ページID:66939更新日:2015年6月18日

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平成27年6月定例県議会知事説明要旨

平成27年6月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。

本県の人口は、平成12年の89万5千人をピークに、現在は83万5千人と、既に6万人減少しております。

国立社会保障・人口問題研究所によりますと、このまま推移すれば、10年後の平成37年には77万5千人になると推計しており、更に6万人以上の減少が見込まれております。

今、本県は、こうした人口減少・少子高齢化というかつて経験したことのない変化をはじめ、生活や産業を支えるエネルギー資源の変化、県土の景観を形成する農林業を取り巻く変化、近い将来に発生が予測される大規模な災害への備え等の安全に対する意識の高まりなど、いくつかの大きな転機に直面しております。

私は、本県が直面している大きな転機を好機と捉え、これに対応する3つの力、「エネルギー供給力」、「景観・農業力」、「安心・防災力」を高めつつ、県民の皆様とともに誰もが安心して暮らすことができる地域社会を創り上げていく、「ダイナミックやまなし」という地域づくりの考え方のもと、県民総参加による取り組みを積極的に進めて参りたいと考えております。

特に、将来の山梨を考える上で最も重要な課題は定住人口の減少であり、強い意志を持ってこれを食い止め、増加へと反転させていく取り組みを総合的に展開することにより、山積する諸課題の解決を図り、山梨再生に向けたダイナミックな流れを生み出していくことが必要であります。

県が触媒としての役割を積極的に果たし、産業間、地域間など様々な連携を強化することにより、県民に良質な雇用を提供する基幹産業等の拡大・発展や、県民の夢と希望の実現を応援する社会環境の整備などに取り組んで参ります。

こうした取り組みを通じて本県が目指すべき地域社会は、プラチナのごとく光る価値を世界に発信し、全ての県民が明るく希望に満ち安心して暮らせる「輝き あんしん プラチナ社会」であります。

また、その実現に向けて、生き生きとした県民生活や活発な交流等の舞台となる「百万人都市・やまなし」が、私が県民の皆様と共有する新たな県土像であります。

現在、新たな地域づくりに向けた基本的な考え方と、今後五年間の具体的な施策・事業等を盛り込んだ総合計画の策定を進めており、先日、現時点でお示しすることができる計画の概要を暫定計画として公表致しました。

総合計画は、県民の皆様とお約束した117の公約をはじめとする具体的な施策を着実に実行し、地方創生時代の熾烈な自治体間競争に勝ち抜いていくための県政運営の指針となるものであります。

今後、暫定計画をもとに、議員各位をはじめ、幅広く県民の皆様の御意見を伺いながら、9月定例県議会には素案の概要を御報告するとともに、12月定例県議会を目途に最終的な計画案を提出し、本年中には新たな総合計画として決定して参りたいと考えております。

次に、今回提出致しました補正予算案についてであります。

私は、就任間もない2月定例県議会におきまして、人口減少対策、地域産業の振興と雇用の確保など、公約の実現に資する事業について可能な限り実施することとし、総額48億円余を2月補正予算に計上し、既に着手しているところでありますが、本定例県議会に提出致しました補正予算案は、私にとって、初の本格的政策予算となっております。

本補正予算案につきましては、私の117の公約をはじめとする具体的な施策・事業について、総合計画の政策展開の柱である「ダイナミックやまなしプロジェクト」に基づき、

  1. やまなし創生推進プロジェクト
  2. 基幹産業発展・創造プロジェクト
  3. 地域産業元気創造プロジェクト
  4. まなび・子育て環境創造プロジェクト
  5. 健やか・快適環境創造プロジェクト
  6. 安全安心・交流基盤創造プロジェクト

の6項目に沿って推進していくこととし、厳しい財政状況にあっても各般にわたり創意工夫を凝らす中で、積極的に予算計上致したところであります。

この結果、117の公約につきましては、2月補正予算と合わせて、その全てについて着手できる見込みであります。

また、今回予算化する事業のうち、「リニア環境未来都市」の創造や先進的な高度医療の導入など、主要なプロジェクトにつきましては、調査、検討に要する経費を計上致しており、今後、議員各位をはじめ、県民の皆様の御意見を幅広く伺いながら、積極的に取り組んで参りたいと考えております。

現在、我が国では東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて、地方自治体、民間企業を問わず、様々な需要を成長、発展の原動力として取り入れるべく、熾烈な競争が繰り広げられており、同時に、大手の上場企業の多くが、東京オリンピック・パラリンピック以後の経済状況を想定した経営戦略の検討を始めている状況も見られます。

本県が再生し、持続的に発展していくためには、本県におきましても、2020年までに様々な基盤を整備強化していく必要があります。

このため、厳しい財政状況の中で、公共事業、県単独公共事業については、事業費を抑制しつつも、一方で、東京オリンピック・パラリンピックの開催やリニア中央新幹線の開通を見据え、集中的に整備を進めることが必要な事業に対しては、重点投資枠を設定し、財源を重点配分したところであります。

次に、当面する県政の課題について申し上げます。

先ず、県版まち・ひと・しごと創生人口ビジョン及び総合戦略の策定についてであります。

国では、昨年12月に施行した「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、将来にわたって活力ある社会を維持していくため、長期ビジョン及び総合戦略を定めたところであり、同法では、国と地方が一体となって地方創生に取り組む必要があるとして、県、市町村においても人口ビジョンと総合戦略を定めることとしております。

このため、県では、本県の人口の現状分析や将来展望を示す人口ビジョンと、これを踏まえた人口減少の克服や地方創生を実現させるための今後5年間の目標、施策の基本的な方向などをまとめた総合戦略の策定に向けて、鋭意取り組んでいるところであり、本日、その中間報告を公表したところであります。

人口ビジョンの中間報告につきましては、本県の人口の現状分析や将来展望についての現時点での検討状況や基本的考え方を、また、総合戦略の中間報告につきましては、基本目標や基本的方向などの策定の考え方を、それぞれ取りまとめたところであります。

今後は、2月補正予算に計上し、現在実施している「結婚・出産・子育て等に関する県民アンケート」や、都市部の若者を対象とした移住定住ニーズ調査等の結果を踏まえ、9月に人口ビジョンを、12月に総合戦略を策定して参ります。

また、本年4月、市町村が行う人口ビジョン・総合戦略の策定をサポートする支援窓口を設置したところであり、県と市町村とが一丸となって、地方創生に向けた取り組みを推進していくこととしております。

次に、エネルギー施策についてであります。

県では、2050年頃までに、県内の消費電力全てをクリーンエネルギー発電で賄うことを目標とした「やまなしエネルギー地産地消推進戦略」を策定し、各種施策を実施してきているところであります。

しかしながら、急速に普及した太陽光発電は、景観の問題や系統連系の制約等の問題が生じてきております。

このため、これまでの太陽光発電を主軸とした戦略を見直し、エネルギーの地産地消を目指しながら、コージェネレーションや燃料電池などの普及状況を踏まえ、エネルギー供給力の充実による県内経済の活性化と、災害に強いエネルギー社会の構築等を図る「やまなしエネルギービジョン(仮称)」を策定して参ります。

次に、燃料電池評価プロジェクトについてであります。

国では、燃料電池の普及拡大に向け、性能や耐久性の一層の向上と生産能力の拡大等に係る諸課題の解決を図るため、本年度から新たなプロジェクトをスタートさせることとしておりますが、その一角を担う燃料電池の評価技術の確立に向けた取り組みについて、先般、本県に参画の打診があったところであります。

県としては、将来的に、本県が燃料電池の評価機関の中核となることが期待できるとともに、燃料電池関連産業の集積・育成にもつながるものであることから、このプロジェクトに参画することとし、工業技術センターにおいて、燃料電池の性能評価試験を行って参ります。

次に、産業の振興についてであります。

中部横断自動車道や圏央道の開通など、今後、本県を取り巻く高速道路環境は飛躍的に向上致します。

更に、豊かな自然、比較的安価な土地、機械・電子産業の集積など、本県は、企業立地における様々な優位性を持っております。

こうした優位性を強力に発信しながら、新たな工業団地を整備し、企業を誘致することは、産業の振興のみならず、人口減少対策としても非常に有効であります。

現在、県では、県内外の企業に対して、本県の優位性やスマート工業団地の特徴などを説明しながら、本県への企業立地の可能性や、立地を判断する際に企業が重視する条件等を把握するための企業立地ニーズ調査を行っているところであり、その結果を踏まえ、新たな工業団地の整備について検討して参りたいと考えております。

また、本県の喫緊の課題である人口減少を食い止め、将来への展望を切り開いていくためには、基幹産業の振興のみならず、農業や観光をはじめとする産業間の連携により、地域資源を最大限に活用していくことも重要であります。

中国、六朝の詩人、陶淵明に「桃花源記」という作品があります。

そこには美しい桃畑に囲まれた理想郷が描かれており、桃源郷と称されております。

咲き誇る桃の花や、四季折々にその表情を変えるぶどう棚などに彩られた山梨の農村景観は、まさに桃源郷と呼ぶにふさわしいものであり、私は、県民の財産として、また、観光資源として、その価値を更に高めるため、世界農業遺産への認定を目指すことを公約として掲げたところであります。

こうした中、過日、山梨市、笛吹市及び甲州市の三市の市長から、峡東地域一帯の果樹園が織りなす美しい桃源郷景観などの世界農業遺産への認定に向けた協力要請がありました。

大変心強く感じたところであります。

果樹農業は、本県の重要な産業であるばかりでなく、美しい農村景観やワイン文化など、長い歴史の中で、県民生活や文化にも深い関わりを持つ貴重な財産であり、本県の魅力を世界にアピールしていくため、地元の皆様と一体となって、世界農業遺産への認定実現に向けて積極的に取り組んで参ります。

次に、防災体制の強化についてであります。

昨年9月の御嶽山の突発的な噴火を踏まえ、富士山の噴火に備えた避難対策について、避難ルートの検討や市町村避難計画の策定支援などの取り組みを進めております。

このうち、避難ルートの検討につきましては、7月1日の富士山の山開きに間に合わせるため、「富士山噴火時避難ルートマップ」を作成し、先日、県ホームページ等で公表したところであり、富士山への観光客や登山者、関係者の方々に、噴火時における避難行動や支援の目安にしていただきたいと考えております。

今後、火山専門家等で構成する「県防災会議富士山火山部会」において避難路についての課題や論点を整理し、更なる避難対策を講じて参ります。

また、3月に開催された、山梨・静岡・神奈川の3県等で構成する富士山火山防災対策協議会において、広域避難計画の「対策編」が策定されたところであり、今後、地元市町村が具体的な避難計画を早急に策定できるよう積極的に支援していくこととしております。

引き続き、観光客や登山者、地域住民の安全・安心の確保が図れるよう、富士山火山防災対策の充実・強化に努めて参ります。

また、昨年の豪雪災害を通じて、市町村をはじめとした防災関係機関との情報共有体制の不備が明らかになり、県議会からも御提言をいただいたところであります。

これまで、新たな防災情報システムの構築に向けた検討等を進めて参りましたが、平成29年度からの運用に向けて、災害に関する情報を防災関係機関が瞬時に共有でき、県民などへ迅速、かつ、分かりやすく伝達できる総合的な防災情報システムを構築して参ります。

また、公衆無線LANにつきましては、これまでも民間事業者と連携して、観光地における店舗やホテルなどの民間施設を中心に整備を進めて参りましたが、災害時等における県民、観光客などの通信手段の確保のため、避難所に指定されている高校や観光施設、公園などの県有施設への整備を進め、公衆無線LAN環境を充実して参ります。

今後は、市町村施設や病院等の公共的な施設においても、公衆無線LANの整備が促進されるよう、働きかけて参りたいと考えております。

地震発生時における住民の避難路や緊急車両の通行を確保することは、災害に強い県土づくりのために重要であります。

このため、県では、これまで市町村が指定した避難路沿道にある対象建築物の耐震診断について、支援を行ってきたところでありますが、これに加えて、耐震設計や耐震改修などに対する助成制度を創設し、地震発生時における避難路の円滑な通行を確保して参ります。

最後に、リニア中央新幹線の開業に向けた取り組みについてであります。

本県の新たな玄関口となるリニア駅周辺の整備については、リニア駅周辺整備検討委員会や県議会議員連盟、県期成同盟会のリニア活用策検討部会などの御意見を伺いながら、導入すべき機能やゾーニングなどの整備方針を検討してきたところであります。

今後は、これまでの検討内容をもとに、首都圏に近接した立地条件や豊かな自然環境を生かした定住人口の増加、新たな産業の集積などによる産業振興、自立・分散型エネルギーを備えた災害に強い地域づくりなどの視点を加え、駅の近郊を含めたより広いエリアにおいて、環境との共生や新たなライフスタイルが展開する「リニア環境未来都市」の創造に向けて、整備方針の策定に取り組んで参ります。

また、JR東海との協定に基づいて、用地取得業務を機動的かつ効率的に進めるため、本年4月、中央市にリニア用地事務所を設置したところであり、今後は、JR東海とともに、関係市町と連携して、地域の皆様へ事業内容や環境への影響などについて丁寧な説明を行い、御理解をいただいた上で、JR東海による測量や設計が終了したところから、順次、用地取得を進めて参ります。

次に、提出案件の内容につきまして御説明申し上げます。

今回提出致しました案件は、条例案6件、予算案6件、その他の案件1件となっております。

条例案のうち、主なるものにつきまして申し上げます。

先ず、山梨県立富士山世界遺産センター設置及び管理条例の制定についてであります。

富士山の普遍的な価値に対する理解を深めるとともに観光振興の役割を担う富士山世界遺産センターを明年6月に設置しようとするものであります。

次に、山梨県立射撃場設置及び管理条例の改正についてであります。

県立韮崎射撃場については、平成23年に国の基準値を上回る鉛汚染が判明して以来、立ち入り禁止措置の強化や水質モニタリング検査を実施するとともに、土壌汚染対策法などの関係法令や地元の皆様の御意見を踏まえつつ、汚染土壌の除去について準備を進めて参りました。

昨年度、地元の皆様を対象とした説明会を開催し、除去の工法について御了解をいただいたところであり、本年度から汚染土壌の除去や建物施設の解体撤去に着手して参ります。

これにより、韮崎射撃場は廃止することとし、山梨県立射撃場設置及び管理条例を改正するものであります。

次に、予算案につきまして申し上げます。

今回の補正予算案に計上致しております主要な施策・事業につきまして、「ダイナミックやまなしプロジェクト」に基づく6項目に沿って、御説明申し上げます。

その第一は、「やまなし創生推進プロジェクト」についての施策であります。

先ほど申し上げました、新たな地域づくりに向けた基本的な考え方と、地方創生時代の熾烈な自治体間競争に勝ち抜くために必要な今後5年間の具体的な施策・事業等を盛り込んだ総合計画を策定して参ります。

第二は、「基幹産業発展・創造プロジェクト」についての施策であります。

先ず、県経済を牽引する基幹産業の発展についてであります。

新たな地域づくりには、その基盤となる産業を育てていくことが必要不可欠であります。

このため、製造業や情報通信業の集積を図るとともに、中小企業が行う新技術、新製品の研究開発を支援し、成長分野への進出を促進して参ります。

次に、自立・分散型エネルギー社会の構築についてであります。

先ほど申し上げました、「やまなしエネルギービジョン(仮称)」の策定や、工業技術センターにおける燃料電池評価プロジェクト事業に加え、燃料電池自動車の導入支援などを進めて参ります。

また、省エネ基準に適合した住宅の普及を図るとともに、災害対策の拠点となる市町村の公共施設へのクリーンエネルギーの導入を一層促進して参ります。

次に、産業人材の育成と確保についてであります。

本県の基幹産業である機械・電子産業を成長、発展させていくためには、即戦力となる人材を育成、供給していくことが重要であります。

このため、県内企業や生徒、保護者に対し、必要とする人材や将来の希望等を詳細に把握するニーズ調査を行うとともに、産学官の関係者で構成する検討委員会を設置し、県立高等専門学校の設置などによる産業人材の育成、強化策について検討して参ります。

次に、中小企業の成長と持続的な発展についてであります。

本県では、従業者数に占める小規模事業者の割合が全国第1位であるなど、中小企業・小規模事業者が雇用や地域経済に与える影響は大変大きいものがありますが、これらの事業者を取り巻く環境は、人口減少、海外との競争激化など、依然として厳しい状況にあります。

このため、県内中小企業・小規模事業者の成長と持続的発展を目的とした、「中小企業・小規模事業者振興条例(仮称)」の制定に向け検討を進め、総合的な振興を図って参ります。

また、商工業振興資金の起業家支援融資について、融資要件を緩和するとともに、融資枠を拡大し、中小企業の成長を金融面からも支援して参ります。

第三は、「地域産業元気創造プロジェクト」についての施策であります。

先ず、豊かな森林資源の利活用についてであります。

本県の林業を取り巻く情勢は、東京オリンピック・パラリンピック開催を契機とする木材需要の拡大や、CLT工法等の新技術の進展など大きな変化が見込まれています。

このため、本県森林・林業における新たな指針となる「やまなし森林・林業振興ビジョン(仮称)」を本年中に策定するとともに、FSC認証材の販路開拓、供給拡大に向けた取り組みや、カラマツ材などの県産材の新たな活用方策としてCLT工法の導入推進などに取り組んで参ります。

また、本県の良質な「水」のブランド力を高め、水資源を生かした新たな事業の創出を図るため、「やまなし『水』ブランド戦略」を策定して参ります。

こうした取り組みにより、本県の豊かな森林資源を多岐にわたって活用し、地域経済の活性化へとつなげて参ります。

次に、高品質化・販路開拓による儲かる農業の展開についてであります。

農業を取り巻く環境変化に対応し、儲かる農業への転換等を進めるため、今後の農業政策の指針となる新たな農業施策大綱を本年中に策定して参ります。

また、将来にわたって本県農業を成長、発展させていくためには、海外における販路の拡大を図るとともに、国内においても観光業などと連携を取りながら新たな視点に立った取り組みを進めていくことが必要であります。

このため、東南アジア地域のショッピングセンターなどで、県産農産物や加工品、ワインなどの地場産品を展示販売するとともに、観光情報などを発信する常設拠点を設置することとし、明年度中の開設を目指して、設置する国や出店形態などの調査を実施して参ります。

また、特色ある県産食材の生産・利用拡大を図るため、県内ホテルやレストランなどの観光業者へのニーズ調査や、生産者と県内ホテルや旅館業者との意見交換会などを開催して参ります。

更に、高い収益が期待できる陸上養殖の開発、産地化を観光業者等と連携して進めるなど、儲かる農業に向け様々な取り組みを進めて参ります。

次に、活気に満ちあふれた農山村の創造についてであります。農業を将来にわたり維持・発展させるとともに、美しい農村風景を守り育てていくためには、多様な担い手の確保や耕作放棄地の解消などを進めていく必要があります。

このため、専門的知識を有する人材で構成する「農援隊」を設置し、退職帰農者や兼業農家等を対象に技術レベルや要望にあった個別指導等を実施して参ります。

また、耕作放棄地対策として、ニホンジカの年間捕獲数を1万4千頭に増やし、鳥獣被害防止の強化を図るとともに、野生動物が嫌う農作物の栽培実証にも取り組み、農地の有効活用と農家の営農意欲の維持にも努めて参ります。

次に、個性あふれる地場産業の振興についてであります。

近年、県産ワインは飛躍的に品質が向上し、国内外において高い評価を得ていますが、原料となるぶどうの不足や輸入ワインの増加などにより、国内市場のシェアは伸び悩んでいます。

このため、原料ぶどうの生産拡大、県産ワインの増産、更なる消費拡大を狙いとしたワイン産地確立推進計画を策定し、世界に通用するワイン産地の確立を目指して参ります。

次に、富士山と魅力ある地域資源を活かした国際観光都市づくりについてであります。

過日公表された昨年の本県の観光客数は、富士山の世界遺産登録の影響などにより初めて3千万人を超えるとともに、宿泊者数も739万人となり、前年に比べ87万人、13.4パーセント増加したところであります。

しかしながら、本県に宿泊する観光客は、その約8割が1泊の滞在であり、また、約半数を富士・東部地域が占めていることから、富士山の世界遺産登録などの効果を全県に波及させ、経済効果を高めるためには、本県が持つ魅力的な地域資源や景観力を活用して、広域的な周遊や2泊以上の滞在型の観光を促進する基盤整備や仕組みづくりが必要であります。

このため、世界にブランドが確立しつつある山梨のワインを中心に、もも、ぶどうなどの果実や、それらを栽培する美しい農村景観、温泉などを活用した滞在型周遊観光の実現を目指す「峡東地域ワインリゾート構想」を策定して参ります。

また、インバウンド観光については、私自らがトップセールスを行い、一層の誘客を図ることとし、本年度は経済成長により中間層、富裕層の拡大が見込まれ、有望な市場であるインドネシアやシンガポールにおいて、行政関係者や旅行関係者等へ積極的に働きかけて参ります。

次に、にぎわいを生み出す商業・中心市街地の活性化についてであります。

地域の商店の活性化を図るため、商店街等が連携して買い物弱者を支援する「買援隊」の取り組みを促進します。

また、甲府市中心市街地の活性化に向けて、甲府城周辺地域の整備に向けた計画を策定するとともに、甲府城跡の天守閣について、史跡整備の根拠となる文献や絵図等の調査を行い、復元の可能性を検討します。

第四は、「まなび・子育て環境創造プロジェクト」についての施策であります。

先ず、個性と学力を伸ばす教育の充実についてであります。

人口減少やグローバル化の進行など、大きな社会の変化に対応していくためには、地域が連携した取り組みの推進や英語教育の充実などにより、将来の地域を担う人材や国際的に活躍できる人材を育成していくことが必要であります。

このため、地域と相互に連携・協働し、学校組織全体の総合力を一層高める取り組みとして、保護者・地域住民が学校運営に参画する学校運営協議会の設置を進めて参ります。

また、小中学生を対象とする英語表記を加えた郷土学習教材を作成するとともに、高校生を対象とする留学プログラムの実施と留学費用の助成を行い、グローバル人材の育成に努めて参ります。

なお、この6月までに取りまとめることとしていた県有スポーツ施設の整備方針につきましては、新たな総合計画を策定中であることから、これとの整合を図った上で決定することと致します。

次に、安心して子どもを産み育てられる社会づくりについてであります。

子育て世代が安心して子どもを産み育てることができるようにするためには、社会全体が子育てに関心を持ち、子どもを見守り育てていく「子育て協働社会」の構築が必要であります。

このため、地域で子育て支援活動を行っている個人や団体を対象とした研修会やイベントの開催などを通じて、県民全体で子育て支援を行う機運の醸成や支援ネットワークの強化を図って参ります。

また、妊娠や出産、子育てに関する不安や負担を具体的に軽減していくことも重要です。

このため、これまで実施してきた女性に対する不妊治療の支援に加え、男性に原因がある不妊治療に対する助成制度を創設して参ります。

更に、本年度中の開設を目指し、準備を進めている産前産後ケアセンターには、年中無休24時間対応の電話相談窓口を設け、出産前後の母親が持つ不安を軽減して参ります。

また、ひとり親家庭の父母が、就職に有利な資格を取得することを支援するため、国の制度に県単独事業を加えることにより、専門学校などに通う全ての期間、給付金を支給して参ります。

こうした取り組みに加え、子どもを持つ家庭の子育てに関する価値観や、必要とする支援策などについて意識調査を行い、今後、より一層効果的な子育て支援を展開して参ります。

第五は、「健やか・快適環境創造プロジェクト」についての施策であります。

先ず、安心して暮らせる地域づくりについてであります。

高齢者の方々が自宅や住み慣れた地域で安心して生活ができるよう、地域全体で介護を支える体制づくりを推進していく必要があります。

このため、介護施設等の整備を推進するとともに、新たに介護従事者が使用する介護ロボットの導入支援や施設内保育施設の運営支援などにより介護従事者の確保定着を図って参ります。

また、地域における認知症対策として、市町村を越えた広域的な見守り体制の整備を進めるとともに、地域医療における対応力の向上や相談窓口体制の強化、市町村が進める認知症初期集中支援チーム設置への支援などを進めて参ります。

更に、ひきこもり状態にある方に対する適切な支援を行うため、ひきこもりに特化した相談窓口を設置して参ります。

次に、県民の健康増進と医療の充実についてであります。

県内医療体制の総合的なレベルアップを図っていくためには、救急医療提供体制の充実や地域への医師確保等に加え、先進的な高度医療を導入し、県内医療の高度化を進めていくことが重要であります。

このため、重粒子線治療などの高度医療の導入に向けた調査を実施するとともに、医療関係者等による検討委員会を開催し、適切で効果的な高度医療の在り方について検討して参ります。

また、本県は、人口当たりの人工透析患者数が全国上位にあるとともに、糖尿病性腎症による新規透析導入患者数が全国第1位という状況であります。

このため、慢性腎臓病の予防や重症化防止を推進することとし、早期発見、早期治療につながる検査体制の充実や治療体制の強化を図って参ります。

更に、在宅医療体制の強化を図るため、医療機関等が行う設備の整備に対し助成を行います。

こうした取り組みを通じ、最先端の高度医療による治療から、生活習慣病など身近な疾病の予防まで、県民の健康を守る体制を幅広く構築して参ります。

次に、「やまなしライフ・ワークスタイル」の実現についてであります。

移住・定住対策につきましては、これまで、首都圏の都市住民を中心に情報発信や移住相談を実施し、本年二月にはNPO法人ふるさと回帰支援センターの調査で田舎暮らしの希望地域で全国第1位になるなど、着実な成果を挙げております。

この流れを更に拡大するため、東京有楽町に設置しているやまなし暮らし支援センターの移住専門相談員を増員し、相談体制の強化と中部圏・関西圏における情報提供の充実を図るとともに、本県での魅力的な田舎暮らしを紹介するテレビ番組の制作を行って参ります。

また、移住者の住宅ニーズに対応するため、市町村が行う空き家バンクへの登録を促進することとし、新たに助成事業を実施して参ります。

第六は、「安全安心・交流基盤創造プロジェクト」についての施策であります。

先ず、災害に強い県土・地域づくりについてであります。

先ほど申し上げました、新たな総合防災情報システムや公衆無線LANの整備、避難路沿道住宅の耐震化支援などを実施して参ります。

次に、利便性の高い交通網の整備についてであります。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、県内各地域間の交通円滑化を図るため、西関東連絡道路の延伸や中部横断自動車道・中央自動車道のインターチェンジ・スマートインターチェンジへのアクセス道路の整備を重点的に進めて参ります。

また、高齢者など交通弱者や観光客などの移動手段を確保するとともに、リニア新駅から県内各地への移動を円滑にするため、バス交通ネットワーク再生計画の策定を進めて参ります。

以上の内容をもって編成しました結果、一般会計の補正額は、186億円余、当初予算と合わせますと4,624億円余となります。

昨年度の6月補正予算においては117億円余の大規模な雪害対策関連事業がありましたので、これを除く前年度同期予算との比較では、0.6パーセントの増となっております。

この財源と致しましては、地方交付税40億円余、国庫支出金71億円余、県債58億円余、繰入金10億円余などとなっております。

また、特別会計の補正額は、恩賜県有財産ほか4会計で18億円余となっております。

その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。

なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。

 

 

平成27年6月17日

 

山梨県知事 後藤 斎

このページに関するお問い合わせ先

山梨県知事政策局広聴広報グループ 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
電話番号:055(223)1336   ファクス番号:055(223)1525

山梨県総務部財政課 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
電話番号:055(223)1381   ファクス番号:055(223)1385

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