知事記者会見(令和7年5月29日木曜日)
ページID:121218更新日:2025年5月30日
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防災新館401,402会議室 16時30分から 発表事項 発表事項外 |
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知事
本日は、6月定例県議会に提出予定案件あるいは編成作業中の補正予算の概要などにつきましてご説明申し上げます。
まず6月の定例県議会ですが、6月12日に召集を予定しております。
提出案件は、予算案3件、条例案7件などです。
補正予算額は、一般会計で223億円程度となります。
続きまして計上予定の主な事業などについて説明いたしますが、大きな柱の一つはケアラー支援になってまいりますけれども、ケアラー支援は後でまとめてお話をいたしますので、それ以外のところから始めていきたいと思います。
まず、県政、いま二本柱で動かしています、ふるさとの強靭化と開の国づくりということですが、このうちふるさとの強靭化の取り組みのうち、県民生活の強靭化についてであります。
初めに不登校児童生徒への支援ですが、本県ではフリースクールの通学補助制度を新たに開始いたしまして、経済的な理由で子供を安心できる環境に通わせることが難しかったご家庭にも新たな学びの選択肢を提供することができるようになったところであります。
こうしたフリースクールでの学びの質を高めていくべく、ICTを活用した課題解決型学習などをモデル的に導入いたしまして、教育内容の充実を後押ししてまいります。
次に、生活保護受給者および生活困窮者に対する支援について申し述べます。
ご案内の通り昨今物価高騰によりまして県民生活は厳しさを増しております。
中でも生活に困窮されている方々にとりましては、まさにその影響がより深刻かつダイレクトなものになっております。
先般、県が独自に実施いたしました実態調査におきましても、生活保護受給者の生活が以前より一層厳しい状況に陥っているということが明らかになったところであります。
物価高騰に関しましては、これまでこれを乗り越えていくための経済環境の整備については県が担い、住民への直接的な生活支援については市町村に行っていただくという役割分担に基づいておりましたが、今まさに困難の真っただ中にあります生活保護受給者あるいは生活困窮者の方々が日々の食を確保し、安心して住まいを構え、そして「職」いわゆる仕事、仕事に就いて自立していけるといった基本的な生活の土台すら脅かされつつある、こういう現下の状況にありましては、山梨県という地域社会における生活のセーフティネットの思い切った再構築は急務であるとの判断に至ったところであります。
このため「食」と「住」そして仕事の「職」の三つの観点から、本県における生活のセーフティネットといたしまして、生活保護受給者あるいは生活困窮者の方々に対する持続可能な支援システムの構築に取り組んでまいります。
まず食べる方の「食」の確保についてですが、県では今後において継続的かつ安定的に食料支援が行われるためのシステム作りを市町村や民間団体と連携して取り組んでまいります。
なお、目前に迫ります夏休み期間におきましては緊急的な対応といたしまして、生活保護世帯あるいは生活困窮世帯の小学生から高校生までを対象に食料支援を実施いたします。
次に住まいの安定についてであります。
生活保護受給者や生活困窮者あるいは高齢者の方々が住宅を借りにくいという現状がございます。
こうした住宅確保が困難な方々を支援していくため、住宅施策と福祉施策を一体化させた包括的な支援体制の構築を進めてまいります。
3番目に「職」、すなわち就労と自立の支援についてですが、生活保護からの脱却、あるいは生活保護への移行を未然に防いでいくためには、就労支援の充実というものが不可欠になってまいります。
このため就労に必要な生活習慣あるいはコミュニケーション能力などを支援する体系的なプログラムを提供し、自立への一歩を後押ししてまいります。
また、障害あるいは疾病などによりましてすぐには一般就労が難しい方々につきましてもその特性や希望を丁寧に把握し、柔軟に就労支援を行える体制を整備いたします。
加えまして経済的に厳しい状況にある方々の所得向上を図るための取り組みにも注力します。
近年急速に普及します生成AI技術に関しまして、企業からのニーズが高まっている一方で、これを活用できる人材の不足、これが課題となっております。このため生成AI人材の育成と就労支援を連動させた新たな人材活用モデルを構築し、非正規の雇用者あるいは未就業者の正規就労への移行を支援してまいりたいと考えております。
なお、本県の財政規模を踏まえますと、持続可能性のあるセーフティネットの構築という観点からは、現金給付、あるいは価格差補填といった手法は残念ながら困難である状況には変わりありません。
そうではあるものの、例えば生活保護費のような国が水準を定め財源措置を講じるものにつきましては、物価上昇を適切に反映した改定を国に求めてまいりたいと考えております。
次に、困難な状況に置かれた方々を、確実に支援へとつなげるための仕組み作りについてです。
県では、これまでLINEによる相談やメタバースを活用した交流の場の提供など、当事者の気持ちに寄り添いながら、同じ境遇にある方々と繋がるきっかけ作りを進めてまいりました。
今般、これに加えまして、抱えている悩みや思いを打ち明けるのに適したポッドキャストを活用した仕組みを構築し、困難な状況にある方々の声を拾い上げ、支援につなげていけるよう取り組んでまいりたいと思います。
また、学校現場におきましては、児童・生徒やそのご家庭が抱える課題というものが、ますます複雑かつ多様化しております。
このため、学校と家庭をつなぎ、1人ひとりの事情に応じて支援の橋渡しを担うスクールソーシャルワーカーの大幅な増員に向けた養成研修を実施することといたします。
次に、米国関税措置への対応についてです。
県民生活の強靭化を実現していくためには、地域経済の基盤そのものを強靭化していくことが不可欠であります。
いかなる外的ショックに対しましても、地域経済の安定的かつ持続的な成長を維持できる経済体制への進化を、これまでも大きなテーマとして掲げて進めてきたところですが、今般の米国関税措置に対しましても、進化するための一つの契機として捉え、積極的に対応してまいりたいと考えています。
先般開催いたしました「第1回米国関税対策協議会」におきましては、経済団体の皆様から、正確な情報の提供や、経営転換に向けた具体的支援を求める意見が多数寄せられたところであります。
これを受けまして県内企業の海外取引の実態や、米国関税措置による影響を的確に把握するための詳細な実態調査を実施いたします。
また、経営の高度化・転換・多角化に挑む企業に対しましては、専門家の派遣、研究開発、人材育成などに対する支援に加えまして、商品開発や販路開拓に活用可能な補助制度を大幅に拡充いたします。
農業分野につきましては、現時点で直接的な影響というものはまだ見られませんが、今後を見据えまして、農産物の高付加価値化を一層進めていくとともに、インバウンド需要を積極的に取り込んで、一つのマーケットとして育てていきたいと考えております。
今後も、対米交渉の動向や世界経済の変化を見ながら、関係すべきところとしっかり連携し、タイムリーに対策を講じていきたいと考えています。
次に、自然災害に対する強靭化についてです。
近年、激甚化・頻発化する自然災害から県民の生命、財産を守るため、引き続き、県土の強靭化はしっかり推進してまいりたいと思います。
これに関しまして、昨日、県議会においても、議員連盟の超党派の皆さんが臨時総会を行い、各市町村からも議員の皆さんがご参加いただきました。
この問題は、県に共通する重大関心事項となっております。
今般の補正予算においては、国の内示増に伴いまして、公共事業費178億円程度計上いたします。
今回の内示で、中央自動車道と新山梨環状道路の連携力強化につながる小石和アクセス事業が新たに事業化されたところであります。
引き続き、継続的・計画的な社会資本整備に全力で取り組んでまいります。
次に、感染症に対する強靭化についてです。
新型コロナの経験を踏まえまして、次なる感染症危機にも円滑に対応できるよう、この度、新型インフルエンザ等対策行動計画について、対策項目を拡充するとともに、平時の準備、実効性の確保に重点を置いた内容に全面改定したことは、先般この場でもご紹介したとおりであります。
この計画に基づきまして、平時から医療提供体制の確保、専門人材の育成、そして、個人防護具の備蓄などを行うとともに、関係機関と連携しまして訓練を実施することにより、計画の実効性を検証して改善につなげてまいりたいと思います。
次に、開くという字を書く「『開の国』づくり」に関する取り組みについてです。
まず、国際交流に関してですが、本県の国際交流は、「人の交流を基盤とした新しい価値の創造」と「国内外の自治体を面的に結ぶ国際連携の推進」、この2つを柱として展開してまいります。
第1の柱であります人の交流についてですが、水素関連技術、文化芸術、青少年、企業間連携といった分野で既に本格的に動き出しております。
まず、水素関連技術につきましては、来年3月に国際水素サミットを本県で開催することを予定しております。
このサミットには提携先であります、カリフォルニア州の「ARCHES」という関連組織、あるいは姉妹都市に加えまして、グリーン水素に関する覚書を締結した海外の地域に対しましても参加を呼びかけ、世界水準の議論の場を形成してまいります。
次に、文化芸術分野に関しましては、料理人や若手芸術家の交流を中心に幅広く活動を推進してまいります。
まず、食の交流ですが、この食の理解というものは、それぞれの地域の相互理解に対する間口といっても差し支えなかろうかと思います。
これまで中国、あるいはベトナムとの間で料理と本県食材などとのマリアージュ体験会などを催してきたところでありますが、これをさらに一歩踏み込みまして、本県と各国の料理人が山梨県産食材を活用しながら、それぞれの料理文化を融合させ、新しい料理文化を創出することを目指す、そういう取り組みを進めてまいりたいと思います。
その第一歩といたしまして、インドのウッタル・プラデーシュ州との連携事業において、日印の料理人が本県産食材を活用して創作した料理を秋にインド大使館でご披露する予定であります。
青少年交流に関しましては、「Fuji-California Young Artists Expo」の開催に加えまして、ロサンゼルスで活動するジャズバンドを招聘し、富士北麓地域の中高生との共演など音楽を通じた交流を企画してまいります。
次に、企業間連携の分野におきましては、医療機器産業が集積するカリフォルニア州南部にありますアーバイン市、サンディエゴ市を中心に、10月に個別の行政当局間の意見交換会を実施したいと思います。
この場におきまして、本県の「メディカルデバイスコリドー構想」や、県内企業が有する高い技術をご紹介し、連携の可能性について意識共有するなど、まずは行政当局間の信頼関係を構築することで、同じく来年2月に予定をされております企業間交流イベントにおける具体的な連携の実現に繋げてまいりたいと考えております。
次に、第2の柱となります面的な国際連携の推進についてです。
これまで国際交流は、一対一のいわば線の関係でありましたが、この一対一の関係というものは相手国、あるいは地域との資源、あるいは体制の違いによってその継続性や成果に課題が生じ得ると考えております。
具体的に申し上げますと、例えば、中国の四川省は人口が約1億数千万人ですが、本県はそれに対して80万人。あるいはインドのウッタル・プラデーシュ州は2億4000万人、本県はその300分の1になりますが、どうしてもその規模の差、人口の差というものが出てしまう。
既にもう事実としてあるわけですが、そこを今後しっかり継続的に連携を進め、実のある成果を生み出していくためには、どういう工夫が必要なのだろうということが今回のテーマとなっています。
そこで、国内の自治体同士が連携をいたしまして、現在、多くの自治体が海外の自治体との間で個別に交流を行っているところですが、国内の自治体同士が連携し、それぞれ相手方との交流の機会を他の自治体に相互に提供する窓口となる。
これによって広域的かつ効果的な交流が実現できるのではないかと考えています。
例えば、インドに関して言うと、山梨県はウッタル・プラデーシュ州と連携をしていますが、静岡県はグジャラート州。
そこでウッタル・プラデーシュ州の連携に関しては、山梨県が窓口になって、静岡県の皆さんにも交流の機会というものを提供する。
逆に、グジャラート州に関しましては、例えばですが、まだ静岡県とこれから話をしますけれども、静岡県が窓口になって、グジャラート州との交流を山梨県の企業、あるいは青少年にも開放する。
このような相互乗り入れというか、こういう仕組みができないだろうかと考えているところであります。
この仕組み作りを私達は「面的交流」と称していますが、これを本県がしっかり主導して築くよう努めてまいりたいと考えています。
この構想の実現に向けまして、来る10月にはカリフォルニア州の各市長、あるいは州関係者との間で予定されております「日米リーダーシップ・サミット」においてこの構想を提案し、理解と賛同を得てまいりたいと考えております。
次に県内各地域の高付加価値化についてです。
地域にヒト・モノ・カネを呼び込んでいくためには、地域が持つ独自の歴史、あるいは文化、景観など、この潜在力を最大限顕在化させ、活用し、そしてその結果として地域をより上質な空間に変えていく必要があると、このようなものを基本的な考え方として望んでおります。
まずその考え方に基づきまして、新しいエリアブランドであります「南山梨」に関しましては、道の駅富士川のフラッグシップ化に向けまして、今「朝」をテーマとしてトライアル事業の実施や事業計画の策定を行ったところであります。
今後は、情報発信機能の強化ですとか、あるいは上質な体験価値の提供などエリア全体に対する滞在時間の延長や消費拡大のための仕掛け作りなどをさらに進め、「南山梨」エリア全域に賑わいを生み出すべく努めてまいりたいと思います。
東部地域につきましては、道の駅つるをフラッグシップ化の第2弾として地域のブランディングの方向性を検討し、構想を策定したいと思います。
次に甲府市北部にあります武田の杜につきましては、ご案内のとおり、昨年度来、地元関係者や有識者と検討を重ね、過日構想を取りまとめたところでありますが、今後、民間事業者から意見や提案を募り、構想の具体化に繋げてまいりたいと思います。
さらに峡北地域ですが、これもご案内のとおり本年3月、「馬」をブランドコンセプトといたしました「小淵沢エリア振興ビジョン」を策定したところですが、地元の事業者あるいは北杜市などとともに具体的な振興策を検討実施をしてまいりたいと考えております。
次に、富士山五合目のあるべき姿についてです。
世界文化遺産登録時にイコモスから出されました3つの宿題のうち、五合目の景観改善につきましては、残念ながら根本的な解決が図られないまま今日に至っております。
このため、関係者の皆さんと五合目の将来のイメージあるいは備えるべき機能などの議論を今後していきたいと考えておりますが、そのための基礎的な調査をまずは行っていきたいと思います。
最後に人口減少危機対策についてですが、人口減少危機対策の根本は若い世代が特に所得、あるいはその生活水準におきまして、将来に明るい展望を持てる社会を構築することであると捉えております。
このため、そこに向けて積極的に施策展開をしてまいりたいと思います。
まず柱となります豊かさ共創スリーアップの推進についてです。
これまでの取り組みにおきましては、キャリアアップ・ユニバーシティの立ち上げを行い、このスリーアップの推進に取り組んできましたが、令和6年度末においてその宣言企業数626社となっております。
しかしながら、現実問題としてこのスリーアップというものが十分に県内経済界に浸透しているとは言えません。また、未だに多くの企業でスキルアップというものは、働き手が自主的に行うべきものだと、そういうちょっと時代に2歩か3歩遅れた認識というものが、主流になっている、こういう厳しい状況でございます。
このため、この認知度の向上に向けた経済団体との連携あるいは企業へのプッシュ型アプローチを行うほか、優良企業の認証制度を創設し、その活動を県広報などでPRすることで、リテラシーの向上を図っていきたいと考えています。
次に子育て世代の住宅取得支援についてであります。
本県の調査結果などから、良好な住環境と出生率との間には正の相関関係があるということが明らかになっております。
このため、本年度から市町村と連携し、子育て世代の住宅取得などへの支援を行うこととしております。
この3月には連携協定を締結した南部町と子育て世代の住環境の整備およびその効果検証を一緒にやっていこうということで合意を得ておりますが、今後これを実行し、その成果を将来的に県内全域に展開を図ってまいりたいと考えております。
次に、プレコンセプションケアの状況についてですが、本県では若い世代を対象に妊娠出産に関する正しい知識を学ぶセミナーや、健診の実施などを内容とするプレコンセプションケア事業を全国に先駆けて推進しております。
昨年度のプレコン検診の受診者ですが、大変好評でありまして、私ども想定した数の1.5倍にあたる1,481人の皆さんに受けていただきました。
受診者からは、生活習慣の見直しに繋がったとの意見が寄せられるなど、行動変容に繋がる成果もあらわれておりますので、本年度も希望者全員が受診できる体制を整えます。
次に、不妊治療に関する支援策の検討についてです。
子供を産みたいと願う方々の希望を叶え、妊娠出産を支援する取り組みというものは、人口減少危機対策の中でも大変重要なパーツとなっています。
令和4年4月に、体外受精など基本的な治療につきましては、全て公的保険の対象となりましたが、本県では、保険診療と併用ができる先進医療に対しましても助成を行ってきたところです。
そうした中で、併用が認められていない自由診療の検査を受診することで、一連の不妊治療全体が全て自己負担だったと、いわゆる混合診療の問題ですが、これについては支援を受けることはできないかと、こういう声が寄せられたところです。
そこで、こうした切なる願いに応えるべく、支援の更なる充実強化に向けて不妊調査に関する意識、あるいは実態を把握するための調査を行いたいと思います。この調査結果を踏まえて、6月はもうこの調査ですけど、できるだけ早く実際の具体的な支援策に繋げて、これも引き続き予算提出をしてまいりたいと考えています。
詳細は、後ほど財政課長から説明があろうかと思います。
予算に関しましては以上です。
記者
今回の6月補正予算案ですけれども、知事がおっしゃったように、ケアラー支援事業が軸になっているかと思いますが、改めてですけども予算編成に対する考え方、狙い、このケアラーを軸にしたっていうところの狙い、考え方を教えていただけますか。
知事
今回、あえて言うと、ケアラー支援ともう一つ生活困窮者に対する支援、この二つが大きな柱として位置づけられるかなと思ってます。
このうち、お話がありましたケアラー支援に関しましては、もう既に2025年問題だと言われていて、我々の着手自体が、もう今既に2025年ですから、ある意味遅すぎた、遅いとも思っています。
ですので、この部分、ただ、これは我々だけではなくて、さっきも申し上げましたが、日本全体でやはりそういう状況でありますので、我々の今の取り組みというのは、ある意味、手探りでもありますし、また先ほど説明聞かれてお感じになったと思いますけど、その検討を進めていく、構築に取り組んでいくこういうところですので、私達は今回この予算を認めていただければ、できる限りこの検討すべきものを一刻も早く検討し、その制度を一刻も早く実行に移していきたいと。
そういうことで、ぜひ1人でも多くの方が介護離職しないで今現在進行形で介護離職というものも進んでしまっている現状もありますので、その介護離職というある意味望まぬ介護離職がほとんどでしょうから、そういう厳しい状況というものに県民の皆さんがさいなまれないですむような社会を構築していきたいと思います。
記者
富士山五合目の再整備について、まずこのタイミングで盛り込んだ理由と、あと今、県で検討されている富士トラムと一緒に含めて考えていくのか、それともこれは個別としてこの再整備五合目の再整備として考えていくのか、その辺のビジョンがありましたらお願いします。
知事
トラムとはまた別の問題として、五合目をどうするのかという問題が出てきます。
これも同様にイコモスから、10年以上も前に指摘されて、ほとんど何もできていない点で、このタイミングというか、もう、とっくに検討しなければならない話ではあったとは思いますが、遅きに失しているとはいえですね、ここは真剣に関係者の皆さんと議論を進めていきたいと思います。
記者
不妊治療についてなのですが、先ほどのお話で、混合診療に対する支援をというようなことをおっしゃってましたけれども、混合診療というのはなかなか日本の保険制度の根幹に関わってくる問題でもありますし、他のガンにしても何にしても、いろんな先進医療を混合診療で受けたいのだがという方は相当いらっしゃると思うのですけれども、不妊治療だけを切り出して、というようなことがこの先、継続的に可能なのかどうか、その辺いかがでしょうか。
知事
問題の立て方にもよりますけれども、一定の、例えば検査項目というものに対して補助をするということかと思っております。
それを一体としてやるのではなくて、保険治療についてはそっちでやってくださいと。
それとは別に、保険の対象になっていないものについてこれは別途補助をして、やります、ということもイメージをしています。
記者
ただ、それが駄目ですよっていうのが今の保険の体制じゃないですか。
知事
でもタイミングを分ければできるのではないでしょうか。
記者
そうですか、はい、ごめんなさい、私はあまり詳しくないので。
はい、ありがとうございました。
知事
駄目ですよって言われないような工夫をしてやっていきたいと思います。
記者
お米の物価上昇について伺いたいと思います。
知事が仰っておりましたけれども、生活困窮世帯の食というところにも大きく関わってくる部分だと思いますが、やはり既存在庫の銘柄米というのは、まだ県内の方でも4,500円だったり5,000円ぐらいの相場で動いております。
率直にまず県内の状況を今どういうどういう形で思っているかというような所見を伺いたいと思います。
知事
ここは全国同様、大変お米が値上がりして生活を直撃しているという状況だというふうに私達は思っています。
ですので、ここはもう政府に一刻も早く適切な対応をしていただきたいと思ってます。
記者
ありがとうございます。
先日政府が備蓄米を随意契約で5キロ2,000円というものを掲げて放出されましたが、こちらについてはどう思いますか。
知事
その水準で提供されればいいんでしょうけれども、そうなることを期待するところですね。
記者
最後に、新しく農林水産大臣が変わりまして、小泉進次郎農林水産大臣に変わりましたが、何か期待されることなどありますでしょうか?
知事
小泉大臣に期待する云々というよりも、もう少し消費者に選択肢があってもいいのかなと、個人的には思っています。
例えば、今から20数年前ですけども、私がロサンゼルスに赴任していた経験がありますが、あそこでは大金持ちから今も話題の移民の方々まで、様々な方がいらっしゃいますけれども、例えば同じジャガイモにしても、1個何ドルもするジャガイモもあれば、バケツ一杯で1ドルしないようなジャガイモもあって、それはクオリティも違うんでしょうけれども、それを消費者が複数選べることができたんじゃないかなと思ってます。
他方で、お米も、私は美味しいお米が食べたいという人は、高いお金を払っても買えばいいと思いますし、いやそうじゃなくて量が食べればいいんだ、安く食べればいいんだという方にとっては、そういう米が選べるような状況にあってもいいのではないかなと思います。
そういう状況になるように、ぜひ私はお米の政策というものも、考えていただくといいのかなと思います。
知事
次に、ケアラー支援推進パッケージ、この取りまとめにつきましてご報告を申し上げます。
いわゆる2025年問題団塊の世代の皆さんが75歳以上になられる今年以降、介護需要が爆発的に増加するということは多くの識者も指摘するところです。
この問題は、個人や家庭の問題として放置をすれば、望まぬいわゆる介護離職、あるいは家庭崩壊を招くだけではなく、企業活動や地域経済にも大変深刻な影響を及ぼすことは想像に難くないところです。
もはやケアラーの問題は社会全体の構造的課題として捉え、真正面から向き合うべき課題である、このように受けとめてます。
昨年度実施した実態調査でも、回答者の4人に1人がケアラーであること、そして制度や支援の認知度が極めて低いことが明らかになりました。
この本県の状況は、過日この場でも報告した通りです。
このケアラー支援に関する課題を、私達は積極的に発見、洗い出しして、次の一手を講じていこうということで、今般「気づく」、「つなぐ」、「支える」という3つの視点でケアラー支援の基盤となるべき対策を講じていきたいと考えてます。
これは当面のフェーズ1の対策として位置づけていて、今後さらに深化発展させていきたいと考えています。
まず、この視点ごとに6月補正予算に計上いたしました新規事業につきましてお手元の資料で、マル新と記載のある取り組みを中心に説明をしていきたいと思います。
第1の視点、これは重要なことになりますが、気づくという取り組みについてです。これまでセミナーの開催あるいはポータルサイトなどによりまして、県民の皆様に介護への向き合い方や実務的な知識、あるいは情報などについて周知に努めてきたところです。
例えば、身体介護サービス自体を親御さんに対して提供するというのではなくて、今やそのフルタイムの共働きが基本ですから、その中でケアラーは、ケアサービスの提供者ではなくて、ケアサービスのプロに繋ぐマネージャーになるべく、こういうことを柱の中心として意識転換に取り組んできたところですが、今般こうした取り組みに加えて、ケアラー支援推進員を養成し、より地域に根ざした啓発と相談体制の構築に取り組んでまいりたいと思います。
さらに、企業の側にも気づいていただかないといけないと考えております。
すなわち、仕事と介護の両立支援、これを優先課題として捉えている県内企業はわずか2割という惨憺たる状況であることから、経営者あるいは管理職への働きかけというものを強化し、介護休暇などの制度活用の促進と環境整備というものを進めてまいりたいと考えています。
第2の視点「つなぐ」ということの取り組みについて申し述べます。
問題を抱え込み相談も遅れがちになるケアラーを適切な支援に繋ぐ取り組みというものも大変重要な柱となってまいります。
そこで、先ほども述べました、ポッドキャストなどを活用した取り組み、あるいはスクールソーシャルワーカーの増員に向けた取り組みにつきましても、この文脈の一環とも位置づけられるものであります。
この家族ケアというものは、ある日、突然始まり、そしてその中で不安と孤独の中で混乱することも多々あるわけですが、このような状況におかれがちなケアラーに対しまして、親身に寄り添い、そして必要な制度やサービスに繋げる伴走支援体制の構築に向けた検討というものを進めてまいりたいと思います。
先ほどマネージャーとなるべきだという話をいたしましたが、このマネージャーに対しまして、秘書役となるような伴走支援体制、これをぜひ構築していきたいと考えています。
そして、第3の視点「支える」という取り組みについて申し述べます。
これまで、いわゆる介護サービスに関しましては、本県では介護待機ゼロという目標を掲げまして、介護施設での受け入れ能力の拡充に取り組んできたところですが、今後、奮闘するケアラーの方々をより直接的に支える取り組みを進めてまいりたいと思います。
ダブルケアですとかヤングケアラーあるいは老老介護など、ケアラーの置かれた様々な状況に丁寧に対応し、きめ細やかな支援が行き届く体制の構築を目指してまいりたいと考えております。
まず、その一環といたしまして、地域包括支援センターや生活困窮者支援機関あるいは市町村などと密接に連携し、分野を越えた支援ネットワークの強化を図ってまいります。
また、仕事を持つケアラーのニーズに対応していくため、専門的な相談が休日にも可能となる電話相談窓口を開設し、切れ目のない支援体制を整備してまいります。
さらには、ケアラー同士が実際に集まり、情報交換を行える場というのも大変重要となってまいりますが、そのための交流会なども開催し、ケアラーの孤立を防いでまいりたいと思います。
なお、このケアラー支援というものは国全体の喫緊の課題ではありますが、残念ながらなかなかそういう機運というものが、今現時点においては出ておりません。
ですが、私ども現在国に対してぜひとも政策の柱として位置付けるよう働きかけを強めておりまして、ぜひこれはオールジャパンで取り組んでいけるようにしていきたいと思います。
なお、冒頭にも申し上げましたが、今回フェーズ1となるこのパッケージによりまして、介護離職ゼロ社会の実現に向けたケアラー支援の取り組みというものを加速させていきたいと思いますし、また、さらに新たな施策の追加も視野に、このパッケージの深化を図っていきたいと思います。
記者
このケアラー支援のパッケージについてなのですが、ここにフェーズ1というふうに題されてるように、今後どこまでのフェーズがあるのかとか、何年までにどういうふうにやるのかっていう全体像みたいなものがもしお考えあれば教えてください。
知事
これつまりどんどん深化させていくっていう意味でフェーズ1って言ってるわけで、これでもう完結はしてませんよという我々の思いの表明です。
記者
ということはフェーズがいくつまで想定されてるとかそういうことがあるわけではないんですね
知事
ありません。
必要があれば、どんどん高度化していって、より実効性のあるものに常に見直していきたいと思います。
記者
このフェーズ1というものは、今度の補正予算、これがフェーズ1ということなんでしょうか。
フェーズ1がさらに続くということもあり得るということなのですか。
来年もフェーズ1というか。
知事
我々の意識としては、もう少し早いかなと。
それをフェーズ2というのか、フェーズ1.1になるのか1.2になるのか。
いろいろ検討する項目がいっぱいあります。そこは成果が出たものから、例えば9月、12月に議会にお諮りをして、予算が必要なものについては予算措置を講じていきたいと考えています。
記者
ケアラー支援について伺います。
こういう取り組みは非常に重要だと思うんですが、ボトルネックとなるのは、おそらく支える人材が足りていないというところだと、介護職自体も不足していると。
そういう中で、今回の事業で、支援推進員を養成することとありますが、それについて、今の人手不足の中でどういうふうに確保しようとしているのかという、その辺のお考えをお聞かせください。
知事
この支援推進員は啓発をしていくための方々でありますので、いろんな方になっていただけるんじゃないかなと思います。
ただ仰るように、我々の基本的なイメージは、いざケアをする必要が出たときに、それを円滑にそのプロのサービスに繋いでくださいというところにあるわけですが、まさにそのプロのサービスに人材がどこまでいるのかというのは一つ大きな問題。これは以前からある問題で、これはこれとしてしっかり取り組んでいくと。
ただ今この社会的な機能として、そこに繋ぐまでの、地域包括ケアセンターもあるのですが、そこにすら繋がれない場合もあるし、そこに繋がったとしても、他の様々な事情というのはあるわけですよね。
ダブルケアでは、その間の子どもをどうするか。
実際、地域包括ケアを行ってる間にこの子の世話をどうするんだとか、様々な問題点が出てくるので、そこを繋がれるべきところに安心して繋いでいただける環境をどう作るかというのは、今回のケアラー支援の一つ大きな目標ですので、そこは実際繋いでしまえば、ある意味ひと段落であると、つまりその介護体制が巡行軌道に乗るまでの間の移行期間をいかにスムーズに混乱なく、そしてその介護離職という状況に追い込まれないようにしていくかというところに我々は主眼を置いてるので、そこについては、いろいろその担い手をどうするかというのは、議論を既にしていますし、相談も始めておりますので、ある程度このケアラー支援に関しては、そういう問題は乗り越えられるのではないかと思っています。
記者
富士山の防災ヘリについて、富士吉田市の市長から有料化の検討をしてほしいという要請があって、山梨、静岡で検討が始まってるというところだと思うんですけれども、今日、静岡県知事の会見があって、その中で山梨県との協議の場を設けて歩調を合わせて進めていきたいというような発言がありました。
それに対する知事の受け止めを聞かせていただけますか。
知事
富士山に関しては静岡県とも常に連携しながらやっているので、そういう検討というものは一緒に連携しながらやっていくんだろうなと思っています。
この問題は、今、我々は論点の洗い出しというか、どういう問題がありますかということを机の上にいっぱい並べている状態でありますが、想像する以上に奥行きが広い問題だと、実際のところ率直にそういう印象を持っています。
考えれば考えるほどきりがないし、そもそも行政の役割をどこにセットするんだとか、そのあたりの議論にも関わってくるところなので、まず我々としては、どういう問題があるのか。これをできる限り多く並べ立てて、それに対してどういう方策、ソリューションというのが考えられるのか。これもいくつも並べて、それを県民の皆様あるいは議会に対してもお示しをしながら、幅広い観点でまずは議論をしていきたいと考えています。
その中で、静岡とも議論の状況やそれぞれの知見を交換するということは当然やるべきことだと思います。
記者
具体的な解決策というところはこれから詰めていくということだと思うのですけれども、知事として今回の防災ヘリの閉山中の救助者が多いことだったり、防災ヘリの有料化だったりということについてのご意見を伺えますか。
知事
この問題をご指摘される方の気持ちはよくわかります。
納税者からするとけしからん限りの話だとは思いますが、じゃあ具体的にどうするのだと言ったときに、例えば、ある人が遭難しました。助けてくださいっていう電話をしてきました。ヘリでしか行けません。有料ですけど、どうしますか、と言ったときに、じゃあいいですと言われたときに、来年の春まで待ってくださいと言えるのかどうなのか。こんなような問題も出てきます。
あるいは全部有料にするのか、全部無料にするのか。そうではなくて、どこか中間で無謀な登山だけを有料にするのか、どうやって線を引くのだと。
そもそも無謀な登山とは一体どういう状況なのか。それは何でわかるのかとか、様々な点を議論して、その中で価値判断というのが求められる場面というのも出てくると思います。
行政の役割とは一体どこまでやるんだと。公の役割とは何なんだ、どこまでが自己責任で片付けられる問題なのか。こういうものも考え方をいくつかお示しをしながら、それは議論に供していきたいと思います。
ここはそういうしっかりとした議論が求められる場面だと思いますので、まず、この議論をしっかりやっていくための準備体操というんでしょうか。これをするというのが今の我々の状況かなと思っています。
気持ちはわかるんですけど、実際に真面目に考え出すと、なかなか単純な、クリアカットなものはちょっと出てきづらいんじゃないかというのが今の率直な印象です。
記者
防災ヘリの関係でお伺いします。
机に問題を並べてみると、想像以上に奥行きが深いというような話がありましたけれども、単純に埼玉県のように条例化するというのは、すぐにはなかなか難しいというような状況なのでしょうか。
知事
まずは、様々論点整理をしなければ、そもそもどんな条例を作るのだという話に結びつかないわけですよね。
つまりこの議論は、まだまだ色々なものがごった煮の状態になっていて、まずそれを一つ一つ紐解いていき、整理した上で議論しなければ、条例が必要なのかどうなのか、もしくは法改正が必要かもしれませんしそうでないかもしれない。
何の目的で何をどこまでやるのかっていうのは、先ほど来申し上げているとおり、まず議論を整理しなければできない話なので、その上で必要があれば、当然条例を作っていくということだと思います。
記者
県警のヘリとの兼ね合いも考えると、法改正の部分について静岡県の知事も言及されてましたけれども、そこも今後問題を整理していって、必要であればというような考え方になるのでしょうか。
知事
何が必要であるか分かれば当然、繰り返しになりますけれども、条例の改廃、制定あるいは法改正への要望、こういったものも全部視野に入ってくると思います。
記者
知事も今の課題を整理していかないといけないとおっしゃってまして、静岡県とも足並みを揃えていろいろ議論しながらっていうことになるというようなお話もあった通りだと思うんですが、山梨県と静岡県で富士山やその他の山における遭難者数を比べると、山梨県は富士山よりその他の山での遭難者数の方が圧倒的に多いという状況にあって、一方で静岡県はあまり登山するような高山が富士山以外にないので、ほとんど富士山での遭難者に限定されてしまう面もあります。
今後、考えていくことだと思うのですが、その上で連携をとって富士山はこうしましょうという話になったり、他の山はどうしましょうという整理がかなり難しいと思うのですが、連携の仕方はどのようなことを考えておりますでしょうか。
知事
まだ、静岡県も山梨県もそれすら考えに至っていない状態だと思います。
今おっしゃったようなこと自体が一つの論点になってくるので、やはりそういうことも並べてどうしようかと向き合う必要があると思います。
そもそもなぜ富士山だけなのか、南アルプスはどうするのか、南アルプスは静岡県もありそこはどうするのか、あるいは長野県との間にも同じ山を分かち合っている所もあり、その場合どうするのか様々な問題が出てくると思います。
記者
わかりました。
もう一問お願いします。
この件に関して、静岡県の鈴木知事は国に対し、自己負担のあり方等について、国が主導して制度構築の議論をしてほしいというような発言がありましたが、長崎知事としてはどのような考えを持っていますか。
知事
山梨県は、国に丸投げするというのはあまり好まない県ですので、まずは、我々としてどのように考えていくかが最優先です。
記者
先日、リニアの実験線の車両で出火がありまして、なかなか物理的に取材する立場でも、なかなかどのように出火したかとか、分からない状況であるのですけれども。
実験線で火災があったっていうことの率直な知事の受け止めと、県としてJRに何か求めるとか、対策を取るお考えがあるのか、もしくは、もう既に何か対応ですね、対応を取ったかっていう、そのあたりを伺いたいです。
知事
まずは、被害者が出なくてよかったなとは思ってます。
あとは、JRにおいて、適切に対応してもらいたいと思います。
我々以上に多分もっとJRの方が深刻に受け止めてると思いますので、そこはしっかりとした技術的な再発防止策が研究され、講じられるのだろうなと考えています。