域経済の発展を支えるものであるとの基本認識のもと、公共事業の予算額の確保や事業効果を早期に発現させるための前倒し実施に積極的に努めて参りました。
こうした中、先般、国においては、公共事業に関し、現下の経済情勢を踏まえ、できる限り上半期に前倒しして実施するとの方針が示され、地方公共団体に対しても、同様の趣旨の要請がなされたところであります。
国のこの考えは、私のこれまでの方針にも合致することから、県としても、県単独公共事業などを除く公共事業について、上半期で80.3パーセントを契約済みとする目標を取りまとめ、現在、鋭意、その執行に努めております。
また、下半期においても引き続き業務量が確保されるよう、関東地方知事会を通じ、過日、国に対して補正予算の編成に向けた要望を行ったところであります。
次に、高速道路などの整備についてであります。
本県において高速道路や地域高規格道路の整備は、地域の産業や観光、文化などの振興・発展に活力を与えるとともに、大規模地震や富士山噴火といった災害の発生時においては緊急輸送路としての役割を担うなど、「命の道」でもあることから、これまで長年にわたり、その着実な整備について、国などに要望してきたところであります。
こうした中、本年4月、新山梨環状道路北部区間の甲府市桜井町から笛吹市石和町広瀬までの約2キロメートル区間が整備区間に格上げされ、事業着手されたところであります。
これにより、甲府市西下条から西関東自動車道の入口である甲府市桜井町までの約9キロメートルがすべて事業化されることになります。
更に、先月27日には、国により、東富士五湖道路の富士吉田南スマートインターチェンジ(仮称)が新規事業化されたところであります。
本インターチェンジは、国道138号など周辺道路の渋滞緩和や大規模災害時における利用に資すると同時に、富士北麓地域の新たな玄関口として観光地へのアクセスの向上が図られることにより、地域の活性化にも、大いに貢献するものであると期待しております。
これらの事業の進展に際し、国をはじめ、御支援と御協力をいただいた県選出国会議員、県議会議員各位に、深く感謝申し上げます。
次に、地方創生の推進についてであります。
県民の皆様が明るく希望に満ち、安心して暮らせる山梨の実現に向けた指針として昨年度とりまとめた「ダイナミックやまなし総合計画」や「山梨県まち・ひと・しごと創生総合戦略」を効果的に推進するため、これらに密接に関連する施策については、今後も積極的に展開を図って参ります。
本定例県議会においても、観光や農業、森林といった本県における成長分野の産業振興施策、全国トップレベルの子育て支援策を対外的に発信し、本県への子育て世代の移住につなげていこうとする施策などについては、やまなし創生の核になるものとして、国の地方創生推進交付金を活用する形で、所要の経費を計上致しております。
また、本年4月の地域再生法改正により、自治体が行う地方創生事業を支援するために企業が寄附を行った場合、税制上の優遇措置が受けられる制度、いわゆる「企業版ふるさと納税」が創設されたところであります。
今後、県にゆかりのある企業などに制度の趣旨を広報するとともに、寄附を募る事業を選定し、この制度を最大限活用していきたいと考えております。
次に、世界遺産富士山の保全と安全対策などについてであります。
先ず、保全状況報告書についてであります。
本年1月にユネスコに提出した富士山の保全状況報告書については、7月にトルコで開催される第40回世界遺産委員会での審査に先立ち、先月27日、決議案が公表されました。
この中では、先ず、報告書は、富士山が世界遺産に登録された2013年時の要請に応えており、世界遺産委員会として承認する旨のコメントが記載されており、これまでの取り組みが認められたものと受け止めております。
その上で、25の構成資産を含む富士山全体が、一つの文化的な景観として一体的に管理されようとしていることや、保全と開発との両立に重きが置かれていること、専門家や地元関係者、関係機関が調整を重ね、努力しながら課題の対応に当たってきたことなどが高く評価されたところであります。
また、決議案においては、2018年12月1日までに、最新の保全状況報告書を提出することが求められております。
正式には、来月10日から行われる委員会において最終的な決議が行われることとなりますが、そこでの結果も踏まえ、今後も、富士山の普遍的な価値を将来に継承していくための取り組みを着実に進めて参ります。
次に、富士山世界遺産センターについてであります。
これまで県が整備を進めてきた富士山世界遺産センターについては、世界遺産登録三周年となる今月22日の開館に向け、現在、最終的な準備を鋭意行っているところであります。
本センターは、富士山の保全管理や、その文化的価値の情報発信の拠点となるとともに、県内周遊観光の拠点でもあることから、国内はもとより、世界中から多くの方々にお越しいただけるよう、富士山の価値をわかりやすく発信するとともに、県内各地の観光資源の魅力についても積極的に発信して参ります。
次に、登山者の安全対策についてであります。
県では、この夏の登山シーズン中、富士山五合目の総合管理センター内に登山者の安全確保のための「現地連絡本部」を設置するとともに、昨年から更に二カ国語を加えた七カ国語により24時間対応可能な通訳サービスを提供する「インフォメーションセンター」を設置するなど、安全対策の推進に万全を期して参ります。
更に、本年の登山期間については、登山者の安全性の観点や、わかりやすさへの配慮から、閉山日を従来から4日早めた9月10日とし、静岡県側の登山ルートと統一することとしているほか、富士山噴火の可能性に備え、昨年度作成した富士山噴火時避難ルートマップについても、これを静岡県側のマップと一体化するとともに、外国人登山者に対応できるよう多言語化し、この夏から配布を開始して参ります。
次に、富士山保全協力金についてであります。
富士山保全協力金については、世界遺産登録を契機として、来訪者の富士山保全に対する意識醸成を図るとともに、環境保全や登山者の安全対策などに関する事業を進めるため、平成26年度から本格導入したところでありますが、昨年度の協力率は52.9パーセントという状況であり、協力率の向上を図ることが必要であります。
このため、本年度からは、協力金の受付場所や外観について改善を図るほか、富士北麓駐車場やシャトルバス車内で事前に協力の呼びかけを行うとともに、協力金の使途をわかりやすく情報発信することにより、制度への一層の理解が得られるよう努めて参ります。
次に、森林環境税についてであります。
県土の約8割を占める森林は、災害の防止や、水源のかん養などの公益的機能を有し、県民に多くの恵みをもたらす貴重な資源であり、これを次世代に引き継ぐための施策に必要な財源を確保するため、県議会や県民の皆様の御理解をいただく中、平成24年度に森林環境税を導入させていただいたところであります。
県では、この財源を活用して、本年度末までに約4,500ヘクタールの荒廃森林や、里山の再生などに取り組んできたほか、教育機関が行う森林体験活動やNPOが行う森づくり活動への支援などを通じ、森林保全の必要性や、森林の果たす役割について理解を深めるための幅広い事業を実施して参りました。
本年度、森林環境税導入から5年目を迎え、森林環境保全基金事業第一期計画の最終年度となることから、先日、森林環境保全基金運営委員会を開催し、事業の実施状況やこれまでの成果、明年度以降の事業のあり方などについて意見を伺いました。
委員会においては、依然として存在する多くの荒廃森林への対応が必要である、野生鳥獣被害対策や集落の景観保全のためにも、里山の整備を長期的に実施していく必要があるといった、事業の継続を前提とした多くの意見が寄せられたところであります。
こうした意見も踏まえ、県としては、公益的機能を有する森林を、世代を超え、県民全体で守り育てていくという理念に基づき、明年度以降も森林環境税を継続して参りたいと考えております。
今後は、県民の皆様からの意見も伺いながら、本年10月を目途に、明年度以降5年間の第二期計画を策定して参ります。
次に、林業公社改革の進展状況についてであります。
昭和40年に設立された山梨県林業公社は、長年、土地所有者に代わって人工林を整備する分収林事業を行ってきたところでありますが、木材価格の大幅かつ継続的な下落の中で、これまでの森林整備に要した借入金を伐採収益で返済することが困難な状況に陥っていたことから、平成23年度に「林業公社改革プラン」を策定するとともに、平成29年3月を目途に公社を廃止することとし、5年間にわたる改革の取り組みを進めて参りました。
また、これまで、分収林管理を平成29年度以降県に移管することや、債務の抑制に向けて分収割合を見直すこと、契約期間を延長することなどを旨とする、土地所有者との変更契約の締結に向け、誠心誠意、協議に努めて参りました。
その結果、3,377件の契約案件のうち、本年3月時点で69パーセント、2,326件についての契約変更が完了したほか、変更内容に同意をいただいている分を合わせた「同意率」は88パーセントにまで達している状況であります。
今後は、本年度末の公社の廃止に向け、県からの貸付金については、公社の森林資産の評価を行い、最終的な債務処理に要する額を確定した上で、県議会に債権放棄の御議決をお願いする予定であります。
また、日本政策金融公庫及び市中金融機関からの借入金については、今後、県が債務を承継することとなりますが、その償還に際しては、第三セクター等改革推進債の活用を検討し、県の負担軽減を図るなど、適切に対応して参ります。
次に、産業の振興についてであります。
先ず、観光地づくりの舵取り役となる、いわゆる日本版DMOについてであります。
世界遺産富士山や八ヶ岳をはじめとする美しい自然や、温泉、フルーツ、ワインなどの地域資源に恵まれ、現在、訪日外国人を含めた観光客が増加傾向にある本県において、観光産業は、今後、更なる成長が期待できる産業であります。
また、観光産業は、農業や林業、地場産業など、多様な業種とのかかわりを持つ「裾野の広い産業」であり、地域活性化を考える上では欠かすことのできない重要な産業でもあります。
一方、現状、本県においては、観光客の滞在時間が短いことのほか、観光産業における生産性の向上や人材不足といった課題も表面化しており、これらの課題に適切に対応することが求められております。
こうした状況を踏まえ、各観光事業者と他分野における事業者との連携を進め、本県観光産業の「稼ぐ力」や「働く魅力」を高めることを目的に、その舵取り役として、戦略的な観光地経営や観光事業者に対する支援を行う「日本版DMO」を導入することとし、先月31日には、やまなし観光推進機構がその候補法人として国による登録がなされたところであります。
今後は、明年4月のDMO設立に向け、本県の強みや特性を生かし、観光産業の稼ぐ力を育成し、地域経済を活性化させるための核と呼ぶにふさわしいDMOとなるよう、その果たすべき機能や組織体制などを検討して参ります。
また、現在、北杜市などにおいても、DMOの設立を目指す動きがありますが、こうしたDMOとの連携も積極的に図って参りたいと考えております。
次に、世界農業遺産の認定に向けた取り組みについてであります。
峡東地域一帯の果樹園が織りなす美しい桃源郷景観などの世界農業遺産認定に向けては、これまで、山梨市、笛吹市、甲州市ととともに設立した峡東地域世界農業遺産推進協議会において、国際機関の審査基準を満たすための学術的な分析などの諸準備を進めてきたほか、シンポジウムの実施などを通じて地元の気運の醸成を図ってきたところでもあります。
一方、これまで本年4月の申請を目指して準備作業を進めておりましたが、先般、国において日本農業遺産制度が創設され、世界農業遺産と併せて審査を行うこととなり、申請期限が9月末へと変更されました。
過日、推進協議会において申請書の骨子を取りまとめたところであり、今後は、9月末までの申請期限に向け、地元市などと連携し、引き続き、万全の準備を進め、認定実現に努めて参りたいと考えております。
次に、県産農産物などの海外販売・情報発信拠点についてであります。
果実をはじめ、ワイン・日本酒、観光など、本県の魅力を年間を通じて発信する常設の拠点の設置に向けては、これまで、香港、シンガポール、マレーシア、台湾の4つの国と地域を候補地として、調査・検討を行ってきたところであります。
この結果、検疫など輸出条件の面から多品目の輸出が可能であること、富裕層が多く、県産の高品質な果実やワインなどの需要拡大とインバウンドの増加が期待できること、また、周辺国への波及効果も期待できることなどの点に鑑み、シンガポールとマレーシアの二カ国に設置することと致しました。
シンガポールについては、日系百貨店内の日本食レストランに併設された食品売り場内に販売棚を設置することとし、7月中を目途に、開設して参ります。
一方、マレーシアについては、大型ショッピングセンター内にテナントを設置することとし、改装工事を行った上で、8月中を目途に開設して参ります。
両拠点が、それぞれの国で広く認知され、県産農産物などの一層の輸出拡大が図られ、農家などの所得向上につながるよう、今後も鋭意、準備を進めて参ります。
次に、都留市立病院における分娩の再開についてであります。
子育て支援は、県政の最重要課題であり、県民の皆様が安心して健やかに生活していくためには、子どもを産み、育てられる環境の充実が不可欠であることは言うまでもありません。
県では、県民の皆様が安心して出産できる体制を強化するため、山梨大学への寄附講座の設置や産科医に対する奨励金の交付などにより、産科医の確保を進めて参りましたが、こうした取り組みにより、同大学においては、平成30年度中に、分娩取扱の再開に必要な産科医を派遣することができる見通しとなりました。
これを踏まえ、県では、分娩取扱医療機関の偏在状況や、地域ごとの出生数などを考慮し、セミ・オープンシステムの実施など受入準備体制が整っている都留市立病院において、平成30年度中に分娩取扱を再開することと致しました。
今後も、分娩取扱医療機関のない地域の解消をはじめ、安心して子どもを産み育てられる社会づくりに努め、「日本一健やかに子どもを育む山梨」の更なる充実に取り組んで参ります。
次に、新たなユネスコエコパークの登録に向けた取り組みについてであります。
本県を取り巻く優れた自然環境について、保全と持続可能な利活用を促進し、その価値を内外へ発信するため、これまで、秩父多摩甲斐国立公園を中心とする地域のユネスコエコパーク登録に向けて、自然環境の状況調査を行うとともに、住民との意見交換会の開催などによる地元の気運の醸成に努めて参りました。
こうした中、関係自治体との登録活動に向けた協議が整ったことから、先日、山梨、埼玉、長野三県の十市町村と本県で構成するユネスコエコパーク登録推進協議会を設立し、名称を「甲武信水の森ユネスコエコパーク」とすることや、今後の事業計画などを決定するとともに、同日、地域が一体となった登録推進を図るためのシンポジウムを開催したところであります。
今後は、この協議会が中心となり、一層の地元の気運の醸成を図るとともに、国や学術機関と協議しながら、本年8月にはユネスコ国内委員会に対し、申請への意思表明となる、概要書の提出を行い、早期の登録実現に向け最大限の努力を行って参ります。
次に、自殺対策についてであります。
昨年、県内で発見された自殺者数は約200人であり、ピークであった平成18年と比較すると4割以上減少しているものの、人口10万人当たりの自殺者数では、全国5位と依然として高い水準にあり、県や市町村、関係機関が一体となって、自殺対策を総合的に推進していく必要があります。
こうした中、先の県議会において、議員提案としては全国初となる山梨県自殺対策に関する条例が制定されたところであります。
県では条例制定を受け、過日、自殺防止対策推進本部会議を開催し、本県の状況についての認識を共有するとともに、自殺対策に関する人材の育成や自殺未遂者への支援策などからなる自殺対策計画を年内を目途に策定し、取り組みをより一層充実させることと決定したところであり、今後も、効果的な自殺対策を推進して参ります。
次に、提出案件の内容につきまして御説明申し上げます。
今回提出致しました案件は、条例案8件、予算案3件、その他の案件4件となっております。
条例案のうち、主なるものにつきまして申し上げます。
山梨県個人番号の利用に関する条例の改正についてであります。
県民の利便性の向上と行政事務の効率化を図るため、県の執行機関が個人番号を利用する範囲などを定めようとするものであります。
次に、予算案のうち主なるものにつきまして申し上げます。
ワインを中心に、果実や農村景観など、峡東地域の地域資源を活用した滞在型観光を促進するため、JR東日本と連携して行うワイン列車のモデル運行事業に対し助成する経費を計上致しております。
また、馬術競技の振興を図り、八ヶ岳南麓地域の観光振興などに資するため、馬術競技場の施設整備に対し助成する経費を計上致しております。
また、地盤沈下により傾きの生じた県営住宅熊井戸団地について、居住環境の早期改善を図るための対策工事に要する経費を計上致しております。
このほか、既に申し上げました、熊本地震の支援活動、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致、地域連携DMOの設立、県産農産物などの海外販売・情報発信拠点の設置などに要する経費を計上致しております。
以上の内容をもって編成しました結果、一般会計の補正額は、16億円余、当初予算と合わせますと4,679億円余となり、前年度同期予算と比較して、1.2パーセントの増となっております。
この財源と致しましては、国庫支出金7億円余、地方交付税5億円余、県債2億円余となっております。
その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。
なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。
平成28年6月6日
山梨県知事 後 藤 斎