ページID:95277更新日:2020年6月18日

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令和2年6月定例県議会知事説明要旨

令和2年6月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。

「ふんばろう!やまなし」。

新型コロナウイルスがもたらすであろう難局を山梨県が一丸となって克服するために、私が、この言葉を県民、事業者の皆様に呼びかけてから約2箇月が経過しました。

本県では、4月20日に緊急事態措置を行い、県民、事業者の皆様に対しましては、学校の休業や外出の自粛、休業の協力要請など、様々な場面で、御不便、御負担をおかけしてきました。

私の呼びかけに対し、学業や日常生活、事業活動などで大きな影響を受けるにもかかわらず、御理解と御協力をいただきました県民、事業者の皆様に、心からの敬意を表するとともに、改めて御礼を申し上げます。

また、感染爆発を防ぐため、昼夜を問わず御尽力いただいている医療従事者の方々、感染リスクを恐れずにサービスを提供し続けていただいている介護や障害者福祉などの社会福祉関連業務に従事する方々に対しまして、感謝申し上げます。

加えて、これらの医療従事者等に対する支援も含め、これまで県に対して、多くの県民、事業者、団体の皆様から寄附金やマスクなどの医療物資の寄附が寄せられております。

皆様の善意に、この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。

さて、本県における新型コロナウイルス対策については、県議会議員の皆様からの御提言も踏まえながら、県民の皆様の生活と命を守るために、スピード感を持って、様々な対策を展開して参りました。

大都市東京などと異なり、本県の有する資源はごく僅か、特に財源、医療資源などは比べようもなく、他県並びの対策を全て取り込むことは困難であり、選択と集中が必要となります。

その選択と集中に当たっては、現在直面する課題の解決と将来への布石の二兎を追うことを旨とし、最大限知恵を絞り、いささかの手間も惜しまずに、県民の皆様の生活と命を守るため取り組んで参りました。

そして、県民、事業者の皆様の自らの犠牲を顧みない取り組みは、その後の感染者数の著しい減少、緊急事態宣言の解除など、目に見える成果となって現れており、足下の状況は引き続き警戒を要するものの、全体としてみれば感染の拡大を概ね抑制できている状態となっております。

しかしながら、スペイン風邪などの歴史の教訓や、特定警戒都道府県に指定されていた東京都、神奈川県、埼玉県などの大都市と隣接していることを踏まえれば、現在のこの抑制状態が今後も続くことは保証されません。

このため、現在のこの抑制状態は、皆様の御努力が与えてくれた猶予期間であると認識しております。

この猶予の間に、第二波に備えた医療提供体制を構築すること、感染症に強い社会、経済を形成すること、速やかな反転攻勢のための施策を展開すること、この3つの課題に正面から立ち向かい、そして解決に導くことが、今の私に与えられた使命であると考えております。

このため、6月補正予算につきましては、これらの対策に重点をおいて編成致しました。

先ず、現在の最重要課題である新型コロナウイルス感染症について、これまでの対応状況と6月補正予算の内容について御説明申し上げます。

国は、4月16日に緊急事態宣言を全国に拡大し、外出自粛による人との接触機会の8割削減など、日常生活や経済活動など様々な場面で、国民に対して自粛を求めてきました。

本県においては、先手対応、事前主義を基本姿勢として、国の宣言以前から、県民の皆様に対して外出の自粛などをお願いしてきたところですが、一方で、これからの県民生活、経済活動、学校教育などの維持を考慮した場合、自粛策を中心とした感染症対策を長期的に行うことは困難であり、感染症の存在を前提として、これを克服する感染症に強い山梨県を構築することが必要であります。

このため、これまでの間、先ず最優先で取り組んできたことは、感染爆発を防ぐための早期発見、早期治療の徹底と感染拡大に備えた医療提供体制の構築であります。

本県では、国が相談の目安として示した「37.5度以上の発熱が4日間」という基準を、感染者の早期発見の観点から、国に先駆けて県独自で緩和し、県民が異常を感じたらすぐに相談できるよう、保健所に対して柔軟な対応を指示しました。

また、山梨大学医学部附属病院や山梨県医師会の御協力も得る中で、比較的早い段階で、1日当たり約200件のPCR検査が実施できる体制を構築したところであり、人口比では全国最高水準の検査実績を残しております。

今後は、第二波への備えを確たるものにするため、検査体制の更なる充実・強化を図ることとし、早期発見により一定の成果を収めてきた韓国と人口比で同水準となる1日当たり約300件に拡充するとともに、県民の皆様が身近な地域で迅速に検査を受けられるよう、県内各地域の拠点的な医療機関に検査機器等を整備することとし、所要の経費を計上致しました。

また、世界的に品薄状態となったマスク、防護服、消毒液など、感染防止に必要な物資については、これまでも県で必要数を確保し、医療機関や社会福祉施設に提供してきたところでありますが、今後も引き続き、医療機関等における不足数を県で確実に確保することとし、所要の経費を計上致しました。

更に、県内で不織布マスクを安定的に供給できる体制を整備することとし、県内企業に対して、マスク製造設備の整備費用を助成するとともに、第二波、第三波が危惧される中、感染拡大を防止する上で絶対に不足が許されない、感染症指定医療機関や保健所などにおけるマスクの必要量を、時の市場環境に左右されずに確実に調達するため、製造開始後の1年間、一定価格で買い取りを行って参ります。

感染拡大に備えた医療提供体制の構築については、山梨大学医学部附属病院と県立中央病院の御協力のもと、重症患者用の病床を確保しており、中等症患者等の病床については、地域の基幹病院に対して特別給付金を交付する制度を設け、400床を確保すべく準備を進めているところであります。

また、北杜市の「ホテル若神楼」様の御協力のもと、入院治療の必要がなくなった患者の受け入れ体制も構築致しました。

第二波などに備え、引き続き、万全の受け入れ体制を確保するための所要の経費を計上致しました。

加えて、災害時に市町村が開設する避難所については、体育館や公民館が利用されることが多く、大勢の避難者が集まることにより、3密の条件がそろいやすい状況にあります。

昨年の台風19号の際には、県内に342箇所の避難所が開設され、延べ1万1537人の方が避難したところであります。

これから迎える台風シーズンに備え、避難所における3密対策に早急に対応するため、県でマスクや消毒液など感染防止に必要な物資を備蓄して参ります。

また、間仕切りなど3密対策に必要となる物資を被災の恐れのある市町村に提供する体制を整えるとともに、ホテルや旅館などを避難所として借り上げるための経費を助成して参ります。

こうした喫緊の対策に加え、今回の感染症による様々な厳しい経験をしっかりと将来の糧とすることも重要であります。

このため、先般、知事政策局内に疾病対策推進グループを新設し、感染症対策の立案から実行までを一元的に管理する「疾病対策管理センター(仮称)」、いわゆる山梨版CDCの設立に向けた検討に着手したところであります。

今回の感染症対応をしっかりと検証した上で、国内外の研究機関等との連携の在り方などについて検討を進め、来年度中に「疾病対策管理センター(仮称)」を設立し、感染症への備えを強化して参ります。

次に、県民生活に与える影響の最小化と新しい生活様式への対応についてであります。

これまでも、県立学校などへの遠隔教育の導入、介護保険施設での感染症発生時の事業継続体制の構築など、県民の皆様への影響を最小化するための対策に取り組んできたところであります。

しかし、今後起こり得る感染拡大の波や、将来、未知の感染症が発生した場合でも、県民の皆様の生活と経済が両立できる新しい社会に移行することが必要であります。

本県の緊急事態措置及びその後の休業等の要請において特筆すべきことは、県が策定した「施設における感染拡大予防ガイドラインの作成基準」に基づき、業界団体や施設などがガイドラインを作成し、事業環境を整えていただければ、休業の協力要請の対象であっても、個別に措置を解除し、営業を再開できるという本県独自の方針を示したことであります。

そして、先般、この本県独自の方針を更に発展させ、「超感染症社会」への移行に向けた戦略「やまなしグリーン・ゾーン構想」をスタートしたところであります。

本県は、今後、この構想に基づき、将来、未知なる感染症が発生した場合でも、県民の皆様の生活と経済を両立しながら不断に前進し続けることができる社会、「超感染症社会」に速やかに移行することを目指します。

また、これからの本県経済の再生には、県全体で、県内外の消費者からの「安全・安心・信頼」を獲得していくことが重要となります。

このため、しっかりと感染予防対策が講じられた飲食店や宿泊施設などに対して、新たに認証を付与し、消費者に分かりやすく示す仕組みを構築するとともに、この認証の取得を促進するため、事業者の皆様に対して、設備改修や備品購入などの経費の助成制度を創設することと致しました。

更に、認証取得事業者につきましては、今後、販売促進や観光振興を後押しする県の施策とも連動できる形を視野に入れており、これらの取り組みを通じて「超感染症社会」への移行を推進して参ります。

また、県民の皆様の能動的な健康改善を促進し、健康寿命の延伸などにつなげるため、パーソナル・ヘルス・レコードの普及と総合的な利活用を推進するための戦略を策定することとし、所要の経費を計上致しました。

次に、県内経済の安定化に向けた緊急対策についてであります。

感染拡大の影響による経済活動の停滞により、県内の多くの中小・小規模事業者の皆様が、売上の減少や資金繰りの悪化など、非常に厳しい経営状況に追い込まれました。

特に、宴会や旅行の自粛、学校の休業などにより、飲食店や宿泊施設、食材などの供給事業者の多くが、国の緊急事態宣言以前から実質的な休業状態となりました。

苦しんでいる事業者の皆様の窮状を救うためには、最速最短で国の様々な支援策を届けることが重要と考え、国の持続化給付金の迅速な受給をプッシュ型で支援するとともに、雇用調整助成金の申請に関する相談会の開催などに速やかに取り組んで参りました。

国の持続化給付金については、業界団体や商工会等を通じて県内の事業者に活用を促してきたところであり、5月末までに県の相談窓口や商工会等により、約7800件の申請支援を行った結果、4月末時点で売り上げが50パーセント以上減少した県内事業者のほぼ全ての申請支援を実施できたものと考えております。

また、雇用調整助成金については、今月末までに県内5地域で合計30回の相談会を開催することとしております。

今後も、対象となる全ての事業者が確実に受給できるよう、強力に支援して参ります。
更に、中小・小規模事業者の資金繰り支援として、4月補正予算で過去最大となる400億円の「新型コロナウイルス感染症対策融資」制度を創設したところでありますが、5月末時点で融資件数が約1900件、融資額が312億円に達するなど、ニーズが非常に多いことから、商工業振興資金全体の融資枠を630億円から1335億円へと、思い切って倍増致します。

また、今後、本県経済を速やかに反転攻勢させるためには、本県独自の「超感染症社会」への移行戦略「やまなしグリーン・ゾーン構想」の実行と同一歩調で、様々な施策を展開していくことが重要となります。

このため、観光立県やまなしを支える飲食店の皆様を支援すべく、無尽という本県特有の相互扶助のシステムを活用する取り組み、無尽でお助け「めざせ!みんなで100億円」キャンペーンを展開して参ります。

また、今後、国が実施する「GO TO Travel キャンペーン」に、本県ならではの食や魅力ある伝統芸能など、付加価値の高い観光資源を組み合わせることで、他県との差別化を図り、誘客を促進して参ります。

更に、日本酒やワイン、ジュエリー、織物など地場産品の消費回復を促進するため、インターネット販売サイトの構築支援や、インターネット広告の配信など、消費者の購買意欲を喚起する取り組みを実施し、本県経済を支える地場産業事業者を支援して参ります。

また、農畜産物の詰め合わせを宅配で提供する取り組みや、甲州牛や甲州地どりを学校給食で活用する取り組みなどを通じて、消費低迷にあえぐ県内農家を支援して参ります。

次に、その他の当面する県政の課題についてであります。

先ず、スポーツによる地域の活性化についてであります。

本県の地域活性化に向けては、スポーツを成長産業として捉え、その市場を積極的に取り込み、県内経済の発展につなげていくことが重要であります。

このため、昨年度から有識者による懇話会を開催し、専門的な見地から御意見を伺うとともに、本年四月にスポーツに関する施策を一元的に所掌するスポーツ振興局を設置し、関係部局との連携による施策展開に着手したところであります。

スポーツの成長産業化を図るためには、県、市町村、民間企業、競技団体など、多様な主体が連携しながら、本県の特性を踏まえた取り組みを進めていく必要があることから、具体的な施策の方向性を明らかにする戦略を本年度中に策定することとし、所要の経費を計上致しました。

次に、甲府城跡整備基本計画についてであります。

昨年2月に国の史跡に指定された甲府城跡について、その歴史的な価値を正しく伝え、次世代に継承できるよう、現在、甲府城跡の保存活用の基本的な考え方を示す計画を策定しているところであります。

今後は、この保存活用計画に基づき、具体的な整備の指針となる「史跡甲府城跡整備基本計画」の策定に着手し、専門家や地元の御意見を伺いながら、史跡の価値を保全しつつ、観光資源としての魅力を高めて地域の活性化につなげることができるよう検討を進めて参ります。

次に、太陽光発電施設の適正管理についてであります。

平成24年7月に固定価格買取制度が開始されて以来、事業用太陽光発電の導入が急速に拡大したことから、県では平成27年度に「太陽光発電施設の適正導入ガイドライン」を策定し、事業者に対する指導を行って参りました。

一方で、山間部や傾斜地等の災害発生リスクの高い地域や、景観を保全すべき地区等については、ガイドラインにより「立地を避けるべきエリア」として指定しておりますが、一部事業者においては、これらの地域へも設置をしており、地元では防災や景観、環境への影響が懸念されております。

また近年は、台風による大雨や暴風等により、稼働中の太陽光発電施設が被災する事例が報告されており、今後は、導入時だけでなく、施設の適切な維持管理についても事業者の指導を強化していく必要があります。

そこで、ガイドラインの策定から5年が経過することも踏まえ、これまでの対策の効果や課題の検証を行うとともに、より実効性のある事業者指導の在り方について、具体的な検討を進めて参ります。

次に、管理捕獲従事者等の研修施設の整備についてであります。

野生鳥獣による森林生態系への影響や農林業被害の軽減に向け、新たに整備するライフル射撃やわななど狩猟全般にわたる研修拠点となる施設については、管理捕獲を担う山梨県猟友会等の御意見を伺いながら、必要な機能や規模、整備場所等の検討を進めて参りました。

こうした中、本年3月に、山梨県猟友会や地元自治会からの要望を受けた韮崎市から、県に対し、韮崎市穂坂町地内の県有林への整備を求める要望書が提出されたところであります。

このため、当該県有林内に整備する場合の概算工事費などの基礎資料を得るための調査を実施して参ります。

次に、4パーミルイニシアチブによる本県農産物のブランド化についてであります。

2015年にパリで開催されたCOP21では、温室効果ガスの排出削減等の新たな枠組みとしてパリ協定が採択されましたが、この際にフランス政府の提案で「4パーミルイニシアチブ」という国際的な取り組みが始まりました。

土壌中に炭素を貯留することで、大気中の二酸化炭素の濃度を低減し、地球温暖化を抑制する取り組みで、5月末の時点では日本を含め、474の国や国際機関などが参画しており、本県も、4月に都道府県として初めて参加が認められました。

今後は、県産果実の付加価値を向上させる手段の1つとして、本県の果樹農業への導入を目指すこととし、剪定枝の炭などを活用するための試験研究や現地実証試験などに取り組んで参ります。

最後に、燃料電池評価プロジェクトについてであります。

国は、燃料電池の普及拡大に向け、性能や耐久性の向上、生産能力の拡大など諸課題を解決するためのプロジェクトを推進してきました。

本県では、平成27年度から、国のプロジェクトに参画し、産業技術センターにおいて燃料電池の性能評価試験に取り組み、高い評価を得てきたところであります。

本県における燃料電池関連産業の育成・集積を一層促進するために、今般、第二期として、国のプロジェクトに参画することとし、県内企業への技術支援体制を強化して参ります。

この他、予算案につきましては、国の内示の増に伴う公共事業費の補正予算などを計上致しております。

以上の内容をもって編成しました結果、一般会計の補正額は、460億円余となります。

次に、提出案件の全体につきまして御説明申し上げます。

今回提出致しました案件は、条例案4件、予算案4件、その他の案件2件となっております。

条例案のうち、個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の改正につきまして申し上げます。

県民の利便性の向上及び行政事務の効率化を図るため、個人番号の利用範囲について所要の改正を行うものであります。

その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。

なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。

最後に一言申し上げます。

新型コロナウイルスは、在宅勤務への転換、テレビ会議やキャッシュレス決済の導入促進など、「新しい生活様式」の名のもとで、極めて短期間で、日本社会に大きな変革をもたらしました。

しかし、新型コロナウイルスが明らかにした大都市圏の脆弱さを考慮すれば、日本社会には、今後、更に大きな変革が起きるはずです。

東京、大阪、名古屋の三大都市圏への一極集中から地方への分散。

集中から分散へ。

企業などの大都市圏からの脱出が現実味を帯びてくる中、本県には、近い将来リニア中央新幹線が開通するという他県にはない優位性があります。

この優位性に加えて、「超感染症社会」への移行に向けた戦略「やまなしグリーン・ゾーン構想」を確実に実施し、山梨県全体が「安全・安心・信頼」を獲得していけば、山梨県は、現在、大都市圏に住んでいる方々から選ばれる地域となり得るでしょう。

県民、事業者、行政、三者の協力により「超感染症社会」に脱皮し、コロナ収束後の明るい山梨を築いて参りましょう。

令和2年6月18日

山梨県知事 長崎 幸太郎

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