知事記者会見(令和7年5月8日木曜日)
ページID:120891更新日:2025年5月9日
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防災新館401,402会議室 13時30分から 発表事項 発表事項外 |
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知事
この度、山梨県新型インフルエンザ等対策行動計画を全面改定いたしました。
本県の新型コロナ対応ですが、初期段階において、医療提供体制、あるいは検査体制、さらには衛生物資の不足という状況であり、ほぼゼロからのスタートでございました。
この要因の1つといたしましては、新型コロナ前に策定いたしました、旧計画におきましては、「何が起こったら、どのように行動するか」について具体的な運用が記載されておらず、実際の対応に当たりまして全く使い物にならなかったというところでございます。
そこで新型コロナ対応の経験を踏まえまして、次なる感染症危機にも円滑に対応できるように、行動計画を全面改定したところであります。
この改定に当たりましては、旧行動計画が、「全く役に立たなかった」という反省と、新型コロナ対応で培った様々な経験を反映させ、役に立つ計画となるように策定した次第であります。
計画のポイントといたしまして、1つ目には対策項目の拡充、そして2つ目に平時の準備、3つ目に実効性の確保、以上この3点を挙げさせていただきたいと思います。
まず、対策項目の拡充につきましては、新型コロナ対応で課題となりました検査体制や物資の備蓄などにつきまして、新たな対策として追加し、旧計画の6項目から11項目に拡充したところであります。
そして、2番目の平時の準備につきましては、各対策項目に関しまして、「準備期」「初動期」「対応期」の3期に分けまして、それぞれの時期における取り組みを記載したところであります。
中でも、現在のような平時を「準備期」と位置付けまして、次なる感染症危機に備えた体制を構築するべく、取り組みを充実させたところであります。
具体的には、協定を締結し、入院病床や発熱外来、宿泊療養施設などの医療提供体制を確保すること。
そして、感染症専門医や感染管理認定看護師などの専門人材を養成すること。
そして、流通備蓄方式による個人防護具の備蓄などであります。
3番目、実効性の確保につきましては、この取り組み状況を毎年度フォローアップするとともに、庁内や関係機関も含めた訓練を実施し、計画の実効性を検証していくこととしております。
今後も行動計画に基づきまして、平時からの備えをしっかりと着実に進め、県民の皆様の生命と健康、そして暮らしを守るべく、感染症に強靱な社会の実現に向けまして、取り組みを進めて参りたいと思います。
記者
インフルエンザの行動計画について伺います。
改定の3つのポイントの中で、訓練について明言してるところがありますけれども、どのような訓練とか具体的なイメージがあれば教えていただけますか。
対策監
感染症対策センターからお答えいたします。
訓練につきましては、今後コンサルタントを入れて、細かいところは計画していくところでございますが、まずは、初動体制ということで、対策本部の立ち上げと、また医療機関の初期の対応等を今年度は想定しているところでございます。
知事
今、話がありましたように、まずは初動体制ですけれども、全体的に図上でも、或いは必要に応じて実地訓練でも行うことによって、あの時のイメージを呼び起こすわけではないですが、もう1回鮮明にイメージを呼び起こしまして、それに照らしてこの計画がどこまでがワーカブルなのか、これを洗い出して、そのあとの改定に随時、つなげていくような訓練をしていきたいと思います。
併せまして、このイメージを呼び起こすことによって、得てして人事異動とか何とかあると、すぐ記憶がなくなるものですから、この記憶は忘れないようにしていく、こういう2つの効果、計画の改善と、あの時の経験を忘れない期間を維持しながら準備していく、この2つの効果を期待したいと思います。
記者
私は5類になった後に転勤してきたため、コロナ禍の山梨の状況を存じ上げないのですが、先ほどの知事のお言葉ですと、「全く役に立たなかった」とかなり厳しい表現をされました。
従来の行動計画が役に立たなかったことで、実際に起こったことや困ったことは知事の目から見るとどんなことだったのでしょうか。
知事
従前の計画は、驚くほどひどいものだったと思います。
おそらくどこかへ外注して若い人がコピーアンドペーストして作ったと思われるくらいひどいもの。
実際のことを考えて作ったのかと憤りを感じるようなひどいものでありました。
私も何がしか参考になるものがあるかと思って読みましたが、全く何の役にも立たないもので、結果的に私たちがどういうふうにコロナに向き合ったかというのは完全な手探りです。
何ら指針もない中、その日その日の様々な状況の変化に対し、庁内で議論し、また、医療関係者とも議論するなど、綱渡りの連続を強いられました。
一番ひどかったのは、何らの備蓄もなかったこと。
確か当時のマスクの備蓄枚数が35枚。
35万枚ではなくて35枚といったレベルです。
そのような丸裸の状態でコロナに突入するという状況でした。
もう一つは、人材がほとんどいらっしゃらなかった。
今回は、中心になったお二人の専門家の先生には、獅子奮迅のご活躍をいただき、そして、今CDCの総長をされている藤井先生を含め3名がいらっしゃったので救われましたけれども、本来人材の育成というのは一朝一夕にはできないのでこうした点が大きな支障となりました。
本来であれば、専門家のドクターがいて、感染症管理看護師がいて、そういった体制の中で、皆様が必要とされるマスクやガウンを提供できる形であれば、もう少し落ち着いた対応ができたのかもしれませんが、数え上げたらきりがありません。
そういう苦い思いは二度としないように、準備に時間がかかるようなことについては今から着々とやっていかないとなりませんし、それに関する予算は削られてはいけませんし、こうしたことを考えながら次へ向かっていきたいと思います。
記者
今、象徴的な例で挙げられたマスク35枚について、新しい計画では何枚になるのでしょうか。
知事
我々の経験から約3ヶ月経過すれば流通体制が整ってくると前回のコロナの時にわかりましたので、県内の医療機関や関係機関で必要となる3ヶ月分の在庫を流通過程で備蓄させる流通備蓄という方法と、それから県内の生産体制も整っていますので、その生産ラインを維持して必要枚数を整えるという形をとっています。
具体的な枚数は確認して後ほど。
※ 流通備蓄方式によるマスク備蓄量について(同日、報道機関あて回答)
・ サージカルマスク 687,000枚
・ N95マスク 75,480枚
知事
2番目に生活保護受給世帯の実態調査の結果につきまして発表いたします。
この調査ですが、生活基盤の保障という観点から、県民の健康で文化的な最低限度の生活が真に担保されているかを検証するため、初めて県独自の調査として実施したものであります。
本年2月から3月にかけまして、県が所管する町村部、町と村において保護決定した生活保護世帯のうち、69世帯に対しまして、県の保健福祉事務所のケースワーカーが訪問してヒアリングを行ったところであります。
このような県独自の調査というのは今回初めてとなりますので、令和4年の全国調査と比較し、現在の状況が3年前からどのように変化しているのか確認いたしました。
まず、食事、衣類につきまして、1日2回以上、食事をしていない人、野菜を食べていない人、衣服を買えない人の割合が、3年前の全国数値と比較して悪化しておりました。
また、衛生、健康に関しましても、冷暖房を使用しない人の割合が高くなり、入浴や、シャワーの頻度が低くなっている実態が判明したところであります。
これらは、いずれもが、米や野菜などの食料品価格の高騰や、燃料費が高止まりしている影響が、生活保護受給世帯において、特に甚大であることを示しております。
次に、他者との繋がり、或いはレジャー、外食につきましては、連絡をとる相手がいない人、或いは冠婚葬祭に出席しない人が増えているほか、旅行しない人、外食をしない人も増加しており、社会的な孤立が懸念される状況にありました。
次に、家計につきましても、現在の暮らしの状況は大変苦しいと感じておられる方の割合が大きく増加しており、全体的に生活に余裕がないという結果になっております。
このように、総じて3年前よりも、生活状態が苦しい状況にあり、親族や知人との繋がり、或いは社会参加の機会も減るなど、生活保護受給世帯が置かれている困難な状況が浮き彫りとなったところであります。
その主な要因といたしましては、生活保護受給世帯の生活費を賄う生活扶助費の上昇率、これが物価上昇に追いついていないことが挙げられるのではないかと考えております。
具体的には、令和2年から令和7年までに消費者物価指数が10.4%、特に食料品につきましては23.1%上昇しておりますが、他方で、生活扶助費の上昇率は5.2%となっております。
このことが、深刻な影響をもたらしているのではないかと考えています。
これを受けまして、今後県は、生活保護費の水準を決定している国に対しまして、近年の急激な物価上昇を適切に反映した水準となるように、必要な改定を行うよう要望して参りたいと思います。
また、併せまして、今回の調査から明らかになりました状況を市町村と共有し、生活保護からの早期脱却、或いは現在グレーゾーンである生活困窮者が生活保護受給の手前でとどまることができるような就労に関する支援など、必要となる施策を共に検討して参りたいと思います。
記者
生活保護の調査結果になりますが、今回初めて県独自で調査を実施したということですが、このタイミングで調査を行おうと思った背景や狙いがあれば伺えますか。
知事
先般、生活保護の最前線のケースワーカーの皆さんのお話を実地で聞きました。
行政の担当者として誠に申し訳ないですが、この厳しい状況が、正直申し上げて見えてなかった。
また、その見えてない事態に対して大変な危機感を抱きました。
この厳しい状況がどこまで広がっているのか。
先ずは、事実に基づいて知る必要があることから調査いたしました。
特に、物価高騰が進んでおりますので、どこまで状況が深刻化してるのかを把握して、速やかに対策に結びつけて、健康で文化的な最低限度の生活が保障される状態を山梨県内で作り上げていきたいという思いから始めたわけであります。
記者
今回の結果は概要ということで認識しているのですけれども、特に知事の方で、全て重要な結果だとは思うのですけれども、特にここは、今後対策を講じる上で重要な回答結果だなというところがあれば、というのがまず1つ。
6月議会が迫っていますけれども、そこで何かしらの事業費の計上というものが可能性としてあるのか、その辺の見通しを伺えればと思います。
知事
まず1つは食事だと思います。
生きる上で最低限の欠くことのできないところですし、特にお子さんは将来についても大きな影響が及びうるわけですので、この食事の状況というのは危機感を持っております。
あと、他者との繋がり、健康衛生面、いずれも重要な点だと思いますので、ここをどうすればいいのかは、少し考えて参りたいと思いますが、まずは最低限度の健康的な生活の基礎は食事だと思いますので、食事環境についてはしっかりと充実を図るべく対策を考えて参りたいと思います。
予算措置の可能性も、当然含めて考えて参ります。
記者
この調査対象69世帯は、少ないと正直思うのですけれども。
このカバー率というか、県内の生活保護世帯に対してどれぐらいの率なのでしょうか。
知事
この数字は、県が所管してるのは、町と村にお住まいの生活保護を受給される方を、私ども県が認定をいたしますので、その数が69となってますが、あと市に関しましては、それぞれ市が認定することになってますので、全部合わせるとどれぐらいですか。
課長
福祉保健総務課からお答えいたします。
県全体ですと、令和6年10月の数字でございますと、世帯数は5,923。
今、県が所管するのは、町村部ということで、調査対象は69でございましたが、この69というのは、県が所管するもののうち、この調査対象期間で訪問の予定があった世帯数でございます。
県全体の5,923に対しまして、町村部は令和6年10月現在で517。
うち、2月3月で訪問予定があった世帯が今回の調査対象となっております。
速やかに調査を行うという必要がございましたので、こういった調査対象数となっております。
記者
この調査、引き続きこれは緊急ということなのですけれども、より広くカバーをするような詳細な調査をするというようなご予定はあるのでしょうか。
知事
各市とも相談して、より正確な実態をあぶり出したいとは思っております。
ただ、なかなか調査自体が難しいところもあるのですよね。
課長
また、福祉保健総務課から補足させていただきます。
なかなか調査自体も、難しいところもございますのと、国の方で3年に1回抽出調査を定期的に行っておりますので、そういったことも含めて、今後、状況を把握していきたいというところでございます。
記者
この比較対象になっている全国調査なのですけれども、その数字は、全国の平均という数字ですか。
それとも、県内なり、同じような該当地域に、全国調査の中から抽出して得た数字ですか。
課長
特に抽出はなく、3年前の全国調査の数字との比較でございます。
記者
そうすると若干増えた、減ったという表現には無理があるかなという気がするのですけど。
知事
あくまでも、大まかな傾向値が推測されるレベルの精度ではあります。
ただ、やっぱりそれを見ても、決して改善してる数字は全くないのです。
ほぼすべての数字が悪化を示しておりますので、やっぱりそれは何がしかの、手段を講じる必要があるだろうと。
ここまでは言えるのではないかなと思っておりますので、ちょっと今後、さらに、何をどこまで詳細にするのか、ここは各市とも相談したいと思いますし、また先ほど申し上げたように、ことは急を要しておりますので、そういう意味で、今回、この数字を基にやるべきことというのは浮き彫りになったという評価をしてもいいのかなと考えてます。
記者
決して、この調査に意味がないなどということを申し上げてるわけではありません。
どうもありがとうございました。
記者
先ほど予算的措置も考えていくということをおっしゃっていたんですけれども、生活扶助費が物価上昇に追いついていないということで、基本的に実質的な購買力が減っているということだと思うんですけれども、県として国に対していろいろと改善を申し入れるというのはもちろん大事なことでしょうが、緊急を要しているというところで知事もおっしゃったように、今回の予算的措置というのは、例えば、実質的に低下している生活扶助費を県として独自に上乗せするとかそういったことを考えてらっしゃるのか。
それとも、また別のことを考えてらっしゃるのでしょうか。
知事
生活扶助費の上乗せの部分は、やはり国において対応していただくべき問題で、おそらく山梨県の財政能力を上回る話になってしまうと思います。
従って、そこは国に対して全国知事会やその他を通じて求めて参りたいと思います。
他方で、県は何をするんだというところですが、今から様々なことを考えますが、先ほど申し上げましたように、これから我々が準備して、対策を講じるのが6月議会を経るとすると、1つは夏休みもありますので、特に、育ち盛りのお子さんを抱えたようなところに対して、しっかりとお腹が空くようなことにならないようにできないだろうかと、これが1つのテーマになってまいります。
それから、もう1つは所得を上げる。
全般的に所得の底上げをしていかないといけないわけですが、これは関係するNPO団体とか関係団体からもいろいろな話を聞いてみると、やはり一番深刻な部分というのは、ひとり親世帯であったり、特にシングルマザーのご家庭が厳しい状態に陥ってる方が多いというようなお話を伺いますので、そこの皆さんに、県も所得を上げるべく、デジタル技術を身につけていただいたり、そういうものを身につけていただいて、そこを卒業すると、しっかりとした働き口がセットになっているようなプロジェクトを動かしておりますが、こんなようなことをさらに強化することができないだろうかと考えています。
皆さん苦しい状況ではあるのですけども、まずは、貧困が子ども、要は次の世代に及ぶ影響ができるだけ少なくなるような、そのような対策を中心に我々としては対応を講じていくのかなと。
今このようなことを考えています。
知事
最後3点目、早川町の雨畑ダムにおける土砂堆積の改善について、発表いたします。
令和元年度、ダムの土砂堆積に起因し、本村地区において、浸水被害が発生したため、ダムの許可者であります国土交通省及び所有者の日本軽金属株式会社に対策を要請したところであります。
令和2年度から、国の指導によりまして堆砂対策計画が進められ、本年3月、計画通り、総量約600万立方メートルの土砂移動が完了したところであります。
先月の18日ですが、早川町の深沢町長とともに、現地視察を行ったところ、令和元年の視察当時に比べまして、土砂の堆積状況は大幅に改善されていることを確認いたしました。
今回の対策によりまして、過去最大規模相当の土砂の流入及び洪水があったとしても、浸水被害が生じない状況となったわけであります。
この度の安全な状況に至るまでの5年以上に渡る国の指導に対しまして、改めて感謝を申し上げるとともに、土砂の堆積の放置自体は誠に遺憾ではありましたが、その後の日本軽金属株式会社の誠実な対応につきましては、高く評価したいと思います。
なお、この視察時には、日本軽金属株式会社の岡本社長ともお目にかかり、引き続き、安全が確保されるように、依頼したところであります。
記者
富士山の登山予約について伺います。
今日で多分、2週間になりましたけども、これまで昨年度初めてスタートして、今年度バージョンアップされてると思いますけども、これまでの手応えだったりとか、もしあと実数が知事の手元にあったりすれば、その辺りも含めて教えていただけますでしょうか。
振興監
5月8日9時現在で4,670人の方にご予約をいただいております。
内訳としまして、日本語サイトを通じた方が2,433人で52.1%。
外国語予約サイトを通じた方が2,137人で47.9%となっております。
記者
2週間経ったのですけれど、稼働してみて知事の手応え等どうでしょうか。
知事
予約システム自体が馴染んでもらえつつあるのかなと思います。