更新日:2018年9月20日

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山梨県産業技術センタープロポーザル

産業技術センターをより活用していただくため、担当Yが、

センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。

 

TOPIC:「機器の安全性を担う電気・電磁環境試験!新しいEMC関連機器を導入しました」

プロポーザルページを担当することになりました、聞き手のY(Y.I.T.C.より拝借)です。よろしくお願いします。外部の方の目線を大切にしながら、その分野の専門知識のない方でも抵抗なく読めるように、センター保有の情報をわかりやすくお伝えできればと思います。

さて、今回のTOPICは電気・電磁環境試験です。雷が鳴っているときは「機器のコンセントを電源から抜く」と教わったのは私だけではないと思いますが、実際はそうせずとも製品は壊れずに使い続けることができます。また、電子機器の中には自ら電波を出すものもありますが、それによる悪影響がほとんどありません。そのような安全性を確保するため、製品は世に出る前に電気・電磁環境試験を行い、製品に対する外部からの影響や製品が外部に与える影響を試験しています。今回はそのような試験を行うことのできる新しい機器をご紹介します。ちなみに、どれほど製品が試験をしていても、落雷時に電源を抜くことは製品にとって良いことですので、そうされることをおすすめします、と今回お話してくださった木島リーダーは言っていました。

 

 

雷サージ試験装置電波暗室妨害電波測定装置

雷サージ試験装置と妨害電波測定装置


 

Y.木島リーダー、今回ご紹介いただく機器は何ですか?

 

木島リーダー(以下:木).こちらの「雷サージ試験装置」と「妨害電波測定装置」です。これらの装置は、平成28年度の地方創生交付金を活用して購入しました。

 

Y.背の高さが私と同じくらいの大きな機器ですね(雷サージ試験装置を見て)。コードが何本も繋がっています。どのようなことに活用できるのですか?

 

木.

<雷サージ試験装置>

「雷サージ試験装置」は、落雷時に送電線や電話線に誘導される波形を模擬したサージ波形を各種の電子機器に与えて、機器の誤作動や故障を調べる装置です。この装置では、IEC規格に準拠した試験を行うことができます。また、電源線へのサージ印加だけでなく、テレコムラインや相互通信線へのサージ印加も行えます。(「雷サージ試験装置」の仕様については、こちらの機器紹介ページをご覧ください。)

 

 

<妨害電波測定装置>

「妨害電波測定装置」は、電子機器などから発生する電磁ノイズを測定するための装置です。電磁ノイズの強度と周波数を測定するレシーバは、高速に測定することができますので、短い時間で試験をすることができます。また、CISPR規格にも準拠しています。その他、試験ジグも各種備えていますので、お気軽にお問い合わせいただきたいと思います。(試験ジグ:妨害電力測定用クランプポジショナ、三相用LISN、容量製電圧プロープ、ハイインピーダンスプロープ、バイログアンテナなど。(「妨害電波測定装置」の仕様については、こちらの機器紹介ページをご覧ください。)

 

Y.おお、専門用語が目白押しですね。もう少し簡単に言うと、どんな機器なんでしょうか?

木.雷サージ試験装置は、電子機器に電気的なショックを与えて、どのくらい耐えられるかを調べる装置で、妨害電波測定装置は、電子機器から出る電磁ノイズの強さを測る装置、と言うことができます。

 

 

 

作業風景1装置写真作業風景2

 

 

 

 

 

 

 

 

雷サーチ試験装置のデモンストレーション


 

 

Y.実際、具体的に雷サージ試験装置で普段どのような機器を試験していますか?

木.屋外に張りめぐらされている送電線と電気のやり取りをする機器が主な対象となります。家庭の電化製品から、工場などで使用する機器まで、試験の対象となる範囲は幅広く、たとえば、情報処理機器(PC、プリンタなど)、医療機器(血圧計、心電図計など)、製造装置、制御装置など様々です。送電線の電気で動き、コンピュータで制御するものは、この試験を行うことで安全性に対する信頼性を確保しています。

Y.コンセントから電源を取るタイプの機器のほとんどが試験の対象となるように聞こえます!この試験のおかげで、機器の安全性が保たれているのですね。

 

木.デモンストレーションとして仮の試験機器を雷サージ試験装置に繋いで試験してみましょう。

Y.普段の工程をみせてもらえるなんてありがたいです。

 

-木島リーダーが試験機器を雷サージ試験装置につなぎ、装置のスイッチを入れ操作してしばらくすると、機器上部の赤色回転灯がくるくると光り、バチッという音がなって装置が停止しました。-

 

木.今は電圧をとても低く設定しました。

Y.ちなみに、出力の最小と最大はどのくらいなんですか?

木.最小は私たちがよく知っている静電気よりも弱く500Vくらいで、最大は15000Vくらいです。電圧で言えば冬場の静電気も10000Vくらいですのでこの機器の最大出力と同じくらいですが、この機器は大電流を流す能力があり、250A~7500Aの電流が流せます。人間は100mAほどで死に至ることもあると言われていますので、その2500~75000倍です。実際送電線にはそのくらいの電圧がかかる場合があるようです。雷が落ちるときですかね。そのような場合を想定しています。

Y.そんなに強力な電圧がかかることがあるのですか!原因が雷だとすると、やはり自然の力はすごいですね。それにしても、さまざまな電圧で試験をすることが可能ということですね。

 

 

アンテナモニターレシーバー

妨害電波測定装置のデモンストレーション


 

 

木.次は妨害電波測定装置です。

 

Y.ずいぶん大きなアンテナ(左写真)ですね!

木.このアンテナで電子機器などから発生する電磁ノイズをキャッチし、別室にあるレシーバー(右写真)にその詳細が表示されます。試しに動かしてみましょう。

Y.動かして見せてもらえる予定はなかったのに、わざわざ見せてもらえるなんて、ありがたいです。よろしくお願いします。

 

-木島リーダーがアンテナのある部屋に仮の試験機器を設置して電源を入れ、厚い扉を閉めて別室でモニターを見ると、横線しか表示されていなかったレシーバーのグラフに縦の線が現れました。-

 

Y.この縦の線が電磁ノイズを表しているのですか?

木.そうです。この画面ですと、一番左側最小値は30MHzを表していて、一番右側最大値は1GHzを表しています。この電磁ノイズを計測して、機器同士の電磁ノイズが干渉してしまう可能性のある数値を出さないように製品を改良します。スイッチを入れて動く機械のほとんどが電磁ノイズを出していますので、それを管理することは生活の中で各製品を安全に使う上でとても大切です。

Y.今やそこここに電子機器がありますから、それらの電磁ノイズがお互いに干渉して悪影響があっては困りますよね。

木.電磁ノイズの管理を適切にしていない電灯の近くでラジオをつけると、ノイズでラジオが聞こえない、ということがあります。そのように機器の正常な動作を機器同士が邪魔し合わないように、電磁ノイズの管理は電子機器にとって必須ですね。

 

 

機器写真1機器写真2機器写真3

国際規格に対応、機器安全性の確保と製品製造の効率化へ


 

 

Y.お話に出てきたIEC規格とかCISPR規格とは何ですか?

 

木.どちらも電気・電子分野における国際規格です。ちなみに、IEC(アイ・イー・シー)国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)、CISPR(シスプル)はIECの特別委員会の一つで、国際無線障害特別委員会(Comité International Spécial des Perturbations Radioélectriques )のことを示しています。

 

Y.国際規格はどのような時に必要なのですか?

木.国際規格は、多様化する事柄を単純化、秩序化し、製品やサービスの国際協力を容易にする目的のもと作成されています。ものすごく平たく言えば、世界各地で独自に運営されているそれぞれ異なるルールではなく、「世界各地で共通して適用されるルール」が国際規格です。そのひとつのルールに従えば、各地で異なるルールによる混乱がなくなる、というわけです。例えば、クレジットカードが日本国内のみならず世界中で利用できるのも、国際規格に準拠しているからです。さらに国際規格は、秩序化することで、製品の品質などを定めているため、製品の品質や安全性の確保にも貢献しています。そのため、製品を海外市場に出す際には、多くの場合において、国際規格を満たしていることが求められます。

Y.海外でも製品の安全性に対する関心は高いということですね。国際規格を採用している企業も多いことでしょう。日本の製品が海外の市場に出ていく場合もありますので、国際規格を満たしていることは重要ですね。

 

 


 

 

Y.ご紹介いただいた機器のセールスポイントはどんなところですか?

木.今回紹介した機器は、最新の国際規格に対応しているという点です。さきほど申し上げましたとおり、国際規格に対応することはとても重要ですので、そのような製品の製造には欠かせない試験となっています。また、従来の機器よりも処理速度が上がっていますので、測定のスピードアップ、また即時的なフィードバックを可能としています。

Y.測定の速度が上がるということは、試験によって機器に不備があればそれを早く見つけることができ、機器の修正や改善に時間をかけられるということですね。作業効率も上がりそうです。

木島リーダー、今回はありがとうございました。

 

 

  まとめ
 
  • 従来の機械と比べて

最新の国際規格に対応・測定のスピードアップ

  • 他分野への応用・波及の可能性

利用できる分野としては、電子機器、通信分野、IoT、医療機器、自動車、航空、船舶、産業機器、化学分析機器など幅広い

  • 今後の業界への貢献

電気・電磁環境試験の必要な製品に対して高品質な試験を提供することができる

  Y.電気・電磁環境試験とそれを担う機器について、いかがでしたでしょうか。電気・電磁環境試験は製品が世に出る前の過程なので、目立って理解される試験ではありませんが、私たちが製品を安全に使うために欠かせないものです。安全であることが当たり前になってしまうと、安全を確保するための努力、特に目に見えにくい部分に関しては、意識が薄れてしまいがちです。しかし、安全を確保するための地道な試験は失われてはならないものです。産業技術センターでは少しでもそのような試験に従事する方を支援し、製品を使用する方の生活の安全を企業の皆さんと共に守っていけるように、機械による試験環境整備という点から貢献し続けたいと思います。

 

 

研究員紹介

木島一広(電子応用科リーダー(主任研究員))

抱負等「できるだけ皆様のお役に立てるよう頑張ります。お気軽にご相談ください。」

 

 

このページに関するお問い合わせ先

山梨県産業労働部産業技術センター 
住所:〒400-0055 甲府市大津町2094
電話番号:055(243)6111   ファクス番号:055(243)6110

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