ページID:106923更新日:2022年4月4日

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令和4年度年度はじめ知事訓示要旨

 

令和4年4月1日(金曜日)

  • 知事訓示

 

今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
はじめに、昨日、無事に務めを終えられました141名の退職者の皆様に、心からの感謝を申し上げます。

また、本日、144名の新規採用職員をお迎えいたしました。

心から歓迎するとともに、今後の活躍を御期待申し上げます。

職員の皆様には、この1年間、新型コロナウイルス感染症への対応に大変な御苦労をおかけいたしました。

ちょうど1年前の「第4波」に始まり、夏の「第5波」、そして年明けからの「第6波」と大変厳しい状況に見舞われ、本当に「もういい加減にしてくれ」と、叫びたくなるような状況であったと思います。

しかしながら、試行錯誤を重ねながらも、皆様の献身的な御尽力が実を結んできた結果、1年前とは大きく状況も異なってきていると思います。

一つには、グリーン・ゾーン構想の進化であります。

山梨県は、コロナ発生初期の段階から、いち早く、「生命」と「経済」が両立した「超感染症社会」のビジョンを提示いたしまして、その実行戦略として、グリーン・ゾーン構想を掲げて参りました。

万全の医療提供体制と検査体制を基盤に、その上で経済と生活を回していこうというこの構想は、医療提供体制のたゆみない増強、検査体制の拡充、グリーン・ゾーン認証制度の普及と進化など、感染拡大の波が訪れる度に、その強度を上げ、充実の度を増してきた次第であります。

とりわけ、経済を回す「グリーン・ゾーン認証制度」が、今や全国のスタンダードとなっていることは、御承知のとおりであります。

コロナ禍の歳月で鍛えられました、グリーン・ゾーン構想の下での感染対策は、安全、安心、そして信頼という地域価値におきまして、本県を全国トップクラスに押し上げてきたと言っても過言ではなかろうと考えております。

二つ目は、ワクチン接種の進展であります。

グリーン・ゾーン構想と併せまして、「切り札」のワクチン接種が、「生命」と「経済」の両立を図る上での鍵を握ると考えて参りました。

県民の皆様にウイルスへの「盾」を獲得していただき、併せて、社会を感染の広がりや医療崩壊から守っていく。

そのための要となるのがワクチンであると確信をし、全国知事会の場におきましても、幾度となく、その重要性を発信してきたところであります。

幸いワクチンの3回目の接種が、多くの皆様の御尽力のお陰をもちまして相当程度浸透してきたことで、感染症に対する地域社会の体質は大幅に強化されております。

三つ目は、自宅での療養体制の確立です。

第6波の感染拡大の波が恐ろしいほど高くなる中で、職員の皆様の御尽力によりまして、極めて短期間で、医療が寄り添う「やまなしホームケア」などの療養体制が確立されました。

これによりまして、医療提供体制への負荷は劇的に軽減され、「必要な人に必要な医療を届ける」という体制の堅持に力を発揮してきたところであります。

以上3点に代表されます成果によりまして、本県では、オミクロン株がもたらしたフェーズの変化に、比較的スムーズに対応できていると思います。

すなわち、依然として一定程度の新規感染は発生し続けてはいるものの、病床使用率は50%を下回る状態を維持し、経済回復に向けて歩みを進めることができております。

ウイルスとの共存を前提に、ウィズコロナで経済を回していくという挑戦に先鞭をつけられたのも、皆様の御尽力の賜物であります。

全国的に相当程度の感染者が発生し続けている状況からしても、短期的には「ゼロコロナ」というものは望むべくもないと考えます。

こうした局面は、いち早く社会の強靱化を進めてきた山梨県が「先行者優位」に立ちまして、その果実を取っていける機会を開いていると思います。

「コロナ禍でさえ、したたかに成長の機会として生かす。」

「勝ち残るものは、元々の強者ではなく、状況に適応できる者である。」

このような考え方のもと、今年度も、戦略的に思考し、機動的に実践する1年にしていきたいと考えます。

その上で、山梨がポストコロナにおいて全国トップクラスの豊かさを誇る地域へと成長を遂げるべく、県民の皆様とともに総力を挙げ、県庁がその先頭に立って牽引をしていかなければなりません。

このため、令和4年度を「前進への本番の年度」と位置付け、全力で挑戦をしていきたいと思いますので、皆様のお力添えを何卒お願いを申し上げます。

それでは以下、今年度の取り組みの要点につきまして申し上げたいと存じます。

今年度は、県政の重要テーマといたしまして3つの柱、すなわち、「強靱化」、「高付加価値化」、そして「基礎条件充実」の「3つのK」を掲げまして、重点的に取り組んで参ります。

まず、「強靱化」に関しまして、私は、「個人の努力では避けがたいリスクから県民の生命・財産を守り抜くことこそ、県行政に課せられた使命の最たるもの」と確信する次第であります。

ここ山梨の地を、県民がそれぞれ持てる可能性を追求し、花開かせるにふさわしい舞台として盤石のものにしていきたいと思います。

そのために、リスクに対する備えを万全にし、県民の皆様の不安を取り除くことに全力を尽くしていただきたく思います。

まず、感染症に対する強靱化につきましては、先ほど申し上げましたことの繰り返しになりますが、山梨県は、波の襲来ごとに対応力の高度化を成し遂げてきております。このことにまず自信を持つべきだと思います。

今後も、山梨というコミュニティの構成員たる県民をはじめとする全ての関係者の連帯により、感染防止対策と経済・生活が高い次元で両立する「超感染症社会」への進化を推し進めて参ります。

自然災害に対する強靱化につきましては、これまでの3年間、交通強靱化や電力供給強靱化を着実に進めてきたところであります。

更に、富士山噴火や流域治水対策など、巨大災害に対しましてもしっかりと目を見開き、「正面からのリアルな対策」の構築をお願いいたします。

県民に対する責任はもとより、首都圏の企業のBCP対策の受け皿としての使命を果たしていく必要があります。

犯罪・事故に対する強靱化につきましては、事前の予防への全力投球はもとより、犯罪被害者支援の条例制定など、不幸にも犯罪や事故に遭遇してしまった方々を社会全体で支える仕組みの構築を着実に進めていただくようお願い申し
上げます。

次に、高付加価値化におきましては、産業、観光、文化、生活などのあらゆる分野で、高い付加価値を生み出せる構造をつくり出し、人口減少下にありましても、県民一人ひとりが豊かさを実感できる山梨の実現を目指して参りたいと考え
ます。

山梨県は、私から申し上げるまでもなく、素晴らしい可能性に満ちた産業、或いは地域資源にあふれているということにつきましては、皆様、異論がなかろうと思います。

しかしながら、私が思いますに、その多くの「可能性」が、これまで十分に活用されずに放置をされ、あるいは素材が素材のまま安売りをされてきたのではないかと思います。

これら「可能性」は、かつてこの地域に根差し、生業を営み、産業を興してきた先人たちが、営々と積み上げてこられたものであります。

現在に生きる私たちは、これを朽ち果てさせることなく、全て掘り起こし、磨きをかけ、次の世代に渡していく責務を負っているものと考えます。

山梨の可能性にあらゆる角度から光を当て、磨き上げ、あるいは複数の可能性の相乗効果によって高付加価値化を図ること。

更には、ブランド戦略によりまして、全体の「やまなし」ブランドの価値向上とそれぞれの地域資源の価値向上をもたらす好循環を確立すること。

これらを徹底することで、得られた果実、すなわち収益を県民の皆様に還元し、豊かさの実感につなげて参りたいと考えます。

また、このような観点から、富士山の登山鉄道構想につきましても、着実に議論を進めていかなければなりません。

最後に、「基礎条件充実」におきましては、一人ひとりに目が行き届き、個人の能力や個性が存分に発揮できる社会の実現を目指して参ります。

多様な価値を認め合い、誰もが活躍できる共生社会の実現は、山梨を国内外から多種多様な人材が集う地とするための必須条件です。

そして、この必須条件を満たすことなしには、遠からず山梨は、県全体が限界集落化してしまう恐れがあると言っても過言ではないと考える次第であります。

本日から新たにスタートさせました、男女共同参画・共生社会推進統括官を中核といたしまして、社会の変革に向けた施策を断行して参ります。

また、働く世代の可能性を十分に発揮していただくためには、この世代の最大の関心事である「子育て」「教育」「介護」の充実が欠かせません。

まず「子育て」ですが、私の就任とともに設置いたしました子育て支援局は4年目を迎え、我が県の子育て施策は間違いなく全国のトップランナーに位置付けられると思います。

「新しい姿の待機児童ゼロ」の追求、ヤングケアラーの支援の実行フェーズへの移行など、子どもたちをめぐる課題は引きも切りませんが、ぜひ、着実に進めていただきたいと思います。

次に「教育」ですが、山梨の教育で育まれる子どもたちは、「やればできる」という自己肯定感を高く持った、本県が誇る最大の可能性であり、宝物であります。

本日から新たに、小学校2年生にも25人学級を導入し、個々の児童の資質・能力をきめ細かく育むための体制が広がりました。

少人数教育は、大局的には次世代の山梨の付加価値を大きく高める施策でもあり、今後も小学校3年生、4年生、そしてそれ以降へと、積極的かつ着実に推進して参りたいと考えております。

「介護」につきましては、介護離職を余儀なくされることのない環境を整え、介護離職が引き起こす貧困などの問題を未然に防ぐため、「介護待機者ゼロ社会」の実現に向けて、今年はアクセルをさらに踏んで参りたいと考えます。

これら少人数教育の拡充、あるいは介護待機者ゼロを目指す上で、どうしても欠かせないのが、相当規模での恒久財源、安定財源の確保であります。これには、県有資産の「貸出し適正化」と、「高度活用」は避けて通ることができません。

特に、一部の県有地の賃貸借につきましては、これまで長きにわたり、時価を大きく下回る異常な算定方法により貸出しがなされてきました。

この状態を放置することは、違法無効であるばかりではなく、特定の企業を優遇するため、「山梨の『宝』である子供たちの未来を犠牲にするもの」と言わざるを得ません。

少なくとも時価に基づく適正賃料を基に、増額賃料を県民に還元していかなければなりません。

のみならず、県と、そして賃借人双方が協調して投資をし、資産価値を高めることで、賃貸土地の収益性の向上を通じた賃料の増額により、県、賃借人、そして、県民の「三方良し」の実現という好循環をつくり出すことを目指すべきであ
ります。

これこそ、県民から負託を受けて県有資産を管理する「管理人」として、また、その運用を担う「マネージャー」としての職責を果たすことであると信じ、今年度も県民資産の価値最大化に揺るぎなく取り組んで参ります。

以上、駆け足で方向性のみ申し上げて参りました。

最後に、ウクライナでは戦禍が収まる気配は今なおなく、ここ日本、山梨におきましても、大変に心を痛める毎日が続いております。

日々犠牲になられておられる方々に深く哀悼の意を表しますと同時に、一刻も早く、和平が実現することを願っております。

我々は、常に平和を希求しながら、しかし戦禍はときに突然に訪れてしまいます。

実際の戦争の悲惨な状況とは同列に語れないことは重々承知ながらも、私にとりましては、2年前の冬、新型コロナウイルスの到来により、山梨県庁の現場もコロナウイルスとの戦いの場と化した瞬間を思い起こさずにはいられません。

そして、そのウイルスとの戦いは、今もなお現在進行形で続いております。

本日、ここ山梨県庁の現場にお集まりの皆さんは、過去2年間にわたり、ともに県民生活を守り抜くために戦ってきた戦友とも言うべき、かけがえのない仲間であります。

そして、新たに着任された方々も、これからともに戦っていく、躍動を期待する即戦力であります。

この2年間、山梨県が県民を守るために徹底してきたあるべき姿は、ただ一点に集約できるのではないでしょうか。

それは「あらゆる状況を想定し、必要となりうることをあらかじめ、躊躇なく実行すること。」

すべての施策にあって臨むべき姿勢は、これに集約されます。県民生活と命に責任を負うべき者として、私は努めて、その先頭に立って参りました。

そしてまた、併せてコロナ禍という日々にありましても、同時に、コロナ禍後をどう築くかということにつきましても腐心をして参りました。

ここ山梨県庁にありましては、コロナ禍発生当初から、コロナ禍後の県民生活、県内経済、産業構想、すなわち山梨県の「跳躍」を見据えた計画を立て、数々の布石を打って参りました。

苦しい時をともに戦っていたのは、もちろん、県庁の現場だけではありません。

何よりも、県民お一人お一人が、自らを守り、周囲を守り、そしてふるさと山梨を守ってこられました。

それゆえにこそ、報いられるべきは我々県庁の現場である前に、まず、県民でなければなりません。

県民お一人お一人がコロナ禍という惨禍を乗り越え、その先に、豊かさが実感できる時間を迎えられること。

その目標に向け、今年は勝負の年となります。

これは決して、私の知事としての任期の最終年であるがゆえ、ではありません。

山梨において、コロナ禍をいち早く超克すべき勝負の年、それが今日、ここに始まるわけであります。

コロナ禍は、いずれ収束を見るはずです。

しかし、豊かさを県民お一人お一人に届ける挑戦は、皆様が県庁職員である限り続き、終わりなきものとなります。

県民の先頭に立ち、礎となるべく、皆様とともに志を共有したいと考えております。

すなわち、「やらないことは、最大の罪、やってみることこそが最善である。」あるいは、「不作為は罪であり、不断に挑戦することこそが是とされるべきである。」

それこそ山梨県庁の文化であるべきです。

挑戦した上での、試みた上での失敗であれば、その責めは問われるべきではありません。

前例と慣習と職責に甘え、「昨日まで」を「明日から」にただ無思考に継いでいくこと。挑戦から逃げること。県民に対する責任を持つ行政の現場として、それほどの罪はありません。

本年度はコロナ禍の先へ、豊かさを県民のもとへという県庁挙げてのチャレンジが復活する、復興元年の年であると位置付けます。

これまでの仲間も、そして、今日からの仲間もぜひ、ともに力を合わせ、新しい山梨を、未来の山梨を創っていこうではありませんか。

踏み出す勇気、実行する勇気、そして省みる勇気をもって、県民お一人お一人のもとに豊かさをお届けするための、未来の生活を築くための、終わりなき挑戦に、ともに歩んで参りましょう。

今年一年、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。

(以上)

 

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