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ページID:85803更新日:2018年12月5日

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産業技術センタープロポーザル

【山梨県産業技術センタープロポーザル】

産業技術センターをより活用していただくため、担当Yが外部の方の目線を
大切にしながら、センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。

 

TOPIC:【研究紹介】県産小麦「ゆめかおり」の栽培技術の確立と利用に関する研究

 

今回のTOPICは、センターと農業技術センター共同で実施している、山梨県産小麦の「ゆめかおり」の栽培技術の確立と利用に関する研究のご紹介です。

それではさっそく、研究担当者の樋口さんにお話を伺いたいと思います

 

研究について

 

Y.樋口さん、今回ご紹介いただく研究は、どのような研究ですか?

樋口研究員(以下:樋).この研究では、山梨県の小麦奨励品種に指定されている、『ゆめかおり』の食品加工の適性や、活用に向けた特性評価を検討しました。栽培条件やタンパク質含有量によって、加工適性や特性が異なることが予想されたため、平坦地である甲斐市と高冷地である八ヶ岳で栽培された『ゆめかおり』を用いて研究を行いました。

Y.タンパク質の含有量の違いとのことですが、どのように調整するのですか?

.ゆめかおりの栽培では、生育のステージごとに窒素を含む肥料を撒いているのですが、撒く時期や量を変えることでタンパク質含有量を調整することができます。そこで県総合農業技術センターでは、小麦生産者の方々に決まった時期に決まった量の窒素を撒いていただくようお願いしているとのことです。

Y.栽培地域やタンパク質の含有量の違いで、『ゆめかおり』の特性に違いはありましたか?

樋.今回の研究では甲斐市、北杜市の栽培地域による差はほとんど見られませんでしたが、タンパク質含有量により加工適性に差が見られました。製パン試験として山食パンを試作したところ、タンパク質含有量約13%の時に最も良好なふくらみ、味、食感を示しました。

ゆめかおり1

Y.なるほど。ちなみに、ゆめかおりの比較対照として検討した小麦粉は何ですか?

樋.No.1 Canada Western(1CW)と呼ばれる標準的なパン用のカナダ産小麦を使用しました。これは製パン適性が良いとされている小麦です。タンパク質含有量が約13%のゆめかおりは、食感、膨らみにおいて1CWに遜色ない結果を示しました。これにより、『ゆめかおり』の製パン適性を確認することができました。

ゆめかおり2

Y.山梨県産ゆめかおりについて、製パン適性が良いということが確認されたわけですね!?

樋.そうですね。その他にも、ゆめかおりは1CWと比較して小麦の香りや歯切れ(歯離れ)が良く、素朴な味わいが感じられるとの感想も見受けられました。

Y.パン以外にはどのような製品に向いていますか?

樋.今回、タンパク質含有量が約10%の市販の県産ゆめかおりを使用し、数種類のパンや麺を試作してみました。バターロールやハードロール、うどんやほうとう麺にも活用することができました。ほうとう麺では、官能評価において、煮込んでも食感が保持され、弾力やねばり、もちもち感があるという評価結果が得られました。

Y.タンパク質含有量約13%で製パン適性が良い、という話でしたが、約10%でも大丈夫なのですか!?

樋.山食パンについては、タンパク質含有量約13%のゆめかおりが最も適していると考えられます。一方で、ロールパンや麺類については約10%程度でも加工適性があることが確認されました。ゆめかおりのタンパク質含有量を安定化させるためには、小麦生産者の方々と連携し、安定した栽培管理を支援することも重要であると考えています。

「ゆめかおり」の今後に期待
 

Y.今回の研究を活かして、今後どのように発展させたいですか?

樋.得られた研究成果については、製パン、製麺、菓子業界への成果普及を目指していきたいです。ゆめかおりの付加価値が広く認知されることにより、ゆめかおりの生産量拡大につなげていきたいと考えています。

Y.パン以外にも何か考えがありそうですか…?

樋.はい、今年度の研究では、ゆめかおりを使用したパスタ麺の開発を考えています。山梨の麺といえば、“ほうとう”と“吉田のうどん”が有名ですが、ゆめかおりを使用したパスタ麺についても名物に加わることができるよう開発を目指しています。

Y.山梨のパスタですね!ゆめかおりの特色を生かしたパスタを開発していただきたいです!楽しみにしています。

樋.ありがとうございます。ゆめかおりを使用したパスタ麺開発に取り組んで下さる企業さま(共同研究)を募集しています。ぜひお気軽にご連絡いただけますと幸いです。

PR
 

Y.樋口さんからこのページを読んでくださっている方へ、何かPRなどはありませんか?

樋.今後販売する予定の新商品開発が前提となりますが、センターにある製麺機、製パン試験関連装置、オーブンなどの設備を有償で企業の皆さまにご利用いただくことが可能です。

Y.本格的な、よくパン屋さんにあるような大きな機械がたくさんありますね!

樋.ご利用いただくにはいくつかの条件もございますので、まずは一度お問い合わせください。

  まとめ
 

県産小麦ゆめかおりは、栽培しやすく、タンパク質含有量によっては製パンの適性があり、また、タンパク質含有量が少なめであっても、うどんやほうとう麺にも利用できることが分かりました。今後は、山梨県の新しい麺(パスタ)を、ゆめかおりを使って開発していきたいとのことですので、「ほうとう、吉田のうどん、○○パスタ」と、山梨三大麺になるよう楽しみにしたいと思います。企業の皆様、是非ご一緒に作ってみませんか?

 

 

研究員紹介

樋口かよ(食品酒類・研磨宝飾技術部食品酒類・バイオ科研究員

抱負等「企業の皆様への新商品開発支援ができるような研究を行っていきたいです。」

 

 

このページに関するお問い合わせ先

山梨県産業政策部産業技術センター 
住所:〒400-0055 甲府市大津町2094
電話番号:055(243)6111   ファクス番号:055(243)6110

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