インタビュー

窪田武子
Vol.31 【起業】造り酒屋直結のおいしいお酒と、多様な文化の発信地
今回のゲスト
窪田武子さん
(山梨市)
「酒蔵 櫂」経営

講演を聴いて起業を決意

 窪田さんの実家はワイン製造会社軍配醸造(株)です。窪田さんはその社長職を継ぎましたが、日本酒の造り酒屋である養老酒造(株)の社長と結婚してからは、軍配醸造は事実上事業を休止していました。
 夫の事業の手伝いと子育てに専念していた窪田さんが50歳を過ぎた頃、造り酒屋を取り巻く状況は厳しいものとなっていました。窪田さんは「養老酒造を盛り立てるために、私が何かしなければ」と考えるようになりました。
 そんな折、山梨県立女性センター(現・男女共同参画推進センター)で起業セミナーがあることを知って出かけました。やまなし女性異業種の会の会員が講師として話す起業体験を聴いた窪田さんは、「これならば私でもできるかも」と思い、「『私55歳なんですけど…』と講師に言ったら、『年齢は問題じゃないですよ、やってみようという気持ちが大事だから』って言われて、それでやってみようかなと思いました。」
 もともと料理好きで、調理師免許を持っていたこともあり、養老酒造の日本酒をおいしく飲めて、料理も楽しめる酒蔵を軍配醸造の事業として展開することにしました。

「酒蔵 櫂」オープン

 築180年の養老酒造の2階を1年間かけて改装し、平成11年1月、「酒蔵 櫂」がオープンしました。この開店資金は、山梨市の商工会に相談し、国民生活金融公庫から借りました。養老酒造の経営が厳しい中での資金調達でしたが、窪田さんは、「私を信じてほしい」と担当者を説得しました。
 「人間は、誠意をもって付き合っていけば、道は開けると思います。商売は、あきらめちゃいけない。何が一番大事って、自分が一番大事だから、他人も大事にしたい。まっとうに人にぶつかっていけば、必ず何か返ってきます。国民生活金融公庫が私を信じてお金を貸してくれたんだから、がんばらなければと思っています。」

人が集まり、学んで楽しむ

 「酒蔵 櫂」は、昼は喫茶、夜は食事、また毎月1回、音楽などジャンルを問わないコンサートを開催しています。また、ギャラリーの無料貸し出しも行っており、展示会やカルチャー教室が開催されるなど、幅広い世代が集う文化の発信地となっています。
 「自分が心地よく人生の秋を送ろうということと、自分が引き継いだ酒造業というものをどういうふうに次の世代に引き継いでいけるかを考えています。」

「酒蔵 櫂」
山梨市北567 養老酒造(株)内
tel 0553-22-0047 月曜定休

☆メッセージ☆

まず、第一歩を踏み出さすこと。
踏み出せば失敗もあるけど、踏み出さないと失敗もない。
始めれば一生懸命になれるし、たとえ失敗しても、チャレンジした方がしないよりずっといい。

バックナンバー

窪田さんのこれまで

夫が社長を務める造り酒屋の経営不振から、自分で新規事業を開始することを決意

平成11年「酒蔵 櫂」オープン

「櫂」では、月に一回コンサートを開催。また、カルチャースクールや個展会場として場所を提供するなど工夫をこらした経営で、造り酒屋を盛り立てている。

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