意識の変化

　堀内洋蘭では、胡蝶蘭、ビオラをはじめ、様々な花壇苗が栽培されています。「買った花がすごくもったよ!すごいから見に来て!」など、花を買った方から嬉しそうに話をされたときは、何よりもやりがいを感じると言います。「楽しいから、好きだから続けられています」と笑顔で語る姿がとても印象的でした。
　短大の園芸生活学科で、2年間、野菜、果樹、花き、畜産などの知識・技術を幅広く学びました。卒業後は、両親が営んでいた農園を手伝っていましたが、当時は「農家の家に育ったので当たり前に農業をやるものだ」というくらいにしか考えていませんでした。
　「昔は人見知りだった」と佐藤さんは言います。結婚後、「自分の気持ちは口にしないと伝わらない」という夫の言葉をきっかけに、積極的に外へ出るようになりました。このことが、佐藤さんにとって大きな転機となりました。
　そのころから、農業関連の講座に積極的に参加するようになり、様々な人との出会いを通じて、ネットワークを広げていきました。平成14年からは、県の「農村女性アドバイザー」に認定され、地域の女性リーダーとして、クラフト体験教室で障害をもつ人に自然の材料を使ったクラフトづくりを教えたり、地域の仲間と共に味噌づくりに取り組むなど、農業・農村における男女共同参画社会の実現に向けて活動しています。
　平成16年に両親から農園を引き継ぎ、「変われるかな」「何かしたい」との思いから、起業を目指す農村女性を支援する講座「パワーアップスクール(現パワフルウーマンセミナー)」を2年間受講しました。この講座には、新規就農を目指すなど、志の高い人たちが周りに多く集まったことから、今まで自分の考えが甘かったことに気付かされ、自分自身を見直す良い機会となりました。

新たなチャレンジ

　「なるべく多くの人に自分の育てた花を直接見に来ていただきたい」という思いから、現在、ITを活用した女性のための起業支援事業「やまなしときめきネットショップ」に参加しています。きっかけは、「パワーアップスクール」の卒業生でつくる「山梨きら星ネット」の仲間から声を掛けられたことです。講習では、「こんなにパソコンに向かったことはない」というくらい一日中パソコンに向かいながら四苦八苦しました。今年3月からネットショップ「ガーデンひろ」で花の販売を始めます。今後は、花の育つ様子をブログに載せることで、もっと多くの方に興味を持ってもらい、販売を増やしていきたいと考えています。
　また、遊休農地の活用と織物業の活性化を目指す、富士吉田市内の織物会社「フジチギラ」との共同事業が、昨年12月に国(農林水産省、経済産業省)から農商工連携事業に認定されました。佐藤さんが遊休農地で染料となるアカネを栽培し、フジチギラはアカネの染料を使って服飾品を開発・販売します。今年6月までにアカネ7千本の株が必要となるため、現在準備を進めています。今後は、農業仲間にも手伝ってもらい、事業の裾野を広げていきたいと考えています。

行政への参画

　平成19年に県の「やまなし女性の知恵委員会」委員を務めました。9名の女性委員で「農業農村の活性化」をテーマに検討し、知事に提言書を手渡しました。「自分が知らないと発言できない」との思いで、県から送られてくる多くの資料を読んで知識を増やしていきました。「委員には、農業の従事者だけでなく、自営業、主婦などいろいろな立場の人が集まったので、とても勉強になった」と佐藤さんは話します。
　積極的に活動を行う背景には、「自分だけでなく、みんなで元気にやっていけたらいいな」という思いがあります。今後は、仲間みんなで、農業が伸びていけるように頑張り、それを楽しみながらできたら最高だと思います。

☆佐藤さんからのメッセージ☆

　前向きで、へこたれないことが大事。分からないことがあれば、一人で悩まないで実際にやっている人に聞いてみることが一番です。(農業なら、県の普及指導員の方と知り合いになるのがお勧め)そして、考えるだけでなく実行してみてください。

堀内洋蘭
〒403-0006　富士吉田市新屋450
電話番号:0555(24)2917
メールアドレス:honeysucklehiroko@yahoo.co.jp

「やまなしときめきネットショップ」ホームページ
→http://y-tokimekinet.com/index.html
(取材日　平成21年2月16日)