インタビュー

《キャリアコンサルタント》 宇佐美 一美
Vol.7 【キャリアアップ】やりたいことは、とにかく始めてみること
今回のゲスト
《キャリアコンサルタント》 宇佐美 一美さん
(大月市)
英会話教師
キャリアコンサルタント

子どもたちと接するなかで知ったキャリアコンサルティングの重要性。

子育てが一段落したころ、夫の勧めもあって自宅で子ども向けの英会話教室を開設した宇佐美さん。はじめは自分にできるだろうかという不安もありましたが、子どもたちと過ごす時間は思った以上に楽しく、やりがいもありました。今では、3歳から高校生まで100人あまりの子どもが、宇佐美さんの教室で学んでいます。さらにこの英会話教室開設から10年後には、大月市内の中学校に非常勤講師として採用されました。現在、午前中は中学校で教鞭をとり、午後3時過ぎから英会話教室で教えるという忙しい毎日を送っています。
キャリアコンサルティングとは、職業や進路についてさまざまな相談に乗ったりアドバイスをするいわば「職業指導」。その仕事に就くためにはどうしたらいいいのか、どのような資格が必要かなどのアドバイスはもちろん、転職や定年退職後の再就職・ボランティア相談など、幅広い年齢層からの人生設計の相談に応じます。最近では、企業などにキャリアコンサルトを置くケースが増えています。
宇佐美さんは、英会話教室と中学校で子どもたちとのかかわりを持つうちキャリアコンサルティングの重要性を認識したといいます。
「したいことが見つけられない、どのような進路を選んでいいのかわからない。そういう子供がたくさんいます。そういった悩みを相談に来る子ども達のためにもちゃんと準備しておいたほうがいいと感じました」
そこで宇佐美さんは『独立行政法人 雇用能力開発機構』が主催するキャリアコンサルタント養成講座に通うこととなりました。

じっと耳をすませて相手の話を聴くこと。そこからすべてが始まる。

週末を利用して受講したキャリアコンサルタント養成講座は、全国各地で一斉に行われたサテライト形式のものでした。衛星放送の画面に映し出される講義を受け、質問などもリアルタイムでできる仕組みになっていました。15名ほどの受講生の中に女性は3人。
「講座ではまず『傾聴』することを教わりましたね。ただ黙って相手の話を聴くんです。途中で口を挟みたくなっても最後までじっと我慢して、聴くことに徹します」
相談者が何を悩んでいるのかを的確につかむことから、アドバイスの糸口を見つけます。受講生同士で相談者とコンサルタントを演じあう実習も行われました。
半年間にわたる講座の終了時には、筆記試験・面接・レポートを総合的に評価した能力評価認定証書が発行されます。
宇佐美さんは、この養成講座を一緒に終了した仲間と『NPO法人 山梨県キャリアコンサルティング協会』を設立。日々の仕事の中にキャリアコンサルティングを役立て、仲間との情報交換をしています。
「日常が勉強のよい機会です」
キャリアコンサルティングの能力を伸ばすのは、何よりも多くの経験のようです。

今やりたいことは心理学の勉強。カウンセリングを本格的にやっていきたい。

仕事と家事の両立で、なかなか新しいことを勉強する時間が取れないのが悩みという宇佐美さん。心理学を学んで本格的なカウンセリングに取り組みたいと考えています。さらに、英会話をもっと楽しくもっと上手に教える方法を研究したり、身障者にも英会話を教えてみたいと夢はふくらみます。
「子どもが大きくなってから、準備がすべて整ってから、とスタートを迷いあぐねてはいけない。とりあえず始めてしまうことが大事。そうすれば必要に迫られながら勉強していけるし、大変なことがいろいろあっても何とかなるもの。そうやって続けていくことでチャンスは見つかります」
不思議なもので、宇佐美さんが英会話教室を始めるにあたり、2歳半の子どもの面倒をどうやってみようかと悩んでいたとき、友人が1年半もの間、面倒をみてくれたと言います。「不思議なタイミングってあるものなんです」という宇佐美さん。
あれこれと考えていないで、とりあえずスタートさせてしまうこと、そして、精一杯がんばること。これが、宇佐美さん流の自分を磨く方法のようです。

取材日:平成17年2月18日

バックナンバー

宇佐美さんのこれまで

自宅の一部を開放し、子ども向けの英会話教室を開設。

大月市内の中学校へ非常勤講師として勤務。

『独立行政法人 雇用能力開発機構』のキャリアコンサルタント養成講座を受講。

『NPO法人 山梨県キャリアコンサルティング協会』のメンバーとなる。

中学校と英会話教室の教師という仕事の中で、キャリアコンサルティングのノウハウを実践しながら、勉強を重ねている。

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