インタビュー

《オーガニック農場 KINO CAFE 経営》  井波 希野 
Vol.43 【農業・林業】女子ひとりで農業にチャレンジ!
今回のゲスト
《オーガニック農場 KINO CAFE 経営》  井波 希野 さん

農業には可能性がある!スイスへ留学、そしてひとりで農業を開始!

 「農業には可能性がある。いろんなことにつなげていける」スイスでの農業留学では農業の可能性を強く感じました。そして自分は農業でやっていこうと思いました。
 スイスでは、農家に住み込みで研修を受けました。私がお世話になった家族では酪農、養鶏、果樹、野菜を一つの家族で経営します。大規模で、とても効率的な農業でした。研修では言葉も分からない、仕事はきつい、体力的にも限界でしたが、その一方で農業の可能性を強く感じ、帰国したら農業をやろうと考えていました。
 帰国後、最初は畑1枚からの出発です。実家(北杜市白州町)の近くに畑を借りキャベツやトマトを植えました。それまで短大での学びやスイスでの体験はありましたが、基礎が全く分かっておらず、一年を通して“今何をすればいいのか”が分かりませんでしたので最初は失敗もありました。でもその時には近所の農家や同じ「道の駅」に出荷している農家に教えていただいたり、近所の農家に研修に行きました。
 平成16年に就農認定を受け、それから徐々に畑を増やし、野菜の品目も増えました。現在は1.5㌶、年間を通して60品目くらいを生産し、研修生を受入れたり、 ボランティアさんに手伝っていただいています。

オーガニックでの栽培が基本。大地の力の詰まった野菜を食べてほしい

 最初から農薬や化学肥料は一切使わない農業を実践してきました。有機農業(オーガニック農法)であることが基本だと思っていましたから、農薬や化学肥料を使うという選択肢はありませんでした。有機農業へのこだわりは自分が女性だからということも関係があるかも知れません。
 今は多くの方に有機農業の良さを認めていただいていますが、私が始めた頃は今ほど浸透していない頃だったので、最初は「変なことやっているね」といった感じで反応も冷ややかでした。
 よく虫がついて大変ではないかと聞かれますが、虫にはいい虫も、悪い虫もいますので、私はそのバランスだと思っています。
 それから野菜作りのこだわりとしては、「全て自然のまま」、「あるがまま」に栽培しています。農業をやっていて思うのですが、自分達の力は少ししかないので、善いことも悪いことも全部自然のままいただくしかないと思っています。
 私の作る野菜を、地元の小中学校の給食に使っていただいています。子ども達は未来の象徴ですので、子ども達に本当にいい野菜、大地のエネルギーがいっぱい詰まった野菜を食べて欲しいと思っています。

農業プラスα(アルファ) の生活へ 〜地元とのつながり〜

 農業に対してはストイックに頑張って取り組んでいますが、それだけではなく日々の楽しみも大事にしたいと思っています。 
 今、農業だけではなく地元と関わることも始めています。私は田舎がおしゃれだと思っていて、いい流れが来ていると感じているので、その気持ちに共感してくれる仲間と共にイベントを開催しています。地元の名水公園べるがを会場に、手作り作家のアクセサリーやマクロビオティックのお菓子屋などが一堂に会します。みんなで楽しめるワークショップやピアノの弾き語り ライブもあります。
 その他の活動としては、地元の保育園へ月1回菜園指導に行っています。子ども達と一緒に種を蒔いたり収穫をします。子ども達がとてもかわいくて、子ども達に会うと 元気をもらいます。この菜園指導や小中学校の給食に野菜を 使っていただいていることなど、地元とのつながりがとても励みになっています。
 今後は、「もっともっと」と拡大し続けるのではなく、きちんと畑の管理ができ、身の丈に合った農業をしていきたい。そしてプラスαの生活とともに、楽しくずっと続けていけたらいいと思っています。

これからチャレンジする女性へのメッセージ

 まず何をやりたいのか明確にする。ポリシーとかイメージとか、これだけは譲れないというものをきちんと持つこと。
 そうすれば、それがよいことであれば大変でも辛くても絶対に上手くいくと思うので、あきらめないで頑張ってほしい。

オーガニック農場 KINO CAFE
http://www.ne.jp/asahi/bio/kinocafe/
(取材日 平成22年8月18日)

バックナンバー

井波さんのこれまで

短大の園芸生活学科で農業全般を学ぶ。卒業後は役者を目指して養成所に通う。

平成14年:スイスで農業留学を体験。帰国後は北杜市白州町で1枚の畑から 就農を開始。
最初から有機農業を実践。

平成16年:就農認定を受ける。研修生や農業ボランティアを受入れながら徐々に作付面積と生産品目を増やす。

現在:農業に加え、イベント開催や保育園での菜園指導など地元とのつながりを重視する生活を送っている。

井波さん(野菜写真1)