知事臨時記者会見(令和5年12月20日水曜日)

ページID:112166更新日:2023年12月21日

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知事記者会見(令和5年12月20日水曜日)

富士登山における総合安全確保対策(骨子案)について

知事

まず初めに、富士登山における総合安全確保対策の骨子案についてお話をしたいと思います。

富士登山の弾丸登山或いは混雑などの問題につきまして、これまでも度々報道をしていただきましたが、地元からも早急に方針を示すよう要望をいただいているところであります。先日行いました地元との意見交換会におきまして、対策の方向性をお示しをし、概ねのご了承いただいたことを踏まえまして、今般、安全確保対策の骨子案を取りまとめましたので、その概要をご報告申し上げます。

なお、今後、詳細につきましては、地元関係者などとの意見交換もしながら必要な調整を図って参りたいと思っております。

まず、今回の骨子案ですが、大きく三つの柱で構成をされています。一つは、「登山道における弾丸登山・混雑対策」、二つ目が「下山道における噴石・落石対策」、そして三つ目「吉田口登山道の再興」、この三本柱でございます。

まず、最初の柱の弾丸登山・混雑対策ですが、その具体的な手法といたしまして、三つの対策、すなわち一つ目は富士山五合目に登山者を規制するゲートの設置、そして2番目は安全誘導員などへの指導権限の付与、そして三つ目が団体登山者に対するガイド同行の要請、この三つの対策を講じたいと考えておりますので順にご説明申し上げます。

まず一つ目の対策といたしまして、富士山五合目の登山口に登山者を規制するゲートを設置いたします。その上で、新たに制定する条例に基づきまして、富士山五合目におきまして、時間帯或いは登山者数の上限を規制することといたします。規制する時間帯につきましては、開山期間中の毎日午後4時から午前2時までの間、ゲートを閉鎖することにより規制をすることを考えております。この規制ですが、弾丸登山者を防止するための対策でありまして、過去のデータ及び関係者の聞き取りなどから、弾丸登山者は午後4時以降に入山する方が多いということでありますので、それを踏まえてのものでございます。

そして登山者数の上限ですが、1日当たり4,000人とし、これを超えた時点で、時間帯による規制の前であっても、ゲートを閉鎖することとしたいと考えております。この規制は登山道の混雑を緩和するための対策でありまして、以前行いました調査において、登山者が4,000人を超えると、頂上付近で過度な混雑が発生することが判明していることによります。

いずれの規制も、山小屋宿泊者や五合目の観光事業者の案内客は規制の対象外とすることを考えております。

さらにこのゲートを通過する際には、富士山保全協力金とは別に通行料をいただき、登山道の規制や安全確保対策などに充当する財源にしていきたいと考えております。

そして対策の二つ目ですが、迷惑行為を行う登山者に対し強力に指導ができるよう、安全誘導員やガイドなどに条例に基づく指導権限を付与していきたいと思います。

三つ目ですが、団体登山者に対しましては指導権限を持つガイドの同行を求めることとし、弾丸登山や迷惑行為の抑制を図って参りたいと考えております。

これらの対策につきましては新たに条例を制定する必要がありますが、来年の開山期間に間に合わせるため、条例案は2月議会に上程したいと考えております。

次に二つ目の柱、下山道における噴石・落石対策ですが、これに関しまして、登山者の命を守るためのシェルターの設置に着手をいたします。

下山道には、現状、登山道における山小屋などのような噴石・落石から身を守る施設がないため、それを確保するための対策として実施をいたします。なお、シェルターの基数或いは設置時期ですが、現在検討を進めているところであります。

最後三つ目の柱です。吉田口登山道ですが、この吉田口登山道につきましては富士山信仰を支えた御師文化の再興のための取り組みを進めて参りたいと考えております。

吉田口登山道の整備、これはソフトハード両面あろうかと思っておりますが、これらの整備によりまして、古くから行われている馬返しからの登山を富士登山の一つの魅力として発信していくことで、登山者の分散を図っていきたいと考えております。

それぞれの対策の実施箇所については、今お示しをした図の通りであります。五合目ロータリーから泉ヶ滝を道路法上の道路から除外をした上で、下山道とともに一体の施設として管理をしていく。こういう構想になっております。五合目登山道入口付近にゲートを設置し登山規制を実施するとともに、こちらでは通行料をいただきたいと思います。

また、下山道におけるシェルターの設置、吉田口登山道における御師文化の復興や登山道整備につきましても、こちらの図の通り、併せて実施の着手に取りかかっていきたいと思います。

以上の対策を総合的に実施することによりまして、富士登山を行う方々の安全を確保したいと考えております。

繰り返しとなりますが、今後地元関係者の皆様などからのご意見をいただきながら必要な調整を図った上で、最終的な安全確保対策を固めて参りたいと思います。

またその内容につきましては、改めてお示ししたいと考えております。

記者

登山鉄道構想について、今3ヶ所終えて、知事が自ら説明されてますけれども、手応えみたいなものがありましたら教えてください。

知事

いずれの会場も、活発な議論が交わされたのではないかと思います。賛成論・反対論両方ありましたけれども、それに対して、直接やりとりをさせていただいて、またその姿、そのやりとりを、ご発言・ご質問されなかった参加者の皆さんも含めまして、理解がどんどん深まってるかなと思います。

記者

この骨子案について、知事自身の期待するところといいますか、評価といいますか、その辺をちょっとお伺いしたいのと、あとはちょっと不勉強で申し訳ないのですが、以前、規制するときには道路法上の問題がいろいろあったと思うのですが、その法律の問題を今回、どうクリアしていったのかっていうところをちょっと教えていただけばと思います。

知事

まず、後の方の質問から先にお答え申し上げますと、これは今まで、今回お示しした場所は登山道の道路だったわけですけども、この道路を廃止するという取り扱いをいたします。そうしますといわゆる単なる県有地、県有施設として、下山道も実はそうなんですけれども、その維持管理に関しましては、道路としてのいろいろサポートを得ることができなくなりますが、他方で、道路ではないがゆえに、人の通りというものを制約、コントロールすることが可能になると。こういうことで五合目を基盤、起点といたしまして、五合目より上の混雑というものをこれによって解消したいと考えるものです。

今年、山小屋をはじめ、富士山関係者の皆様から言われたのは、登山道の例えば七合目とか八合目とかではなくて、五合目で規制してくれと、こういうお話もいただきましたし、一定の人数制限、こういうものもございました。また、地元からは、しっかり協力金も取れるような、義務化とは言ってませんでしたが、協力金も取れる形を作ってほしいと、こういうお声もいただいておりますので、こういうあらゆる声を踏まえまして、考えたのが一部分の道路の廃止という手法を用いることにしました。これによりまして、少なくとも五合目から上の登山をされる方々の安全確保に関しましては、大いに進捗をみることはできるのではないかと考えています。

今後、我々としては、この今日お示しした骨子案、地元関係者との調整を進めながら、併せて条例としての条文化の作業を急いで行っていきたいと考えています。

記者

通行料に関してこれから地元の関係者などとも調整されると思いますが、任意の協力金が1000円で、今回のゲート通過者からの徴収は幾らぐらいになるのかを教えてください。

知事

施設の利用料という位置づけですが、地方自治法上の法令上の規定によりまして、施設の維持管理などのために必要な経費を賄うために利用金を徴収することができるという規定がありますので、その考え方に基づいて考えていくのですが、ひとつは、このゲートを維持するために、ソフト・ハード両方ありますけれども、これを維持するために必要なもの、それから全体の施設としての安全を確保するための、先ほど申し上げましたシェルターの設置費用ですとかも賄っていかなければいけないわけですので、そもそもどれくらいの金額が必要なのか、つまり、この県有施設の維持管理、運営のために必要となる支出費目を今洗い出しています。

そして、それには一体どれぐらいお金がかかるものなのかいうのを算出いたしまして、今度は登山客1人当たりにどれぐらい求めていけばいいんだと、例えばこういうシェルターなどは作ってから何年か使えるわけですから、1年当たりどれだけ求めていけばいいんですか等、そういう計算をしながら水準を出していきたいと思います。いずれにしてもいただいたものは全部ここに充当し、登山者の安全を確保するために使っていきたいと思います。

記者

使用料、言い方はどうなるかわからないですけども、協力金は今任意なんですが、この使用料、通行料というのは強制、義務化、徴収という形でしょうか。

知事

通行料は、払っていただかないと通っていただいては困りますという意味で義務的で、通過する人にとってはマストなものです。

協力金については、今どのような形でいただくか技術的な問題について議論をしておりますが、基本的には一体的に徴収をして、例えばどうしても協力金は払いたくないという方は、別途、窓口で払い戻すとか、今それは現実的かどうかわかりませんけれども、協力金も合わせて徴収する中で、協力金の任意性をどうやって確保するかということについては、技術的にこれから検討していきたいと思います。

記者

麓からの登山者は、どういうふうに対象として考えているかということについてお伺いします。

知事

麓からの登山者に関しましては、この通行料は関係ないわけですので、頂上まで上られる方は協力金のお願いの対象となるわけですが、そこをどういうふうにお願いをしていくかは、引き続き議論していきたいと思います。

なお、併せて静岡とはしっかり調整をしないといけない話ですけれども、この協力金をどう考えるか、我々は義務化をしていく必要があろうかと思っていますが、その場合は別途その法的根拠が必要となってきます。その場合、さらに静岡と足並みを揃えた対応が必要となりますので、ここは当面は、任意のものとして位置付けて、今後義務化に向けて来年以降、静岡県さんとともに議論を進め、しっかりと法的根拠を整えていく必要があるんではないかと、こう考えています。

記者

先ほど知事も言及されたように、先日、地元との意見交換会がありましたけれども、その時にはある程度今回の骨子案は固まっていて、ただもう少し煮詰める必要があったので、なかなか言えなかったのか、それとも意見交換会以降にスピード感を持って対応されたのか、伺えればと思います。

知事

もちろんこれは2,3日でできるような話じゃないですから、当然我々として検討、議論をずっと積み重ねてきていて、先般の時には対策の方向性はお示しし、概ねこんな感じで問題ないよねっていうところは確認をさせていただきました。これはやはり手順としては重要なステップだったのかなと思っています。

地元はもっと早くやってもらわないと困りますという話で、それは大変重要なお声でありますので、我々としてはしっかり検討を急ぐわけですが、我々としてはまず、内々のイメージというものを固めながら、そのイメージをまず地元の関係者の皆さんにお伝えして、概ねそんな方向だよねというものをいただいた。これは我々にとっては重要なステップです。もちろん概ねこんな方向で、もう早くしてほしいという気持ちは痛いほどわかりますが、ステップはしっかり踏むことが大切かなと思いましたので、今そういう意味ではステップバイステップで進んでいるという理解をしております。

記者

確認させていただきたいのですが、1日の上限4,000人、これに山小屋宿泊者は除くという言葉があるのですが、つまり、6,000人を1日に入れてもいいというふうに考えていらっしゃるということですか。このニュアンスを確認させてください。

課長

4,000人は、制限をかけるのですけれども、4,000人に達した後にゲートを閉めた場合、その後も山小屋に宿泊を予約をしている方は通行できますので、4,000人を超えることもありうるということでございます。

知事

基本は4,000人ですけれども、4,000人で閉めた後に、万が一その山小屋の宿泊者の皆さんが全員そのあとに来た場合でも、その全員分が上乗せされるという形になります。

ただ、こういうことは実際には起こりえないわけで、現実に起こったらまた考えますけれども、時間中に4,000人を超えましたと、その4,000人の中には山小屋宿泊者の皆さんもある程度の人数が入ってるわけです。だけど、何人か4,000人を達した後に来られた方でも、山小屋の予約を持っていればお通しますと、こんなイメージです。

記者

富士吉田市の市長等がこの前来られて、山小屋の宿泊証明みたいな形のものの必要性で、それに対する支援を求めていましたけれども、このゲートにそういった確認する施設を作るとかという形になるわけですか。

知事

はい。そこを技術的に検討していきたいと思います。また、この人数のイメージはわかりやすく図にして、多くの皆さんにご理解いただけるようにしていきたいと思いますので、整理をさせていただきます。

記者

条例による指導権限の付与のところなのですけれども、今、安全誘導員はガイドはほとんどボランティアだと思うのですけれども、この指導権限を機に、何らかの報酬が出るとか、そういうことについては考えていらっしゃるのか。それと同時に、その人数を増やせないかというところはどうでしょう。

知事

講習?講習についてはもちろんです。おっしゃる通り、指導権限を付与するにあたっては何がしかクオリファイしないといけないものですから、それは講習などを経て、条例の権限に基づく指導権限を持った方として、名称はまだこれからですけれども、認定をするという形になろうかと思います。

記者

今ある安全誘導員とかとは違うまた職種ができるということで考えているのでしょうか。

知事

安全誘導員の皆さんにもこの資格を取っていただくということだと思います。

記者

吉田口登山道の馬返しの整備に関しては、どれぐらいの規模の整備をすることを考えてらっしゃるのか、また、取材不足で馬返しを見たことがないのですけれども、どういう整備が必要だと考えていらっしゃるのかということ、また、4,000人の規制をした場合に、今年の登山者数でいうと規制がかかるような日はないのか、今年の数に当てはめた場合4,000人というとどれぐらい規制がかかる可能性があるのかという点を教えていただきたいです。

知事

まず最初の質問については私からお答えいたしますが、これから吉田口登山道を再興するために、何をどういうふうにしていかなければいけないのか、これはまずしっかり現状の調査をしないといけないと思っています。その上で、これこそまさに地元の関係者の皆さんとどういう方向でやるか、その方向性についても併せて意見交換の中でコンセンサスを得て、そのコンセンサスに基づきスケジュールを組んで実行していきたいと考えています。

具体的にはこれからやっていきたいと思いますが、まず少なくとも2月議会の予算におきましては、この調査費用というものはしっかりと計上して、今申し上げたプロセスの第一歩を踏み出せるようにして参りたいと思います。

課長

4,000人ですけれども、今後カウントのとらえ方を検討していきますが、現時点では六合目の安全指導センターでカウントしている数字を使うことも検討しています。今年度については5回、4,000人を超えた日がありました。

知事

この数字も地元の皆さんと相談の上なんですけれども、必要に応じて見直しをかけていく数字かなと思っています。

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この1年を振り返って

知事

次の話題ですが、この1年を振り返って、ということです。

残すところあと2週間を切って、10日ちょっとでしょうか。皆様には、この1年間、大変お世話になりました。

また、多くの県民の皆様からも大変温かいご支援、ご理解、ご協力を賜りましたことに、この場をお借りいたしまして感謝を申し上げます。

この1年間改めて振り返ってみたいと思いますが、まず一つは、始まりですが、コロナ禍の真っ只中ではありましたが、知事選がございました。

新規感染者数が過去最多を更新する中で、県内各地を巡り、大変多くの皆様と議論を交わしてきたわけであります。そこでお約束したことを、この10月に新たな「山梨県総合計画」として形にいたしました。

1期目から掲げております「県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなし」の実現に向けまして、「ふるさと強靱化」と「『開の国』づくり」、この二つの柱を打ち立てまして、皆様のご理解をいただいてきたところであります。この公約をしっかり守るべく邁進してまいりたいと思います。

また、今年はコロナ禍が一段落しつつあるなかで、長期的・構造的な問題としての人口減少危機が顕著に顕在化してきたところであります。5月の新型コロナ5類移行に伴いまして、一応日常化への歩みというものが開始されたわけでありますが、そこで出てきたものがこの人口減少危機です。ある意味根本的な問題であり、ずっと前から言われてきた問題ですが、いよいよ本格的な脅威として、我々の目の前にきているわけであります。そこでこの6月、全国初となります「人口減少危機突破宣言」を行いまして、出生率回復に向けました抜本的・集中的な取り組みを開始したところであります。7月には県内市町村、或いは企業等のトップの皆様と共同宣言を行い、そして8月には政策パッケージ暫定版の公表、10月には人口減少危機対策本部事務局を設置をいたしまして、この人口減少対策、全庁挙げた取り組みをしっかりと組織立って進めていくべく、体制を整備したところであります。また、併せまして、今現在ですが、国内最高峰の知見を持ちます人口減少問題の専門家チームの皆さんと連携をした検証事業が、ここ山梨をフィールドとして進行してるところであります。オール山梨の総力を尽くしまして、全国に先駆け、この危機を突破するべく、取り組みを推進して参りたいと思います。

このほかにも、この1年、県政は大きく前進をしたものと考えております。

主なものを振り返りたいと思いますが、まず一つはコロナ関連からずっと取り組みを進めて参りました、衛生物資の流通備蓄体制が構築できました。

今般のコロナ禍を教訓に、今後未知なる感染症が蔓延し、全国的に衛生物資が逼迫した局面でも、十分対応ができる数量を常に新鮮な状態で確保できる「流通備蓄」の仕組みを新たに構築をしたところであります。なお、この山梨県の流通備蓄対策ですが、全国知事会におきまして優秀政策賞を受賞をしております。

次に活火山法の改正がございました。

私ども山梨県が代表幹事を務めます「火山防災強化推進 都道県連盟」の長年の要望活動が実を結びまして、多くの国会議員の皆様のご尽力をいただき、この6月に活火山法の改正が実現したところであります。

全国各地で火山活動が活発化している中、大規模な火山災害が発生する前にこの法改正が実現したということは、画期的な意味があろうかと思いますし、この法改正の中で国のコミットメントというものが確保されたわけであります。また、大いなる課題でありました人材確保についても、国と地方で力を合わせてやっていくこととなりました。国におきまして調査本部も設置をしていただいておりますので、そういう意味で火山防災対策に対するオールジャパンでの体制整備は大きく進展した1年だったと思います。

ここにおきまして山梨県の関係者の皆さんに大変大きなご尽力をいただいていたわけですが、それに対しても感謝を申し上げたいと思います。

次に少人数教育ですが、ご案内の通り25人学級、これは全国に先駆けてのものですが、本年度は小学校3年生まで拡大することができました。

また、加えて教育委員会では、学校現場の抜本的な負担軽減に向けまして、「文書半減プロジェクト」という思い切った業務改革に取り組んでおります。先生が子供たちに向き合う時間をしっかりと確保するために、知事部局と教育委員会が一丸となって今取り組みを進めております。これらによりまして、先生と児童・生徒とのコミュニケーションが充実をし、子供の自己肯定感、或いは課題解決力のさらなる向上というものが期待できるのではないかなと考えております。

次に、豊かさ共創の好循環を創出するための骨格ができました。

働き手がスキルアップをし、それによって企業の収益が上がり、その上がった収益の中からその賃金も向上する、こういう豊かさ共創の好循環創出に向けました取り組みが今年大変大きな進展を見たところでございます。

3月には、「やまなしキャリアアップ・ユニバーシティ構想」を策定し、これを道標といたしまして、10月には、この構想に賛同する県内企業の皆様を中心とした、「豊かさ共創スリーアップ推進協議会」を立ち上げたところです。

いよいよ年明けにはこのリスキリングサービスを一気通貫で提供いたします「やまなしキャリアアップ・ユニバーシティ」が開講する運びとなっております。

次に水素関連ですが、本県が世界に誇ります「やまなしモデルP2Gシステム」の実証サイトがある米倉山におきましては、この1年間、国内外から3000人に近い視察者にお越しをいただきまして、大変内外ともに注目度が高まった1年でございました。

3月には研究開発ビレッジ「Nesrad(ネスラド)」がオープンをいたしました。国内トップの燃料電池技術評価機関のFC-Cubicさんをはじめとする入居企業が「Nesrad(ネスラド)」におきまして、先端的な研究を進めてくださっておられます。今後、山梨を核とした次世代エネルギー技術の飛躍的な革新が、この米倉山という場から生まれいづるものと期待をするところであります。

そして今年は、本県を会場とした大規模な会議も多く開催された1年でありました。

まず、取っかかりは7月の全国知事会が山梨県で初めて開催されました。全国の知事の皆さんによる活発な議論を通じまして、少子化・人口減少など、山積する課題に挑戦をしていくことを決意する山梨宣言が採択されたところであります。

また、秋には、日中韓3カ国地方政府交流会議、さらには日韓知事会議といった国際会議が山梨県で開催をされ、ハイレベルな地域間交流が展開されたところであります。これらの開催を通じまして、国内外に山梨県の魅力を発信できたものと考えております。なお、この全国知事会或いは日韓知事会におきましては、先ほど申し上げました米倉山に参加者にご視察をいただいて、多くの皆さんに、多くの知事、或いは韓国の知事・市長の皆様に大変強烈な印象を得ていただくことができたんではないかなと思います。

これをきっかけに興味を持って、山梨県と提携したいというようなお話も頂いているところでありまして、私たちはそういうお申し越しを心から歓迎をし、一緒になって取り組みを進めていきたいと考えております。

また、山梨県の食のポテンシャルというものも皆様に体感をしていただけたのかなと思います。すばらしい食材とワイン、日本酒、さらにはウイスキー、その他の酒、それから水、そして食材はフルーツも含めて、大変ご堪能いただき、山梨県のファンが増えることに役立ったかなと思います。

なお、これらと合わせまして国際交流自体も大変大きく、実質的な意味での交流というものが深化・拡大した1年になったと思います。

まず、ベトナムですが、クアンビン省、9月に姉妹友好県省締結をいたしました。

現在、将来を見据えまして、先ほど申し上げました水素を含みます「再生可能エネルギー」と、それから「人材」の観点から、ウィンウィンの関係を構築すべく歩みを進めております。先般、ベトナムのファム・ミン・チン首相とも個別にお目にかかる機会をいただきましたが、そこでもクアンビン省を中心として、山梨県のベトナムとの交流をベトナム国政府として後押しをしていただけるといった言質もいただいたところであります。なお、大人だけの取り組みではなくて青少年交流もしっかりと推進をされる運びとなっております。来年1月には、その第1弾として山梨県の高校生の皆さんがクアンビン省を訪問し、現地の皆さんと共通体験をし、どこが同じでどこが違うのか、こんなようなことを体感していただくようなプログラムを中心に考えているというふうに承っています。次世代を担う高校生の皆さんにも、しっかりとこういう真の交流を拡大していく、その第一歩になろうかなと思います。

また、今年はブラジル・ミナスジェライス州姉妹都市締結50周年の節目となりました。8月に私どもがブラジルを訪問をさせていただきまして、ここでもP2Gシステムをご紹介をしたところ、ゼマ知事に大変なご関心を示していただき、そのあと、山梨県を実際ご訪問をいただき、米倉山を視察いただきました。

また、これら姉妹友好都市に限らず、各国のパートナーとの友好な証を自然に還元するべく、鳴沢村の県有林に設けました「国際交流 世界の森やまなし」におきましては、記念植樹を通じ、諸外国の方々との交流が行われているところであります。

次に、「富士五湖自然首都圏フォーラム」、行動がいよいよ加速度を増して参りました。昨年、始動したわけですが、その間に日展或いは松竹が参加をしていただくこととなりました。

また、10月には、世界の国々と手を取り合いながら、文化・芸術・学術の中心地を目指す「富士五湖グローバル・ビレッジ構想」が新たに立ち上がったところであります。本日も関係団体との提携協定に関していくつかサインをして参りましたが、着実に輪が広がっております。

今後、ますます富士五湖地域の高付加価値化が進んでいくことを期待するものであります。

加えまして、さらには物理的な開化というものも大いに進んだ1年でありました。

ご案内の通り、今年の7月、中部横断自動車道 長坂・八千穂間の具体的なルート案が示されました。現在、地元の皆さんと意見交換をしながら取り組みを進めているところであります。

あともう一つ、意識の開化に関しましても大きなイベントがございました。

10月には、冨永愛さんを史上初の女性信玄公役にお迎えをした信玄公祭りが過去最高の動員記録を打ち立てました。

11月には「パートナーシップ宣誓制度」を導入をするなど、意識的な開化も大きく進展しました。

これら顧みますと、国内外に開かれた「開の国」としての飛躍の1年目としては、ふさわしい成果を上げられたんではないかなと思います。

併せまして、この数年来、大きく議論をしておりました県有地問題、山中湖畔県有地の賃貸借をめぐる問題も大変前進をしたと考えております。

8月の東京高裁判決におきましては、結果として控訴は棄却されましたが、この内容は第1審と比べまして、県の主張を大幅に受け入れていただいたものとなっております。すなわち、富士急行が現在負担してる賃料の額は、現況を基礎として賃料改定を行う余地が大いにあることが示唆されたと受けとめております。

今後、富士急行との賃料交渉をしっかりと進め、賃料適正化を図り、県有地から得られる収益を県民に最大限へ還元するサイクルを確立して参りたいと思います。

また、富士山登山鉄道構想ですが、これにつきましても11月から地元説明会を開催し、去る18日も西桂町でも説明会を開催いたしまして、まず、富士五湖の残り3町村さんについても住民の皆さんと直接対話を交わしていきたいと考えています。

引き続き、100年先を見据えまして、富士山及び富士五湖地域を、世界の憧れの的となるような地域にしていくための最適解を見出して参りたいと考えております。

これら様々な施策の推進力として位置付けておりますのが「集合知」という言葉でございます。

すなわち、県内外問わず、多様な背景・価値感を持った人々が、お互いを互いに認め合いながら、「山梨を良くしよう」というメンバーシップで繋がり、相互に刺激をし合ってイノベーションを創出していく、こういう智慧の交流によって生まれます「集合知」が生まれいづる場所になるように、引き続き心を配って参りたいと思います。

以上が主な出来事・取り組みを踏まえまして、この1年間を振り返ったところであります。

改めましてこの1年間大変お世話になりました。また来年もどうぞよろしくお願いをいたします。

記者

今この1年振り返っていただいたので、毎年恒例なのですけれども漢字1文字で表していただけますか。

知事

今年は、「集まる」という字を今年の文字として選ばせていただきました。この集まるという字ですが、この1年間、先ほど申し上げましたが、総合計画ですとか豊かさ共創会議、さらには人口減少対策、教育、富士山登山鉄道構想における議論、様々な場面で、多くの皆さんとの議論、やりとりを通じまして、いわゆる集合知をつくり上げる、こういう取り組みを実行してきた1年であったろうと思います。

また、あわせまして、山梨県、国内外から大変多くの皆さん或いは智慧というものが集う1年であったろうと思います。

一つは全国知事会、日中韓3カ国地方政府交流会議、日韓知事会議。そして「Nesrad(ネスラド)」もそうだと思います。おかげさまで「Nesrad(ネスラド)」も大変人気の場所となりまして、また米倉山自体にも進出を希望される企業も多く声をいただいておりますので、そう意味で様々なものが山梨に集まりだしたと。

さらには良い話も悪い話も含めて山梨県に注目が集まったかなと思います。

良い話としてはそのP2Gモデルはご注目をいただきましたし、山梨学院野球部は選抜の甲子園優勝、紫紺の大優勝旗を山梨県に、私も初めて実物を見させていただきましたが、これを持って帰ってきていただいた。さらには日本航空高等学校の男子バスケ部インターハイ優勝と、こういうものもございました。

これはいい話でありましたが、他方皆さんの心配を集めたのも、富士山のオーバーツーリズム問題。こういうものは多くの心配を集めて、これに対する取り組みというのは今現在進行形で進んでいると。

このようなことから、この集まりという字が今年のキーワードとしてはふさわしいかと思います。

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発表事項以外の質問事項

政治資金を巡る動きについて

記者

政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑についてお伺いします。昨日、強制捜査が始まりましたけれども、強制捜査が始まったことへの知事の受け止めと、今派閥を離脱するような動きも出てきておりますけれども、知事の今後の関わり方を教えてください。

知事

まず、直近自民党における派閥内でのパーティー券の処理につきまして多くの報道がなされております。全てのお金の流れを見える形で明らかにすること、これこそが政治資金規正法の根本の趣旨であると、このように理解をしております。そして、その法の趣旨に対しまして、誠実であるべきというのが政治の責任であろうかと考えます。こういう観点から見まして、今課題となっております派閥のあり方を再考すべき時であるとすれば、改めまして法の趣旨に誠実であること、そして、有権者の皆様に対しまして透明で公正な政治活動を行うことが求められるものといたしまして、今一度、私自身としてもしっかりと考えるべき時期であろうと考えております。大切なことは、そうした政治のプロセス、政治の過程の透明性と検証可能性、これを確保・担保した上で、志を同じくする県民・国民の皆様、そして同志の皆様と歩みを進めていくことであろうと考える次第であります。

この度のパーティー券の処理をめぐる問題、そして、派閥内或いは派閥のあり方につきましては、やはりこのような認識を根本といたしまして、私を含めました関係者、自らがしっかりと襟を正して、禊いでいかなければならない、このように考えております。

記者

収支報告書には志帥会からとの記載は確かにあるのですけれど、それ以外の所謂報道にある裏金のようなものはないと考えてよろしいでしょうか。

知事

ないはずですが、繰り返しになりますが、今、総点検をしています。

何がしか事務的なミスがないように、本当にないんだろうなということで、目を皿のようにして関係書類をあたっているところです。

記者

あと、派閥を離れるという考えは今のところ全くないということでよろしいでしょうか。

知事

先ほど申し上げたこと以上でも以下でもないということで、御理解いただければと思います。

記者

政治資金の関係で、今改めて精査中ということなのですが、精査の結果ですとか、また今ご自身についても派閥との関わり方について考える時期がきたということですが、その考えた結果というのは、何らかの形でまた会見等々で公表されるつもりはありますでしょうか。

知事

明らかにするというのが趣旨ですので、考えていきたいと思います。

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ライドシェアについて

記者

政府の方でも来年にも始めるような形で、正式には今日のデジタル行革会議で決まると思うのですが、地域で対応するというような形になると思うのですけれども、前に伺ったときには検討ということだったのですが、かなり国の方が動き出したので、山梨としてはどういうふうに考えるべきなのかお願いします。

知事

国の方の議論をこれからしっかりと吟味、分析いたしまして、我々としてどう向き合うべきかというのは、関係者との意見交換も交えて考えていきたいと思います。

大切なことは市民、県民の皆さんの足がいかに確保できるか、これがまず一番重要です。その次に観光客という話になるかもしれませんけれども、私どもとしては、そのために今、山梨の現状はどうあって、国で考えている制度がどういうふうに活用できるのか、使えるのか、どういうふうに当てはまるのか、これをしっかりと見極めた上で早急に方向性を決めて、公の議論にかけていきたいと思います。

記者

来春以降ということなので、それまでには方向性が決まるということでしょうか。

知事

国で制度がスタートするのに合わせて、できるだけ早く、これは行政がどうだと言ってもあれなので、関係者ともしっかりと意見交換しながらですので、できるだけ早くやりたいと思います。

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リニア中央新幹線に係る開業時期についての受け止めと先行開業についての考え

記者

JR東海が開業時期について国に変更届を出しました。ご存知の通り、2027年から2027年以降ということに変更されたと思いますが、改めて知事のお言葉でこの受け止めと、あと先日の会見で、全線開通を前提というふうにしながら、一部先行開業も歓迎したいというようなご発言があったと思いますが、先行開業についての知事のお考えを改めて頂戴してよろしいでしょうか。

知事

まず、2027年が2027年以降となった件に関してですが、この点はもちろん残念なことではありますけれども、ただ、この問題に主体的に関わってるものとしては、致し方ないかなと思っています。大切なことは、今静岡県とJR東海で議論をされております水の問題、土の問題、さらには環境の問題。こういう静岡県がご心配されることについて、まずはJR、そして国がしっかりと向き合って静岡県のご理解を得ていただきたいと思います。また、他方におきまして私どもといたしましては、今般、国の有識者の報告書というものも出されて、大分条件が整ってきてるのかなと思っています。

そういう中で、なおご懸念があるというのが静岡県のお立場ですので、そうであるとすれば、私どもとしては静岡県さんに対してしっかりと、何がどういうふうに懸念があるんだと、その懸念というものはどういう理由で正当なのかということを説明を求めていきたいと思います。

期成同盟会でともに取り組む仲間でもありますので、少なくとも静岡県さんは、山梨県を含む期成同盟会に対して、この点をしっかりと説明する責任が私はあると思いますので、それを求めていきたいと思います。

そういう取り組みを進めながら、最終的にはやはり静岡県の多くの皆さんがしっかりリニアを待望していただくと、リニアに対する期待が高まるような、そういう取り組みというものは必要だろうと思っています。

先般、国がリニア全通後の東海道新幹線のダイヤの改善についての試算値を出していただきましたが、そういう努力も踏まえてですとか、或いは今私どももしっかりと必要だと思って旗を振りたいと思っている静岡空港新駅、こういうものも含めてリニア全通後の高速交通体系が、静岡県の皆さんに対しても大変大きな効果を及ぼしうると。この姿を早くお示しし、静岡県の皆さんのご理解をいただいて、静岡県も含めて沿線自治体のまさに智慧を持ち寄って、集合知を持って課題解決に繋げていく。こういうプロセスをしっかり進めた上で初めて何年にできるということが出てくるのかなと思いますので、山梨県といたしましては、今申し上げた取り組みに対して、積極的に、主体的に行動を行い、貢献をしていきたいと思っています。決してJR等に押し付けるだけでは物事は進まないので、我々はそういう意味では積極的な役割を果たしていきたいと思います。

2番目のご質問の先行開業についてですが、繰り返しになりますけれども、リニアはとにかく品川から山梨県を通過して、もちろん山梨県駅で止まっていただきますが、名古屋そして大阪まで全線開通することで初めて効果が最大化されると、これは全く変わらない認識でありましてそれが大前提です。ただ、南アルプストンネルは大変長大な、巨大な工事になって、相当程度の日数もかかるのかなとも思います。とすれば、仮に甲府から品川までの間が先に完成が見通せるような場合であれば、トンネルができるまでの間は、品川から甲府の間を行ったり来たりというのもない話ではないんじゃないかなと。むしろ我々山梨県としては、JRがそういう経営判断ができるような、そんな環境を整えていくのに何が必要なのか、それも考えながらそれに向けての現実的な対応というものを考えていきたいと思っています。

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富士山登山鉄道構想について

記者

今、説明会の最中だと思うのですが、住民の方から、そもそも富士山が世界文化遺産の登録から外されると何がどう困るのかという質問が前に出ていたと思うのですけれども、この時は1度整理しますということを確かおっしゃっていたと思うのですが、今、改めて登録を外されることの危機感や何が困るかみたいなところを教えてください。

知事

一言で言うと、富士山もしくは山梨県或いは日本のブランド価値が、極めて大きく失墜するということだろうと思います。いろいろなところに多分影響してくるのだろうなと思います。

富士山が日本の象徴であるのだとすれば、その日本の象徴を、私たちはその文化遺産に足るべき価値というものを確保することはできなかった、それだけの能力がなかったということが、世界から烙印を押されてしまうわけですので、そのダメージというのは計り知れないのだろうと思います。

確かに文化遺産を返上したところもあるのですけれども、例えばドイツのドレスデン等がそうなのかもしれませんが、もちろん両立できれば彼らもよかったのでしょうけれども、それより重要なことがあるので、比較衡量の中でそういう判断をされたのだろうと思いますが、我々は世界文化遺産というステータスを維持することがまず一つの大きな価値だろうと思います。何かをするがためにこの世界文化遺産がなくなってもいいというような、比較衡量をする対象というのは僕らは持っていないわけです。富士山は世界の宝としてずっと認知されておいていただきたいと。それを上回る、それと比べるような価値というものは今現在見いだせないのだとすれば、我々はこの価値を維持する。だけどその能力がなかったという烙印を押されることは、これは計り知れない大きな、イメージ上、或いはそのブランド価値上、或いはその経済上、精神上、物質上、様々なマイナスが起こってくるのではないかなと考える次第です。

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