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ページID:91623更新日:2019年9月25日

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産業技術センタープロポーザル

【山梨県産業技術センタープロポーザル】

産業技術センターをより活用していただくため、センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。

TOPIC:【研究紹介】新しい清酒製造技術ー分裂酵母を使用した高品質清酒製造法の開発ー

■名水に育まれた山梨の日本酒

山梨といえばワインをイメージされる方が多いかもしれません。しかし、ミネラルウォーターの
生産量が日本一と言われる山梨は名水の産地で、その名水を活かした日本酒の醸造も古くから行われてきています。

 

■日本酒を取り巻く環境

近年では日本酒の消費量が減少し、国内消費は最盛期の1/3程度となっています。
一方、海外への清酒の輸出は増加し、今後需要が拡大すると見込まれています。
専門的な話になりますが、日本酒を海外に輸出する際には、カルバミン酸エチルという物質の量が規制されている場合があります。(日本国内では規制値はありません)

この物質、カルバミン酸エチルの元となるのは、酵母が発酵で生成する尿素になります。

 

■日本酒の課題

日本酒の製造には酵母が不可欠ですが、ほとんどは出芽酵母である清酒酵母が使われています。分裂酵母は、出芽酵母とは異なる増殖方法をとる酵母で、ワイン醸造で用いられた報告があり、その際には多様な香気成分の生産や、尿素の低減が確認されています。

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☆分裂酵母

■分裂酵母を使用した日本酒の製造方法を検討

そこで、今回この“分裂酵母”を日本酒の製造方法に応用するための研究を行いました。研究では主に ①分裂酵母標準菌株による日本酒醸造方法の検討 ②自然界からの独自分裂酵母の取得 ③本県独自の分裂酵母を利用した日本酒の醸造方法の確立を行い、山梨ならではの特徴を持った日本酒の開発を目指しました。

酵母を培養している様子
☆酵母を培養している様子

 

■研究の内容と成果

まず、分裂酵母は日本酒製造に使用できることがわかりましたが、つくられる日本酒はアルコール度が低く、清酒酵母と併用して使用する必要があることがわかりました。
次に、県内の果実、農作物、河川湖水などから試料を採取するとともに、効率的な分裂酵母単離方法の検討を行いました。

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☆分裂酵母採取場所


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☆分裂酵母採取状況

 

この単離とは、果実や農作物等の糖分がある部分から酵母を得ること指します。その結果、より速く尿素を分解し、低温で生きられる分裂酵母を得ることができました。

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☆低温で生育可能な分裂酵母菌株KY02-6-6

 

最後に、この得られた分裂酵母を日本酒製造に使用する方法を検討しました。取得した分裂酵母と、清酒酵母を、順番に発酵に使用することで、アルコール度が高く、尿素が低減された日本酒が製造できることがわかりました。

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☆きょうかい901号酵母により育成した酒母~三段仕込み発酵試験において,KY02-6-6もろみを混合し,製成後の尿素量を測定した結果


■今後の展開

今後は、香り成分などを明らかにしていくことで、本県独自の分裂酵母を用いた尿素低減日本酒開発につながるものと思われます。


■研究者からひと言

今回の研究成果をもとにした日本酒製造方法の普及に努めていきたいと思います。

 

食品酒類・バイオ科 長沼孝多

 

このページに関するお問い合わせ先

山梨県産業政策部産業技術センター 
住所:〒400-0055 甲府市大津町2094
電話番号:055(243)6111   ファクス番号:055(243)6110

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