インタビュー

《農産物加工》 味菜工房
Vol.27 【農村女性グループで起業】食の安全を守り食文化を残したい。農村女性の願いを込めた起業
今回のゲスト
《農産物加工》 味菜工房さん
(甲府市)
有限責任中間法人 中道農産物加工直売組合 加工部「味菜工房」

朝市から直売所組合設立

〔代表の柿嶋美保子さんにインタビューしました。〕

 現在、組合理事をしている柿嶋さんは、平成12年、認定農業者になったのを機に中道町農業者会議に加入。一緒に会議に加入した女性二人とともに、「自分で作った物を直接、消費者に買ってもらいたい。」との思いから町営レストハウス風土記の丘で朝市を始めました。この朝市が好評だったことで、柿嶋さんたちは常設の直売所を設置することにし、平成14年6月、農業者会議女性部の12人を含む男女約20人で中道農産物直売所組合を設立しました。
直売の活動に加え、組合の女性たちは、平成14年秋の2か月間、軽食・喫茶にチャレンジしました。サーカスの公演に合わせての試みでした。町内の人たちに意見を聞いて商品の試作研究を重ねたり、運営方法を検討した結果、手作りの和菓子やおやきなどが好評で、これが中道町がレストハウス風土記の丘に加工施設を作るきっかけになりました。

加工部の誕生、そして法人化

 平成15年、直売組合は「中道町農産物直売・加工組合」に発展しました。加工部は柿嶋さんが代表を務め、愛称を「味菜工房」としました。「町特産のトウモロコシの品種『味来』の『味』と野菜の『菜』からつけました。地産地消という思いをこめました。」オープンまでの短い時間に、もろこし味噌まんじゅう、五目おこわ、豆餅、バターケーキとレシピを出し合って、吟味改良をしていきました。
 翌年、組合は、レストハウス風土記の丘の指定管理者になることを目指して法人化を決定。「法人化については組合員の理解が難しかったです。特に女性はそういうことに詳しくないから。勉強会を何回もやりましたよ。マージンの問題とか、直売部と加工部の組織をどう分けるかとか。」
 話し合いにより、有限責任中間法人の形態を取ることにしました。平成17年3月、組合は解散し、4月、新たに81人の組合員による「有限責任中間法人 中道農産物加工直売組合」が設立されました。組合員の多くは女性です。
 「有限責任中間法人は、資本金が300万円あればいいし、直売所が利益を上げるというよりも、会員さん一人ひとりが収入を上げていくというような制度なので、私たちの活動にはうってつけでした。」
 法人設立に際しては、中小企業団体中央会からの助言もありました。

※有限責任中間法人
中間法人とは、社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ、剰余金を社員に分配することを目的としない社団であって、中間法人法によって設立されたものをいう。
中間法人には有限責任中間法人と無限責任中間法人とがあり、有限責任中間法人は、社員が法人の債権者に対して責任を負わない一方、中間法人の設立及び運営について、おおむね有限会社に準じた規定が設けられている。

やる気を出す工夫をしている「味菜工房」

 「加工部の運営は、法人化前も今も、加工部は加工部で仕入れして給料も払ってというふうな感じでやってます。自分たちの意欲につながるから。」「自分たちでやりたいといって始めたことだから、意識は高いです。」
 農村女性の力を生かした「味菜工房」の活動には男性からも驚きの声が上がっているそうです。「『やりはじめたら女の人の力って強いね』ってみんな言いましたよ。」 「味菜工房」は、県農業技術課の「ガンバレかあちゃんプロジェクト」には毎年参加し、自慢の商品をより多くの消費者に提供する努力を続けています。


風土記の丘農産物直売所
甲府市下曽根町1063-1
tel 055-266-3858
9:00〜17:00 火曜定休

☆柿嶋さんからのメッセージ☆

女の人は、社会で責任を持って何かをするといきいきと生きられると思います。
これをやろうというものを見つけて、たとえ子育て中でもしっかりと考えて計画を温め、努力を重ねてやれることをやってみることだと思います。

バックナンバー

味菜工房のこれまで

平成12年、農村女性3人で朝市を開催。翌年、農業者会議女性部を立ち上げ、平成14年6月「中道農産物直売所組合」を設立。同年秋に、農業者会議女性部が軽食喫茶の店を期間限定で開店

平成15年6月に加工施設整備に合わせて「中道農産物直売・加工組合」と改組。加工部「味菜工房」の誕生

平成17年4月に法人化、「有限責任中間法人 中道農産物加工直売組合」を設立。組合は同年7月に現在甲府市の「風土記の丘農産物直売所」の指定管理者として指定を受けている。

味菜工房3
味菜工房4
味菜工房2