ページID:127796更新日:2026年11月6日
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富士トラムは、世界文化遺産・富士山の環境と安全を守りながら、来訪者を計画的に受け入れるため、山梨県が提案している次世代交通システムである。
富士山麓から富士スバルライン五合目までの移動にゴムタイヤ式の車両を用い、来訪者の総量管理と混雑の平準化(来訪者コントロール)を図ることを主な目的としている。
単に観光交通を便利にするだけではなく、富士山の持続可能な管理を支える交通の仕組みとして位置付けられている。[3][8]
もう一つの役割が、将来的にリニア中央新幹線の山梨県駅(仮称)と富士山方面を結ぶことで、来訪者の県内移動や地域交通の充実につなげることである。
車両方式を従来の登山鉄道構想における鉄軌道からゴムタイヤ式の多連節車両に換えながらも、富士山の来訪者コントロールという政策目的を引き継いできた。
2026(令和8)年9月時点では、車両編成や運行ダイヤのシミュレーションなどを通じて基本計画の策定へ向けた調査・検討の段階にあり、令和8年度末に策定する予定である。[3][8]
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目次 1.基本情報 6. 数字で見る富士山 7.用語 |
| 提案 | 令和6年11月。従来の「富士山登山鉄道構想」で想定していた鉄軌道方式から ゴムタイヤ方式に転換。[3] |
| 車両 | ゴムタイヤ式の次世代交通システム。道路上の白線や磁気マーカーなどを用いて 自動運転で走行し、軌道法適用による来訪者コントロールを想定。 |
| 最初の導入検討区間 | 富士山の麓から富士スバルライン五合目まで。 |
| 主な目的 | 富士山の混雑の緩和・環境保全・安全確保・インタープリテーション機能の 整備・乗車体験価値の向上。 |
| 将来の構想 | リニア山梨県駅と富士山方面の接続、県内各地に広がる二次交通網への展開。[4] |
| 進捗 |
車両編成や運行ダイヤのシミュレーションなどを通じて基本計画の策定へ向けた |
富士山は2013(平成25)年に世界文化遺産に登録され、国内外から多くの人が訪れる。
来訪者の集中による五合目周辺の混雑、安全確保、自然環境への負荷は、県が継続して取り組んできた課題である。
マイカー規制や登山者の安全対策などを実施する一方、県は、道路を通る車両や来訪者の流れを計画的に管理できる交通システムの検討を進めてきた。[2]
県が富士トラムで目指しているのは、単に交通手段を置き換えることではない。
運行計画に沿って来訪者を受け入れる仕組みを整え、特定の時間帯や場所への集中を和らげることで、世界遺産の保全と活用を両立させることにある。
こうした富士山の管理と、将来のリニアを起点とする県内交通網の充実を、県全体にまたがる重要な交通政策として検討している。[5][8]
2019(平成31)年、県は富士山登山鉄道構想の検討を開始し、富士スバルラインにLRT(次世代型路面電車システム)を導入する案を検討した。
2021(令和3)年には有識者による構想が示され、富士山への自動車の進入を抑え、来訪者を管理する方策が議論された。
一方、鉄軌道整備による自然環境への影響などを懸念する意見もあり、輸送方式を含めて検討が続けられた。[1][2]
こうした議論を踏まえ、県は2024(令和6)年11月、鉄軌道を敷設せずに既存道路を活用するゴムタイヤ式の「富士トラム」へと構想を転換した。
来訪者を管理するという目的は維持しつつ、道路への大規模な鉄軌道敷設を伴わない方式を選んだことが転換の要点である。
ゴムタイヤ式の走行技術や法制度の適用については、現在も具体化に向けた検討が続いている。[3][5]
2024(令和6)年には、富士山麓と五合目を結ぶ基本計画の検討に加え、リニア山梨県駅と富士山方面を将来結ぶ方針が示された。
県内各地域との接続や、駅・交通拠点から先の移動を担う自動運転タクシー、公共ライドシェアなども含め、広域交通と地域交通をどうつなぐかが検討対象となっている。
リニア山梨県駅を富士山方面の玄関口とし、リニア開業の効果を県内へ広げるというのが県の目指す方向である。[4][8]
富士トラムでは、道路上の白線や磁気マーカーなどを認識して走行するゴムタイヤ式車両を想定し、自動運転への対応や、グリーン水素の動力源としての活用も検討している。
県は軌道法の適用により一般車両の進入を制限し、計画的な運行と来訪者管理を行う仕組みを提案している。
ただし、軌道法の具体的な適用方法や車両仕様・運行方法が確定したわけではなく、引き続き関係機関との協議や技術検証を要する。[3][5]
富士トラムは、まだ実際に運行を始めた事業ではない。実現に向けては、急勾配・急カーブでの走行安全性、積雪や悪天候への対応、必要な輸送力、電気・通信設備、整備・運行費用、事業主体などを具体化する必要がある。
現在は、これらの条件を基本計画に落とし込んでいく段階にある。[5]
併せて、富士山の課題解決とともに富士トラムを活用した県内交通ネットワークの高度化のための考え方を示す「富士トラムネットワーク構想」についても策定中である。
2026(令和8)年9月県議会では、富士トラムを来訪者の総量管理と混雑の平準化を図るための管理インフラであり、同時にリニア中央新幹線の開業効果を県内に広げる交通基盤として位置付ける考え方が説明された。
県は、車両編成や運行ダイヤのシミュレーションを進めており、富士山の課題に対応する交通の仕組みと、将来の県内二次交通網という二つの役割を具体化していく段階にある。[8]
なお、同年9月には、富士トラムの導入に反対する県民団体から陳情書が提出され、県がホームページにおいて見解を公表している。
事業方式や実施条件については、引き続き検討と説明が行われている。[8][11]
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富士トラム基本計画上、五合目来訪者を230万人に設定 世界遺産登録前年(平成24年)及び直近(令和6年)の水準(231万人)と同程度。 この水準は、令和6年から登山規制を開始し、快適な登山環境の整備が進んだことを踏まえるとともに、地域経済への影響を考慮し、過度な来訪抑制とならないようにするものである。 |
来訪者コントロール:受入人数や時間帯を調整し、混雑と環境負荷を抑えること。
二次交通:リニア駅などの広域交通の拠点から目的地までの移動を担う交通手段。
軌道法:道路上などに敷設する軌道を利用した交通事業を規律する法律。富士トラムへの具体的な適用方法は検討中である。
8. 山梨県「令和8年9月県議会知事説明要旨」(2026年9月25日)
9. 山梨県「富士山登山鉄道構想」第1章(五合目来訪者数の推移)
11. 山梨県「富士トラム導入反対陳情書への回答について」(2026年9月18日更新)