ページID:99161更新日:2021年4月1日

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令和3年度年度はじめ知事訓示要旨

 

令和3年4月1日(木曜日)

  • 知事訓示

 

それでは新年度に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。

 

まずは、この令和3年度、引き続き、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。

はじめにですが、昨日、無事勤めを終え県庁を卒業されました、139名の先輩方に

心からの感謝を申し上げたいと思います。

次に、本日、132名の新しい同志、フレッシュな同志をお迎えいたしました。心から歓迎すると同時に、大いに今後の活躍を期待したいと思います。

職員の皆様方におかれましては、この1年間、大変な御労苦をおかけいたしました。この新型コロナウイルス感染症の拡大という、まさにこれまで誰もが経験したことがない、大変大きな惨禍の中であったわけですが、皆様のおかげをもちまして、これまでのところはですが、医療体制の構築は完了しております。

また、感染制御にもある程度の成功が出ているのではないかと、このように考えます。

あとは、ワクチン班の皆さんに大変な努力をしていただいておりますが、スムーズに、ワクチンを多くの県民の皆様、7割を目標にしておりますが、7割の県民の皆様に、接種をしていただき、集団免疫を獲得する、ここに向けて、さらに、全庁挙げた取り組みをしていただきたいと思います。

本日は、先ほど山梨県感染症対策センター、山梨県CDCの開所式が行われたところであります。

藤井総長はじめ、小島統轄官の下で、今後も引き続き、しっかりと感染防止対策を行い、県民の皆様の安心、安全をお守りいただきたく思います。

その医療提供体制、あるいはその感染制御体制の下で、現下の取り組みでありますが、まずは、コロナ禍から、経済、そして生活の防衛と、受けたダメージの回復、ここに全力を注ぎたいと思います。ここをいち早く成し遂げることこそが、ポストコロナ、次の局面におきます、山梨県の成否の大きな鍵ではないかと考えております。

大変、私どもにとりまして重大関心事項であり、やはりまた何とかしていただきたいわけですが、東京あるいは大阪といった大都市圏に関しましては、まさにこの生活経済の防衛と、その回復という点においては、足踏みをしていると言わざるを得ないのではないかと私は思う次第であります。

これに対しまして、我が県におきましては、グリーン・ゾーン構想の下、全県、総力を挙げた取り組みを実行している、これは皆様ご承知のとおりであります。

実は、ちょっと話が若干ずれるかもしれませんけれども、昨日、全国放送の取材をいただいたところであります。その中で、県庁だけではなく、県内の飲食店といったところを取材していただいたようですが、その取材された方の話によると、他のところとは違って、山梨県は県当局と事業者さん、県民の皆さんとの信頼関係というものは驚くほどできていますね、という感想をいただきました。

これはなぜかということを、一晩ずっと考えていたのですが、要は、私どもと他県が違う最大のポイントは、山梨県は、この感染症防止に関しまして、自らリスクを取っている、ここはやっぱり大きな違いがあったのではないかと思います。

他人ごとではなく、自らリスクを取ることによって、県民の皆様、そして県の事業者さんと、同じ土俵に立って、同じ仲間として連帯をしながらこの苦難を乗り越えていく。こういうことが、信頼感を構成する大元になっているのではないかと考える次第であります。

今後も、この体験を貴重な教えとして、県政各般に対して、対応させていきたいと考える次第であります。

元に戻りますが、このグリーン・ゾーン構想の下に、全県、総力を挙げた取り組みを、私は功奏しつつあると考えています。

山梨県は、来たるべきポストコロナ、ウイズコロナの時代に向けて、トップランナーの一角を占めつつあるのではないか、こう思っていただいても、決して言い過ぎではないと私は考えております。

その立ち位置を踏まえた、今後の方向性でありますが、今の時点から、ぜひ次の局面に向けた足腰強化を行っていきたい。

それには、大きく分けて二つの方向性、柱があろうかと思います。

一つは、山梨という社会の基礎条件の充実であります。

そしてもう一つは、あらゆる分野におきます高付加価値化、この二つが大きな柱になるのではないでしょうか。

まずは、社会の基礎条件の充実でありますが、本日から、いよいよ25人の少人数学級が現実の制度としてスタートすることになります。

山梨県の教育の最大の特徴であり、そして最大のプラスのポイントというのは、やはり全国で最も自己肯定感の高い子供を育てている、ここにあろうかと思います。おそらく今後、そう遠からぬ将来、この自己肯定感の高さというものは、必ず全国の教育に関心のある皆様からの注目を受ける、これは間違いないことだろうと思います。

そうした中で、この25人の少人数学級は、さらにこの自己肯定感を高め、子供たちが、今後、彼ら彼女らの人生において、苦難や厳しい場面に直面したとしても、必ずや山梨の子どもたちは、これによって乗り越えていけるだろうと思います。そういう足腰の強い子ども、さらに言えば、社会の役に立とうという思いが強い子ども、これを全国で最も強く育てている山梨の教育の良さというものを、今後さらに伸ばしていきたいと思います。

福祉におきましては、介護待機ゼロという取り組みにチャレンジしているところであります。

また、さらには、障害を持ったお子さん、あるいは障害を持った方々、この方々の生活を少しでもしやすくするための諸施策、これをさらに加速していただきたいと思います。

子育ての分野におきましては、これまでも、昨日もCDRの報告をいただきましたけれども、これも全国最先端の取り組みでありますし、保育に関する介護児童ゼロは、新たな次元の介護児童ゼロに向けて、引き続き御尽力を賜りたいと思います。

どこに行っても、いつでも、仕事を犠牲にすることなく、お子さんを預けることができる、このあり得るべき姿を、まずは山梨県からぜひ実現をしたいと強く希望する次第であります。

また、今回のコロナ禍によりまして、ステイホーム、あるいはソーシャルディスタンスが叫ばれる中で心配なのは、人々が分断されて、そして分断された個人が孤立化をしている。こういう状況に対して、私たちは、しっかりと真正面から向き合って、手を打たなければならないと思います。これも、すでに様々議論をスタートさせていただいているところでありますけれども、ぜひ早急に対策を打ち立てて、少しでもこの孤立化を防止し、しっかりとしたコミュニティの役割、これを山梨から回復をさせ、こういうやり方があるんだというモデルを示していきたいと思います。

さらには、県土の強靱化に関しましては、先般、4600億円の想定事業量を公表した次第であります。この4600億円は、想定事業量ではありますけれども、相当程度コミットメントした数字であります。最大限の努力をして、この4600億円を実現していく、このための数字であると理解をしております。

やるべきことは、多々ございます。

一昨年の台風19号以来取り組んでいただいております交通の強靱化、あるいは、そこから始まる治水の問題。先般、熊本県で、大変大きな水害に多くの皆さんが苦しみましたが、山梨県もまさに同じような地形にある中で、何としても、山梨県民には、その苦しさは味あわせないように、最大限の力を尽くしていきたいと考えます。

あるいは、また富士山の噴火災害につきましても、新たなハザードマップが示されたところであります。いよいよこれから、その対策というものを本格化させていかなければならない。やはりしっかりと現実を見つめて、こういう場合なっても、しっかり考えられている状況を作ることこそが、私は安全、そして安心感に繋がるだろうと思います。

また、環境エネルギー部におきまして取り組んでいただいている電力の強靱化、さらには、太陽光発電に関する諸規制は、いずれも相矛盾するように聞こえますが、このぶつかる問題・命題を両立させることこそ、私たち山梨県に課せられた一つの使命だろうと思います。

太陽光発電の条例案は、全国最先端を歩んでいるわけですし、これこそが、住民の皆さんと県との、新しい信頼関係の一つの出発点になることを確信している次第であります。

この様々な山梨という社会の諸条件の充実に合わせ、先ほど申し上げたとおり、社会の隅々において、高付加価値化というものを進めていかなければならないと考えます。すべてを申し上げることはできませんが、特徴的なものだけ各分野について挙げますと、産業面におきましては、これまで多くの成果を上げていただきました、メディカル・デバイス・コリドーです。これに関しては、いよいよ成果を具体的なものとして県民の皆様にお示しできるような段階までやってきたのではないかと思いますが、これをさらに進展させていただいて、山梨県の主力産業である機械電子工業が、安定性と成長性をビルトインできるようにお取り計らいいただきたいと思います。

さらには、ジュエリーなどの地場産業に関しましても、これはもう守りではなく、打って出る施策というものが、私は欠かせないと思います。幸い、この地場産業の担い手の皆様から、すでに新しい動きというのが出てきています。先般、日本酒におきましては、フランスの大変有名なシェフとのコラボレーション、あるいはブランドメーカーとのコラボレーションも実現しているところであります。こういう動きをどんどん応援して、内から外に向かったエネルギーというものをサポートしていければと考えます。

さらには、水素燃料電池について、FC-Cubicが、米倉山に来年度やって参ります。ここを中心に、新しい産業拠点、イノベーションの拠点というものを築いていくべく、皆様のお力をいただきたいと思います。

さらには、現在、企業局で取り組んでくださっているPtoGに関しては、単に国内だけの話ではなく、中東を初めとした海外に対して持っていくに値するものだろうと思います。すでにカタールやバーレーンあたりは大変注目をして、石油に代わる新たな輸出資源としてのグリーン水素、それを作るためのPtoGシステムに対して、極めて高い関心を寄せていただいているところであります。山梨県とこれらの国々がしっかり組んで、我々のシステムをもってグリーン水素を作り、それを国内に輸入することができるようになれば、このゼロカーボン社会が求められるオールジャパンにおいて、山梨県は、しっかりとした価値を発揮できるのではないかと思う次第であります。

農政におきましても、すでに果樹をはじめとして、輸出に向けた生産流通販売の三位一体改革に取り組んでいただいているところであります。加えて、4パーミルあるいはアニマルウェルフェア、さらにはスマート農業・データ農業という新しい取り組みに、意欲的にチャレンジをしていただいて、日本の農業における我が県の地位を確立していきたいと思います。今後、間違いなく、世界的には、食糧の奪い合いがやってきます。そうした中で、果樹王国あるいは農業生産県として、我が県のしっかりとした立ち位置を確保し、貢献をするべく御尽力を求める次第であります。

林政に関しましても、今年度から新たに林政部として独立していただきました。森林サービス産業をはじめ、新しい取り組みに大いに期待をして、ぜひ進めていただきたいと思いますし、また林業大学校が開校に向けて準備が進められているところであります。その担い手の育成に関してしっかり取り組んでいただき、この持続的な林業の発展のモデルをぜひ作っていただきたいと期待しております。

観光に関しましては、最も高付加価値化が求められる分野であろうと思います。ソーシャルディスタンスによりまして、もはや大勢のお客さんを一つの場所に集めるというモデルが成り立たなくなっており、高付加価値化を進めて、少ないお客さん相手に、しっかりとした、売り上げが上がるような観光モデルをぜひ作っていただきたいと思います。観光業は代表的なサービス産業であります。我が県の若い女性の75%がサービス業に就職されることになります。その最も有力な受け手として、私はこの観光業に期待するところであり、観光業が従来のようなブラック職場などと揶揄されるような職場から、若い子たちの憧れのハイセンスな職場となるようにしていただければ、本県の人口流出の最も大きな部分を、ひょっとしたら解消できるかもしれない。そういう可能性があるわけであります。

グリーン・ゾーン構想が、今、安全安心という新たな価値を提供しております。さらに美食ですとか、文化のコンテンツといったものを付加していただき、観光業全体の高付加価値化を進めていただきたく思います。

また、スポーツにおきましても、スポーツで稼げる県というものを掲げ、これを本格的に推進すべきところになっております。先般も、八ヶ岳のスケート場の問題を、北杜市とともに解決していこうということになったわけでありますが、スポーツ施設単体だけではなく、周辺に対する波及効果、あるいは周辺との相乗効果をぜひ念頭に置いて、スポーツが、本県産業の新たな担い手となるように、その第一歩を進めていただきたく思います。

挙げるときりがありませんが、最後に、本日お集まりの皆さんにも大変ご心配をおかけしております県有地問題でありますが、この県有地問題に関しましても、私どもの目指す最終目標というものは、県、県民、すでに借りている事業者との間のウィンウィンの関係を構築し、地域全体を高付加価値化していきたいというところであります。

今問題となっております、山中湖畔県有地440ヘクタールに関して言えば、現状、残念ながら、箱根ですとか軽井沢に比べれば見劣りがします。恐らくは、その2地域と比べても決して劣らない、むしろはるかに勝っている、世界最高水準のロケーションにあると言っても過言でない場所だとは思いますが、これが、今、閑散としている。これはやはり、私は、投資が欠けている点が大きな原因ではないかと思っています。

県と事業者で、お互いがそれぞれ投資をする、こういうモデルを作っていきたい。その障害となっておりますのが、現在の賃料算定の基礎となっております考え方です。それは、開発前の素地をもとに賃料を算定するという扱いをしているわけでありますが、これが、県による投資を阻んでいる一番大きな原因であると考えております。

県と、事業者で、それぞれ投資をしましょう。その土地を高付加価値化し収益力を上げて、地価を上げていきましょう。収益が上がることで、事業者はその株主に対して還元をしてください。我々は、その収益力が上がれば地価が上がりますので、上がった地価をもとに賃料を算定し、それによって上がった賃料をもとに県民の皆様に還元できる。こういうシステムを、何としても作っていくことが、山中湖だけではなく、山梨県が持っているすべての資産に対する、新たな高付加価値化をするための、一つの大きな原理ではないかと考えます。

公正かつ公平な投資、そして、その投資収益の分配に関するルール、これを、今こそしっかりと確立し、県民の皆さま共有の財産である県有林、あるいは県有地、あるいはその他の県有資産、この付加価値を高め、少しでも多く県民の皆さまに還元できるように取り組んでいきたいと思います。

長くなりましたが、私が高付加価値化、高付加価値化と、繰り返し連呼しておりますのは、山梨の可能性というものを確信するからにほかなりません。この可能性というものは、私たちの先人が営々と積み上げてこられた資産の上に成り立っているものであります。これを生かさずに朽ち果てさせることは、100年先まで禍根を残すことであり、今を生きる者として、ご先祖様にも、そして、次世代の子供たちにも顔向けができないことであろうと考えます。

よく県外の方から、山梨にどこかいいところがありますかと聞かれた時に、かなり多くの皆様が何もないですと言われることを耳にいたします。まさか県の職員皆さまはそういうことはおっしゃらないと確信しておりますが、ひょっとしたら心の内で、ちょっとあれっと思っている方もいらっしゃるかもしれません。ですが山梨は、この可能性というものに大いに満ちあふれ、しかもこの可能性というものは、グローバルレベルであると言っても差し支えないものだろうと確信する次第であります。

果物にしても、輸出をしようということは、外国に対して我々の持っているこのすばらしい資産を紹介し、売ってやるということでありましょうし、観光一つとっても、海外の皆さんに、この山梨県の良さそのものを売ることにほかなりません。多くの外国の皆さんが、山梨県の良さ、素晴らしさというものを確信し、それが故に多くの皆様が訪れてくださいます。今後さらに、そういうことを進んでいかせなければいけないと考えます。

先ほど申し上げましたとおり、日本で最も自己肯定感の高い子供たちを育てている山梨県でありますので、県全体が自己肯定感を高めていかなければならないと思います。県外の方から、どこかいいところないと聞かれた時には、何もないではなくて、少なくとも10個、あれもある、これもある、ここもあると挙げていただければありがたいと思います。ぜひ、今日お戻りになった後に、部下の皆さまにこのことをどうかお伝えいただきたいと思います。

もはや山梨県は、遠慮がちに周囲を見回して状況を伺っているという時代は終わったのではないかと、私は確信する次第であります。山梨県は、持てる力を最大限に発揮して、ポストコロナの日本を牽引するべき存在であるべきだ、それこそが、この山梨県に課せられた、ポストコロナ時代の使命であると考えます。

さらには、国内のみならず、グローバルにおきまして、しっかりと我が県が価値を発揮する、これもまた、山梨県に求められる使命だろうと考える次第であります。

ぜひ、今日ご参会の皆様とともに、この県庁がその先頭に立って、山梨の可能性の発揮に全力で尽力をしていこうではありませんか。

どうぞ、この1年間、大変ではありますけれども、何卒よろしくお願いいたします。

ありがとうございました。


(以上)

 

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