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ページID:92683更新日:2019年12月13日
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【山梨県産業技術センタープロポーザル】
産業技術センターをより活用していただくため、センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。
■身体機能中心デザイン
使う人の体の形状や動作に適した設計(デザイン)の器具は、使用したときの使いやすさを向上したり、作業の負担を軽減したり、あるいは難しい動作を可能にしたりできます。
このように、人の身体の形状や動作を考慮して製品の形状を設計することにより使いやすい製品を考案する考え方は「身体機能中心デザイン」と呼ばれます。
この考え方による製品設計はこれからの高齢化や参画化が進む社会傾向の中で重要と考えられており、製品の付加価値化につなげることができます。
■シミュレーションを活用した製品設計
しかし、身体機能中心デザインによる製品設計は、対象者の身体計測や、試作品を作っての確認調査などが必要になり、開発コストが増える傾向があります。
そこで今回、コンピュータ上のシミュレーション技術を活用することで、コストの軽減を図りつつ、設計の確度を向上しようとする設計手法の研究を行いました。
以前のプロポーザルで宝飾品製造作業者が使用するグリップの形状についての取り組みを紹介しましたが、今回はその手法を身体機能低下者が使用する補助器具の設計に展開しました。
■手法の検討
身体機能低下者の補助器具設計には、それぞれ異なる対象者の手指の形状や動作をコンピュータ上で再現することが必要です。
これには近年普及が進んでいる3次元関連装置やソフトウェアを使用することで、対象者がとりうる姿勢の生成を試みました。
■シミュレーションと設計
こうして生成した姿勢をもとに器具のデザインを考案します。ここでは強く握れない人が食事に使用する器具を想定して提案設計を行いました。
また、コンピュータ上で手指と器具との接触具合や使用時の安定感といった評価も仮想的に確認しながら、3次元CADで提案設計を行いました。
最終的な器具形状はセンターの3Dプリンターで試作し、作業療法士の方に見ていただいたところ、器具として良好な機能性を有しているという感想をいただきました。
■研究者からひと言
今回開発した設計手法により、身体との適合性を考慮した製品設計が支援できると考えられます。この手法は3次元CADを使用して製品設計をしている企業の皆様にご活用いただけます。
また、今回の開発した手法は導入しやすさを考慮し、高額な機器を使用せず、低価格な機器・ソフトを用いて行う手法としました。
この手法を使った商品開発を希望する企業の支援が可能です。関心をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。
富士技術支援センター 鈴木文晃